MUV-LUV大戦   作:土井中32

66 / 107

ちょっと遅れました。一週間が早く感じる…これが、老い…?

劇場版SEED見てきました。イヤー面白かった!
リアタイした初めてのガンダムだったので感慨深いです!
もう一回見に行きたいけど車で一時間は遠すぎるんですよね…。
ネタバレしない方が絶対面白いのでこの場では何も言いませんが、一つだけ言いたいことが。


ノイマンさん、あなたがナチュラル名乗るのはもう詐欺なんよ。




57話 暴露

 

帝都城、将軍執務室。

 

俺の“いつもの面子に、誰にも知られたくないことを話す”という要請で全員がここに集められた。

なんだかんだ言って、ここが一番盗聴などの危険がないのだ。

実は少し前からいつもの面子が一人増えてはいるのだが。

 

「それで、話したいこととは何だ?後ろの二人と、そちらのおなごに関係あることか」

 

紅蓮のおっさんがそっちを見ながら問う。

俺の後ろには美沙のほか、白銀と鑑が。

榊総理の隣には香月が座っている。めっちゃ顔色悪いが。

例の策で大分追い詰められているからな。へし折れ寸前ってとこか。

 

「香月夕呼と申します。将軍閣下におきましては、ご尊顔を奉り恐悦至極にございます」

「白銀武と申します」

「か、鑑純夏です!」

「次期オルタネイティヴ4日本案の提唱者に、そなたが目をかけているという衛士候補。そしてその幼馴染だったな」

「一見するとあまり関係性がない気がするが?」

 

将軍様、白銀はともかく全員のことを知っていたか。

そして将軍様の後に発言した、紅蓮のおっさんの隣に座る男。

 

彩峰 萩閣 中将。

 

帝国陸軍の高級将校であり、原作において光州作戦の悲劇を起こした人間でもある。

中国大陸の戦線に帝国軍の指揮官として派遣されていたが、民間人の避難誘導と護衛を優先したために国連司令部が陥落。指揮系統の混乱によって国連軍に多大な損害を与えたとしてその責任を取るため処刑。原作ではすでに故人だが様々な形で後の世に影響を与えてしまった。

間違いなく人格者だし軍人としても優秀だ、彼を慕う人間も多い。だが非情な判断をできなかったという意味では軍人、それも指揮官になるべきでなかった人間であるともいえる。

しかし彼のおかげで大東亜連合は帝国に協力的だったわけだから、一概に間違っていたともいえない。本来軍人の仕事とは民間人を守ることなのだし。

評価の難しい人物、というのが原作での彼の印象だ。

今まで軍関係の根回しなどは紅蓮のおっさんを通してやっていたんだが、斯衛側の人間だしこの人かなり脳筋だからな。頭の回る人が欲しいということで榊総理の伝手でこの御前会議に招集されたわけだ。

…帝国侵攻で九州司令部の司令官していたから、俺のせいで一番エライ目にあった人だと思うんだがな。

事の真相を話しても

 

「博士は自分の為すべきことを為された。その結果として人を傷つけてしまったことをあなたは十分悔いている。ならばこれ以上の責め苦は必要ありますまい」

 

と言って許されてしまった。

…罵倒された方が楽だった、というのは甘えかね。

 

「直接的・間接的に関わる人間だったから来てもらった。今から話すことはこの世界そのものに関することだ」

「…大きく出たな」

 

正直、墓まで持ってくつもりだった。信じる人間なんぞまずいない。信じたらそいつは狂人扱いされかねない内容だからな。

だが、これを話さなければ”この”データを有効活用できない。

 

「ずっと疑問に思ってたんじゃないか?なんでこんなガキが大人でも作れないもの作れるんだ、って」

「…確かに、な」

「天才、というだけでは説明がつかないとは思っておりましたが」

「話してくれるのかね、その秘密を」

 

聞く体制の大人共に少しだけ安堵する。

最低限、それだけの信頼はあるとわかったから。

 

「俺は、輪廻の輪をくぐってなお、前世を忘れなかった人間なんだ」

 

 

-----------------------------

 

 

正直に全部話した。

事故が原因で前世を思い出したこと。

今いる世界が、前世で知った物語に非常によく似ていること。

その通りに進めば破滅する世界をどうにかするべく、今まで動いてきたこと。

なぜか頭の中にあった、別の世界の技術情報を使って作り上げたのが、ゲシュペンストや他の兵器群であること。

 

精神鑑定書を自分の前において、洗いざらい全部。

 

「…なぜ、それを話した?今まで通り墓までもっていって構わなかったろうし、それでそなたへの見方が変わるわけでもない。わざわざそのようなもの用意してまで話すことではないはずだ」

 

将軍様の疑問はもっともだ。これは前置きでしかない。

 

「先に話しとかないと、”これ”の信憑性がないからな」

 

大型ディスプレイにそれを、ハイヴの構造図を表示する。

 

「2001年時点での各ハイヴの構造図。今と比べればバタフライエフェクト含めてだいぶ違うだろうが、参考にはなるはずだ」

「ハイヴの構造図!?いや待て、2001年だと!?」

「物語で未来を知っているとはいえ、ここまで詳細なデータを?…バタフライエフェクト?」

「…まだ、何かあるのかね?」

 

騒いでいた親父共が静かになったのを見計らって、俺は後ろを見る。

 

「こっから先はそれを持ってきた二人に説明してもらうよ」

 

俺と場所を入れ替えた白銀と鑑が、あの物語を話す。

 

”あいとゆうきのおとぎばなし”を。

 

「…なるほどな。この話を受け入れさせるための前置きだったのだな、稲郷よ」

「いきなりガキがおかしなこと言っても信じないだろ?俺という前置きがあればちったぁ聞く耳持つと思ってな」

「正直いまだ半信半疑といったところだが。しかし否定する根拠もない、か」

「……白銀と、鑑と申したな」

「はい」

「そ、そうです!」

 

将軍様の誰何に、二人の緊張感が増す。

 

「違う世界とはいえ、人類を救ってくれたこと誠に感謝する」

「ちょ、殿下!?」

「え、え~と、あ、頭をお上げください!?」

 

あっさり将軍様が頭を下げたことが信じられず、二人がテンパっている。

…相変わらず頭の軽いこと。

 

「少し頭が軽すぎませんかね将軍様?」

「既に一度下げた頭よ。人の目もなき場所で下げるのに何の抵抗があろうか」

 

開き直ってんなー。篁の悪いところでも真似たか?

 

「博士が常々カシュガル攻略を押す理由がはっきりしましたな。指揮系統がこれほど単純だとは」

「作業用重機ゆえだろう。採掘した資源を送れれば指揮系統に変調があっても問題にはならん」

「しかし、BETAがただの重機でしかないとは…人類はブルドーザー相手に負けていたというのかね?」

「和平など不可能、絶滅戦争しかあり得ぬ相手、か。何より信じがたいのは数だな。これは本当のことなのかね?」

 

親父共はそっちのけで話し合ってるし。

ようやく安全性と安定度の増した新型T-linkシステムで白銀と鑑の記憶から復元した重頭脳級との交信内容も聞かせたので、その内容について話し合っている。

ハイヴの構造図もこれで出力したものだ。

…流石に信じがたくて、二人に聞いてきたが。

 

「情報源が重頭脳級のみですので、信憑性があるかどうかは…ただ、奴らが資源採掘用の機械だということが事実であれば、嘘をつくような機能は必要ないものかと」

「…確かに、そうだな。しかし、この数は」

 

10の37乗。

 

原作において重頭脳級が言い放った、同類の数、だ。

真面目に計算すれば、宇宙に存在し得る惑星の数より多い、らしい。

これが重頭脳級の数なのか、他の指揮下にある下級種も含めてなのか、期待値か、はたまたはったりか。

これは原作ファンの間でも意見の分かれるところだ。

地球に来た重頭脳級は地球に来る途中で巻き込まれた超新星爆発の影響でバグっている、という話もあるし、真相は現在の地球の技術では調べることすら困難だ。

 

「地球の中で殺し合ってるのがばかばかしくなってくるだろ?」

「まったくだな。我らは連中に敵とすら見られてないというのだから」

「末端の末端に滅ぼされかけていればそうなるのも当然だろうが。しかしそれはそれで腹立たしいね」

「…なんというか、あっさり納得されてますね?」

 

白銀の疑問に親父共が笑って答える。

 

「「「「「非常識には慣れてるからな」」」」」

 

…副音声で”こいつのせいで”と聞こえるのは気のせいか?

 

「先ほどは半信半疑といったが、考えれてみればしっくりくる、というのも事実でね」

「それにこの情報がでたらめであったとて、我らのやることに変わりはない。人類の怨敵を成敗することにはな」

「合ってるかどうかはこれから試していけばいいこと。違うのならばそこで改めて皆で考えればよいのですよ」

「何より」

 

一言区切った将軍様が、俺を見る。

 

「誰よりも人類を憂い、誰よりも傷つきながら、誰よりも前で必死に抗う若者を信じられぬようでは、我らはただの老害よ」

「稲郷が信じたというなら、我らも信じよう。こ奴にはそれだけの信頼があるからな」

「…変なもの食ったか?」

「人がせっかく褒めとるというに、こ奴は…」

 

うるせえ。いきなりそんな恥ずいこと言い出すんじゃねぇよ。

とりあえずハイヴの構造図は軍の方に持って行ってもらう。どこまで参考になるか分からんが全く役に立たないってことはないだろう。

出所を聞かれたら俺が作った想像図、とでもしとけば多分大丈夫だろうし。

重頭脳級との交信内容はまだ秘匿だ。刺激強すぎて何が起きるか分からんとさ。こっちはどうやって録音したか説明できないし。

未来情報については俺が好き勝手やったこともあって当てになりそうもない、と聞かないことになった。

知ってれば防げる事柄もあるが、それが起こるかすら微妙だしな。

その都度話せばいいか。

 

そのあたりまで決まったところで、俺は空気になっていた人間に声をかける。

 

「俺があんたを嫌う理由、分かったかよ?」

「…これだけやらかしていれば当然、ね」

 

無言でひたすら聞かされた内容の信憑性について考えていたようだが、ありうるという結論に至ったらしい。

すっかりしなびた顔で、声にも張りがない。

…まあ、心がへし折れ寸前の状態でこのまま進んだ先のどでかい失敗例なんぞ聞かされれば、意気消沈もするか。

 

「それで、私に何をしろというの?既に00ユニットなんて必要ないでしょう」

「俺たちの視点ではな。理由を公にできない以上、カバーストーリーは必要だということだ」

 

並行世界から得た情報です、なんて俺たちのことを知らない人間に行っても誰も信じまい。

納得させるだけの根拠、後ろ盾がないといけないのだ。

 

「私はその隠れ蓑、というわけね」

「過労死するほど手ェ貸してもらうがな。因果律への干渉なんて学問じみたことはどうも苦手でね。専門家の手を借りたいとは思ってたんだ」

 

T-linkシステムをこの先も開発する以上、また感応現象が発生しないとも限らない。その対策には因果律量子論なんてぶち上げたこいつが一番適している。

あのシステム(●●●●●●)を完全に理解できれば意図的に干渉も可能だろうが、絶対手を出したくないから記憶の奥底に封じてるし。

 

「何よりこんなチート、ズルしてるやつに負けっぱなしじゃ収まんないだろ、一研究者としては」

「…フ、フフフ。そうね。並行世界の情報なんてズルしてるやつに負けっぱなしなんて私らしくないわね。いいわ、その安い挑発に乗ってあげようじゃない」

 

ギラついた眼で睨み返す香月を見て安堵する。

よし、道連れが増えた。

俺の持ってる技術の検証と世界に与える影響の予想、俺以外に誰もできなくて困ってたんだ。

文字通り過労死するまで付き合ってもらおう。

 

「さて、地獄への道連れが増えたところで最後の話だ」

「…まだ何かあるのか?」

 

なんでそんなビビってんだよ。

 

「大したことじゃない。シロガネ級3番艦の設計が終わったから、建造許可をもらいたいだけだ」

『あれか……』

 

親父共の顔が曇る。

 

「今更言うことではないが、正気か?」

「大くそ真面目に考えた結果だってあの時も言ったろ。試作品での実験もパスしてるし、シミュレーターでも成功率は8割超えてる。カシュガル攻略には絶対必要なものだ」

「それは理解しているのだが、やはり見た目がな…」

「それはどうにもできねぇよ、諦めろ」

 

軌道降下戦術で落とすには、フェイズ6ハイヴは広すぎる。

何かしらのショートカットが必要なのだ。

 

「あの、なんでそんなに渋ってるんです?」

 

白銀から質問が飛んでくる。そういやこいつらはまだ知らなかったな。

 

「見た目がインパクトあり過ぎて二の足踏んじまってんだよ」

「見た目?」

 

口で言うより見たほうが早いだろう。

大型ディスプレイにそれを表示させた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

結論から言えば、建造の許可は出た。

全会一致でゲテモノ呼ばわりされたけど。

 

 

-----------------------------

 

 

「流石にこれで隠していることは全部だと思いたいですな」

 

九郎達5人が退室した後。

部屋に残った将軍たちはこれからの動きを確認する傍ら、今聞いた話について話していた。

 

「隠した、というか濁してはいたね。恐らく白銀君と鑑君に配慮したのだろうが」

「カシュガル攻略後の話か」

 

並行世界のこと、カシュガル攻略後の世界についても九郎はある程度話していたが、違和感を持たれない程度にぼかした部分があった。

白銀たちは気づかなかったが、将軍以下この世界で長く生きてきた大人たちは濁された内容とその理由について察しがついていた。

 

「恐らくは再開されたのだろう、人類同士の殺し合いが」

「命がけで、それも大切な仲間たちを犠牲にしてようやく得た猶予をそんなことに使われたと知れば、白銀少年たちは落胆するでしょうな」

「私たちですらそうだからね。並行存在とはいえ、娘が己を犠牲にして得たものをそんな形で汚されては、心穏やかではおれんよ」

「同時に、あやつの人間不信の理由もはっきりした」

 

話をしていた時、ほんの一瞬だけ見せた苦々しげな表情。

そして類推した並行世界がたどった歴史。

 

「強大な存在と生存をかけて戦わねばならない状況で身内で殺し合いを始めれば、見限りたくもなるでしょうな」

「あくまでも並行世界の話、と割り切れればよかったのでしょうが。こちらでも同じようなことが起きれば、自然と色眼鏡の度も強くなりましょう」

「よくよく考えてみれば、彼が毛嫌いする対象は政治家や高級将校が多い。生存競争だと知らなかったとはいえ、いや知ってからも現場に政治を持ち込み続けた権力者たちに失望しているのだろう」

「戦争もまた外交手段でしかないことは彼も承知しているのだろうが、それで自分たちの首を絞めるばかりだったのだから距離を置きたくもなるだろうな」

「目先のことしか見えない愚物、と思われるのは癪だが、完全には否定できんしな。やはり帝国のことを第一に考える己がいる」

 

5人で一つため息。しかしすぐに顔を上げる。

 

「だが、知ったのであればこれから変えてゆけばいいだけの話。あやつもそれを話す程度には我らを信じてくれたということなのだ。裏切るわけにはいかんぞ」

「やれやれ。ますます娘に会えなくなりますな」

「帝国ではなく人類を背負わねばならないのだ。悲しいが仕方あるまい」

「頭脳労働と耳目担当殿は大変だな。その点儂は楽だ。戦場に行って相手をたたっ切るだけなのだからな」

「…何か仕事を押しつけますか」

「…そうですな。書類仕事の恐ろしさを存分に分からせるべきでしょう」

 

何やら黒い相談がされているところに、将軍が声をかける。

 

「榊よ。マーシャル大統領からされていたあの話、帝国も乗ろうと思う」

「…よろしいので?相当な反発がおきますが」

「無論、もう少し煮詰める必要はあろう。だがBETAの強大さがはっきりした今、最早地球の上で西だ東だなどと争っている余裕などみじんもない」

「では」

「うむ。準備ができ次第。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

国連を、解体する

 

 

 

 





○ここからが本当の地獄だ
九郎「つーわけで出入りする人間が一人増えた。顔ぐらいは覚えとけよ」
マッド1「ヒャッハー!女だ、若い女が来たぞぉ!!」
マッド2「かわいいね君専門は何核バズに興味ある!?」
マッド3「天獄にして地獄へようこそルーキー歓迎しよう盛大にな具体的には実験手伝ってくれいや手伝え」
香月「…何この、何?」
九郎「見ての通り科学に魂どころか頭のねじまで売っぱらった連中だが?イヤーよかったよまともな感性のあるやつが増えて。俺一人でこいつらの手綱握るの大変だったんだ。ほっとくと爆発事故とか起こすから目ェ離せなくて気が気じゃなくてさぁ。つーわけでこいつらの監督任せた。後はよろしく」
香月「ちょ、あんたまさかそのためにあたしを引き入れたの!?」
マッドたち「「「さあ、一緒に常識の向こう側を目指そう!!!」」」
香月「ヒィ、い、いやあァァァァァァァァ!!!?」


白銀「…生きてますか、夕呼先生?」
香月「…白銀、だっけか。あたし、天才でもなんでもなかったのね…よ~く思い知ったわ…」


まりもちゃん「夕呼から手紙届いたけど、どういう意味かしら?
       かゆ…うま…ボスけて?」


次話は明日更新予定です。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。