MUV-LUV大戦   作:土井中32

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タイトル通り、奴のお目見えです。
あと特に記念というわけではありませんが、明日閑話を一つ上げます。

…ククク、まさか奴まで出てくるとは思うまい…!




58話 凶鳥

 

中国大陸、対BETA最前線。

統一中華戦線、帝国派遣軍、米軍、国連軍が力を合わせて怨敵を阻むこの地にて、神宮司まりもは一つの節目を迎えていた。

 

「生存時間、8分を超えた…!」

『たかが8分そこらで喜ぶな!ゲシュペンスト、それもMk-Ⅲに乗ってんならせめて80時間超えてからにしろ!』

「は、はっ!申し訳ありません!」

 

死の8分。

第一、第二世代機において新人衛士がまず越えねばならない生存時間の壁。

かつてはこの壁を越えられず多数の衛士が散っていたというのに、今となってはむしろ越えられない方がおかしい有名無実の壁ともいえない障害物と化していた。

第三世代機として戦場に投入されたゲシュペンストが、全てを変えてしまったのだ。

その装甲と頑強さは要撃級との正面からの殴り合いを可能とし、突撃級に轢かれても問題なく戦闘継続が可能。やろうと思えば突撃を受け止めたうえで持ち上げ、投げ飛ばすなどといった旧世代機では絶対不可能なことすらできるほどだ。

それでいて機動性も高く、戦闘機動でなければ亜音速まで加速することが可能。その戦闘機動でもテスラドライブという慣性制御装置やTC-OS、新型コックピットの恩恵でまさしく縦横無尽に動き回れる。攻撃を躱せない方がおかしい、と言う衛士がいるほどに。

最大の脅威であった光線属種によるレーザー攻撃ですら、対光学バリアであるビームコート、その発展型であるABフィールドの搭載によってその脅威度は大幅に減じている。

その上こちらの武装にも光学兵装や電磁投射砲など従来兵器をはるかに上回る武装が配備されている。今まで正面を避けて横や後ろを取らねばならなかった突撃級を真っ向からぶち抜けるような高火力の武器が。

何よりその全てを支える規格外の心臓たる核融合炉。そして驚異的な継戦時間の長さ。

単機で旧世代機1個中隊に匹敵、あるいは上回るとすら言われるオーパーツに乗っていて、たかが8分程度で死ぬなどもはや恥とまで豪語されるほど前線の死傷率は減じていた。

同時に生き残る人間が増えたことで新人へのフォローも手厚くなり、それがまた生き残る人間を増やすという好循環のサイクルを生み出している。

ゲシュペンストの技術を応用した強化改修機やコンセプトの違う同世代機なども増えたことで、今や前線での最大の敵は補給が滞ることだ、と言われるほどだ。

この戦闘が初陣となるまりもも、同じ小隊の先任達と最新鋭機であるゲシュペンストMk-Ⅲの性能に助けられ、すでに死の8分を10倍以上超えて生き延びていた。

同期達も一人につき最低2人の先任がフォローについていることでまだ誰も落ちていない。

 

『CPより各機へ、これよりベーオウルブズによる光線級吶喊が行われます。轢かれないよう注意してください』

『おう、鉄砲玉どものお出ましだ。各機レーダーとセンサーに注意。間違っても奴らの前に出るなよ』

 

小隊長がそう言った途端、真横を戦術機中隊が駆け抜ける。

先頭を行く赤いゲシュペンストの改造機が、両肩のコンテナを解放した。

 

『吶喊する。各機続け』

 

コンテナから、特注の劣化ウランの散弾がばら撒かれる。

濃密な弾幕に触れたBETAは種別関係なくハチの巣か木っ端微塵となり、彼らの前から姿を消す。

空いたスペースに後続の機体が突っ込み、こちらも両肩のシャッターを解放。

先ほどと違うのは、放たれたのがビームだったことだろう。しかし濃密な弾幕であることに違いはなく、やはりBETA群が消し飛ばされる。

それを何度も繰り返し、彼らはBETAの海を強引に且つ最短距離で正面突破していく。時折彼らに攻撃を届かせるものもいるが、ゲシュペンストに輪をかけた重装甲の前に阻まれ、反撃で息の根を止められている。

そうして彼らが目指すのは、後方にいる光線属種群。

 

コンセプト検証試験機、ゲシュペンストMk-Ⅱ・タイプSA アルトアイゼン・リーゼを隊長機とする突撃部隊。

量産型アルトアイゼンと言えるMk-Ⅲ・タイプAのみで構成されたベーオウルブズ中隊は今日も立ち塞がるモノをことごとく撃ち貫きながら任務に邁進していた。

そんな中隊の前に光線属種群の護衛か、要塞級が立ち塞がるが彼らは全く速度を緩めない。

そして射程距離に入った瞬間、要塞級の衝角が襲いかかり。

 

真っ向から叩きつけられた極太ビームの雨に撃たれて衝角が消滅する。

 

タイプAの両肩の大口径ビーム砲は収束率の調整が可能で、一本の極太ビームから広範囲をカバーする拡散ビームまで自由自在。

要塞級の衝角は収束されたビームの前に消し飛んだのだ。

最大の攻撃手段をあっさり消失したせいか、要塞級が硬直する。

そしてそれを見逃す衛士は、狼たちの中にはいない。

錆鉄の巨人が飛び出し、その右腕を要塞級に叩きつける。

 

正確には、右腕に取り付けられた超大型回転撃発式杭打機を。

 

『撃ち抜け、アルト』

 

回転弾倉内のエネルギーバレットを撃鉄がぶっ叩き、杭が要塞級の表皮を貫通。

内側にその莫大なエネルギーを衝撃としてぶちまけた。

叩き込まれたエネルギーに要塞級は耐え切れず、内側から爆散。戦場に赤い雨が降り注ぐ。

しかしベーオウルブズは自分たちの隊長が生み出した惨状など気にせず、ようやく見つけた獲物に食らいつく。

 

『クレイモア・リヒト、全開照射。一匹たりとも残すな』

 

光の豪雨が本来それを武器とするモノたちに降り注ぐ。

その場が焼き尽くされるまで、1分とかからなかった。

 

『状況終了。光線級は排除した』

『こちらHQ、光線級消滅を確認した。これより空爆を実施する。爆撃範囲にいる部隊は至急退避せよ』

 

旅団規模のBETAの襲撃だったが、いまさらその程度の数では前線を突破することなど敵わず。

今日も鉄砲玉によって対空手段を失ったBETA群は爆装したガーリオンによる空爆によって地面の染みとなるのであった。

 

『お疲れだったなルーキー。どうだ、初めての実戦は?』

「は。小隊長や先任の皆様のおかげで何とか生き延びることができました」

『よし。無我夢中で戦ったせいで反省するべきところもあるだろうが、まずは生き残ったことを喜べ。そして今度はお前がそれを後輩どもに教えろ。ベテランの数は命を守れる数だ。一人でも多くの仲間を救えば、そいつがまた多くの命を救ってくれる。だから容易く死んでくれるなよ』

「は!ご指導ありがとうございます!」

 

こうして神宮司まりもは同期を失うことなく初陣を終えた。

後は基地に戻り、先任たちを交えた反省会と初陣を無事生き延びたことを祝うささやかな祝宴が行われる、はずだった。

 

『…なんだ?基地に見慣れない連中がいるぞ?』

『CP、基地に統一中華戦線の部隊がいるが、そんな予定は聞いていない。何かあったのか?』

『…こちらCP、何と言ったらいいのか…』

『どうしたCP、報告は明朗かつ簡潔にだろ。言えることがあるなら早く話せ』

 

しばらくうめき声が聞こえてきたが、観念したようにCPは告げた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『統一中華戦線内でクーデターが起きた、らしい』

『…は?』

 

 

------------------------------

 

 

俺の地下研究所、シミュレーター室にて。

 

『甘いわ!!』

『ひゃああーー!?』

 

鑑の操るMk-Ⅲが投げ飛ばされる。

まったく勝てねえな、あいつ。

 

「いや、北村少佐相手とか無理だろ。俺でも勝率2割切るぞ」

「話聞く限り、まともな衛士経験もないんでしょ?それで現役のエースと戦えとか無茶ね」

「本人に言えよ。やるっつったのは鑑だぞ」

 

武ちゃんと一緒に戦うため、とは言ってたが。まるでいいとこないな。

 

「これ以上はいじめと変わらんな。二人とも、上がってくれ」

『了解した』

『はうあうあう~~』

 

シミュレーターから二人が出てくる。

開さんは汗一つ掻いてないのに、鑑は既にフラフラだ。

たかが十戦ぐらいでこれではなあ。まだ子供で鍛えてないこと考慮に入れても体力がなさすぎる。

 

「何か光るものは感じた?」

「近接白兵戦、特に拳での殴り合いにはセンスがありそうだが。その他が壊滅的すぎるな。間違っても射撃装備は任せられん」

 

開さんの言葉には頷かざるを得ない。

シミュレーターでFCS噛んでんのにどうやったら真後ろにビームが飛ぶのか、小一時間問い詰めたからな。実弾系はてんで狙ったとおりに飛ばないし。

 

「あれでどうやって凄之皇の荷電粒子砲を当ててたんだ?」

「00ユニット様様、ということかしら」

「一番あってんのはタイプS、それも地に足着けた殴り合い、かあ。ちょっと尖りすぎだよなあ」

 

いくら何でも尖りすぎだ。正直背中を預けられるか、と聞いたら十人中九人は首を横に振るだろう。

 

「やっぱり鑑に衛士やらせるのは無理があるな。サブパイで白銀の後ろに乗せるべきだろう」

「鑑に火器管制も操縦も任せられないのに?ただの荷物じゃない」

「夕呼せんせーひどい!?」

 

鑑の嘆きは無視。実際その通りだしな。

 

「T-linkシステムの適性値はぶっちぎりで高いから、そっち方面を任せるべきだな。白銀と阿吽の呼吸を合わせられるのも鑑だけだから、現状これがベストだろう」

 

鑑が一緒なら白銀も無茶はしないだろうし。

 

「しかし、T-linkシステムというのは厄介な代物だな」

 

開さんの正直な感想だろう。

ボコボコにこそしていたが、何度か必殺の一撃を防がれていたからな。

 

「いわゆる第六感、てやつもかなり強化されるし、念動力の出力次第ではタイプSのゲシュペンストキックも防げるからな」

「敵には回したくない、な。今回は嬢ちゃんの腕が大したことなかったから何とか出来たが、平均的な衛士ほどの技量があればかなり面倒だっただろう」

「倒せない、とは言わないんだな」

 

まあ、この人だったらほんとに何とかするんだろうが。

 

「個の力がどれ程優れていようと、戦術と戦略で打ち勝ってきたのが人間だ。今回の経験をうまく戦術に組み込むさ」

 

戦闘で使えるレベルの念動力者なんて、そうそういないと思うが。まあ、考えるだけなら止める必要はないだろう。ほんとに必要になってほしくはないけど。

 

「とはいえ、現状だとこれ以上の性能アップは無理だな」

 

タイプSに限らずゲシュペンストのフレームは元々頑強さを最優先で組み上げたものだ。反応速度は二の次であるせいか、T-linkシステムによってもたらされる超反応に追従しきれていない。

現状では二人の体が未熟すぎて生かせないが、いずれ体が出来上がれば機体の反応速度に不満が出るはずだ。

何より後付けしたT-linkシステムの性能を十分に生かせてるとはいいがたい。

 

「作るしかないか、あれを」

 

星をも消し飛ばす、人類にはあまりにも過ぎた力。

だがこの先BETAと真正面からぶつかる以上、今以上に武力向上が必要になる。

あの二人なら、きっと正しく力を扱ってくれる。

そう信じて、作るつもりのなかったものを作ることに決めた。

 

とはいえ、まずは前段階からだ。

 

「かぐや、アレの進捗状況は?」

「進行度は8割、といったところです。完成までは後一週間ほどいただきたく」

「フレームからして別物な試作機だしな、そんなものか。よし、今日はこれで終わりだ、皆上がっていいぞ」

「…またなんか隠れて作ってるのか?」

 

胡乱げな目で見てくる一同。

いつものことだろうに。一応開発計画は上に全部提出してるぞ?

 

「完成すればいやでも関わることになる。それまでつかの間の平和を味わっとけ」

「うわあ、夕呼先生みたいな悪い顔してる…」

「鑑?誰みたいな悪い顔だって?」

「にゃああ!?ごへんなさいあひゃはりましゅからひっははらいへー!?」

 

余計なこと言うからだ、マヌケめ。

 

「北村少佐。まだお時間ありましたらお相手願いたいのですが」

「むう、済まんが最近家族サービスができておらんのでな。今日はそちらを優先させてくれ」

「じゃ、じゃあ誰かほかの相手を紹介していただきたく」

「…白銀?何か焦っておらんか?」

 

白銀、残念だがタイムオーバーだ。

 

「ほう、今日はもう終わったのだな。ではこやつをもらっていくぞ」

「ぐ、紅蓮大将!?いや自分は」

「若いながら見上げた向上心よ。おぬしとの模擬戦はわしや斯衛のもの共にも得る物が多いのでな。さあ今日も体力の限界まで鍛えようぞ!」

「ちょ、首根っこつかまないでください!ゆ、夕呼先生、九郎、助け」

「思う存分揉まれて来い」

「同じく」

「薄情者―!?」

 

ぼろ雑巾になるまで振り回されるだろうが、対人戦の経験が少ないお前には得難い経験だ。しっかり学んで来い。

 

「ほっといていいのか、あれは?」

「半ばまぐれとはいえ、おっさんから一本取ったあいつの自業自得だ。鍛える分には問題ないわけだし」

 

Mk-ⅡのタイプR同士でおっさんがハンデで本気出さなかったとはいえ、圧倒的格上から一本取ったのだ。

そりゃ目ェつけられるに決まってる。

流石に死ぬまではやらないだろうし、格上との模擬戦なんてそうそうできることじゃない。

死ぬほど叩きのめされる程度必要経費だろう。

 

 

-----------------------------

 

 

鑑に支えられながらやってきた白銀を見て、思わずつぶやく。

 

「生きてたか」

「見捨てたくせに…!」

 

お前にも得るものあるんだからいいだろ。

やりすぎないように神野大将に様子見に行ってもらえるよう頼んでたし。

 

「乱取りだっつって斯衛全員でのバトロワ強制参加だぞ!?優先的に且つ徒党組んで襲われたし!しれっと紅蓮大将まで混ざって斬りかかってきたし!!」

「いい経験になったろ?」

「それで済むかァ!!」

 

吠える元気あるなら問題ないな。

 

「まあそれはどうでもいいとして」

「どうでも!?」

「ようやく組み上がったこいつを見に来たんだろ?」

 

ハンガーの奥。シャッターの向こう側に納められたそれ。

思い描いたモノにはまだ遠いが、まずはこいつでデータ取りだ。

コンソールを操作して、それを光の下に晒す。

 

「こ、こいつが…!」

「とりあえずの試作機だな。まずはこいつをぶん回してデータを取る」

 

ゲシュペンストよりもスマートな外見。

頭部から上に伸びるV字アンテナ。

ゲシュペンストとは違う、バイザーで隠れていないツインアイ。

 

RTX-008 ヒュッケバイン

 

地球で初めてブラックホールエンジンを搭載した機動兵器だ。

原作スパロボOGでは臨界事故を起こして基地一つを丸ごと吹き飛ばす大惨事を起こし、バニシングトルーパーなどという不名誉なあだ名をつけられた悲劇の機体でもある。

紆余曲折の果てに実戦配備され、系譜の機体が軍の主力機となるなど後世の評価は決して悪くはない。ブラックホールエンジンは半ば封印されてるが。

 

「ブラックホールエンジンの調整でだいぶ手間取ったがな。XGシリーズみたいな事故起こすわけにいかないし」

「ML機関みたいにこれ一つで重力制御も電力発生も思いのまま、ていうわけじゃないんだよな?」

「純粋な動力機関だからな。飛行その他はテスラドライブで対応する」

 

あっちも実戦投入間近だそうだが、やはり運用に欠かせないG-11が自力で生み出せないのが痛い。

燃料が敵だよりというのは補給の面で不安が過ぎる。

その点ブラックホールエンジンは起動さえすれば後はぶっ壊れるまでエネルギーを供給してくれる。壊れた時がやばいけど。

まあその辺は過剰なほどに安全装置組み込んだし、本命に乗せる主機関はこれじゃないから問題ない。

プラズマジェネレーターに輪をかけて制御が大変で、一機作るのにべらぼうな金がかかるエンジンだ。量産の予定は今のところない。

 

「T-linkシステムの機能を最大限に生かすため、フレーム自体に感応素子を埋め込んである。乗り手次第では脳波だけで操縦できるはずだ」

「スティックとペダルを介さず、直接動かせるのか!?」

「理論上は、な。必要なTPレベルめちゃめちゃ高いが」

 

現行の二人ではたまに指がピクッと反応するぐらいだろう。

 

「先に言っとくが武装はついてないからな。こいつで戦おうとか言い出すなよ」

「えー、どうして?」

「実験機に必要ないだろ」

 

手持ち火器の類は使えるが、そもそもデータ取り用の機体だ。

これで実戦やろうってほうが間違ってる。

 

「ぶー垂れてないでさっさと乗れ、初期設定はお前らがやらなきゃならないんだからな」

 

とりあえず二人をコックピットに放り込む。一応T-linkシステムは切ってあるが、あの時みたいなこと起こされちゃたまらんからな、しっかりモニターもしてる。

初期設定が終わればいよいよ実験、というところで。

 

「ほう、これが博士の新作ですか」

 

呼んでないのに怪しいおっさんが来た。

 

「まだ実験機でしかないけどな。で、冷やかし?」

「いえいえ、業務連絡と今後について話し合わねばならないことが出来まして」

 

何かあったらしい。それも俺に関わることで。

 

「統一中華戦線でクーデターが起きましてね」

端から起こす前提(●●●●●●●●)で準備してただろ、今更俺に相談する必要あるのか?」

「いえいえ、クーデターを起こしたのは予定していた台湾側ではないのです」

 

台湾ではない?じゃあ誰が?

 

「最前線で戦う兵士たちが団結しまして。統一中華戦線を抜けて国連に所属して戦いたい、と」

 

「…ええ…?」

 

 

 





○ゲシュペンストMk-Ⅱ・タイプSA アルトアイゼン・リーゼ

タイプSをコンセプト検証用に改修した機体。
”圧倒的火力と重装甲を以て敵群を正面突破し、光線級吶喊やハイヴ攻略を成し遂げる”という人型の突撃砲とでもいうべき機体。
その装甲は実に一般的なタイプSの倍近い厚さであり、要塞級の衝角ですら一発では貫通できないほど。
背面には大出力のスラスターがこれでもかと装備されており、真っ直ぐにならゲシュペンスト系最高の加速力を持つ。
武装として両肩に電磁投射散弾砲、ブリッツクレイモアを装備。原作では火薬式だったがこちらではレールガンの要領で劣化ウランの球を撃ち出すため、初速が上がりより貫徹力が強化されている。
右腕の杭打機は原作のリボルビングバンカーそのままだが、右腕破損と引き換えに一発に限り極大の威力を出せるマグナム弾が用意されている。理論上はこれでラザフォード場の上から頭脳級を粉砕できる。
左腕はゲシュペンスト用の汎用オプションを換装可能だが、継戦能力確保のため試作品だったビームバルカンを主に装備している。
頭部ヒートホーンはセンサーマスト兼プラズマカッターへ変更。ビームバルカンと合わせて実弾弾切れ対策となっている。
コンセプト検証用とはいえあまりにも癖が強すぎたため試験後は解体予定だったが、タイプS資格取得者がこの機体への搭乗を希望したためデータ収集を条件に中華戦線派遣部隊に合流。
コンセプト通りの運用で多大な戦果を挙げている。
味方からは”血塗れカブトムシ””亡霊の皮を被った鉄砲玉””音より速く突撃してくる城塞”などと呼ばれている。


○ゲシュペンストMk-Ⅲ タイプA

Mk-Ⅲの換装案の一つ。早い話がMk-Ⅲ版アルトアイゼン。
当初は換装案の一つであったが換装の範囲に収まらない改修が必要であり、実質改造機に近い。そのためこの状態で運用されている機体は極めて少ない。
特徴は両肩の収束・拡散可変式大型ビーム砲、クレイモア・リヒト。
極太ビームによる援護から拡散照射による面制圧までこなせる万能兵装だが、マニュアルで照射範囲を制御しなくてはならないため衛士に高い判断能力を要求する難しい武装でもある。
右腕は弾倉がカートリッジ式の杭打機であるインパクトステークを装備。
左腕は汎用ハードポイントであり、もっぱら3連機関砲で武装。
前面装甲を強化、背面はスラスターだらけというアルトアイゼン譲りのセッティングがされている。
原型機よりもだいぶマイルドになったがやはり癖のある機体であることには変わりなく。
また役割がタイプGなどと被るのに使いこなせる人間が少ないということも相まって製造機数は30にも満たない。
組織的に運用しているのは原型機であるアルトアイゼン・リーゼを隊長機とするベーオウルブズ中隊のみである。

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