一瞬だけ評価バーが赤になってました。高評価を受け続けるのって難しいですね。
それでも拙作を評価していただいた皆様に感謝を。ありがとうございます。
唐突過ぎるハイヴ攻略戦開始。
そして振り回されているのは西側だけではないようで…。
(今すぐ地獄に落ちろ、クソッタレども!!)
フィカーツィア・ラトロワの嘘偽りない本音だった。
あまりにも突然のハイヴ攻略命令。
それに振り回されたのはソ連の前線部隊も同じだった。
満足な補給もできぬまま最前線に放り出され、地平線を埋め尽くすBETAと真っ向からやりあう羽目ともなれば悪態の一つも言いたくなるだろう。
ましてや、後方からの援護砲撃がほとんどないのだ。
”ハイヴ攻略のため、砲弾を温存する”と一見すれば意味があるように見えるが、ここで目の前の連中を潰さねばハイヴ攻略も何もない。
結果として前に出た戦術機やスコープドッグが命を消費して血路を開いている状況だった。
幸いにして彼女の部隊はまだ死亡者を出していないが、すでに大隊は2個中隊近くまで減っている。まだモニュメントの先っぽすら見えていないのにだ。
追随するスコープドッグが上の目を盗んで救助と後方への護送をしてくれなければ、死者はもっと膨れ上がっていただろう。
(こんなバカなことをさせるならもっといい装備を寄越せ!!)
彼女と副長こそゲシュペンストに乗っているがそれも旧式となりつつある初期型Mk-Ⅱ、他の衛士たちなどMig-27アリゲートル、しかもパッチアーマーすらない只の第二世代機というありさまだ。
ラトロワと副長が積極的に前に出ているから何とかなっているものの、いつBETAの圧力に負けても不思議ではない。
最前線で戦っている連中はみな同じような編成であるため、上層部の思惑が透けて見えてしまう。
(所詮、異民族は捨て駒ということか…!)
ロシア人以外はいくら死んでも構わない。
だから劣悪な装備を押し付けて、死んでも敵を殺せと放り出す。
まだ、年端もいかない子供すら。
幸いにも彼女の隊はまだ大人だけで構成されているが、そういう話が聞こえてくる程度には前線部隊の平均年齢が下がってきているのは事実であった。
同じロシア人の所業にはらわたが煮えくり返るが、迂闊に下がれば後詰めの連中に撃たれることになる。
彼らを生かすためには、前に進むしかなかった。
『ジャ-ル1、こちらジャール4!推進剤残り20%、もう持ちませんっ!』
『ジャール9、残弾10%!近接白兵に移ります!』
『ジャール1、ラトロワ隊長、これ以上は…!』
「分かっているッ!」
それも満足に補給ができていれば、だ。
元々補給が滞り気味だったところにこの状況。流石にゲシュペンストは看板に偽りなくまだまだ戦えるが、アリゲートルはそうはいかない。
既に推進剤も残弾もほぼ底をつき、要請しても補給は一向に許可が下りない。
(ここで死ねというのか、貴様らは!)
もはや我慢ならない。
討たれることも覚悟で後退しようとした時。
光が、空に向かって伸びた。
『光線級!?』
『オリョクミンスクにはいないんじゃなかったのか!?いや、それ以前に何を狙って…?』
答えは、すぐに降ってきた。
前を塞いでいたBETA群に何かが上からばらまかれたのだ。
高速で落ちてきたそれらにBETAが次々と押しつぶされる。
次いで、光線級がいるとおぼしき場所に向かって、今度は上から光の雨が降る。
『今度は何だ!?』
『あれってゲシュペンストのビームじゃ?』
『それが何で上からくるんだよ!?』
その理由はすぐに判明する。
米軍カラーのゲシュペンスト、それもMk-Ⅲが何機も雲を引き裂いて降りてきたのだ。
『こちらアメリカ宇宙軍軌道降下兵団第一連隊”ステラ・ボンバーズ”!!これよりオリョクミンスクハイヴ攻略作戦に参加する!』
『米軍!?』
『軌道降下兵団って、編成中だったんじゃ…』
「こちらソ連陸軍第211戦術機甲大隊”ジャール”指揮官、フィカーツィア・ラトロワ少佐だ。来援に感謝する」
『美人に感謝されるとやる気が出るね。ここは我々が請け負う。一度後退して補給と部隊の再編に努められたし』
「了解した!」
所属が違うとはいえ、いや所属が違うからこそその前で馬鹿なことは起こすまい。
彼らのおかげで大手を振って補給に戻れる。
口にした以上に心の中で感謝しつつ、ラトロワは部隊を後退させた。
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「入電。米軍の軌道降下兵団がソ連軍と合流。前線の押し上げが再開されました」
「補給は?」
「軌道上に待機している部隊から適時投下されるそうです」
「ひとまずは順調、とみるべきか」
日本帝国航宙軍所属のタウゼントフェスラー内にて。
オリョクミンスクハイヴ攻略に参加する者たちが現状を分析していた。
「とはいえ油断もできまい。ハイヴ周辺はBETAのホームグラウンド。偽装された出入り口も無数にあるだろう」
「押し込んだつもりが逆包囲された、なんてことにもなりかねねぇ。加えてこの強行軍。現場で戦っている連中にハイヴ内を攻略する元気が残っているかどうか…」
「どちらにしろ、軍事的にも政治的にも攻略したハイヴを長期制圧する力はソ連には残るまい。いっそXGシリーズの攻撃で更地にしてしまうべきだろうな」
そう話し合う男たちの、しかしあまりにも胡散臭い格好に耐えられず、北村開は突っ込んだ。
「で、エルザム、テンペスト。そしてエーベルバッハだったか。その恰好は何とかならんかったのか」
「キタムラ少佐。私はエルザム・V・ブランシュタインではない。謎の傭兵、レーツェル・ファインシュメッカーだ」
「同じく、デシデリ・インファンティリだ」
「だ、ダイジョーブダ・モンダイナイ、だ」
揃いのサングラスで目元を隠し、髪型を変えているが知っている人間ならモロバレだ。ほんとに隠す気があるのか、と開は疑っていた。
「何事も建前だよ、少佐。どんなに疑われても違うと言い張れればいいのさ」
「我々は帝国が雇った凄腕の傭兵。それ以上でもそれ以下でもない」
「気が付いたらこの名前で通すことになってたんだ、頼むから突っ込まないでくれ…」
そういう設定で押し通すらしい。
まあ腕の方は自分もよく知っているし、作戦中はコールサインで呼べば間違うこともないだろう、と開はそれを放り出した。
「分かった、それはいい。だが機体の方は大丈夫なのか?試作機である以上、何らかの不具合は避けられんだろう」
エーベルバ…モンダイナイの機体はオーバーホールの終わった愛機に即席で塗装と部隊章を変更しただけなので問題はほぼなく、テンペス…デシデリも研究所にあった予備のタイプS(もともとゼンガーが乗っていた機体)を選んだが、彼だけは九郎の研究所にある試作機を持ち出していた。
「博士が多忙の合間を縫ってぎりぎりまで調整してくれたからな。一戦に限り問題ないと太鼓判を押してくれたよ」
そう言ってエルザ…レーツェルは格納庫のほうを見る。
扉に着いた窓から見えるそれは、明らかにゲシュペンストとは異なっていた。
「本来は試験中のマンマシンインターフェース用の機体フレームが実戦に耐えられるか検証するための機体らしいが、存外私との相性はいいらしい」
「謎の食通が乗る凶鳥、か。ますます疑われそうだがな」
RTX-008-2 ヒュッケバイン2号機
T-Linkシステムを搭載していない以外は1号機と見た目はほぼ同じである。
実戦でヒュッケバインが使えるか検証するために建造された機体で、各部にハードポイントや内蔵武装が施されているのが最大の違いだろう。
頭部に20ミリバルカン。
背中のブースター基部にはマイクロミサイルを搭載している。
今回は手持ち兵装として狙撃にも使える長射程電磁投射砲”G・レールガン”やカートリッジ式ビームライフル、”フォトンライフル”などが持ち込まれていた。
なお、機体カラーは黒…ではなく濃紺色である。
レーツェルは機体カラーの変更を申し出たが、九郎の
「ほんとに隠す気あんのか?あ”あ”?」
の一言の前に引っ込めざるをえなかった。
「今更カートリッジ式が必要なのか?」
「ガーリオンは出力配分の関係上光学兵装の使用に制限がある。そうでなくとも旧式の戦術機でも使えるなら十分な打撃力を与えられる。前衛が難しくとも後方から援護射撃ができるなら十分意味があるだろう」
スコープドッグなどでも使えれば全体の火力が大幅に強化される。むしろこちらの運用データの方がヒュッケバインよりも重要だとレーツェルは九郎に言われていた。
「いざとなったらあれを使ってでも生きて帰って来い、とは言われたが」
「あれか…。本当に仕様の通りの物なのか?」
格納庫の一角に厳重に梱包されて固定されているそれ。
ヒュッケバイン専用の装備で仕様の通りの代物なら、下手をすればこの星を滅ぼしかねない特級危険物だ。
「実験では問題なく作動したそうだ。その後も何度も検証をしているから一発は確実に撃てるとも。とはいえ危険な代物には違いないから、できるなら使わずに済ませてほしい、とも言われたが」
「そんなものが必要になるかもしれない、と博士は思っているということか?」
開の言葉に答えたのはゼンガーだった。
「嫌な予感がした、というのは間違いないらしい。なのでできるだけ強力な装備を、と考えたそうだ」
「博士の予感だと洒落にならんな、根拠は聞けたのか?」
「オリョクミンスクハイヴ周辺のBETAの数が、他のハイヴと比べて少ないらしい。フェイズ3以上のハイヴの成長中のデータと比べても、だそうだ」
「内部に温存されていると?」
「あるいは浮かせた資源で何かを作っている、かもしれないとな」
「何か、か…」
十中八九ろくなものではあるまい、そうその場にいた者たちが考えた途端だった。
「緊急!オリョクミンスクハイヴより未知の超大型種が出現!!」
思わずその場にいた全員がため息をつく。
ほんとにろくでもなかった。
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彼女たちが生き残れたのは、ただの運だった。
たまたま主力部隊から離れた場所にいたから余波にも巻き込まれずに済んだのだ。
何の慰めにもならず、むしろ地獄が長引いただけかもしれないが。
「なんだこいつはっ!!?」
ラトロワは叫ばずにはいられなかった。
見た目は醜悪その物。
まるで既存の種を適当にくっつけてこね合わせたようなそれ。
だがその戦闘力はただのキメラで済むような次元ではなかった。
地面を割って地下から突然現れたそれは、こちらが認識して対処を始める前に特大の光線を叩き込んできたのだ。
その太さたるや、直径だけで百メートルは下らない光が地平線の彼方まで飛んでいき、進軍していたハイヴ攻略部隊のど真ん中をぶち抜いた。
「CP応答しろ、CPッ!?」
『後方の指令系統、どれも応答しません!まさか今ので』
『こちらステラ1!ジャール大隊は無事か!?』
米軍機からの通信。本来なら上に咎められるだろうが、今はそんな場合ではなかった。
「こちらジャール1、大隊は全機生存、継戦可能だ。そちらはどうか?」
『こちらも全機無事だ。先行してたおかげで奴の後ろにいたからな。とはいえあれを放置してハイヴ攻略は無理だ、なんとしても潰すぞ』
「どうやってだ?近づくのは自殺と変わらんぞ」
今もあの化け物は群がってきた他の部隊に対し、体中から触手を伸ばして近寄る相手を蹂躙していた。
恐らく近接武装なのだろうが、近づいただけで軽く百を上回る触手に襲われては、ゲシュペンストでも長くは持つまい。
『上の連中、最悪こんなことが起きるかもしれないと思ったらしくてな。移動要塞がこっちに向かってる。あれの火力なら対抗できるかもしれない』
「それまで何とかしてあれをここに縛り付けろ、か。なかなかに無茶を言ってくれる」
『なに、軌道上に待機してる爆撃隊も協力してくれる。そう分の悪い話じゃ…』
デカブツが第2射を放った。”空に向かって”。
「…ステラ1?」
『…爆撃機が撃ち落とされたそうだ。ますます野放しにできなくなったな』
勘弁してくれ、とラトロワは言いたかった。
周回軌道上の物体を撃ち落とされては上空からの援護は期待できない。
そしてこいつを放っておくと地球軌道を経由する物流網にも大きな影響が出る。
何としてもここで倒す必要があった。”自分たちが死んでも”だ。
「生きて帰れたら指導部の連中を皆殺しにしてやる」
『『『お供します』』』
死んでも全員ぶち殺す。ジャール大隊の意思は一つとなった。
後に超重光線級と呼ばれる怪物に、彼らは突撃を開始した。
九郎「まさかとは思ってたけどマジで出てきたよ(白目)」
中国側で軌道爆撃たくさんやったので、対抗するために前倒しで製造されました。こっちで作ってた理由?シロガネ以下中国派遣部隊が暴れてそんな余裕がなかったからです。
ペレグリンは現在退避中。輸送仕様で対地能力がないのでカプセル投下後はさっさと軌道から離脱したのが功を奏しました。
ソ連のお偉いさん?余計な事やらかす前に主力部隊ごと消し飛びました。
○出発前
マッド1「少佐、ぜひともウチの46センチ臼砲を装備したスーパーグリーズを!」
マッド2「何言ってやがる殺人的超機動を実現したウチのガーリオン・ハイマットだ!」
マッド3「いーや、80センチレールガンを搭載したウチのバレリオン・ザ・グスタフの方が役に立つ!」
デシデリ「」
デシデリ「さて、ゲテモノ勧められたが何とかまともな機体は確保できた。あとは武装だが…」
マッド1「少佐、ぜひともこのMTDMを!超小型化に成功したテスラドライブ搭載でレーザーすら躱して直撃狙えます!」
マッド2「お前それ単発なのにサイズがスプリットとほぼ一緒のくせに弾道ミサイル20発分のコストなせいで即却下された奴じゃん。それより少佐この120ミリ五連装ガトリングレールガンはどうですか!?計算上は母艦級すら真っ向からハチの巣にできますよ!」
マッド3「ゲシュ2機掛かりでも反動に耐えられなくてひっくり返った奴じゃねえか。少佐、そんな産廃よりぜひ自分の核バズを」
香月「いい加減にしなさいアンタら!警備員!!」
警備員=サンタチ「「「マッドセイアツスベシジヒハナイ。イヤーッ!!」」」
マッドたち「「「グワーッ!!?」」」
モンダイナイ「…いつもこうなのか?」
九郎「香月に監督押し付ける前はもっと酷かったよ」
デシデリ「…ビームライフルと電磁投射突撃砲、腕のハードポイントは右を3連機関砲、左はプラズマクローで。背中にはスプリットで頼む」
モンダイナイ「あ、俺もそれで頼む」
九郎「よくあるプリセットで、だな。了解」
今週の更新は以上です。