連日投稿二日目ェ!
というわけで後片付けのお時間です。
頭が痛い。
報告を聞いて最初に思ったのがそれだ。
「オリョクミンスクハイヴの攻略は成功した。攻略というより破壊だが」
「やっぱ制圧し続けるだけの戦力は残らなかったか」
「攻略の主力は超大型種の攻撃で消滅。残った戦力もよくて半壊、ひどい部隊は生存者が一人だけという有様だ。ソ連単独での確保など不可能だよ」
結局、ソ連軍はまともに戦える状態ではなく。しかしハイヴは目の前なうえ、超重光線級にほとんどのリソースをつぎ込んでいたのか、後続のBETAもほとんどいないことから攻略を続行。主力をヴァルキュリア級率いる米軍に交代しモニュメントを荷電粒子砲で破壊後、主縦孔メインシャフトからAL弾による飽和攻撃を展開。光線級をあらかた無力化したところで上から荷電粒子砲を叩き込み主大広間を掃討。下に降りた帝国派遣部隊を主力とする戦術機部隊により頭脳級の捜索と破壊が行われた。
荷電粒子砲で半壊していたので楽な仕事だったらしいが。
その後は撤退するBETAに荷電粒子砲をお見舞しつつ、ハイヴ内の各所に爆薬を設置。
爆破して崩落させ、再利用されないよう処置してから撤退した。
帝国派遣部隊はすでにタウゼントフェスラーでこちらへの帰路に就いたそうだ。お土産をもって。
「一番被害が大きかったのはソ連軍として。米軍の被害は?」
「軌道降下兵団第一連隊が半壊。衛士の3割が死傷で戦線離脱だそうだ。再編でしばらく動けんだろう」
「ヴァルキュリア級は目立った損害はないが、超大型種にさほど打撃を与えられなかったからな。対策が出来上がるまで再度の出撃は無理だろう」
「…つまり米軍ももう余裕はない、と」
「遊撃に使える戦力はこれで払底しただろうな」
フェイズ3ハイヴの攻略と引き換えとしては、あまりに失ったものが多すぎる。
特に軌道降下兵団はハイヴ攻略すら視野に入れた精鋭部隊だ。だから最新鋭のゲシュペンストMk-Ⅲが優先して回されていた。
カシュガル攻略時にはクロガネに随伴して降下。二の矢兼陽動を行うはずだった。
…計画の大幅修正を余儀なくされてしまった。
しかも問題はまだある。
「で、ソ連軍の状況は?」
「中核となりうる精鋭がごっそり消えたからな。今まで通りの防衛線の維持はほぼ不可能だろう」
頭を抱える。俺だけでなくその場にいた全員が。
対処方法は戦線を下げるか、どこかから戦力を引っ張ってくるしかない。
戦線を下げるのではハイヴを攻略した意味がない。
そしてソ連に余裕がない以上、誰かが肩代わりして戦力を用意するしかない。
「博士、ゾイドシリーズの実戦投入を急いでもらえますか?」
「生産とAIの最適化を同時並行でやるしかねぇな。物資の方はどうなってんの?」
「メガフロートによる海底資源採掘で賄う予定です。その他にも後方国家から資金援助もありますので物が足りなくなることはないかと」
「生産ラインもメガフロートですでに稼働実験を始めています。不具合を修正次第、すぐに本格量産に入れるかと」
当分寝られそうもねえな。美沙にまた怒られそうだ。
「もうソ連からはケツの毛までむしり取らないと割に合わねぇな」
「ケツの毛など役に立たん、そこは内臓をえぐり取るべきだ」
「いやいや、いっそ丁寧に解体して丸ごと有効利用するべきでは?」
「落ち着け貴様ら。まだ中国の解体すら始まっておらんのだぞ」
愚痴が物騒なのは勘弁してほしい。それだけ負担が大きいのだ。
「今回の責任、ソ連はどうとるつもりなの?」
「死んだ連中に押し付けるつもりらしいが、それで収まるわけがないからね。というか収まらんよ」
連中の勝手に世界中が振り回された挙句、後始末まで押しつけられたからな。
「大体、なんでこんな軽率なことしたんだ?腐っても東の雄だろう」
「半分くらいは君のせいなんだがね」
俺?
「ゲシュペンストが正式に第三世代戦術機として認められて以降、どこも同じ水準の機体を作るのに躍起になっているわけだが」
あー、なるほど。
「開発に成功してないのは東側だけか」
「アメリカはガーリオンを世に出したし、欧州は比較的帝国と良好な関係を築けていて、ランドグリーズという新型を共同開発している。この上ESP発現体を根こそぎ取り上げられては軍事的な優位性を完全に失うと考えたのだろう」
「だから取り上げられる前に何かしらの実績を作って、それを交渉材料にESP発現体を手元に残すか、戦術機関連の技術を手に入れようとした、てところか」
ゲシュペンストをバラシて解析とかはしたのだろうが、販売されてるのはブラックボックス化されている機体だ。重要部分はほとんど解析できてないだろう。
ガーリオンにしたって使われている技術はほぼ一緒だからブラックボックスのやり方もほぼ一緒。残骸拾ってきてもあまり参考にはなっていないはず。
結果として自主開発できてるのは第二世代機、それも10年近く前のアリゲートルまで。
戦力の中核たる戦術機の技術で西側に大幅な遅れをとっているとなりゃ、そりゃ焦りもするか。
ましてや原作では世界2位の戦術機輸出国だった。その収入がこの世界では全く入ってきてないどころか、自分たちが輸入する側だ。
家計は相当に苦しいのかもしれない。スフォーニ潰したぐらいだし。
原作ではハイネマン技師なんかがこっそり技術情報の横流ししてたらしいが、この世界のあの人は俺を超えることに夢中だからな。ソ連にかけらも興味なんかないだろう。
アメリカの戦術機メーカーも同様で身内で潰しあってる暇なんかないし。というか手を取り合って”新世代機は俺たちが作る!!”て息巻いてるそうだし。
ええい、こんなバカなことしなけりゃ俺からライセンス生産認可の口添えくらいはしたものを。
…おい、ちょっと待て。
「もしかして、接収予定のESP発現体は」
「…主力部隊と一緒に消えたそうだ。残っているのは任務に耐えられないと判断された幼い子供たちだけだろうな」
思わず天を仰いだ。
ESPと念動力は似て非なるものだが近いのは間違いない。
ゆえに調べれば一人ぐらいは健康な体の念動力者が確保できると思っていたのだ。
いつまでも子供の白銀達で実験し続けるわけにもいかないからな。健康で大人の被験者を用意したかった。もちろん同意と危険のない範囲で。
「メテオストライクしていい?いっそ滅ぼしたほうが早い気がしてきた」
「全員同じことを考えるくらいには憤ってるから、今は我慢せい。あんなでも帝国をしのぐ大国なのだ。今消えられては困る」
「それに向こうもそんな場合ではなくなるだろうしね」
「鎧衣、どういうことだ?」
「中国と同じことが起こりそうなのですよ」
鎧衣課長以外がげっそりした顔になった。
「以前からソ連ではロシア人以外の異民族に劣悪な装備を与えて最前線に放り込んでいましたが、今回でついに彼らの堪忍袋の緒が切れたみたいでして」
「指揮権を国連側に譲渡しろって?」
「いっそ民族ごと亡命したい、と」
勘弁してくれ。それやったら事実上のソ連崩壊だ。
「ソ連が許さないでしょ?」
「許すも許さないも、それを止められる戦力などありませんから。この期に及んで内戦など始めたら今度は自分たちが中国の二の舞になると向こうも理解してるでしょうし」
子飼いの精鋭、丸ごと失ったもんなあ。
虎の子であるタイプS、ソ連割り当ての全てである一個小隊も主力部隊ごと消し飛んだそうだし。
いくら相手の大半が旧式とはいえ、数では上回っているはずだ。ぶつかれば双方ただでは済むまい。
そして今の国連はそれを見逃すことはできないだろう。
「ソ連が止められないったって、亡命先は?面倒みられるほどの余裕なんて、もはやアメリカにもないでしょ」
「…なくもない」
おい将軍様よ。
「メガフロートなら断固反対。あそこは無人機の生産ラインが入ってる。万が一を考えると不特定多数の身元が不確かな人間を入れるのは絶対に許容できない」
いくらなんでも何も起こらない、と考えるのは信じすぎだ。
ゾイドシリーズの生産ラインを置く都合上、あそこの警備体制は相当に強固にせざるを得ない。
「2号機ならばどうだ?あちらは耕作地として使う予定であっただろう」
「…居住地以外をすべて耕作地にして、取れた農作物の他に一緒に出る有機性廃棄物を合成食料の材料に使えれば、まあ何とか1000万人ぐらいは養える、か?」
「待て、農作物が取れるまではどうする?流石にそれだけの人間を食わせるだけの蓄えはないぞ」
「…将軍様、きぼうに貯蔵されてる食料を当てにしてる?」
全員が将軍を凝視した。
「競売に出された分の他に、帝国を2年は食わせられるだけの食料が備蓄されている、そうだな?」
「緊急時に備えての蓄えだ。使うとなったら国連にも話し通す必要がある。俺の独断じゃ出せないよ」
「今がその緊急時であろう。政治的な問題は余と榊で何とかいたそう。いつでも出せるようにしておいてくれ」
「…なんでそこまでする?言ってしまえばソ連内の問題だぜ?」
助けたとしても、こちらの払う労力に見合うだけのメリットがあるとは思えない。
正直そっちで何とかしてくれ、と言いたいぐらいだ。
「得る物が少ない、というのは承知しておる。だがな、ここで放り出せば彼らは生きるために何でもするだろう。それこそ他者から奪ってでも、だ」
…否定できねぇ、な。
原作よりましとはいえ、この世界でも難民はいて、難民解放戦線の活動も確認されている。
亡命を拒否された彼らがどんな行動に出るのか、考察の必要もないだろう。
「それにな、余は疑うのではなく信じたいのだ。人とは隣にいる者と手を取り合って先に進んできた生き物だ。一人でも多くの者と手を取り合いたい。この先の宇宙戦争に備える意味でもな」
…地球内でこれ以上もめ事を増やしてる場合ではない、か。
「分かった。かぐやには俺から言っとく。輸送機の手配は?」
「それは私が担当しよう。帝国内の輸送機だけでは足りないだろうから、アメリカにもお願いしなければならん。そのぐらいなら向こうも協力してくれるだろう」
榊首相が頭下げんなら向こうも無碍にはできねえか。直接難民を抱えるよりはましだろうからな。
「そうするとメガフロート2号機の建造タスクを上げなきゃならんか。下げていいタスクはあれとそれとこれと…現状の人員じゃ最短で半年だな」
「1号機が完成次第作業員をそちらに回そう。それでかなり短縮できるはずだ」
「その間に亡命者と食料の輸送計画立案とソ連との折衝、オルタネイティヴ3の接収…やれやれ、当分は家に帰れんな」
「俺なんか寝てる暇ないんだ。まだましだろ」
「「「「「いや寝ろ」」」」」
寝てたら間に合わねえんだよ!
一徹ぐらい許してくれねぇかな。
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同日同時間、地球のどこか。
これから夜明けを迎えるはずだったそこには、何もなかった。
元は難民キャンプだったそこは、何もかもが焼き尽くされ黒い人型と戦術機の残骸が散乱するばかり。
唯一原形を留めているのは、この惨状を作り出した巨人のみ。
『レイスリーダーよりレイス1、状況を報告せよ』
「こちらレイス1。抵抗勢力は全て殲滅、現在対人班が確認作業中」
『当たりか?』
「個人的にはスカだと思うわ。戦術機も第二世代かパッチアーマー付けたバラライカしかいなかったもの」
『また逃げられた後、というわけか。クソ、あの与太話が真実味を帯びてきて嫌な感じだ』
「関係ない、それごと踏み潰せばいい。そのための私たちでしょう?」
『…そうだな。だからこそのレイスだ。化け物共と戦う仲間を後ろから狙う卑怯者どもを誰にも知られることなく狩る。そのために俺たちは”死んだ”のだからな』
夜明けの光が巨人を照らす。
そのどこまでも真っ黒な、F-4の皮を被ったナニカを。
「死に損ないとしては、一人でも多く道連れが欲しいところね」
搭乗者の心までは照らせなかったが。
九郎「やっぱりダメ?」
美沙「ダメです」
F-15が実戦配備されず、アメリカから技術情報が手に入らなかったのでSu-27 ジュラーブリクなどが開発されていません。ゲシュペンストのライセンス生産の許可もいまだにもらえてないので、ソ連の戦術機関連技術は大幅に遅れています。
想定として、現在タイプSは全世界で150機前後が稼働しています。
そのうち半分ほどが日本帝国(斯衛と陸軍など)で運用され、アメリカですら1個中隊程度しか確保できていません。
国によっては1機持ってるかどうかぐらいには貴重な機体です。
◯財務省が白目剥く
紅蓮「仮にだが、零式と斬艦刀を量産するとしたら何が必要だ?」
九郎「軍事費と整備員を今の50倍用意出来たら検討ぐらいはしてやるよ」
榊「やめて(泣)」
○お土産
エーベルバッハ「アイリスディーナ達からこれ買ってきてくれ、て頼まれたんだけどよくわからなくて。なんだこれ?」
九郎「精力剤」
エーベルバッハ「…売り切れだった、てことにしちゃだめか?」
九郎「ない状態で絞られる可能性に目を瞑れるならな」
なお、あとでエーベルバッハ嫁同盟はカトライアさんに説教された模様。
○お土産2
エルザム「実はカトライアも懐妊してね。何かいいお土産を知らないか?」
マッド1「そんなあなたにジェットエンジン付きベビ」
九郎「警備員鎮圧しろ大至急!!」
マッド2「ならジェットエンジン付き3輪車を」
九郎「別の意味でも早すぎるわ!!」
テンペスト「…外に出て探した方が安全そうだな、これは」
結局3人には積み木とか金平糖とか無難なものを持たせて帰らせた。
明日は閑話で短編集を投稿します。