MUV-LUV大戦   作:土井中32

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個人的な事情でちょっと早めです。
副題がない理由?説明が必要ですか?




74話 

 

 

DGGー02 アウセンザイターは地上戦特化機である。

DGGシリーズは標準装備としてビーム吸収システム、放熱装甲、テスラドライブないし重力制御機関による飛行能力が付与されているが。アウセンザイターはテスラドライブによる慣性質量制御能力を、地上における高速移動のために使用している。

かかとに装備されたローラー”フェルゼ・ラート”による走行速度は陸戦機であるにもかかわらずガーリオンに追いつけるほどで、その巨体とは裏腹に高い回避能力を備えている。

攻撃面は両肩に装備された円形の盾”シェルター・プラッテ”を使った物理攻撃のほか、主武装である大型ビームライフル”ランツェ・カノーネ”による2丁拳銃が基本スタイルとなる。

黒を基調としたカラーリングと西洋騎士然とした見た目はイロモノじみたデザインの多いシリーズの中でもかなりまともに見える。

…見た目だけは。

 

現在アウセンザイターはその機動性と火力を存分に発揮し、超重光線級を滅多撃ちにしていた。

これがオリジナル程度の火力であればまだ肉を切らせて骨を断つこともできたかもしれないが、この世界のDGGはトロニウムエンジン搭載機である。

桁違いの心臓の差は武装にも反映されており、ランツェ・カノーネはメガ・バスターキャノン級のビームをガトリングもかくやという速度で吐き出し続けていた。

押されまくる超重光線級は全方位型では防ぎきれないと、何とかアウセンザイターのいる方向だけにラザフォード場を集中して防ごうとする。エルザムの狙い通りに。

 

直後、アウセンザイターのいる方向と反対側からビームが命中。

あらかじめ投げていたビーム反射処理が施されたシェルター・プラッテを使って、ビームを跳弾させたのだ。

それそのものが回転して移動する盾と本体からの攻撃という疑似的な全方位攻撃。攻城兵器級の砲撃を秒間数十発という勢いで、しかも四方八方から喰らい続ければいかな超重光線級と言えどいつまでも耐えられるはずもなく。

ハチの巣になるまで、そう時間はかからなかった。

 

「終わったか。他の様子は…」

 

通信をつないで戦況を確かめようとした刹那、大地が揺れる。

 

「これは、母艦級か!?」

 

断続的に大地を揺らす存在など、ほかにいない。

急いで出現場所を特定しようとし。

 

予想よりも早く、そいつは現れた。

グルンガスト零式を撥ね飛ばして。

 

「な、ゼンガー!?」

 

 

------------------------------

 

 

「グルンガスト零式中破!!左半身に大規模な損傷を負った模様!?」

 

要塞司令部が一瞬静まり返る。

すぐに怒号で満たされたが。

 

「どういうことだ、何が起きた!?」

「母艦級による地下からの奇襲です!真後ろから体当たりを食らった模様!」

「振動観測班何をしていた!あれの固有振動波は嫌になるほど叩き込まれたはずだろう!!」

「振動検知から出現までが早すぎます、今までの3倍の速度で地中を移動してます!?」

「当該母艦級、再び地中潜航!光学索敵よりロスト!!」

「振動観測班は当該母艦級、これより暫定で蚯蚓(ワーム)級と呼称、これの捕捉に全力を挙げろ。2発目など絶対に許すな」

「超重光線級が零式に対して攻撃を開始、押されています!!」

「DGGは!?誰か援護に回せないのか!!」

「目標を撃破した機体から急行ちゅ」

「母艦級の振動波を検知、蚯蚓級とは別です!!DGG周辺とこの要塞近辺に出ます!!」

 

矢継ぎ早に状況が動き続ける、それも悪い方向に。

 

「戦術機部隊は戻せるか?」

「超重光線級と光線属種の対応で手一杯です。今背を向けるとまとめて焼き尽くされかねません」

「守備隊で対応するしかないな。砲撃部隊はどうか?」

「現在第2陣地の部隊が弾薬補給中、第1は残弾5割、第3は補給完了して待機中です」

「母艦級が出現した直後に集中攻撃で潰す。第3砲撃陣地はそのまま待機、第2は補給継続し完了後は指示を待て」

「…零式はいかがいたしますか?」

 

レイカーは一瞬目を瞑り、そして答える。

 

「今の我々にできることはない。彼の力と、急行中のDGGを信じるしかない」

 

それがどれほどの無念を乗せた言葉か、副官には察して余りある。

しかし現実に、零式を助ける方法は今自分たちの手元にはないのだ。

 

だからそれは、海の向こうからやってきた。

 

「司令、ダイレクトラインです!日本帝国の稲郷博士から直接!!」

「何!?」

 

接点のない相手からの通信に驚きながらも、すぐに受話器を取る。

 

「中国戦線総司令、レイカー・ランドルフです」

『稲郷です。時間がないので用件だけ。これより5分後に試作兵器を使用します』

「試作兵器?」

『詳細は省きますが成功すれば最大10分間、BETAの活動が停止します』

 

内心の驚愕を無理やり抑え込む。驚いている暇すら惜しい。

 

「活動停止は確実ですか?」

『停止するのは間違いありません。しかしまだ試作の段階を出ないので、効果範囲及び効果時間は予測の範疇を出ません。ぶっちゃければ失敗する可能性も十分ある』

 

これに賭けることは文字通り一か八かの賭けになる。しかし当たれば億万長者は間違いない。

数瞬の思考。レイカーは世界を変えてきた男に、賭けた。

 

「こちらに影響は?」

『センサーに多少の誤差が出るかもしれませんが、基本的には無害です。ただ量子コンピュータや量子感知センサーの類にはシールド処理を指示してください、万が一のために。また超重光線級はラザフォード場で防がれる可能性が高い。他が止まったからと言って気を抜かないようお願いします』

「分かりました。どちらに転んでもいいよう準備をします。試作品の投入、誠に感謝します」

『もうひとつだけ。零式が相対している超重光線級の気を引けませんか?2,3分だけでいいんです』

「何か手が?」

『戦域にもうすぐ無人のタウゼントフェスラーが突っ込んできます。それに乗せた機体への乗り換えを援護してほしいのです』

 

厳しい。

既に動かせる遊軍戦力はほぼ吐き出してしまっている。

あの化け物を抑えられる戦力など――

 

「司令!ヴァルキュリア級が!!」

 

 

------------------------------

 

 

ゼンガーと零式は窮地にあった。

元々零式の性能では超重光線級と一対一で戦うのは難しく、ラザフォード場を突破するにはチャージ、溜めがいる攻撃をしなければならない。

しかしタイマンではそんな暇がなく、何とか注意を引くだけで精一杯であった。

そうして眼前の敵に集中していたところに後ろからの奇襲。

咄嗟にずらしたものの左腕を根元から持っていかれ、左足も損傷。件の母艦級も再び地面に潜ってしまい、奇襲を警戒しながら損傷した機体で超重光線級と戦う羽目になってしまった。

まだかろうじてビーム吸収システムは機能しているが、ここまで大規模な損傷を負うともう何時停止してもおかしくない。

片手では零式斬艦刀も満足に振るえず、地面に刺して盾の代わりにすることしかできない。

彼らの命は、風前の灯火となりつつあった。

 

『ゼンガーもういい、脱出しろ!後はこちらで何とか』

「無理だ」

 

エルザムが脱出を促してくるが、それは不可能である。

緊急時に備えて零式の頭部は独立した脱出装置になっているのだが、先ほどの体当たりの衝撃で損傷したらしく機能しないのだ。

こうなってはもはやただの棺桶でしかない。

他のDGGが急いでこちらに向かっているが、足止めのごとく現れた母艦級の対処に追われている。

彼らなら多少時間をかければ何とかできる。しかしその多少の間を、ゼンガーたちは耐えられそうにない。

それでもせめて一太刀、と零式を立ち上がらせようとしたところで。

 

『させるかァ!!』

 

ヴァルキュリア級が超重光線級に体当たりした。

 

「ヴァルキュリア級1号機!?スクルドか!」

『ラザフォード場全力展開!向こうも展開中は反撃できん!!』

『先にこっちがガス欠なりますよ!?』

『問題ない!ビッグオーガ!もうすぐプレゼントが上から降ってくる!早く受け取りにいけェ!!』

「っ!感謝する!!」

 

ヴァルキュリア級から転送された座標へ零式を進ませる。彼らの献身を無駄にしないために。

 

そして、それは落ちて(●●●)きた。

 

 

------------------------------

 

 

「くっ、手に負えん!」

『ヴァルキュリア級が盾になってくれてなければ既に終わってますね』

 

戦術機部隊も地獄の只中にいた。

周辺のBETAに対処しつつ、超重光線級にも対応しなくてはならないのだ。

唯一の救いはフレンドリーファイアをしない特性が超重光線級にも適用されていて、大出力レーザーが飛んでこないことだろう。

代わりに拡散レーザーで薙ぎ払いに来ているが。

ヴァルキュリア級2号機”シグルーン”が間に割り込んで盾になってくれるため被害は抑えられているが、徐々に包囲網が狭まりつつある。

このままではデカブツを討ち取る前に包囲殲滅される。

一か八か、カーウァイが賭けに出ようとした時。

 

『うわぁっ!!』

 

部下の一人が触手の一撃を食らい、右足を失う。

そのまま地面に叩きつけられたが、運悪くそこは要撃級の目の前だった。

反撃する前に、周囲がフォローに入る前に一撃が入る。

誰もが身構えたその時。

 

 

 

 

 

 

 

BETAが、止まった。

 

 

 

 

 

 

 

『……え?』

 

要撃級が腕を振りかぶったまま、ピクリとも動かない。

それはその個体だけではなかった。

周囲を包囲しつつあったBETAが、一匹残らず止まったのだ。

例外は超重光線級のみ。

疑問に思いつつも部隊の立て直しを指示するカーウァイに、司令部から全体通信。

 

『時間がないので用件だけ!これより最大10分間、BETAが活動を停止する。その間に己ができることを全力で行え!!』

 

極めてシンプルな内容。しかしだからこそ彼らの動き出しは早かった。

 

「全機攻撃を超重光線級に集中!他には目もくれるな、今しかチャンスはないぞ!!」

 

周辺BETAに対処していた部隊もつぎ込んでの全力攻撃。

先ほどの倍では利かない火線の集中に、たまらず超重光線級はラザフォード場に引きこもる。

 

それが狙いとも知らずに。

 

「究極!ゲシュペンストォ!!」

『胸部展開、バレル形成!』

『1発1発が特注品だ、たっぷり味わえ!』

 

3方向から、同時に強力な攻撃が叩き込まれる。

 

「キィィィィィィック!!」

『荷電粒子砲、発射ァ!!』

『クレイモアッ!!』

 

強烈な蹴りが、荷電粒子が、劣化ウランの特注弾がラザフォード場をぶち抜く。

 

初めて通ったダメージ、しかし倒すには至らない。

だから、もう一発用意されていた。

 

『やはりこれが、俺たちの切り札だ…!』

 

ベーオウルブズが全力吶喊。

その勢いすら乗せた右腕を叩きつける。

自壊と引き換えに大威力が約束された、赤い弾を装填して。

 

『どんな化け物だろうと、撃ち貫くのみ…!!』

『マグナムバンカー、撃てェッ!!』

 

12の杭打機から、自壊も辞さないエネルギーが叩き込まれる。

流石の化け物も、内側からの攻撃には耐えられなかった。

汚い花火となって消し飛んだそれを見て、思わず誰もが気を抜いてしまう。

 

「馬鹿者ッ!!まだ障害の一つが消えただけだ!周辺BETAの掃討急げ、動き出す前に一匹でも多く処理するんだ!!」

 

カーウァイの怒声に慌てて動き出す。

時間制限付きとはいえ、動かない的を撃つのは楽な仕事だ。今のうちにできるだけ処理しておきたかった。

 

「他は、どうなった…?」

 

 

------------------------------

 

 

『グ……』

 

地に倒れ伏すスクルド。

全エネルギーをラザフォード場に注ぎ込んで超重光線級の足止めをしていたが、とうとうエネルギー切れを起こし、機能を停止してしまっていた。

対して向こうは特に消耗した様子もない。

こちらに止めを刺すため、レーザーのチャージ中であった。

 

『地獄に落ちろ、化け物どもめ…!』

 

最後の抵抗として、恨み言を吐き――

 

 

 

 

「させんッ!!」

 

 

 

――超重光線級が、横に吹っ飛んだ。

 

『何だ…!?』

 

吹っ飛んだ超重光線級と入れ替わるように、そこには。

 

 

 

武者が、いた。

 

巨大な、鎧を着た侍が体当たりで吹き飛ばしたのだ。

 

 

 

 

「これが…!」

『そう、DGGー01。ゼンガー・ゾンボルト専用に作られた、叔父さんだけの機体』

 

墜落同然で落ちてきたタウゼントフェスラーと合流し、ゼンガーはそれに乗せられていた機体への乗り換えに成功していた。

 

『ただ、DMLシステムの調整を優先したせいで、内蔵武装は凍結中。専用装備である参式も積んでない。残るは…』

「問題ない」

 

自らの体を動かして調子を確かめながら、ゼンガーは九郎の不安を一蹴する。

 

「刀一本あれば、俺は十分戦える。まして――」

 

DGGー01が地面に突き立つそれを掴み、持ち上げる。

 

「――それが斬艦刀であるならば!!」

 

両手で掴み、大上段に構える。

身の丈を遥かに超える、あらゆるものを切り伏せる力の化身を。

 

 

 

零式斬艦刀を。

 

 

 

「俺と零式の魂を受け継げDGGー01ッ!!」

 

 

 

 

 

 

 

否ッ!!

 

 

 

 

ダイゼンガー

―第74話―

 

 

 

 

 

 

『ダ、ダイゼンガー!?』

『武神装攻ってなに!?』

『ああ、やっぱその名前になるんだ…』

『か、カッコいい…!』

『おいなんかズレてる奴いるぞ殴って正気に戻せ!!』

 

通信で飛び交う阿鼻叫喚を一切無視し、ゼンガーは超重光線級に突っ込む。

 

 

 

「キエェェェイッ!」

 

 

 

DGG-01 ダイゼンガー

 

その最大の特徴はDML、ダイレクト・モーション・リンクシステムを搭載していることである。

パイロットがコックピット内で行った動作をそのまま機体の動きに反映する、文字通りの人機一体を可能とするシステムだ。

ただし、兵器の操縦システムとしては欠点も多い。

何せパイロットが可能な動きしかできないため、常人が乗っても常人の動きしかできない。

またパイロットにかかる負担も尋常ではない。座ったまま手や足を動かすだけなのと全身を使い続けるのではどちらがより消耗が速いかなど言うまでもない。

ボタン一つで誰でも機体に超人的な動きをさせられるTC-OSの方が遥かに汎用的で効率的だ。

…では、超人が乗った場合はどうなるのか。

 

体勢を立て直した超重光線級が放ったレーザーが、二つに割れる。

斬艦刀でレーザーをたたき割りながら、ダイゼンガーが迫る。

レーザーが効かないと悟った超重光線級が触手による攻撃に切り替えるが、もはや遅い。

斬艦刀と背中のスラスターが爆発的な光を吐き出し、鎧武者を雲耀の速度まで押し込む。

触手ではもはや対応が追い付かなかった。

 

「斬艦刀ォッ!!一文字切りィッ!!!」

 

すれ違いざまの一閃。

咄嗟に張られていたラザフォード場ごと真っ二つになった最後の超重光線級が、今、地に沈む。

 

『や、やったのか…!』

「まだだっ!!」

 

気を抜きかけたスクルドの乗員たちをゼンガーの怒声が貫く。

直後、ダイゼンガーの背後で爆発が起きる。

 

「ぬぅっ!!」

 

飛びのくことで躱すことに成功したダイゼンガーの前を巨体が横切る。

それはすぐに地面をぶち抜き、地下へと消えた。

 

『蚯蚓級か!?索敵!振動センサーで捕捉しろ!』

『移動速度が速すぎます!センサーの反応速度より速いとかどうすりゃいいんだ!?』

 

ある程度距離を取ることができれば、余裕を持って対応できただろう。

しかしこんな超近接レンジでは出現から再び地面に潜るまでの時間が短すぎて、攻撃タイミングがほとんどない。

そもそもデカいし硬いので中途半端な攻撃ではかすり傷にすらならない。

そしてあまりチンタラしてもいられない。

 

『クソ、奴が穴掘りまくったせいで地面が沈下し始めてる。このままだと足場がなくなるぞ!』

 

ダイゼンガーはともかく、スクルドはガス欠で停止中。このままでは生き埋めになる。

気配をとらえて出現時の一瞬に賭けるしかない、とゼンガーが覚悟を決めた時。

 

『まだ手はある!ゼンガー、モードをプフェールトに!』

『!!承知!』

 

一番近かったがゆえに間に合ったアウセンザイターがダイゼンガーに向けて突進する。

 

『トロンべよ、今こそ真の姿を見せる時だ!!』

 

アウセンザイターが、変わる。

ランツェ・カノーネが分離し、4本の足に。

胴体が伸び、肩が下がって。

そして人型の頭部が胸からせりあがった新たな頭に飲み込まれて、巨大な馬頭に。

一瞬のうちに変形して現れたのは。

 

 

 

超巨大な、漆黒の馬であった。

 

 

 

見ていた全員があまりの光景にフリーズする中、二人のターンはまだ終わらない。

 

「とうッ!!」

 

アウセンザイターが身に着けていたマントを羽織り、ダイゼンガーがアウセンザイターに跨がる。

これこそが、ダイゼンガーとアウセンザイターのみに搭載された奥の手。

その名も――

 

 

「刃馬、一体ッ!!」

 

 

――巨いなる騎馬武者が、悪鬼を討ち果たすべく戦場に現れた。

そして、本当の奥の手が衆目の目に晒される。

 

『トロニウムエンジン、ツインドライブ!!』

「吼えろッ!!ダイゼンガァァァァァァァッ!!

 

武者が、その手に持つ大剣を回転させ始める。

その勢いは見る間に増し、数秒で剣先が見えないほどまで加速、それでも止まらない。

 

 

「ヌゥオオオオオオォォォォォォォォォォォ!!」

 

 

もはや剣どころか手首より先すら見えないほどの速度で振り回された大剣は風を生み、勢いを増して。

 

 

巨大な竜巻を無理やり発生させた。

 

 

誰が想像しただろうか、地面をめくり返すほどの凄まじい竜巻が、人為的に起こせるなどと。

あまりの風圧に大地の方が耐えられず、空高くへと吹き飛ばされていく。

 

――蚯蚓級ごと。

 

人類の前に初めてその全体を見せた母艦級亜種は、そのまま風圧で切り刻まれながら天高くへと飛んでいく。

その高度が一定の高さに達したところで、竜巻が突然消失する。

ダイゼンガーが大剣の回転をやめ、構えたからだ。

直後、漆黒の巨馬が跳躍。スラスターから光の尾を引きながら、音の壁を力任せにぶち破る。蚯蚓級に向かって。

 

落ちてくる蚯蚓級に、それを何とかする手段は、ない。

 

『刮目せよ!これぞ我らの――』

「――乾坤一擲の一撃なりィッ!!」

 

騎馬の上で、ダイゼンガーが斬艦刀を振り抜く。

 

 

『斬艦刀――』

「逸騎ィ、刀閃ェェェェェェェェェェェェェェェェンッ!!!

 

 

蜻蛉の構えから振り降ろされた斬艦刀は、見事に蚯蚓級を両断した。

 

『フ、我らに/』

     「/断てぬものなし…!」

 

地に降り立った騎馬の後ろで発生した赤い雨が、虹を生む。

それが、この戦いの終局の合図だった。

 

 

------------------------------

 

 

「…何とかなった、か」

 

かじりついていたモニターから体を離し、椅子に座り込む。

周りにいた連中もようやく勝った実感がわいたのか、勝どきを上げるでもなくへたり込む。

本当にギリギリだった。誰か一人でもしくじっていれば、歯車一つ掛け違えていれば大惨事になっていただろう。

まだ残敵の掃討が残っているが、あれだけの戦力がいて今更失敗するなどありえない。

今回も勝てた、と次の準備のため立ち上がろうとし。

 

――直後、警報。

 

「コード991ッ!?」

「帝都に直接か!?」

「いや違う、これは、この場所は…!?」

「絶句してないでさっさと言え、どこだ!?」

 

「甲4号、ヴェリスクハイヴより超重光線級2体が出現!欧州方面に向けて進撃を開始!!」

「ヴェリスクだとッ!?」

 

欧州・北欧連合軍が次の攻略目標として進軍中だった場所だ。

前線にはそれなりの戦力が張り付いているが、超重光線級2体を同時に相手などすれば、倒せたとしても大損害は免れない…!

 

「DGGをタウゼントフェスラー、いやシロガネ級に乗せて最短のユーラシア横断西ルートで弾道軌道、だめだ撃ち落される!」

「アメリカ上空を通過する東回りルートは!?地上ギリギリを行けば何とか…!」

「地平線から顔出した瞬間狙撃される!そもそもそれじゃ何時間かかるかわからん、損害は免れんぞ!」

「戦端が開かれるまで何時間だ!?」

「早ければ30分で接敵します!」

「時間がなさすぎる!どうやっても間に合わんぞ!?」

 

陽動だった?いやそんなのは後回しだ現場にはテンペストやエーベルバッハたちもいるが対処しきれるとは思えない何かないか何か打てる手が何か何か何か何かなにかナニカ…!!

 

「博士!!」

「今度は何だ!?」

 

これ以上悪い話はいらねェぞ!?

 

「D、DGG-07が!?」

 

 





Q、ダイゼンガーとアウセンザイター。なんであんな仕様になったの?
A、本人たちの要望と合理性を両立しようとしたらああなった。文句はあれで戦果をあげちゃった当人たちに言ってくれ。


○蚯蚓(ワーム)級

母艦級が本来備えている輸送能力をオミットし、浮いたリソースを掘削能力と速度向上にあてた特殊個体。
本来他のBETAが入っているべき場所を全て筋肉などに回しており、地中移動速度は原種の3倍に達する。
地中からの浸透突破戦術は使えないが、大型目標への質量を生かした体当たりはDGGシリーズであっても脅威である。
外見的には母艦級とほぼ変わらないが、大幅に増えた筋肉によってより高温となっており、外皮は真っ赤に染まり蒸気を放っている。


○タウゼントフェスラーぶっこみスペシャル

例の如くマッドどもが勝手に作っていた魔改造品。
積載量が半分になった代わりに地球最速の輸送機として完成した。
テスラドライブすら搭載されているため、パイロットの技量次第で現実の第5世代戦闘機並みの曲芸飛行が可能(荷物の無事は考慮しないものとする)。
今回は無人でひたすら速く現場に到達させるために、ブレイクフィールド任せで真っ直ぐ飛ばした。


○前にも言った

斯衛の偉い人「やはりダイゼンガーの量産は無理ですか?」
九郎「軍事費と整備員を500倍にしてから来い!!」
紅蓮「DMLだけでも何とかならんか?」
九郎「通常のコックピットよりスペース取るんだよアレ!戦術機に乗せたらあれだけで胴体ほぼ埋まるぞ!?」


○私の拳が

九郎「DMLの技術検証用に建造したソウルゲイン。せっかくだから鑑載せたらどうなるのか模擬戦で確かめることにした」
マッド1「というわけで白銀君頑張ってくださいね」
武「いやタイプS使えるつってもデカさに差がありすぎでしょ!?」
九郎「北村のおっさんは何とか出来たから大丈夫だろ。頑張れ」
純夏「逝くよタケルちゃん!!」
武「ちょっと待て純夏多分字がちが、アバーーーーー!!?」


○ソウルゲイン

DMLシステムの技術検証用に建造された大型機。
ダイゼンガーの非装着型モーショントレースシステムの前段階として、装着型モーショントレーサーのデータ取りのために作られた。
あくまでも実験機であるため動力源はゲシュペンスト用の核融合炉、またデータリンクなど軍用装備が一部オミットされているが、機体追従性は他の機体群と比べてもかなり高い。
オリジナルとの外観における最大の違いは膝にドリルが仕込まれていることである。
膝蹴りの瞬間にツイストドリル(キ〇リスヴィダールのアレ)が撃ち出され相手をぶち抜く。
足先にも打突用ブレードが追加されるなど格闘性能が全般的に強化されたが、反面武装が両手だけというシンプルさが損なわれ、パイロットにはより高い格闘スキルが求められる機体となった。

今週の更新は以上です、多分。

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