ギリギリ週1に間に合った…!
やっぱり仕事してると執筆に回せる時間が少なくなりますね。ただでさえ筆が遅いし。
あれもしたいこれもしたいなんてやってるともう寝なきゃいけない時間。
次も間に合うかは微妙です。それでも完結を諦める気はないので!
沢山の感想やお気に入り登録ありがとうございます。
それでも毎回出来が不安で仕方ない…。面白さの追求に際限はないので、もっと面白く矛盾のない話に出来るんじゃないかと思えて仕方ない…。
『以上を以て、オルタネイティヴ4はBETAを生命体ではなく、珪素を基質とした知的生命体が作り上げた資源採集機械。しかしその機能は故障している、と結論付けました』
香月の声が、マイクを通して響き渡る。
国連総会。
国連に参加するすべての国が集まり、世界的な決定を下す場所。
ここで決められたことは世界の決定であり、それを破ることは文字通り世界を敵に回すに等しい。
特に今回は各国の国連大使だけでなく大統領や首相、国王など、文字通り各国のトップまでもが出席している。
イギリスなんか女王陛下がご出陣だ、気合入り過ぎである。
…うちの陛下と同類のオーラを感じるのは気のせいだよな?
元々重要な事柄を決める時しか開かれないが、今回の議題は輪をかけて重要な事柄だ。だからこそこれだけのメンツが集まった。
その議題に至るまでの報告だのなんだのがすごくめんどくさいが。
まず初めにオルタネイティヴ4が行った甲一号目標偵察計画、その結果報告。
あ号標的、重頭脳級との会話ログを聞かせてから香月が結論を言い切るまで、誰一人言葉を発しなかった。
驚愕を顔に張り付けているのはほとんどが中小国、そして中国だ。欧州連合やアメリカ、ソ連はそこまで顔に出てない。
まあソ連はベルンハルトからブレーメ経由で知ったんだろう。
ベルンハルトにブレーメが生きてること知らせたら直通回線が欲しいと頼まれたので、鎧衣課長経由で用意してやったのだ。回線が情報省に監視されることを条件に。
なんかベルンハルトが一方的に話しかけてブレーメはそれをめんどくさそうに聞きに徹しているらしいが、さっさと切らないあたりいやというわけでもないのだろう。
「こんな、こんな連中に我らは何十年も苦しめられてきたというのか!!」
「壊れたブルドーザーなどに我が国は国土を奪われ、民は傷つけられ、今も苦汁を舐めさせられているというのか…!」
「一縷の望みがあると思っていた…講和がなれば、失ったものを取り戻せると…神よ、これも試練だというのですか」
各国の代表たちの表情は暗い。
正面から戦って勝つ以外の解決策が実質断たれたからな。
中小国ではもはやどうにもできないと宣告されたも同然だ。
「香月女史。つまりオルタネイティヴ4としての見解は、正面から戦って打ち勝つしか人類の未来はない、ということですか」
『そうなります。BETAはあくまで機械であり、与えられた命令に沿う以外の行動を起こせません。ましてや壊れている以上話し合いすら成立しません。事実ログにある通り偵察部隊があ号標的に行動の矛盾を突き付けたところ攻撃を受け、それ以上の会話を拒否されました』
「…その後の偵察部隊は?」
『離脱に成功した1機以外はあ号目標へ特攻。しかしその後の甲一号目標監視記録からあ号標的の排除には失敗したものと思われます。離脱に成功した1機も損傷激しく、偵察によって得られた全記録を回収に来た部隊に託し、追撃してきたBETAもろとも自爆しました』
「…そう、ですか。彼らの挺身に最大限の敬意を」
質問者は本音はどうあれゾイドシリーズ、無人機に感謝を言えるだけの分別はあったか。何人かはたかが機械に感謝など、って嫌悪感が顔に出てるんだが。
知らない間に対BETAステルス機能を実装した機体が存在していて、その扱いに関して蚊帳の外だったのが気に入らないらしい。きちんと理由あってのことなんだがな。
対BETAステルスの部分で何人か目を輝かせる人間がいたが、G元素がトン単位で必要と知ったら途端に輝きが消えた。そんなに持ってるのは米国ぐらいだからな。
「香月女史。結論に至ったということは、オルタネイティヴ4はその目標を達成した、ということでよろしいのですか?」
『結論としてはそうなります。しかしこの結果をもたらしたものとして、ただ混乱と絶望を振りまいただけでは終われません。研究を後押ししてくれた日本帝国、そして稲郷博士と協議し、この状況を打開する計画を立案しました。詳細は稲郷博士からお聞きください』
そう言って香月は壇上から降りる。
さて、俺の出番か。人前に出るのは一体いつぶりだったかな。
まあ、将軍様からはいつも通りやっていいとは言われているが。
「稲郷九郎です。堅苦しい言葉は苦手なのでとっとと進めましょう。一言で言えば”重頭脳級ぶっ壊してBETA全滅だ!”なんだが、どうせ聞きたいこと山盛りだろうからこの場で答えてやる。さっさとかかってこい」
視界の端で頭を抱える榊総理が見えた。文句は将軍様に言ってね!
------------------------------
予想外というかなんというか。
最初の質問はBETAの行動を止めたあの試作兵器に関する質問だった。
「端的に言えば、BETAの感覚器官に対するEMP攻撃を実施した。もっともElectroMagnetic、電磁ではなく量子、Quantumを利用してるからQP、とでもいうべきだが」
「BETAの感覚器官の仕組みを解明したのですか!?」
「以前からの研究で奴らが量子通信で連絡を取り合っている、ということは判明していた。そこから量子に関する研究を進めた結果、BETAの感覚器官は量子を観測することで周囲を認識していることを確認。この事実を元に開発されたのがQPとなる」
このQPは弾頭が起爆すると短時間に大量の量子を発生させ、一定範囲内に莫大な量子波を叩きつける。量子観測器の類は瞬間的に、かつ許容量を遥かにオーバーした量子波を強制的に叩き込まれ、受け止めきれず損傷するというわけだ。
BETAが量子観測器官を損傷した場合、フレンドリーファイアを避けるため全ての行動を停止し待機する。これが奴らが動きを止めた理由だ。
もっともまだ研究室レベルでしか実験できてなくて、広域影響型の実験はこれから、という状況だったんだが。
また量子観測器官に関しては全てのBETAが例外なく再生能力を持つことも判明した。なので最大でも10分程度しか効果がないのだ。
「中国戦線の状況を見て投入が必要と判断し、試作品を投入した。今回の結果を受けて現在正規実用型の開発が進行中。スケジュール通りに進めば推定5日ほどで1号機が出来上がるはずだ」
「た、対策される可能性は!?」
「感覚器官に対する攻撃だからな。
量子観測器官が使えなければ真っ先に検討されるのは光学観測や電波観測だろう。つまり条件をこっちと同じにできる。しかもその欺瞞方法はこっちの方がはるかに積み重ねてきてる。相当なアドバンテージが取れるはずだ。
「量産にはG元素が必須のため、アメリカには協力をお願いしたい。正規実用型が完成次第、設計図その他を公開するので量産にとりかかってほしい」
「どれほど作れるかは備蓄との相談になるが、承った」
マーシャル大統領の確約を得た。まあここは事前に根回ししてたことだしな。
どうせBETAにしか効果のない兵器だ。ばら撒いたって人類に害をなす恐れはない。量子通信実用化したらジャミングに使えるだろうが。
「QPの数が揃ったところで、一斉反攻に打って出る。目標は外縁部に存在するすべてのハイヴ制圧、または破壊。しかしこれは努力目標であり陽動、最終的な目標は別にある。
…甲一号目標カシュガル、オリジナルハイヴを強襲。重頭脳級にしてBETA最高司令官、あ号標的を撃滅する」
ざわり、と会議場が揺れる。
事前に根回ししてたとはいえ、やはり衝撃は大きいか。
「試作品を見せてしまった以上、そう遠くないうちにQPに対する対抗策を打ち出される可能性は高い。だがBETAの感覚器に対する攻撃であるため対策は難しく、尚且つ迅速にすべてのBETAに反映させることは難しいはずだ。その間に奴らの頭を獲る。BETAの指揮系統が一極集中型である以上、あ号標的さえ落とせば後は烏合の衆だ、煮るなり焼くなり好きにできる」
「…突入部隊は?」
「クロガネを使う。インド方面より地上部隊がカシュガルを攻撃して内部の戦力を地上に誘導、その後衛星軌道よりハガネの艦首特装砲とQPで地上戦力の無力化及びモニュメントを破砕。地上の光線属種を無力化している間に地球軌道上に待機させていたクロガネが降下しメインシャフトを通って主大広間に侵攻。そこからは力づくであ号標的に接敵、戦艦一隻と搭載する2個大隊、可能ならばDGGシリーズを叩きつけてイカれたクソAIをぶっ壊す」
ハガネのバスターキャノンで獲れれば一番いいんだが、確実性に欠ける。
だから二の矢としてクロガネを送り込む。ハガネの攻撃でどうにかできたとしても確認は必要だしな。
門級もいちいち開閉するぐらいならドリルでぶち破った方が早い。
DGGシリーズも一緒に叩きつけられればより確実性が増すが、完成後の運用権は各勢力に預けられているので現在交渉中。勝手に組み込むことはできない。
「クロガネ艦載機はDGG1号機がほぼ確定、1個大隊については日本帝国より最精鋭を出してもらえる確約を得ているが、残りについては国連軍や各国との調整もあるだろうしまだ本決まりではない。そもそも軍人の考えることで俺が口出すことではないしな」
突入組として斯衛16大隊の投入がほぼ決まっているが、もう一個大隊をどうするかはまだ協議中だ。
各国からエースを借りるべきか否かで上の連中が悩んでいる。
「細かいことは軍人どもが詰めてる最中だが、大雑把な概要はこうなる。この作戦への是非を問いたい。で、質問は?」
「…博士、とんでもない規模の一大反抗作戦ですが、参加戦力をどれほどと見積もっているのですか?」
いまさらそれ聞くかよ。
「全部だ」
「…今、なんと?」
「人類が吐き出せる全戦力を以てBETAとの決戦に挑む。そう言ったんだ」
静寂は一瞬、すぐに怒号で満たされる。
「ば、馬鹿も休み休み言ってください!?万が一失敗したらどうするのです!人類を道づれにする気ですか!?」
バカ言ってんのはどっちだよ。
「そうやってビビッて半端な戦力を逐次投入し続けたから、人類は負け続けたんじゃねぇのか?端から勝つ以外の選択肢はないってのに。まさかここで負けたとしても後でとんでもない奇跡が起きてBETAが一匹残らず消える、なんて妄想口に出したりしねえだろうな?」
反論してくる奴は、いない。
「初手で舐め腐って人類の全力ぶつけなかったから俺たちはここまで失う羽目になったんだ。同じ轍をまた繰り返したくなかったら、今ここで全力をぶつけなきゃ意味がねぇ。どっちみち半端な戦力で失敗したらそれこそ残りの戦力じゃなぶり殺しになるだけだ。いるかどうかもわからねぇ神様の奇跡を待つぐらいなら、一か八かに賭けるぞ俺は」
「その賭けの賭け金は全人類の、いや地球の全ての命なのですぞ。失敗したときにあなたは彼らになんと詫びるのです?」
「火あぶりにでもなんでもすればいい。どうせそんときには俺も死ぬこと確定してる。最後の憂さ晴らしに何でもすりゃいいさ」
ここで全力を投入できなければそもそも先などないのだ。
「口だけなら何とでもいえる!何よりあなたは既に一人だけ逃げ出せる算段を整えているではないか!?」
「…それはDGGー07の空間転移のことか?」
誰かが突っ込んでくるだろうとは思っていたが、こうなるか。
「話によればあれは日本帝国から欧州のヴェリスクまで一瞬で移動したそうではないか!その力があればたとえ戦場にいたとしてもあなた一人だけはさっさと逃げ出せる、いや性能次第では宇宙へと!!そんな人間の言う博打など誰が信じますか!?」
「…それはつまり、技術の詳細を寄越せという解釈でいいのか?」
今俺は、どんな目をしているのだろうか。
協力して戦う以外の選択肢がないはずの状況で。協力すべき隣人を疑う彼らを、疑うことをやめられず団結にヒビを入れようとする彼らを、どんな感情で見ているのだろうか。
「結論からいえば、あれは意図した機能じゃない。最終的にたどり着く可能性は認識していたが、それは10年単位で先だと考えていた。現状ではDGGー07とその専属衛士でしか為し得ず、また極めて不安定。機械的再現が可能になるのはどんなに無茶しても5年は先の話だ」
実際、あの後TTDの起動は一度も成功していない。T-LINKシステムが安定しないからだ。
俺たちが語った今後の世界予測のせいで、責任を感じた二人が心理的にブレーキをかけてしまうのだ。
…図太いのか繊細なのか分からん奴らだ。まあその不安定さこそがいざというとき爆発的な力になるのだろうが。
ともかく、現状ではあいつらに頼るのは無理な話だ。
「今までであればその言葉を信じたでしょう。しかしこの件に関しては言葉一つで信じることはできない、何せ我らはのど元にナイフを突きつけられているに等しいのです。誰もが納得できる証拠を示してもらえねばこちらも引き下がれず、協力もできません」
正論ではある。
だが、正論であるからと言ってほいほいと技術の詳細を公開できるかは別問題だ。
最初から公開するしかないとはいえ、公開するつもりだったとはいえ。
俺を見つめる彼らの目は、俺に公開を迷わせるに十分な”欲”を纏っていた。
「公開しない、つったらあんたらは帝国を滅ぼすのか?俺を捕まえて電極ぶっ刺して中身を無理やり吸い出すのか?」
「…そんなことにならないために、今この場で開示していただきたいと申しております」
「そして俺が与えた技術で、また殺し合いを始めるのか?」
会議場が、静まる。
「我々が、信じられないと?」
「ずっと人間を信じて、同時に疑ってきた。足りない力を補えばBETAに勝てると信じて、ゲシュペンストを作って。だがそれは同時に大きな混乱と新たな不和を生み出した。手を貸してくれる人間と同じぐらい、邪魔だから、自分の利益にならないからと殺そうとしたりあるいは使い潰そうとする奴らもいた。それでも人類全てを合わせればほんの少しでも善意が上回るはずだと信じて、今までやってきた」
だけど、本音はやっぱり。
「空間転移技術について、機械的再現が容易な理論は既に俺の手にある。だが俺はこれをアンタたちに渡していいのか?この技術を使ってあんたたちはもっと凄惨な戦争を始めるんじゃないのか?俺はその疑念をどうしても払いのけられない」
この技術をものにできれば、敵国の首都を直接攻撃できる。
それはつまり、首都に住む一般市民も戦火に晒されるということだ、避難する間もなく。
ピンポイントで重要目標だけを攻撃できる?詭弁だ。相手だって当然抵抗する。そしてなりふり構うはずがない。その時足元なんか気にできるはずがない。
「今目の前にいる明確な敵よりも協力してるはずの隣人を疑い、妬み、害し、そうやって余計な犠牲を積み上げてきたあんたたちを、人類を俺はどうやって信じればいい?誰が信じられるというんだ!!」
世界を纏めるつもりなら、作戦の成功率を1%でもあげるためなら言うべきでないことぐらいわかっていた。黙って技術を渡すべきだった。
それでも、口を止めることができなかった。
俺がもたらした技術で、人が殺されるところなんかもう見たくないから。この手で引き金を引いた感触を、いまだに忘れられないから。
「…空間転移に関する論文を提供する用意はある。だが人類はそれを使ってまた殺し合いを始める、という疑念を俺はどうしても払しょくできない。下手をすればBETAそっちのけでやるとすら俺は思っている。その疑念が払しょくされない限り、俺はこれ以上技術を提供したくない」
今現在発表済みの技術でさえ、人類同士の戦争に使えばBETA戦争開始前を軽く上回る悲惨さとなるだろう。
だがそこに空間転移技術まで与えたら、もうどうしようもなくなる。
渡さなければ戦争になる。しかし渡しても戦争が起きるかもしれない。
”人類最後の世界大戦”を、俺はこの手で起こしたくなかった。
昔のように他人事でいるには、俺はこの世界で失いたくないものが、自分の命よりも大切なものが増え過ぎた。
静まり返った会議場で、最初に行動を起こしたのはこの場で最も発言力のある男だった。
「博士、人類同士の戦争がもう起こらないと証明できれば、あなたは空間転移技術を人類にもたらしてもいいと考えているのですね?」
「…自分で言っておいてなんだがどうやって証明する。未だかつて人類が戦争をやめられたためしはないんだぞ。戦争と共にあった人類の歴史に、どうやってピリオドを打つ?」
マーシャル大統領の一言を俺は一蹴する。それでも彼は言葉を紡ぐ。
「ならば、証明して見せましょう」
そして彼は立ち上がって歩を進め、俺を下げて壇上に立つ。
「アメリカ合衆国大統領ジェームズ・マーシャルです。国連に緊急動議として、
国際連合解体を提案します」
◯ゲシュタルト崩壊
ベルンハルト『聞いてくれベアトリクス!私のベアトリクスがベアトリクスでベアトリクスのベアトリクスがベアトリクスして』
ブレーメ『頼むから意味の分かる言葉を吐いて(泣)。そして子供のノロケ如きでかけてくるな!』
ベルンハルト『むう、ならばテオドールとのノロケを』
ブレーメ『なりふり構わずブッコロスわよ(怒)』
情報省職員「…なんでこんなの真剣に聞いてんだろう俺達」
今週の更新は以上です。
さあ、また仕事が始まる…!