いくつかの伏線のネタばらし回です。
伏線とも言えないような内容でも作者が言い張れば伏線なんです…!(実は結構最近までイカが出てくる予定はなかった)
”それも私だ”、というフレーズを聞いたことがあるだろうか。
一時期ネットで流行した言葉だが、これの出所はあるスパロボシリーズに登場した敵キャラである。
ラスボスとして現れ、今まで主人公たちに襲いかかった苦難は全て自分が仕組んだものだった、と宣言するのだ。
主人公たちが次々と”○○が○○したのも””○○に○○したのも”と問いかけ、それに彼は淡々と答えるのだ。
それも私だ、と。
「で、俺を転生させてこの世界へ送り込んだのはてめぇか?
ユーゼス・ゴッツォ」
目の前に漂うイカみたいな仮面に、俺はそう問いかけた。
ユーゼス・ゴッツォ。
上記で説明したボスを務めたこともあるキャラクターであり、たびたびスパロボ世界に現れて好き勝手した挙句、主人公たちに討伐されるある意味恒例の敵キャラである。
実は結構古参のキャラで、かつては超人一族とも関わった縁からか因果に干渉するシステムを開発するほどの天才科学者でもある。
しかし自信過剰なのか、はたまたうっかり癖か。詰めの甘い部分が必ず存在し、そこを突かれて毎回負ける運命にある。
…確かにこいつなら、俺にまつわるいろいろなことに説明がつくのだが。
「いや、お前の生まれ変わりに私は関わっていない」
…めっちゃ胡散臭いが、このよくわからん状況で嘘をつくメリットもわからない。
「知識を与えたのは私だが」
やっぱりかよ(諦)。
どの世界でも相当な天才科学者で、その上であっちこっちで暗躍しまくってる奴である。こいつならバルマー、正式名ゼ・バルマリィ帝国の技術だけでなくゾヴォーク星間連合の技術も解析していてもおかしくない。
地球に潜入して暗躍していた世界もあったから、地球製の技術も知っていてある意味当然ではある。
しかしそれを俺に与える意味は何だ…?
「…まさか、俺とお前が並行同位体とか言わねぇよな?」
並行世界にいるIFの自分。
スパロボにはその違う自分全てと融合したり、あるいは影響を与えて人知を超えた力や知識を得ようとする奴もいた。
違う生き方をしているとはいえ、根っこは同じだから影響を与えやすい、という理屈は分かる。
それを利用して俺に自分の知識を植え付けた…?
「いいや、私とお前は並行同位体ではない」
ほっとした。
こいつと同じ存在とか自殺したくなるくらい願い下げだ。
「私と並行同位体だったのは、お前が虚憶に目覚めるきっかけとなった事故を起こした男だ。知識を与えようとしたら混乱してあの事故を起こし死んでしまったが」
「死にさらせクソ野郎ッ!!」
やっぱりてめぇが黒幕じゃねぇか!?
思わずぶん殴った。すり抜けたけど。
「ここは生と死の間、輪廻の輪をくぐる寸前の場所。時間、空間、質量、すべてに意味があり、すべてに意味がない」
「つまり双方の合意がない限り触れることもできないってわけかクソッタレめ」
今すぐ八つ裂きにしてやりたいが、触れることすらできないのではどうしようもない。
とりあえず飲み込む。心の中で呪詛を吐き続けるが。因果律の番人様、どうかこいつに鉄槌を、と。
「そもそもそんなことをした理由は何だ?そしてどうして俺に知識を与えた…!?」
とりあえずわからんことだらけだ。答える気があるのならせいぜい語ってもらおう。
「何度も転生を繰り返しながら私は考え続けた。なぜ私は必ず失敗し破滅するのか、と」
そりゃ因果だからだろ。
いろんな世界に前世の記憶を抱えたまま転生し、しかしその記憶がゆえに自身がいずれ破滅することも知っていて、それを何とかすべくあれこれやっては見るものの。
大体が外道な手段であるために主人公たちと敵対することになり、結果として運命の通りに破滅する、というのがこいつのお約束なのだ。
「次の転生を待ちながらも考察をつづけ、私は一つの結論に達した。
因果の鎖、過去生の欠落、それぞれの原因はバラバラだが全てに通じるのは敵とするべきでない者たちと、正義と敵対してしまうからだ。
正義と敵対したものが負けるのは当たり前の話だ。かの超人たちと、平和の使者と敵対したものが必ず負けるように。
ならば話は簡単だ、敵対しなければいい。初心に返り罪を憎み、悪党と戦うものになればいい。すなわち――
――正義の味方になればいいのだと」
…ナニイッテンダコイツ。
「今までの私は自らの力だけで何とか出来ると驕り、又は超絶的な力があればなんとかできると考えていた。所詮一人の力では正義には勝てないというのにな。ならば敵対ではなく共存、或いは同化するのが戦略として最も正しい。つまりは私も正義の味方になればいいのだ」
…いや、悪党が正義堕ちするっていうシチュエーション自体はそう珍しいものじゃないんだけどさぁ。
こいつが正義堕ちっていうのはちょっとどころかすごく胡散臭いというか…。
いや、もともとそっちの人間ではあったんだけど。
「その仮説の検証のため、私はある世界を救うことにした」
「…それが俺の世界、てわけか」
「霊体では物理的な干渉はできず転生先を選ぶ権利も私にはないが、ちょうどよく私の並行同位体がいる世界を見つけたのでな。私は私の知識をその世界の並行同位体にダウンロードすることで、間接的に世界を救う実験をすることにした」
「…で、突然ダウンロードされた側は混乱して事故って死んだと」
「酒気帯び運転していたのは並行同位体の落ち度だ。実験を思いついた瞬間にいてもたってもいられずダウンロードしたのは私の落ち度だが」
やっぱりこいつが原因じゃねェか(怒)。
「当初の目的は破綻したが、私はそこで思わぬ拾い物をした。事故に巻き込まれながらも生き残った少年が、虚憶に目覚めたのだ。しかも都合のいいことにその子供はその世界や私のいた世界を観測したことがあり、そして微弱ながら念動力をも備えていた」
「…念動力の精神感応を利用して、俺に知識を刷り込んだのか」
「ひねくれながらも人並みの正義感を持っていたのも都合がよかった。私の知識があれば、とりあえずは世界を救うために行動するだろうからな。並行同位体ではないので個人的な記憶や人格の刷り込みはできず、強制的な知識の刷り込みでしばらく意識が判然としなかったのは誤算だったが」
最初からこいつの掌の上かクソッタレ。
しかも記憶が戻った当初の意識が判然としない状態もこいつのせいかよ。てっきり精神的なショックが原因だと思ってたのに。
おまけにさらっと人格の乗っ取りまで画策してやがった…!
「結果は予想以上のものだった。時間はかかったがお前は正義の科学者として世界を救って見せたのだから。やはり私の出した結論は間違っていなかった…!」
ぶん殴りてぇ…!こいつにいいように使われたとかとんでもない恥だ…!
思わずもう一度手が出そうになったが押しとどめる。どうせ殴れないし。それより聞きたいこともある。
「…俺に、マジンガーやゲッター、版権があるものの知識を与えなかったのは?」
スコープドッグやゾイドなどを俺は作ったが、あれらは外観が似ているだけで中身は全くの別物だ。
そうなったのはそれらに関する正しい知識がなかったからでもある。
「元々並の天才を歯牙にもかけないほど優秀な脳みそをお前は持っていたが、流石にそれらの知識まで突っ込めるほどの容量はない。
並行同位体でもないお前と常に精神をリンクさせることはできんし、それにその知識が原因で奴らに見つかれば実験どころではなくなる。
終焉の魔神や進化の皇帝の干渉を受けてはな」
これ以上なく納得した。あれらが出てきたら流石に俺の手に余る。
「必要だったとはいえ特異点を与えるのは少々骨が折れたが、それだけの価値があったな」
…は?特異点?
「気づいていなかったのか?あの採掘機械の制御中枢、お前たちは重頭脳級と呼んでいたか。あれは特異点を抱えていたのだぞ」
「うっそだろおい」
スパロボにおける特異点とは、本来なら起こるはずのない偶然を頻発させるというある意味因果に干渉するものだ。
まさかバグってたのはそのせいか!?通常ありえないはずのバグを、特異点を抱えていたから起こしたって…!?
「どこで拾ったのかは知らんが、やたらめったら人類に不利な偶然ばかり起こしていたからな。その割には採掘機械どもにバグを起こしたりと妙なところで人類に有利な偶然も起こしていたが。対抗するためにはこちらにも因果へ干渉する方法が必要だろうと考えてお前に付与したのだ」
「周りで起こったありえねーと思ってた事の何割かは俺のせいかよ…」
まさか原作でもそうだったのだろうか。確かにMUV-LUV星人なんて揶揄されるほど馬鹿なことばっかりやらかしてたが。
…流石に全部を特異点のせいにはできないか。少なからず人類の業が起こしたものもあるだろう。
「しかしその特異点もあの新米サイコドライバー共が消滅させたからな。この先あの採掘機械ばかりに有利なことは起こらんだろう」
「…重頭脳級は、倒したんだな?」
それだけは、どうしても気になった。
「ああ。これでお前の世界は救われた。ここから先何を積み上げるかはお前たち次第だろう」
「…勝てたなら、それでいい」
「それに伴ってお前に付与していた特異点も回収させてもらう。それの維持には少なからず私の力を消耗するのでな」
意図的に特異点を作り出すことができる人間や組織は存在するが、人間に付与させるとかさすがは天才だと言わざるを得ない。絶対感謝しないが。
…聞きたいことは大体聞けたが、一つだけ肝心なことが残っている。
「…俺は、これからどうなる?」
ここが生と死の間というなら、俺は今死にかかっているということだ。
「お前次第だ。強く生きたいと願えば戻れるだろう。もっとも、今のお前にはそこまでの執着はないようだが」
「…まあな」
いわゆる燃え尽き症候群だ。
ここまでひたすら突っ走ってきたせいで、世界を救えたことに安堵して緊張の糸が切れてしまった。
戻るべき理由はいくらでもあるのに、イマイチ熱が入らない。
…背負うことに、疲れてしまったとでも言うべきか。
「自分で望んでしこたま背負ったくせに、逃げれるかもと一瞬でも思っちまったせいで全く動けなくなっちまった。情けない男だよ、俺は」
卑怯ったらありゃしない。あれだけ世界を引っ掻き回し、大勢の運命を狂わせ、間接・直接に関わらず大勢の人間を殺しといて、その責任を取らずに死のうとしてるんだから。
ましてや美沙に対しての責任も果たさず、一人だけ逃げようなんて。
…やはり俺はそういう器ではないのだろう。どこまでいっても俺は凡人が下駄履いただけの、つまらない脇役――
「そんなことはないぞ、九郎」
「ええ。あなたは立派に戦ったわ」
――聞こえるはずのない声が聞こえた。
だって、その声の持ち主は、もうこの世にいないはずで。
信じられない気持ちのまま振り返れば、そこには。
黒髪の精悍な顔つきの男性が。
銀髪の綺麗な女性が。
父さんと、母さんがいた。
「……お前の仕業か、ユーゼス」
「私は何もしていない。言っただろう、ここは生と死の間。時間も空間も質量さえも意味があり、そして意味がないと」
俺の困惑を他所に記憶そのままの二人は、軽い足取りで俺に近づき。
俺を強く、抱きしめた。
「頑張ったな、九郎。よくぞ苦難に負けず戦い抜いた」
「あなたは私たちの最愛の、そして自慢の息子よ」
…もう遠い昔の、思い出すことすら難しくなったあの時の感触そのもので抱きしめられ、大好きだった懐かしい声で褒められ。
それでも俺は、その言葉を素直に受け入れられない。
「父さん、母さん。頑張りを褒めてもらえるのは、うれしい。でも俺は大罪人だ。この手で殺しただけじゃ飽き足らず、俺のミスでたくさん死なせた。嗾けてたくさんの人間を死地に引き込んだ。その責任を取らなきゃいけないのに、罵倒も怨嗟も受け止めるのが筋なのに、それがたまらなく怖い。このまま消えてしまいたいなんて情けないこと考えてる。俺は、自慢してもらえるような立派な人間じゃ」
「じゃあ、みんなに聞いてみればいい」
そう言って、横に動いた二人の後ろにいたのは。
大勢の、人間。
銀髪の偉丈夫がいる。
ドイツ系の男が二人で並んでいる。
欧州系で、角刈りの強化服を着た男がいる。
日本帝国の制服や強化服を着た人たちがいる。
他にもいろんな人種の、年齢の、性別も服装もバラバラな人たちがそこにいる。
ああ、知っている。忘れられるはずがない。血反吐吐きそうな、頭が沸騰しそうになりながら刻み付けた顔たちだ。
俺が、死なせた、殺した人たちだ。
何を考えているのだろう、みんな無表情で。
恐怖で、逃げることも声すらも上げられない俺を見ながら――
「総員、人類を救った英雄に、敬礼!!」
――一糸乱れぬ敬礼を決めて見せた。
「………え?」
敬礼?なんで?それ以前に俺が英雄?バカな、俺はただの人殺し…。
「博士。よくぞ人類をBETAから救ってくださいました」
「我々の挺身は無駄ではなかった、あなたが意味あるものにしてくれた。ならばあなたは間違いなく、我らにとって英雄です」
「あなたのおかげで、我々は守りたいものを守り切ることができたのです。どうか後悔ではなく、誇ってください」
呆然とする俺に、彼らは一人ひとり語りかけてくる。
「私を殺してまで、天使たるBETAを殺し尽くしてまで手に入れた未来だ。そう簡単に放り出されてはたまらんよ」
銀髪の偉丈夫が不貞腐れた顔で、しかし確かに俺を慮る思いを乗せて言葉を紡ぐ。
「ふん、偉大なる共産主義をこの手で広められなかったのは残念だが、貴様のおかげでこれからも共産主義は存在し続ける。その点だけは感謝してやる」
ドイツ系の二人組、その片割れが不服そうな顔をしながらも感謝の気持ちを伝えてくる。
「もっと殺し合い楽しみたかった」
…角刈りの衛士は発言してすぐに他の連中から袋叩きに合っていた。
「博士。あなたは今までずっと下を、死者を見て生きてきた。我々への負い目を清算するために。しかしそれはもう十分です。あなたは十分すぎるほど、我らに報いてくれた。だから今度は上を向いて、生者を見て生きてください」
斯衛の強化服を着た衛士が、他の者たちを代表して想いを伝えてくる。
「もう大丈夫です。人類は喧嘩しながらも、ちゃんと前を向いて生きていけます。だから博士、これからはあなた自身の人生を生きてください」
…それが死者たちの、俺が死なせた人たちの総意だった。
俺たちは恨んでいない。だから死ぬな、生きろ、と。
…死者は黙して語らない。誰も彼らと言葉を交わすことは、その思いを確認することはできない。
その不変の約束を破ってでも彼らが伝えてきたものを、蔑ろにはできない、してはいけない。
俺はまだ、死んでいないのだから。
「九郎。これでもまだ、彼らが怖いかい?」
父さんの言葉に、俺は首を横に振り。
一歩、踏み出す。自分の足で、自分の意志で。
「あなたたちがいたからこそ、俺は人類を救うことができた。俺はあなたたちを忘れない。俺の罪の証として。そして人類を救った英雄として。
ありがとう」
その言葉を聞いた彼らは一人、また一人と光となって消えていく。俺がついぞ見ることのできなかった笑顔で。
最後の一人が笑顔で消えた後、俺は両親に向き直る。彼らもまた、光になり始めていた。
「もう、大丈夫だな」
「ああ。俺は、生きるよ。生きて彼らのことを語り継がなくちゃ」
「私たちもまた、輪廻の輪をくぐって生まれ変わる。でもいつまでも、あなたのことを想っているわ」
「うん。ありがとう、父さん、母さん」
「ほら、迎えが来たぞ」
その言葉と共に、尤も聞きたかった声と、幼い声が聞こえ――
――九郎――
――とうさん――
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「――見たことある天井だな」
つーか、自分で設計した天井だわ。
ここはシロガネ級、多分ハガネの医務室か。どうやらベッドに寝かされているようだ。
首を巡らせれば、隣で寝ている水無瀬艦長が見え。
俺に覆いかぶさるように寝ている、美沙が視界に入った。
ずっとそばにいたのだろう、俺の右手を掴んだままだ。
とりあえず自由な左手で美沙の頭を優しく撫でる。
…きっと、美沙がこうしてくれていなければ俺は帰り道に惑い、こうして目覚めることもなかったかもしれない。
感謝の気持ちを込めて撫でていたら、瞼がけいれんを始め。
その綺麗な赤い瞳が現れ、俺を見た。
「…おはよう、美沙」
「…………九郎?九郎!!」
「グフッ」
俺が起きたことを認識するなり飛びついてきた。
いででででででっ!?あばらが軋むっ!!
「美沙、美沙、また落ちる、落ちちゃう」
「うるさいです!どうしてあなたはそうなんですか!あなたを守るのが私の役割なのに、どうしていつもいつもあなたが私をかばうんですか!?あなたより私の方が鍛えてるからずっと頑丈なんですから、おとなしく守られてください!!…一人に、しないでください…!」
…あー、思い出した。
トロニウム・バスターキャノンを撃った後、反動で二人とも椅子から放り出されたのだ。
揉みくちゃになりながら壁まで吹っ飛ばされていって、なんとか壁と美沙の間に自分の体を滑り込ませ。
受け身も取れずに壁に頭を叩きつけ、俺は生死の境を彷徨っていた、というわけだ。
…ある程度痛みを我慢すれば動かせるのは奇跡だな、これ。
「俺だって男なんだよ、わかるだろ」
「分かりません、分かりたくありません!!」
あーも―。駄々っ子になっちゃって。
…こんな美沙を見るの初めてだな。それだけ心配かけちまったってことか。
「惚れた女の前じゃ、カッコつけたくもなるんだよ。男ってやつはさ」
「…バカっ!!」
とうとうバカ呼ばわりだ。でも仕方ないだろ。
「母親になる人間を盾になんかできるか」
「っ!!」
なんでそれを、て顔だ。やっぱり知ってて隠してたんだな。
「感じたからな、あの時。俺たちに力を貸してくれたのを」
俺一人の力では絶対に無理だった。ESP発現体とはいえ美沙の念動力は一般レベルだ。
俺たちの子供が力を貸してくれたからこそ、あの一撃は当てられたのだ。
「黙ってたのは、俺のためか?」
「…言えば、あなたは義務として私を娶ったでしょう。それは、それだけは嫌でした。私という人間を愛するからこそ一緒になりたい、そうでなければあなたが幸せになれないと思ったから」
「…俺がお前をどう思ってるかなんて、心を覗けばすぐにわかっただろうに」
「それはあまりにフェアではないでしょう?だから必要以上に覗いたりはしませんでした。そんなことしなくてもあなたを振り向かせられると信じていましたし」
そりゃな。もう俺は美沙に首ったけだ、今更他の女なんて考慮にすら値しない。
とはいえ、こうなったのは美沙が心を覗けるからとちゃんと口にしなかった俺の怠慢ゆえだ。
だから、しっかりと伝えないと。
「美沙、悪い。俺の白衣取ってくれ」
訝しみながらも、美沙は俺がいつも羽織っていた白衣を取ってくれた。
内ポケットをまさぐれば、それは1ミリたりとも変形することなくそこに収まっていた。
…ゾル・オルハルコニウムの端材で作ったが、ちょっと頑丈過ぎたかもしれん。下手すりゃこれのせいでどこか潰れてたかもしれないし。
「それは…?」
俺が取り出したのは、小さな正方形の箱。
それを開きながら、俺は自分のありったけを美沙に叩きつけた。
「私の全てをあなたに捧げます。代わりに、あなたの全てをください。私と一緒に、幸せになってください」
箱の中に納められた、一対の指輪と共に俺が伝えた気持ち。
その返事は、たった一言だった。
「…いといつまでも、どうかよろしくお願いします」
大鉄(めでたいことだが、いつまで寝てるふりをしていればいいのか…)
ギャグ「シリアス?奴さん死んだよ」
○クソ忙しい時に何してやがる!?
かぐや「どけェ!!マスター達を探しに行くんです、邪魔するなァ!!」
つばき「一分一秒を争うんです、お願いですから行かせてください!!」
きぼう職員1「気持ちはわかるし捜索に反対する気もない、むしろ出せる船は全部出して捜索してる!だから…
建造中の船まで使おうとするのはやめてくれ!?」
きぼう職員2「未完成な状態で動かしたら修理が、部材の矯正が!?」
かぐや「マスターと美沙様のお命に比べたらそんなものゴミですゴミ!」
つばき「今までさんざんマスターにおんぶに抱っこされてきたくせにそんなチンケなことで出し渋らないでください!!」
きぼう職員1「チンケなわけあるかァ!!タウゼントフェスラーならいざ知らず、建造にアメリカの国家予算5年分はかかってんだぞこれェ!?」
きぼう職員2「やめて!お願いだからやめて!?俺たちの首だけじゃすまなくなる!!」
きぼう職員3「そもそも未完成な船で見つけた後どうするつもりだ!?外部観測機器すらまだ積んでないし気密怪しいから収容もできねぇ!ただ邪魔なだけだ!!」
かぐや「レーダーとカメラぐらい10分もあれば取り付け出来ます!今はとにかく捜索の手数が必要です!!」
つばき「とにかく見つけないことには始まりません、使えるものは全部使うんです!!」
きぼう職員1「ギャアアァ!?アーク級が発進シークエンス入ってるゥ!!」
きぼう職員2「だから建造終わってないんだってばぁ!?今出したら途中で空中分解するゥ!!?」
きぼう職員3「電子的に止めるのは無理だ、溶接でも何でもして物理的に止めろォ!!」
かぐや・つばき「「早く、早く行かないと決定的なロマンスシーンを見逃す気がするんです!!」」
きぼう職員「「「急いでる理由そんなことかよ!?」」」
ハガネが行方不明になってから見つかるまできぼう内で起きていた大騒ぎの一幕。
こんなことやってても本体のメインコンピューターは各所から入ってきた情報をきちんと処理していた。
なお後で九郎に”心配かけてすまなかったが少し落ち着け”と窘められた。
○呪詛の結果
ユーゼス「ククク、あのサンプルのおかげで私の理論は間違っていないことが証明された。後は理論をブラッシュアップし、次の転生に生かせれば…!」
ク????「そこまでだ」
ユーゼス「げえっ!?お、お前は!!」
??グ??「善行を積もうとしたことは評価するが、その過程で随分と非道を働いたようだな」
ユーゼス「け、結果的にあの世界は救われたし、実験に失敗はつきものだろう!?」
???レ?「手段を選ばなかったせいで現地の人間に迷惑をかけた挙句、アフターフォローなしでは悪行を積んだとしか評価できん。可能ならば人格の乗っ取りすら考えていたのならなおさらだ。まさか特異点の付与を支援などと言うまいな?…沙汰を言い渡す。
貴様の次の転生先は、イカだ!!」
ユーゼス「い、いやだァぁァァァァァァァァッ!!!?」
今週の更新は以上です。
もうちっとだけ続くんじゃよ。