神の目を売りたい少年の話 作:胡桃の胸ェ…
異変に気づいたナイフ使いの男が、まずは目の前に現れた一不の喉を狙う。
ナイフが投げられる。だが、一不の身体が僅かに傾き、刃は紙一重で頬を掠めて背後の岩へ突き刺さった。
ほぼ同時に、別の男が一不に向かって火炎瓶を投げる。
瓶が空を切ると同時、一歩踏み込み刀を振るう。
刃が瓶を弾き、火炎瓶は軌道を変え、地面に落ちる。
次の瞬間、炎が爆ぜた。
火の粉が舞い、宝盗団の視界が潰れる。
眼球を熱から守る為の反射の瞬き。
それを訓練で鍛え上げた『理性』で御し、一不は縦横無尽に刀を振るう。
武器が地面へ転がり、斬られた肉がずるりと落ちる。
男たちの動きが止まり、肉と血で地面が汚れる。
焚き火の火が揺れ、たった一人の勝者を照らす。
その光の中で、一不の刃だけが冷たく光っていた。
宝盗団の笑い声は、もうどこにもない。
山の夜気は、骨の奥まで染みるように冷たい。
『璃沙郊』の切り立った岩山と低い草木に囲まれた場所の、更に目立たない所にぽっかりと口を開けた洞窟。
その洞窟の奥からはもう、先程まで聞こえていた下卑た笑い声は響いてこない。
代わりに、鉄臭い匂いだけが、夜風に乗ってゆっくりと外へ流れ出ていた。
……コツ。
やがて、洞窟の暗闇の奥から、足音が一つ。
……コツ。
ゆっくりとした、落ち着いた歩みの音。
月明かりの差す洞窟の出口へ向かって奏でられる足音が、いよいよ月光の下に晒される。
そうして、一不は暗闇に隠れた身体の全容を晒す。
赤く染まっていたのは、右手に持った刀だけではない。
雪のように白い髪は、吹き出した血と散った臓物を浴びて醜悪な様となっていた。
洞窟の中には、転がったナイフや割れた火炎瓶、そして散乱した盗品がそのまま置いてあった。
一不は何も振り返らず、そして死体に手を加えようともしない。
ただ洞窟を出て、死体を背に軽く刀を振った。
ヒュン、と鋭い風切り音。
刃に残っていた血が夜の闇へ飛び散り、岩肌に細かな点となって落ちる。
静かに鞘へ刀を収め、カチ、と小さな音が鳴る。
その時だった。
「――いや~流石だねぇ、やっぱり」
パチ、パチ、と緩い拍手。
そして軽い声。
まるで観劇の感想でも述べるような姿勢だった。
「相変わらず綺麗な戦い方だ」
「…………」
岩壁に寄りかかるようにして立っているタルタリヤ。その青い瞳が月明かりに照らされる。
一不は言葉を返さない。
彼は洞窟の奥をちらりと見て、くすりと笑う。
まるで『予想通り』と言わんばかりの調子だった。
「うん、全滅だ」
その声には残酷さがない。
ただ面白いものを見た子供のような、純粋な興味があるだけだった。
一不は短く言う。
「終わったぞ」
それだけ。
それ以上の説明も、感想もない。
タルタリヤは肩をすくめる。
「見れば分かるよ」
笑顔のまま。
「いやぁそれにしても残念だったなぁ、俺が探してた奴はどうやらここにはいないみたいだ」
「…………」
一不は何も答えない。
ただ洞窟から離れ、タルタリヤに背を向け、山道へ向かって歩き始める。
砂利を踏む音が静かな夜に響く。
タルタリヤも、その隣に並ぶように歩き出した。
少し歩いたところで、一不がぽつりと聞く。
「……報酬はどうなる」
声音は平坦だった。
まるで興味がないようでいて、しかし必要なことだけは確認する。
「もちろん出すよ?ちゃんと働いた分のモラはね」
タルタリヤは笑い、軽く手を振る。
「標的がいなくても、仕事は仕事だろ?」
「ならいい」
その言葉を聞いて、一不は短く答える。
それだけだった。
「君って本当にモラの話しかしないよね」
「仕事だからな」
「別に悪いとは言ってない。俺は嫌いじゃないよ、そういうの」
淡々とした返答。
それ以上の会話はなく、二人はそのまま夜道を歩く。
遠くの山の向こうには、灯りが見えている。
夜でも眠らない港町――璃月港。
無数の灯火が、星のように山の向こうで揺れていた。
しばらく沈黙が続く。
一不は無表情に一言も発さず、タルタリヤは顔に薄い笑みを浮かべ、両手を後ろで組みながら歩く。
何も会話はしていない。
なのに、どこか楽しそうだ。
「ところでさ」
そして、ふと横目で一不を見る。
一不は猛烈に嫌な予感がした。
彼がこういう声を出す時は、大抵ろくなことを言わない。
沈黙。
「この後暇かい?」
案の定だった。
タルタリヤの口元がにやりと歪む。
「もし暇なら――」
「やだね」
言葉の続きを聞く前に、一不が言った。
即答だった。
「え?早くない?」
一拍遅れて、タルタリヤが目を瞬かせる。
一不は前を見たまま言う。
「どうせ戦いだろ」
「ぷっ、あははっ!」
タルタリヤは吹き出した。
「よく分かったね?」
「顔に書いてある、というかお前は必ず最後にそれを言う」
「そんなにかい?」
一不は面倒くさそうに息を吐く。
「自覚してないのがもう救えないな」
深夜。
ほぼ『処理』に近いものとはいえ、ついさっきまで自分は戦っていたのだ。
正直、これ以上動きたくない。
それに――この男と戦うのは、普通に面倒だ。
執行官・第十一位。
末席だからと侮るなかれ、その飽くなき戦闘欲と実力は、逆立ちしても一不が敵う道理などない。
本来なら瞬殺する、される程の力関係。
それでも、こうして彼が一不に『戦い』を所望するのは、彼が『戦い』を好んでいるからとしか言えないだろう。
事実、タルタリヤは一不と戦う際は『神の目』を使わない。
とことん『戦い』に貪欲で、そして真摯とも言える姿勢。
たとえモラを餌にされようとも、それでも『戦いたくない』と思わせる程の実力者。
その癖、こちらに対し一方的にシンパシーを感じ取っているのだから、厄介極まりない。
「いやいや、軽く手合わせだけでもさ?」
「やだね」
タルタリヤは諦めていない。
また即答。
「ほんの五分」
「やだ」
「三分」
「やだ」
「勘弁してくれよ。最後にやり合ったのはいつだい?もう二日も前じゃないか」
タルタリヤは隣で笑う。
「……武器のメンテナンスも終わってないんだ。それに、俺はお前と違って貧乏なんだよ」
「そのくらい俺が払うよ?」
「…………前言撤回。後が怖いからお前には一生頼まん」
「もしかして、俺と戦うの怖い?」
一不はちらりと横目で彼を見る。
そして、ため息を吐くように言った。
「怖いんじゃない、面倒なんだよ」
「それは光栄だね」
タルタリヤは楽しそうに目を細める。
逆に、一不は吐き捨てるように。
「お前とやると長くなる」
「はははっ!」
ついにタルタリヤは吹き出し、腹を抱えて笑った。
「それがいいんじゃないか!長く楽しめてさ」
「お前と一緒にするな」
夜風が吹き抜ける。
山道を、二人の影が並んで歩く。
戦いを求める男と、それを全力で避ける男。
遠くの璃月の灯りへ向かって、二人は静かな夜を歩いていく。
……ザッ。
……ザッ。
二人の足音が、砂利を踏みしめる度に小さく鳴る。
昼間には多くの商隊や冒険者が通る細い山道も、深夜ともなれば完全に沈黙していて、砂利の音がよく響く。
岩肌に当たる風の音と、遠くで鳴く夜鳥の声も同時に響いていて、夜の寂しさがそこにある。
しばらく、会話はなかった。
タルタリヤは空を見上げたり、遠くの灯りを眺めたりと、やはりどこか楽しそうに歩いている。
対して、一不は前だけを見て歩いていた。
しばらくの沈黙の後、一不がぽつりと口を開く。
「……結局、探してる人間は誰なんだ?」
声は低く、抑えられている。
その問いは、ただの確認のようだった。
興味があるわけではない。
だが、わざわざ十数人の『宝盗団』を始末する理由には、少なくとも関係している。
だから聞いただけだった。
「ん?うーん……」
タルタリヤは少しだけ目を丸くする。
それから、すぐに視線を空へ向けた。
夜空を見上げながら、顎に手を当てる。
まるで、今初めて考え始めたと言わんばかりの、妙に間の抜けた仕草だった。
「え~っと、どう説明したものかな……」
一不は無言で歩き続ける。
タルタリヤは数歩遅れてから、ふと一不の方を見た。
見つめ合う。
一不の紫の瞳と、タルタリヤの青い瞳が交差する。
それから。
「……あっ」
何か思いついたような声。
そして、少し困ったように笑って言う。
「ちょっと一旦待っててくれないかな?」
「……ァ?」
一不の眉が、わずかに動いた。
タルタリヤは軽く肩をすくめる。
「いやさ、君の事は当然信頼してるんだよ?」
言葉は、嘘には聞こえない。
妙に真っ直ぐな印象だった。
「むしろ手伝ってもらえたら、かなり心強いと思ってる」
「…………」
夜風が二人の間を通り抜ける。
タルタリヤは続ける。
「……けどさ、一応これ『任務』だから」
その言い方は、まるで大した問題ではないと言うような軽さだった。
「色々許可貰ってからじゃないと、君にも話せないんだ」
「…………あっそ」
まるで、友達に世間話をするような口調。そこに重みはどこにもない。
それから、彼は少しだけ身を乗り出す。
一不の横顔を覗き込むように。
「本音を言うと……」
口元がゆっくり歪む。
「今すぐにでも君を巻き込みたいんだけど」
その瞬間だった。
一不の表情が、露骨に変わった。
眉間に皺が寄る。
明確な嫌悪。
心底うんざりした顔で、低い声が落ちる。
「……おい」
そして、はっきりと吐き捨てた。
「二度と喋りかけんなよお前」
「ははっ」
夜の山道に、威圧感の籠るその言葉だけが落ちた。
だが、タルタリヤはまったく堪えていない。
むしろ――楽しそうだった。
くすり、と喉の奥で笑う。
そして一歩、二歩と近づく。
一不の前へ少し回り込むようにして、身を屈めた。
青い瞳が、真正面から一不の整った顔を覗き込む。
いたずらを思いついた子供のような目だ。
「でもさ」
声が少しだけ弾む。
「モラが出るなら、どうだい?」
「――――」
ぴたり。
一不の足が止まった。
沈黙。
「…………」
夜風が岩肌を撫でる。
遠くで虫が鳴く。
タルタリヤはその反応を楽しむように、黙って一不の顔を見ていた。
一不は、しばらく何も言わない。
ただ立ったまま、前を見ている。
しばらくして、眉間の皺が一層深くなる。
「…………チッ!」
そして、わざと響かせるような大きな舌打ちをする。
夜の静けさを破る音だった。
一不は顔をしかめたまま、指でこめかみを押す。
まるで頭痛でも堪えているかのようだった。
深く、長い息を吐き。
それからぼそりと零した。
「……やっぱお前苦手だ」
声には、疲労と苛立ちが混じっていた。
だがそれが、肯定か否定のどちらであるのかは、一目瞭然。
タルタリヤは笑った。
「知ってる」
それは、本当に楽しそうに。
まるで褒め言葉をもらったような調子だった。
一不はもう一度、ため息を吐き、それから再び歩き出す。
タルタリヤも当然のようにその隣へ戻る。
遠くの港の灯りが見える。
時折夜空を見上げたり、遠くの灯りを眺めたりしているタルタリヤが、ふと口を開く。
「あぁそうだ、そういえば君さ」
軽い声だった。
横目で一不を見て、それから。
「――スネージナヤにいた事あるだろ?」
一不は反応しない。
だが一瞬、その足はほんの僅かに止まりかけた。
本当に一瞬。
気づく者がいなければ、何気なく見逃すほどの変化。
だが、タルタリヤはそれを見逃さない。
「……」
一不はすぐに歩き直す。
表情も変わらない。
しかし、沈黙が少しだけ重くなった。
数歩進んで、一不が言う。
「なんでそう思う」
声は低く、警戒が混じっていた。
だがタルタリヤは笑う。
「武器の振り方さ」
洞窟の方を顎で示し、軽く手を後ろで組む。
そこではつい先ほどまで、宝盗団たちが笑いながら盗品を自慢していた。
今はもう、誰も笑っていない。
「間合いに入る時、身体が自然と斜めに流れてた。あれは雪の上で滑らない為の動きだ」
肩をすくめ、少し楽しそうに目を細める。
「あとは足運びかな?北の訓練の癖が残ってる」
「…………」
夜風が吹く。
一不の前髪が僅かに揺れる。
やがて、沈黙を破って一不が小さく鼻で笑い、言う。
「……観察眼だけはいいな」
それは肯定以外の何物でもない。
タルタリヤの口元が、楽しそうに少し上がる。
「やっぱりか」
彼は満足そうに息を吐いた。
「でも君璃月人だろ?って事は……」
一不は答えない。
ただ歩く。
夜道に足音が続く。
スネージナヤ生まれでもないのに、スネージナヤ特有の訓練の跡が残る子供。
彼も頭の中にいくつかの推理が浮かんだようだが、それをわざわざ口にする無粋な真似はしなかった。
しばらくして、タルタリヤがまた言う。
「寒かっただろ?」
「何が」
一不の眉が僅かに動く。
タルタリヤは空を見上げる。
遠くで夜鳥が鳴いていた。
「北の国。雪ばっかりだし、風も強い」
それは彼の故郷でもあった。
スネージナヤ。その名を口にしなくても、二人には分かっている。
北の国。そこはファデュイの本拠地でもある。
一不は少しだけ考える。
そして、小さく鼻で笑った。
「寒さより」
一拍置く。
「人間の方が冷たい場所だ」
その言葉は、夜の空気よりも冷えていた。
タルタリヤは少しだけ目を細める。
笑ってはいない。
ただ、静かに頷いた。
「……それは否定できないかな」
彼は短く息を吐いた。
「俺の故郷だからね」
軽く言う。
だがその声には、ほんの僅かな重さある。
二人の間に、また沈黙が落ちる。
遠くの璃月港の灯りが、少し大きく見えてきた。
タルタリヤはふと横を見る。
一不は前を見たままだ、表情は変わらない。
だがその顔には、何か重たいものが乗っているように見えた。
タルタリヤは、それ以上聞かなかった。
代わりに、少し笑って言った。
「でもさ。雪の国の訓練を生き残ったなら、君ってかなりしぶといよね」
一不は視線を向けない。
ぶっきらぼうに短く答える。
「死ななかっただけだ」
「それが一番強いんだよ、俺もそうだった」
タルタリヤは笑った。
夜風が二人の間を吹き抜ける。
山道はゆっくりと下りになり、遠くにある璃月港の灯りが、いよいよ目前に近づいて来た。
タルタリヤがふと立ち止まる。
彼は夜空を見上げていた。
「なぁ」
静かな声だった。
一不は立ち止まり、聞き返す。
「……何だ」
タルタリヤは顎で上を指した。
「見てみなよ」
「お前な……」
一不は露骨に面倒くさそうな顔をした。
小さく舌打ちしそうな声で言う。
「何だよ急に」
だが、無視するほどの理由もない。
軽く息を吐き、それから、タルタリヤが示す方向へと視線を向ける。
――夜空。
その瞬間、視界いっぱいに広がる星々と月光。
黒い空に、無数の星が散りばめられていた。
大小さまざまな光が、まるで砂を撒いたように夜の空に浮かんでいる。
その光も、決して全てが同じ光り方ではない。
あるものは針で刺したように鋭く瞬き、あるものは柔らかく、灯りのように漂っている。
タルタリヤが、静かに言う。
「綺麗だろう」
一不は何も答えない。
ただ、空を見上げたまま立っている。
山の草が揺れる音。
夜風が頬を撫で、遠くで雲がゆっくりと流れる。
だがその間も、星の瞬きは変わらない。
月の光も、静かに大地を照らし続けている。
「星空ってさ」
タルタリヤは空を見つめたまま、ぽつりと続けた。
「どこで見ても大して変わらないと思わないか?」
その声は、いつもの軽い調子より少し落ち着いた声だった。
少し笑って、彼は指先で夜空を軽くなぞる。
「俺はスネージナヤでもよく空を見てたんだ」
肩をすくめて。
「でも。スネージナヤで見てた星と、今ここで見てる星」
少し指を横へ流し、そしてまた真上にある空を指差す。
「違いが俺には分からないや」
その言葉は、冗談のようでもあり、少しだけ真面目でもあった。
一不は空を見上げたまま、小さく言う。
「……同じだろ」
続ける。
「場所が変わっても、空は変わらない」
その声は静かだった。
タルタリヤがふっと笑う。
「だよね」
再び、沈黙が落ちる。
だが今までと違い、今回は歩かない。
二人はしばらくそうして、天蓋にある星々を見上げ続けた。
星は相変わらず、空いっぱいに広がっている。
ただ黙って空を見上げていると、世界は驚くほど広く、そして静かなものだと気づく。
黒一色ではなく、吸い込まれそうになる紺色の広がり。
その広い空を眺めていると、不意に一不の頭の中に、ある光景が浮かんだ。
黒い帽子。
赤い梅の瞳。
そして、あの無邪気な笑顔。
あの『言葉』を聞いた時も、確かこんな夜だった。
あれは果たして何年前だっただろうか?
週に一度の邂逅、そして空いっぱいに広がる星々を見上げた彼女は、その『言葉』を口にしたのだ。
雲一つない空と、月光に満ちた夜空。
こんな絶景は、そう――。
一不はふと、記憶に残るその先の言葉を小さく呟く。
「……詩を作るにはぴったりだ」
それは、本当に小さな声だった。
風に紛れれば消えてしまいそうな程に小さい、自分にとっての光の象徴である、彼女の言葉を倣った独り言。
それを吐き出すと同時、一不は視線を元に戻し、再び璃月港に向かって歩き出す。
だが、足音は一つだけ。
「…………?」
自分の足音だけがザッ、ザッと続く。
さっきまで当然のようにそこにあった、タルタリヤの足音が聞こえない。
一不は少しだけ気になり、振り返って彼を見た。
すると、そこではタルタリヤが、妙に意外そうな顔をしていた。
見た事のない表情だ。
目を少し丸くし、固まっている。
一不は眉を寄せる。
「……何だよ」
「…………」
タルタリヤは一瞬考えるようにしてから、笑った。
「いや」
そして言う。
「君って意外とロマンチストなんだね?」
一不の表情が固まる。
再びの沈黙の後、視線を前に戻し。
それから、面倒くさそうに言った。
「……さぁな」
それだけだった。
話を終わらせるような、短い言葉。
タルタリヤはそれ以上は聞かず、小さく笑ってまた歩き出す。
二人の影は、星明かりの下で並んで伸びていた。
そしてそのまま静かな山道を下りながら、ゆっくりと璃月港の灯りへ向かって歩いていった。
タル→家族が大事、でも悪事は闘る(戦うの大好き)。
一不→友達が大事、でも悪事は殺る(自己嫌悪)。
境遇は似てるけど根本が違う。
だから相容れない。