【完結】NGチルドレン【EVAFF】   作:ガルカンテツ

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Part-B

--校舎屋上

 惣流アスカと、碇レイ、洞木ヒカリ、霧島マナ、山岸マユミのクラスメイト5人でレジャーシートを敷き車座になって食事を取っていた。

 

 時刻は昼。第一中学校では、お昼休みに屋上を開放している。

 

 生徒は友達同士で集まり、お日様の下での食事とお喋りを楽しむ。チルドレンである彼女達も例外ではない。最近は、この5人で集まって食べている。

 

「もーボケボケしてるから、あんなことされて笑われるのよシンジはー」

 

 話題は、今朝のシンジの事らしい。真っ先に爆笑したアスカが怒っても説得力がない。

 

「それにしても、総司令ってお茶目なことすんのね~」

 

 普段は厳格な、裏を返せば何を考えてるか分からないゲンドウしか見ていない霧島マナは、ちょっと意外に思っていた。

 

「まあね、普段は恐いけど、家庭じゃ、やさしいおじ様よ。ね、レイ」

「うん、かわいいとこあるよ。お父さん」

(((かわいい???あの司令が???)))

 

 どうしても『かわいい』要素が思いつかない3人。アスカは構わずゲンドウについて言及する。

 

「なんか、シンジをからかう事に生きがいを感じているのよね。なんでかな?」

「ある意味親ばかって事かもね。ねえアスカ、碇君、他のクラスの人とかに見られなかったのかな?」

「んー登校するのが早かったんで、見られてないって言ってたけど……」

 

 チルドレンには、一応、保安部の監視が付くことになっているので、全然ってことはないだろう。今頃、報告書が総司令と副司令の元に行っていて一悶着起きているかもしれない。

 

「そーよねー。もしファンの子に見られていたら、どんな騒ぎになってたか分からないわねー」

 

 マナは一人納得したような表情で、明るい茶色のショートカットを揺らしながら頷いた。思わず、そのキーワードに反応してしまうアスカ。

 

「は?ファン?なにそれ?」

「えー!?アスカ知らなかった?シンジくんモテるのよ?ファンの子とか結構居るし」

「モテるぅ~?あのバカがぁ~?」

 

 呆れたようなバカにしたような表情のアスカだが、眼鏡を掛けた黒髪ロングの山岸マユミもマナに同調する。

 

「そうですよアスカさん。ファンクラブもあるんですから……」

「マユミまで、そんなこと言って~」

 

 半笑いでぱたぱたと手を振るアスカ。そのときごそごそと何かを取り出したレイが、アスカにカードのようなものを見せる。

 

「ほんとだよ~?ほら会員証」

「あら、ほんとだ『碇シンジファンクラブ』って書いてある……ってなんで、レイが持ってるのよ!」

 

 きちんとラミネートで保護されている会員証をひらひらとアスカに見せびらかす。

 

「へっへ~いいでしょ?特別会員なんだよ?」

「妹のアンタがファンクラブ入ってどーすんのよ?」

「いーじゃん。お兄ちゃんのこと好きだし」

「ブラコン」

「べ~~だっ」

 

 アスカとレイが言い合っている間に、マユミとマナもごそごそとカードを取り出し、

 

「まあまあ、……あの実は私も……」

「あたしも!あたしも!」

 

 と、言って会員証を見せる。アスカは2人のカードをしげしげと眺めた後、その場に居るもう一人の顔に目を向ける。

 

「マユミとマナまでぇ?まさかヒカリも持ってんじゃないでしょうねぇ?」

「はは、持ってないわよ」

「まあ、ヒカリには鈴原が居るしね。「んな゛っ」それにファンクラブっていっても特になんかイベントがある訳じゃないのよ。反って本気の子は、入ってないっていうし。流行みたいなもんよ」

 

 さらっととんでもないことを言われてビックリしたヒカリをほっといて、説明するマナ。アスカはカードを眺めたまま呟く。

 

「う~~~ん、知らなかった……」

「ほら、シンジくんって、Nerv総司令とユイ副司令の息子でしょ?玉の輿って意味もあるんじゃない?それに、ユイさんに似て美形だし」

「美形ぃ~~?」

「そうなの!ウチのクラスの三大美形と言えば、シンジくんと鞍馬君と……」

「ボクのことを呼んだかい?メリ~ちゃん達ぃ?」

 

 色黒で長髪を後ろで縛った男が、いきなりマナとマユミの間から顔を出した。

 

「「きゃーーー出たーー!!浅間ヒデアキだー!ナンパされるぅーーー!」」

 

 殆どノリと勢いでレイとマナが絶叫する。目をぱちくりするマユミとヒカリ。

 

「はっはっは。そんなに照れなくてもいいじゃないか」

 

 くねくねと変な動きをする浅間ヒデアキ。確かに美形だが、どこか軽さも感じる。アスカは手をひらひらさせ追い払う仕草を見せた。

 

「誰もアンタなんか呼んでないわよ。シッシッ!」

「つれないねー。アスカちゃんは」

 

 大げさなポーズを見せるヒデアキに、アスカは呆れ顔で反応する。

 

「『アスカちゃん』っていうな!アンタ、鞍馬やユキノと一緒じゃなかったの?」

 

 浅間ヒデアキも2年A組、つまり第四次選抜適格者(フォースチルドレン)だ。マジメで優等生の鞍馬ソウイチロウとは正反対の性格だが、何故か気が合うようでよくつるんでいる。しかし最近はそれに加賀ユキノが加わって3人でいることが多い。ヒデアキは付き合っている2人にちょっと遠慮しているようだ。

 

「あんな『ラブラブフィールド』に近寄れるかっての!それより、加持師匠が戻ったって聞いてる?」

「えっ!?加持さんが?ドイツから?ううん聞いてないわよ?……ところで師匠ってナニ?」

 

 意外な名前が出てきてビックリしたアスカだったが、キーワードに違和感を覚えた。

 

「もちろんナンパの師匠!」

「あっそ」

 

 呆れて半眼のアスカをほっておいて、顎に手を当て思案するヒデアキ。

 

「そっか惣流も知らなかったか。結構急ぎだったのかな?」

「さあ?ミサトなら知ってるかも……仮にも付き合ってる訳だし……」

「ああ、あの二人、大分前に別れたって聞いたぜ?」

「え゛っ!?」

 

 びっくりするアスカを見てニヤリとする。

 

「大人の恋愛には色々あんの。おこちゃまな惣流には分からないかな?」

「だっ!!誰が、おこちゃまよ!!」

「まあ、本部へ行けば分かるか。じゃねメリ~ちゃん達ぃ。まだ時間あるな。……ジャンでもからかうか」

 

 憤慨するアスカを無視して、ヒデアキは獲物を見つけたような顔で物陰でコソコソしているクラスメイトのジャン・バールに声をかける。

 

「よぅ!ジャン!なにナディアちゃんのこと覗いてんだ?」

「ちっ!!ちがっ!!」

 

 言いたい放題で行ってしまった。あっけに取られる5人組。

 

 キーンコーンカーンコーン♪

 

「あ、予鈴だわ!みんな教室に戻りましょ」

 

 真っ先に立ち直ったヒカリが皆を促し、お弁当箱やレジャーシートを片付け始める。

 その時、雲一つなかった屋上に日が翳った。思わず空を見上げると、三角形の影が9つ。

 

「到着したみたいですね。……私達のEVAが……」

 

 影の正体は、EVA輸送機。最大級の翼の意味を名に持つ巨大全翼機C-3『V-MAX』をEVA輸送用に改造した派生型だ。護衛機が点にしか見えないことからも、その巨大さが分かる。

 

「ああ、アレがミサトが朝言ってたやつか。やっと到着したのね。よかったわねマユミ?」

「え、ええ……」

 

 アスカは純粋にマユミが喜んでいると思っていたが、マユミは複雑な表情を浮かべていた。

 

「?あんまり嬉しそうじゃないわね?乗りたくないの?」

「い、いえアスカさん。そう言う訳じゃないんですけど」

「じゃあどうしたの?」

 

 責めるような口調ではなく、ただ疑問に思っただけのアスカ。それに少し考えながらマユミは答えた。

 

「人類を……みんなを守れるってことはいい事なんですけど、その為には使徒を倒さなくてはならないですよね?」

「もちろんじゃない!」

「……あの使徒って生物なんでしょうか。だったら殺さないといけないんですよね。そうしなければいけないことは分かるんですけど、どうしても生き物を殺すことに抵抗が……」

 

 マユミは、しどろもどろになりながらも、なんとか自分の気持ちを説明しようとする。その言葉に今度はマナが腕組みをしながら反応した。

 

「う~ん、そうよね」

「マナさんも、そう思うんですか?」

「……この間の戦闘記録をデブリーフィングで見たでしょ?」

 

 デブリーフィングとは作戦後の反省会みたいなものだ。マナはそのときの映像を思い浮かべながら話す。マユミも映像にあった弐号機の活躍を思い出していた。

 

「ああ、アスカさん大活躍のやつですね」

「ふふん、戦いは、常に無駄無く美しくよ!」

 

 ドヤ顔で胸を反らすアスカに、マナはなんかイヤなものを見たような顔をする。

 

「っていうか、アスカ。よくあんなキモチワルイのに近寄っていけるわね?」

「へ?」

「そうなのよ!マナちゃん!あのテラテラと光ってるとことか、ワキワキ動く足とか……」

「レイちゃんは間近で見たんだったわね。まあ、使徒があんなのばっかりだったら戦うのはやだなーと」

「私の思いに同意してくれたんじゃないんですね。(しくしく)」

 

 がっかりした表情を見せるマユミに、マナは使徒の印象について言及する。

 

「使徒が生物かどうかは知らないけど、生理的嫌悪感があるのがイヤなのよ。もっとシンプルな形だったらいいんだけどね。それにしても……」

 

「「「「「使徒ってなんなのかしら?」」」」」

 

 最後は全員が同じ気持ちでハモった。

 




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