【完結】NGチルドレン【EVAFF】   作:ガルカンテツ

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Part-I

--臨時EVA駐機場

 EVANGELIONの標準色グレーのEVAが3機そこに駐機していた。

 

 綺麗に並んではいない。マユミの十四号機は普通に立っているが、ユキノの十二号機とその後ろのキミコの十三号機が縦に並んで座っている。まるで日本猿が蚤取りをしているようだ。

 

 何故か十二号機の横に赤い小屋のような物があった。屋根に当たる部分が開いている。

 

『加賀さん。ちょっといいですか?』

 

 十三号機のキミコから通信が入る。ユキノは持ちこんだ防L.C.L仕様のノート型端末の入力を止め、通信ウィンドウを開く。現れた姿は、大きな丸いメガネに三つ編みのお下げ2本という、いかにも『ヒロインの友達その1』といった感じの娘だった。

 

「ユキノでいいわよ……で、なに?」

『すみませんユキノ、3番レンチ取って貰えますか?』

「はいはい。これね」

 

 十二号機が、横の小屋から巨大な鉄骨を取りだす。それはEVAサイズの六角レンチだった。赤い小屋のようなものは、EVAサイズのツールボックスで、ボックスの横に『Kimiko's ToolBox』とペイントしてある。巨大レンチを後ろの十三号機に渡す。

 

「ほい。レンチ」

『ありがとうございます』

 

 十三号機は座った状態で十二号機の背中に向かって、なにか作業をしている。

 

 飛龍キミコ。十三号機専属搭乗者。特技は『工作』。チルドレンの中で、EVANGELIONのハードメンテナンスができるのは彼女だけ。EVAでEVAサイズの工具を使って作業も出来るし。もっと細かいことも可能だ。

 

 今は、EVA十二号機の背部、アンビリカルケーブルソケットの改造をしている。

 

 少し離れた場所で、ミサトとマコトが作業を見守っていた。

 

「しっかし、よくこんなこと思いつきましたね~」

 

 マコトが感心してるんだか呆れてるんだか、判断がつきにくいコメントを出す。

 

「……まあね、リツコに相談したときは、半信半疑だったんだけど」

 

 

--『サンxサン・フィレッチェ作戦』発動直前

『なーにーミサト。こっちは忙しいんだけど』

 

 眠いんだけど。という返答を予想したミサトは、ずっこけた。

 

 アメリカ中部と日本の時差は15時間。こちらが今丁度13:00だから、日本は今、明け方の04:00。そりゃ、いつも徹夜しているリツコだが、徹夜が7日以上続いてダウン寸前。ようやく区切りがついたので、休めると思ったところへ、使徒来襲。

 さすがに遥々北米大陸までは、きつかろうということで赤木博士はお留守番。使徒戦中は待機状態で仮眠を取ってもらい、事がすんだら3日の休暇。

 

「の、はずでしょ?なんで、仕事してるのよ」

『MAGIのバージョンアップ作業に、手違いがあったのよ。その対応』

「9機のEVA受け入れ後に、それ?アンタいつか死ぬわよ」

『こんなの平気よ。……と言いたいけど、さすがにきついわ。やっぱり学生の頃と比べて体力が落ちてるのかしら……』

 

 エンジニアとしては全然若い部類だが、いくらでも徹夜できた学生時代を比べると劣ることは間違いない。ほぼ同い年のミサトは自分も若くないと言われたようでイラっとする。

 

「アタシにその理由を言わせる気?それより聞きたいことがあるんだけど……」

『なに?簡潔にね。早く作業に戻りたいから』

「作業自体するなっちゅーに。一言でいうと、強力なライフルが欲しいの」

『……ポジトロンライフルが、現在ウチで最強よ』

「それが、通用しなかったから相談してるんじゃない」

『一応こっちで計算したんだけど、あのA.T.フィールドを貫通するには、そうねぇ例えるなら日本中の電力を合わせたくらい?のエネルギーが必要よ。無理ね』

 

 しっかりとこちらの状況をモニタリングしていたようだ。話が早くて助かる。

 

「なんだ。こっちのこと把握してるじゃない。……今、日本中の電力って言ったわね?それでポジトロンライフルを撃てるの?」

『ええ、多分1発が限度ね。それ以上は砲身が持たないわ。でも肝心の電力はどうするの?』

「前に、S2機関って日本中の電力くらい絞り出してるって言ってたわよね?それを使えない?アンビリカルケーブルのソケットから逆流させてさ」

 

 リツコはミサトの案をMAGIに掛けて検討させてみる。

 

『……ちょっと待って計算するから……いけそうね……あの使徒のA.T.フィールドを貫くには全エネルギーが必要ね。つまりエネルギーを供給するEVAは1歩も動けないってこと』

「んーそれは、しょうがないわ。で、いける算段は出来たわけね!」

『今、MAGIに、改造プランを作らせているわ。出来たらそっちに送るから、改造作業を飛龍さんに、FCSのプログラム変更を加賀さんにやってもらって頂戴』

「ありがとー!やっぱ持つべきものはって、切れてるし」

 

 

--『屋島作戦』発動直前

 数時間前と同じように、マユミのEVA十四号機がうつ伏せになって狙撃姿勢を取っていた。

 

 構える銃も、前回と同じ、EVA用陽電子砲『ポジトロンライフル』。

 

 しかし、違う点がある。ライフルの横から太い線が伸びていた。繋がっている先はユキノのEVA十二号機の背中。EVAの動力源、S2機関の全エネルギーをライフルへ供給する。

 

 その十二号機はキミコのEVA十三号機にオンブされていた。射撃後、その場を離れるとき動けない十二号機を運ぶ為だ。

 

「あの、エネルギー臨界です。準備はよろしいですか?」

『ええ、いつでもどうぞ。私のEVAの全エネルギーあなたに預けるわ』

「はい、がんばります。葛城大尉。準備が整いました」

 

 マユミは指揮所のミサトに連絡を取り、準備ができたことを伝える。

 

『了解、最終安全装置を解除します。ライフルは一回しか使えないから逃げるとき捨てても構わないわ』

「山岸了解です」

『飛龍さん、加賀さんをよろしくね』

『飛龍了解です!ユキノは私が守ります!』

『キミコ、ただ運ぶだけでいいからね?』

 

 十二号機をおんぶしているキミコは妙に気合の入った返事をした。ユキノはEVAとシンクロして同じように脱力しながらもツッコミを入れる。

 

 ミサトは構わず作戦開始を宣言する。

 

『では、初号機の救出および使徒殲滅作戦。『屋島作戦』開始!』

「了解!」

 

 狙撃用のスコープを被る。使徒の中心を狙い、インダクションモードのトリガーに指を掛けた。その瞬間、指揮所から報告が入る。

 

『使徒の内部に高エネルギー反応!!』

(気づかれた!?)

 

 しかし、次の瞬間に放たれた加粒子砲は、全然見当違いの方向だった。

 

 加粒子が放たれ終わると、例の穴から銀色の『翼を持ったEVANGELION』が飛び出してくる。

 

 どうやら、アレを狙ったらしい。フェイントに引っかかったのか掠りもしなかった。そのまま上昇して行く銀色の機体。

 

『山岸さん!!今がチャンスよ!!』

 

 ミサトからの通信に、マユミがすばやく反応してトリガーを絞る。

 

 前回とは比べ物にならないエネルギーが放たれ、そのまま直進して使徒に向かう。空中に八角形の波紋が生まれたが、今度は弾かれることはなかった。

 

「やった……!?」

 

 青い正八面体は確かに砕けた。陽電子が当たる前に。

 

 使徒は自らを分解して隙間を作り、陽電子を通過させていた。パーツの一つ一つは形が違っており、全てを組み合わせると正八面体になる。まるで立体パズルのようだ。

 

 その中心は、大きな紅玉のパーツ、使徒のコア。

 

『ぬ、ぬぅわんてインチキ!!!!!!!』

 

 ミサト、魂の叫び。

 

 しかし、それ以上にインチキなことが起きる。

 

 例の穴から、またEVANGELIONが出てきた。

 

 白と青の『翼を持ったEVANGELION』と、その2機にぶら下がった、EVANGELION初号機。

 

 目の前に、大きなコア。

 

 

--簡易指揮所

「「「「「あ」」」」」

 

--第三小隊(俗称:メガネっ娘小隊)の各エントリープラグ内

「「「あ」」」

 

--モニターで、様子を見ていたアスカと、レイの居る臨時治療所

「「あ」」

 

--使徒『ラミエル』の心の声(想像)

「あ」

 

--EVA初号機エントリープラグ内

「あ」

 

 初号機は右手を離し、肩のウエポンラックからプログナイフを取り出す。

 

「えい」

 

 シンジのとても力が入ったとは思えない掛け声から、ナイフが放たれる。

 

 サクっとナイフが刺さり、ビキンっとコアが割れた。浮いていた青いクリスタルのパーツが次々と地面に落ちる。使徒殲滅。

 

『ぬぅわんてインチキ!!!!!!!』と、言いたいのは使徒の方だったろう。

 

 

--白いErzengel参番機エントリープラグ内

 翼を持ったEVANGELIONは、独語で大天使の意味を持つ『Erzengel(エルツエンゲル)』と呼ばれていた。その翼は鳥のような羽根で構成されている。まさに天使の姿だ。

 

 その参号機のエントリープラグ内に、通信を通して微かに響いていた。

 

「歌はいいねぇ。歌は心を潤してくれる。リリンの生み出した文化の極みだよ。そうは思わないかい?レイ」

『そお?』

「そうさ。だから君だって歌っていたのだろう?」

『歌っていた?私が?……そう……』

 

 眼下に、手を振っているEVA初号機が見える。カヲルはそれを見ながら微笑んでいた。

 

「シンジ君。僕は君にとても興味が沸いてきたよ。必ず会いに行くよ。すぐにね」

『……ずるい』

 

  続く

 





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