【完結】NGチルドレン【EVAFF】   作:ガルカンテツ

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第4話 『昼』の子供達
Part-A


 ホントに、すぐ来た。

 

「よろこべ~女子ぃ~うわさの転校生を紹介するぅ~!!」

 

 口調は軽いが、ミサトの顔は強張っていた。

 

 そのミサトの影から、銀髪に赤い目と言う特徴を持った美少年が笑顔で現れる。

 

「渚カヲルです。よろしく」

 

 

--(昨日)野外模擬戦場

 オリーブ・グリーンと、ウッドランドパターンのEVAが対峙していた。

 

 グリーンが霧島マナの六号機。迷彩がムサシ・リー・ストラスバーグの七号機。

 

『ぬっふっふっふ、むぅ~~~さぁ~~~しぃ~~~覚悟はいい!?』

「ううぅ~~~マナ恐いよ~いつもとキャラが違うよ~~」

 

 2機ともナイフを構えていた。訓練用のナイフで、刃に切断能力はない。胸に紅玉が付いているが、単なるハリボテだ。これを破壊することが勝利条件。

 

 ブラウンの髪と瞳を持ち、明るく活発に動く霧島マナは、誰もが認める美少女だ。しかし、刃物を持つと性格が変わる模様。いつもの明るい笑顔が、ニタ~となっている。いまにもナイフを舐め出しそうだ。EVA六号機には口がない為、出来ないが。

 

 対する七号機のムサシ・リー・ストラスバーグと、そばで見守っている八号機の浅利ケイタは、同じマナ率いる第一中隊第二小隊の隊員だ。出身も同じ。戦略自衛隊。

 

 戦略自衛隊は、既存の航空、海上、陸上に続く第四の自衛隊で、創設は2005年。セカンドインパクト後に、自衛隊の指揮権を地球統合政府(当時は、まだ国連)に譲渡した日本政府だったが、やはり自国を専任で防衛する組織が必要と判断して、急遽、創設された。

 

 その戦自の士官候補を教育する機関、戦略工科学校中等部の編入組である3人は、武器に関

して精通しており、軍隊格闘技とも合わせて総合戦闘力が高い。どの距離、どの武器を使わせても高い能力を発揮するが、今は対使徒を想定して最近距離戦の訓練中だ。

 

『くぅ~~~わぁ~~~くぅ~~~ごぉ~~~!!』

 

 EVANGELIONの基本装備武器プログナイフ(の訓練用)を振りかざして迫る六号機。

 

 ちょっち、いやかなり恐い。

 

「ひえ~~~」

 

 マナに惚れているムサシ(周囲にばればれ)は、引きつつも、ナイフを構える。

 

 しかし、彼の視界を白いものが塞いだ。

 

『やあ、なにをしてるんだい?』

 

 スピーカーから、とぼけた声で、とぼけた事をぬかすのは、渚カヲル。

 

 白い物体は、Erzengel(エルツエンゲル)参番機。突如、空から舞い降りた。

 

 当然、後ろからマナの六号機にガツンとドつかれる。

 

 いきなり来た白い『翼を持ったEVANGELION』は、いきなり倒された。

 

 

--訓練指揮用仮設テント

「で?」

 

 パイプ椅子に座り足を組みながら、ボールペンを咥えたミサトは半眼で問い掛けた。

 

「はあ、ですから、シンジ君に遊びに来るように言われたもので……」

 

 まだ、シンクロ時の痛みが残っているのか後頭部をさすりながら答えるカヲル。

 

 周囲には銃で牽制している作戦部スタッフと、遠巻きに見ているチルドレン。彼の乗ってきたErzengel参番機は、EVA六号機と七号機に両脇を固められている。

 

「遊びにって、ここに?」

「ええ、第三新東京市に。途中、上空からEVAが見えたので降りてきました。本当は、第一中学まで行こうと思ったんですが」

「第一中学?」

「はい。シンジ君達チルドレンが居ると……」

「ほほぅ……シンちゃ~~~ん。ちょっち、いらっしゃ~~~い」

「はい、なんでしょう?」

 

 カヲルが来た事を素直に喜んでいるシンジは笑顔だ。その笑顔のまま、ミサトにゲンコツを食らうシンジ。

 

「あいた!」

「シンちゃん!知らない人にぺらぺら機密をしゃべっちゃ駄目っていつも言ってるでしょう!?」

 

 ほとんど「知らない人に付いて行っちゃ駄目」レベルだ。幼児並。

 

 前回の戦闘報告書で、『翼を持ったEVANGELION』の搭乗者と接触があったことは、既に知っていたが、よもや第三新東京市に居ることを教えて来るように誘っているとは。

 

「えーミサトさん知らないんですか?渚君もチルドレンなんですよ」

 

 頭を押さえつつ、不満げに話すシンジ。ちょっと涙目。

 

「カヲルで、いいよシンジ君」

「う、うん。カヲル君は、第五次選抜適格者(フィフスチルドレン)だそうです」

「フィフス~?聞いたことないわ」

「知らないのは、当然と思いますよ。第五次選抜は、マルドゥック機関が行ったものじゃありませんから。選抜は、Seeleで行われました」

 

 カヲルの発言を聞いた瞬間、ミサトの表情が変わった。

 

「詳しい話を聞きたいわね。でも、ここじゃなんだから本部に戻りましょう」

 

 

--総司令専用会議室

「どういうことですかな?」

 

 碇ゲンドウは、机に肘をつき手を組み口元を隠す、いつものポーズで発言した。その声色は部下なら一瞬ですくみ上ってしまうものだった。

 

 しかし、その相手は、部下ではない。

 

『碇君!なんだね、その口の聞き方は!』

『さよう。もっと口を慎みたまえ』

 

 この会議室には、明りが灯っていない。暗闇のなかに、五人の老人が浮かび上がっている。いずれも立体映像だった。

 

『なんのことだ?碇』

 

 バイザーを付けた老人が発言する。他の老人とは格が違うようだ。

 

「我々の知らないチルドレンのことですよ。キール議長」

『彼らは、計画に必要な人材なのだよ』

「計画?計画とは、表向きの人類補完計画のことでしょうな」

『なにを指して表向きと言っているのか分からんな。人類の有する資源。食料、財産等を平等に再配分することが、人類補完計画だ。裏死海文書の通りに使徒を全て倒した後のサードインパクト、アンチA.T.フィールドによる人類の単体生物への進化。『魂』という資源を平等に配分する。それも計画の内だよ。表も裏もない』

 

 ゲンドウは内心、何が平等だ。ただ神を気取りたいだけだろうが。と悪態をついたが、声には出さず。本題を追求する。

 

「で、子供達は、何に利用するのです?」

『利用とは、人聞きの悪い。彼らは安全弁だよ。君達へのな」

「……説明していただけますか」

 

 色の入った眼鏡の奥で目を歪める。

 

『武力も平等にする為だ。EVANGELIONは強すぎるのだよ、碇。特に初号機がな。特に、第三使徒戦で見せたアンチA.T.フィールド。十分、脅威に値するよ』

「我々は、地球統合政府の下部組織です。EVANGELIONも当然、政府の物だ。初号機に関しても全て報告しました。アンチA.T.フィールドとは何のことですかな?」

『あくまでもシラを切るか。まあいい。EVANGELIONの強さは魂の強さそのものだ。あの貴様が子供をまともに育てるとはな』

「……確かに私は、ユイと出会って変わった。しかし後悔はしていない。むしろ、出会わせてくれたあなたに感謝したいくらいだ」

 

 キールの言葉に、一拍置いてゲンドウは答えた。少し声のトーンを変えて。

 

『魂の定義をした碇レポートの執筆者を取りこむ。という意味しかなかったのだが。……これまでだな。もう人類補完委員会として貴様と会うことはない。次に会うのはHirn(ヒルン)の特別諮問機関Seeleとしてだ。では、冬月先生によろしくな』

 

 5人の老人が、闇に溶けこんだ。ゲンドウ一人、闇に浮かぶ。

 

「……17番目の使徒を倒した瞬間から全てが始まる……私は家族を守る為ならなんでもしよう。だが、人類を救えるのは、シンジお前だけだ。全てが終わったとき、ユイの、レイの、お前の知る全ての人の顔が笑顔であって欲しい。私は、罪に塗れている。罪は償わなければならない。私以外の人々に祝福される結末を。『福音をもたらす者(Evangelize)』に」

 

 ゲンドウも闇に消える。

 

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