【完結】NGチルドレン【EVAFF】   作:ガルカンテツ

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Part-C

--放課後

 一般の生徒は、それぞれ部活動に勤しむとき、または帰って遊ぶとき、彼ら2年A組の生徒は別のことをしていた。『EVANGELION搭乗者訓練部』といったところか。

 

 訓練は主にNerv本部のあるジオフロントで行う。ジオフロントへは色々な交通手段があるが学校の敷地内にある施設が、よく利用されていた。

 

 シンジ達は昇降口を出た後、校門へ向かわず、校舎の隣にある建物に向かう。

 

 扉をくぐると、駅の自動改札口なようなものが見える。それにIDカードを通し内部に入ると直ぐに自動ドアがあり、その先は8畳ほどの部屋になっていた。椅子もある。実は、この部屋自体が、移動してジオフロントに向かう。トラムと呼ばれるそれはエレベーターと列車を合わせたようなものだった。IDカードによって行き先が決定される。

 

 五分ほどで到着した階層には、チルドレンの訓練施設が揃っている。

 

 今日の訓練メニューは格闘技。対使徒戦闘では、A.T.フィールドをいかに中和して攻撃を当てるかが重要だ。中和をするには近ければ近いほどいい。自然と近接戦闘が中心になる。

 

 全員、体操服(学校指定のもの、といっても訓練も考慮されているので普通より頑丈)に着替えて、第2闘技場へ集合する。一部畳になっており、空手、柔道、剣道などが可能。訓練には作戦部から教官が付き指導が行われる。

 

 今日の教官は、日向や青葉とも面識のある衣笠リュウ中尉だ。一通りストレッチを行った後、集合させた。

 

「君が、新しく来た渚君か。この訓練では格闘技の実力で、ABCの3つのグループに分かれて行うんだが、君の実力を知りたい。格闘技の経験は?」

「特に、ありません」

「そうか、じゃあちょっと誰かと試合をしてもらえるかな?それで判断しよう。誰か彼と試合をしてくれないか?」

「俺がやります」

 

 天城シズマが手を挙げる。他に手を挙げている人はいない。皆がシズマに注目する。

 

「天城か、じゃあ頼む。……手加減しろよ?」

 

 シズマはAグループの中でも1、2をトウジと争う強さだ。ちなみにシンジはCグループ。

 

 渚カヲルと、天城シズマが対峙する。

 

(キツイのをお見舞いしてやる。正体現せや!)

 

「始め!!」

 

 衣笠が開始の合図をしたと同時にシズマが飛び出した。

 

 左右に体を振った後、いきなりしゃがむ。急な縦への変化で相手には消えたように見えただろう。

 

(九九式 肝爆(かんばく)!!)

 

 伸び上がりながら鳩尾へ肘を叩きこむ。水月とも呼ばれる有名な人体の急所、鳩尾は内臓に近く、横隔膜、心臓、気管支にダメージを与え、呼吸困難を引き起こす。シズマが体得している草薙流古武術では、ダメージが突きぬけるのではなく体にとどまる打ち方をする為、へたをすると内蔵破裂にまで及んでしまう。コマンドは↓→+P(嘘)

 

 しかし、カヲルは上体を反らして、ひょいっと避けた。空を切るシズマの肘。

 

「やるやんけ!これならどうや!」

 

(壱式 早武刺(はやぶさ)!!) 解説:相手の背後に回り上段蹴りを延髄に叩き込む技

 ひょい

 

(九七式参号 冠攻(かんこう)!!) 解説:いわゆる踵落とし

 ひょい

 

(四式 疾手(はやて)!!) 解説:えーっと、速いパンチ

 ひょい

 

(死電(しでん)!!) 解説:蹴る技

 ひょい

 

(死電改(しでんかい)!!) 解説:上と同じ

 ひょい

 

(零式弐壱型 貫城(かんじょう)!!) 解説:もう考えるのが面倒なので想像してください

 ひょひょい

 

「ぜーーはーーぜーーはーー」

 

 息切れのシズマ、一発も攻撃が当たらない。殆どが一発当たれば瀕死の一撃なのだが。一方のカヲルは涼しい顔だ。息切れ一つない。

 

「くっまだまだぁ!!!」

 

(飛炎(ひえん)!!隆星(りゅうせい)!!弐式 鍾鬼(しょうき)ぃ!!)

 ひょひょひょい

 

(烈風!震電!富嶽!閃電!秋水!桜花ぁ!)

 ひょひょひょひょひょひょい

 

 ついには秘奥義まで繰り出したシズマだったが、一発も当たらずスカされた。カヲルは一度も攻撃していないが、シズマは疲れて既に倒れそうだった。

 

「くっ、ずるいぞぉ!そっちも攻撃してこいや!」

 

 自分の攻撃が一発も当たらないことを棚に上げ、別にずるくもなんでもないことを責める。

 

「ん?そうかい?それじゃ」

 

 それでも、カヲルは納得して攻撃に移る。足を上げ上段蹴りをするようだ。

 

(へっ!こんな緩いのなんかガードするまでもない)

 

 しかし、いきなりカヲルの足が加速した。

 

(なんだ!?頭が引きつけられる!?)

 

 思わず腕でガードしたが凄まじい衝撃がシズマを襲う。そのまま吹き飛ばされた。

 

「ぐわっ!!」

「それまで!!」

 

 衣笠の宣言で終了する。終わってみればカヲルの圧勝だった。

 

「大丈夫かい?」

 

 倒れたシズマに、手を差し出す。

 

「あ、ああ」

 

 その手を掴んで立ちあがる。

 

「凄いな。お前」

「いや、たいしたことないよ」

「気に入ったぜ。これからもよろしゅーな」

「こちらこそ」

 

 男の友情が芽生えたっぽい。なんか夕日でも見えそうだ。ジオフロントの建物の中だが。

 

 拍手を受けながら戻るカヲルに、シンジが話しかけた。

 

「凄いよ!カヲル君!やっぱりなんか格闘技やってたの?」

「いや、只、『ヒトを形作る』A.T.フィールドを反発、吸引させただけさ」

「へ?」

 

 なんか満足げなシズマの頭に竹刀が振り下ろされる。

 

「いて!なにすんねんリョウコ!」

「なに、負けてんの?相手を舐めているから、こういうことになるのよ」

 

 ポニーテイルの瑞鶴リョウコは、竹刀で肩を叩きながら不満げにもらす。別に舐めてなどいなかった。全力で潰しに行ったのだが。

 

「まあ見てなさい。私が敵を討ってあげるわ☆」

「お、おい。気ぃつけろよ?アイツの強さは半端じゃねーぞ」

 

 彼女のウィンクに、ちょっと見惚れながらシズマは忠告する。

 

「分かってるわよ……教官!次は私が、相手します!」

「ん?瑞鶴か。そうだな武器格闘の実力も試す必要があるだろう。渚!一試合やった後だが構わないか?」

「ええ、僕は大丈夫です」

 

 使徒との戦いにはルールがない。だから何を使おうと文句はない。だったらやはり素手よりも、何らかの武器を使うのは当然だろう。

 素手では男女別に行う試合も、武器使用の場合男女混合で行われる。

 

 リョウコは竹刀を持って構えた。カヲルは、まだ使用する得物を物色中。

 

「……これがいいかな」

 

 カヲルが選んだのは、細身のウレタン刀。片手で構える。

 

 リョウコは、初めて対峙するフェンシングの構えをみて動揺した。先ほどの戦いで見せた体さばき。シズマの強さはよく知っている。手加減できるほど器用でないことも。

 

「始め!」

 

(ええい、考えたって始まらないわ!)

 

 一気に踏み出したリョウコは、大上段に構えた竹刀をカヲルの頭へ振り下ろす。

 

 すぱぁーーーん!!!

 

「あれ?」

 

 と、呟いたのはリョウコ。

 

 しゅうぅぅと頭から煙を出しながらゆっくり倒れるカヲル。表情は変わらないまま気絶したようだ。まあ、竹刀にA.T.フィールドはないわな。

 

 

--医療室

 ベットに寝かされていたカヲルが目を覚ました。額に手をあてる。まだ痛みが少し残るが、たんこぶは出来ていないようだ。濡れたタオルが乗っかっていた。ふと横を見る。

 

「あ、気が付いた?」

 

 リョウコが付き添っていたらしい。責任を感じてのことだろう。

 

 ウレタン製の模擬刀ならともかく竹刀で試合をする場合、防具は必要だろう。カヲルが圧倒的な強さを見せていたので失念していたし、同様に指摘すべき衣笠リュウ中尉も忘れていた。

 

「大丈夫?」

「ああ、もうなんともないよ。看病してくれたのかい?ありがとう」

「あ、あたり前のことよ。でも、なんで避けなかったの?」

 

 カヲルの笑顔に動揺しつつ、リョウコは疑問をぶつける。

 

「ん?単純に避けきれなかったからだけど。そうだね。強いて言えば、君の技が美しかったからかな」

「え?」

「いやあ、美しい人は、技まで美しいんだね。でも一番綺麗なのは瞳かな。その吸い込まれそうな瞳に負けたのだろうね僕は」

「え?え?」

「さあ、皆の所へ戻ろうか。心配させないうちにね」

「え?え?え?あ!はい……」

 

 いつものリョウコなら爆笑でもしそうな台詞だが、カヲルに見つめながら言われると不思議に顔を赤らめながら聞いてしまう。やっぱり顔か。

 

 ともかく渚カヲルの評価は固まった。

 

 男子は強いということで、満足している者もいるし、話してみて意外に良いやつだったり、必要とあればY談だってできるなど、外見とは裏腹に14歳という年齢に相応しい普通の男子中学生だったので、安心して受け入れた。

 

 女子は、まず顔で評価が決まったし、リョウコから聞いた話と、普段のフェミニストぶりからファンを自称する娘まで出てくる。

 

 3日後には、完全にクラスに馴染んでいた。

 

 

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