【完結】NGチルドレン【EVAFF】   作:ガルカンテツ

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第10話 『空』から来るもの
Part-A


--長野県南佐久郡南牧村野辺山付近

「えっ?まさか、使徒……?これが使徒?」

『そうだ。目標だ』

「目標って、これはEVAじゃないか……」

 

 

--(数時間前)長野県長野市松代町 Nerv第2実験場

「エントリープラグ、固定完了。第一次、接続開始」

「オールナーブリンク、問題なし。リスト2550までクリア。ハーモニクス、すべて正常位置」

「絶対境界線まで、あと1.5……1.0……0.5、0.4、0.3、0.2、0.1……ボーダーラインクリア!シンクロ率95.9%で安定。EVA初号機問題なく起動しました」

 

 オペレータの報告にとりあえず一息つく。

 

 先日の衛星軌道上でのEVA初号機の暴走は、使徒殲滅後にシンジが意識を取り戻し止まった。ミサトの依頼で、ここ第2実験場を使って暴走後の初号機に問題ないかのチェックをリツコ主導で行っている。

 

 当のミサトはロンギヌスの槍の回収のため、まだサハラ砂漠に居る。使徒の解体と槍の回収にシンジ以外の第一中隊が駆り出されていた。

 

「シンジ君。気分はどう?」

『はい。問題ないです』

「そう。腕を動かして見てくれる」

『はい』

 

 ケージを映しているモニタでは、EVA初号機が腕を動かし手をにぎにぎしている。

 エントリープラグを通して取得しているデータも問題ないことを示していた。

 

「……問題無さそうね。シンジ君、もういいわよ。上がって頂戴」

 

 エントリープラグは以前より大幅に強化され、何重にも暴走状態を阻止する手段を組み込んでいたが、再び暴走が起こってしまった。

 

 EVA第一中隊全ての記録と統合軍の電子戦機の情報から分析しているが、使徒の謎の攻撃がきっかけとしか分かっていない。可視波長のエネルギー波でA.T.フィールドに近いものらしいが熱エネルギー反応無し。ただ、その光線はEVAパイロット対して精神攻撃を行ったようだ。

 

(使徒が心理攻撃……まさか、使徒に人の心が理解できるというの?)

 

 

--Nerv本部 中央発令所

「第二EVA輸送中隊12機が日本海通過中です。本部到着まで2時間」

「分かった。受け入れ準備を始めろ」

「了解」

 

 オペレータの報告に碇総司令が直接指示を出す。冬月副司令は先日の使徒戦の後処理でEUに渡っていて、碇ユイ副司令は松代にいるリツコの代わりに沖ノ鳥島統合軍基地にEVA輸送機12機受け入れ作業のため向かっていた。

 

 使徒2体の同時展開にNerv本部は疲弊している。特にアフリカまで行って長時間戦闘した第二中隊は早く休養が必要だ。

 

(使徒は後4つか……)

 

 ゲンドウはいつものポーズで思案に暮れる。

 

 予想はされていたが使徒同時展開は難しい対応だった。しかも使徒の行動に変化が見られる。アダムの影響か単純に日本の本部に来るわけではなくなっていた。

 

 また衛星軌道上の使徒は地上に興味がなくEVA自体を目標にしているようだった。裏死海文書に書かれていたとされる内容とは大分異なる状況になっていた。

 

 計画を進めるためにはさらなる情報が必要だ。

 

 

--コールサイン『ウィングキャリア04』EVA輸送機コックピット

『ウィングキャリア04。こちら本部。コース1-9-0より侵入し、ポイント156.53でEVA投下。その後コース2-5-3から離脱、沖ノ鳥島ベースに向かえ』

「こちらウィングキャリア04、了解」

 

 普段であればEVA搭載したまま新厚木基地に着陸しEVA輸送ルートで本部に輸送する。しかし今回は地球をほぼ一周してきており、機体を整備点検するため沖ノ鳥島統合軍基地に向かう。

 

 人も機械も疲れ切っていた。第三新東京市郊外に投下したEVAは徒歩で本部に向かう。『ウィングキャリア04』は、洞木ヒカリ少尉のEVA四号機を搭載している。

 

「副長、洞木少尉はEVAに搭乗したか?」

「はい搭乗済みです」

「……少尉の様子はどうだった?」

「先ほどまではキャビンで寝ていたようですが、かなりお疲れのようでした」

「そうか……全機にも搭乗確認するように伝えてくれ」

「了解」

 

 EVA第二中隊はアフリカまで行き使徒戦を長時間した後のトンボ返りだ。EVA搭乗者の階級は同じ少尉だが、まだ14歳の少女。機長には同じくらいの娘がおり心配もするだろう。

 

「本部でゆっくり休めるといいが……おっとまた通信だ」

『ウィングキャリア04。こちら本部。コース1-9-0に積乱雲を確認。注意されたし』

「本部。こちらウィングキャリア04、こちらでも積乱雲を確認した。 気圧計は危険がないことを示している。 コース1-9-0を維持。スケジュールどおりに到着する予定」

『本部、了解』

 

 

--Nerv本部 中央発令所

「総司令!第二EVA輸送中隊からエマージェンシーコールがありました!」

「何が起きた」

「搭載していたEVAが暴れだし接続部を破壊、落下したそうです!」

「何号機だ」

「それが、第二中隊全機とのことです」

「救助、および第三部隊を直ちに派遣、戦自が介入する前にすべて処理しろ」

「了解!」

 

 空輸中のEVAが12機全て落下したという緊急通信が本部に入った。

 

 輸送機パイロットは慌てていたが輸送機自体は飛行に問題ないようで、そのまま沖ノ鳥島に向かわせた。

 

 落下したEVAからは何も連絡がない。

 

 長野県上空から第三新東京市に向かう範囲でバラバラに落ちたらしい。12機全機から反応がないのが不気味だ。

 

「野辺山で映像を捉えました。主モニターに廻します」

 

 主モニターにはEVAが映し出されていた。

 

 識別ではEVA第二中隊第三小隊のユング・レキシントン搭乗のEVA十五号機と情報が表示されている。しかし様子がおかしい。まるでゾンビのようにふらふらと歩いている。

 

「通信はまだ回復しないか?」

「はい、未だ接続できていません!」

「活動停止信号を発信。エントリープラグを強制射出」

「だめです、停止信号およびプラグ排出コード、認識しません」

「パイロットは?」

「エントリープラグからの反応はありません……」

 

 主モニターに映し出されたEVAの背中、エントリープラグの射出口に粘菌のようなものが見えた。

 

「第二中隊のEVA全機は現時刻をもって破棄。目標を使徒と識別する。第一種、戦闘配置。松代の初号機を向かわせろ」

 

 

--長野県南佐久郡南牧村野辺山付近

 慌ててEVAに再搭乗し、野辺山付近でシンジが見たのはEVAだった。碇総司令から直接通信が入る。

 

「えっ?まさか、使徒……?これが使徒?」

『そうだ。目標だ』

「目標って、これはEVAじゃないか……」

 

 モニタに映っているのは、機体のカラーからEVA十五号機のはずだ。しかし識別表示は使徒になっている。

 

(十五号機は確かユングさん……)

 

「リツコさん!ユングさんはどうなっていますか!?」

『エントリープラグからの信号は一切ないわ。停止信号およびプラグ排出コードを認識していないみたい』

 

 松代にいるリツコに確認するが状況は不明だ。EVA十五号機の背面が映し出されるがエントリープラグが粘菌のようなものに阻まれ射出できていないことが確認できる。

 

「あれが使徒!?」

『恐らく浸食型の使徒ね。強化したエントリープラグは浸食されていなけど、EVAはもう使徒の制御下に置かれているわ……』

「くっ……」

 

 絶望的状況にシンジは焦る。そしてまたゲンドウから再び命令が出る。

 

『目標は進行中だ。お前が倒せ』

「だって、人が乗っているんだよ、父さん!!」

『すべてのEVAはお前のためにある。自分で考え、自分で決めろ。自分が今、何をすべきなのか』

「そんな……」

 

 無慈悲とも言えるゲンドウの言葉にシンジは呆然とするが、この場を何とかしないと大切な仲間が傷ついてしまう。今彼女を救えるのは自分だけだ。

 

(逃げちゃダメだ。逃げちゃダメだ。逃げちゃダメだ!)

 

「リツコさん!エントリープラグを外せばEVAは止まりますか!?」

『使徒はエントリープラグとEVAの接続部分の隙間に入って信号をインタラプト。搭乗者がいることをEVAに錯覚させ動かしているようね。エントリープラグがなくなれば信号もなくなり止まるかもしれない。でもエントリープラグの射出信号が効いていないわ。射出口カバーは開けても射出できない』

 

 リツコがエントリープラグを解析しながら伝えるが状況は良くない。

 

 しかし、初号機は行動を開始した。リツコのモニタから一瞬で消える。

 

『え?』

 

 いつの間にか初号機はEVA十五号機の背後にいた。

 

 EVA十五号機の背面のエントリプラグのちょっとだけ出ている先端をつまみ、そのまま引き抜く。動いているEVAの背中からそれを行うのはかなりの正確さと速さが必要だったが、初号機はそれをやってのけた。

 

 EVA十五号機のエントリープラグは、ロケットモータを作動させ、しばらく飛行すると衝撃吸収用のバルーンを展開しバウンドしつつ着陸した。

 

「リツコさん!」

『回収班!エントリープラグを回収!急いで!後、全機の射出口カバーを開いて!』

 

 エントリープラグを抜かれたEVA十五号機は、その場に崩れ落ち動かなくなった。

 初号機は持っていたパレットガンを捨てる。

 

「父さん!目標は……使徒は倒します!……でも仲間は救います!」

『シンジ……』

 

 シンジは返事も待たず他のEVAに向かった。第二中隊各機はばらばらになっており、数機ずつ点在しているようだ。初号機が走る衝撃で地面が捲れている。

 

 しばらくすると3機のEVAが見えた。パレットガンをこちらに向けてくる。

 

「!?」

『恐らく浸食型の使徒がインタラプトした信号を解析してパイロットの行動パターンを学習しているわ。時間が経てば経つほどパイロット本人の動きに近づくようね』

 

 リツコの説明中も初号機は3機のEVAの弾幕を掻い潜り3本のエントリープラグを抜いた。3本ともロケットモータを起動させ離脱する。

 

(後8機!)

 

 シンジは3機の状態を確認しないまま次の目標に向かった。走る速度がますます上がり衝撃波が発生する。

 

 リツコは思わず初号機の状態を確認したが暴走しているわけではなかった。しかしシンクロ率は99.9%とこれまでの最高を記録している。

 

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