【完結】NGチルドレン【EVAFF】   作:ガルカンテツ

59 / 104
Part-B

--山梨県甲府市付近

 次の目標は丘の上で腕を組んで仁王立ちしていた。

 

 EVA十六号機のパイロットは飛鷹ノリコ。シンクロ率の高さで採用されEVAの身体能力が高いのが特徴だ。その姿はいつもの彼女通りで使徒の浸食が高まっている証拠といえよう。

 

 EVA十六号機は仁王立ちの状態から飛び上がり蹴りをしてきた。本人だったら「スーーーパーーーイーナーズーマーーーキーーーーーック!」と大声で叫んでいただろう。

 結局はただの飛び蹴りなので、なんなく避け背後に回ろうとした瞬間、狙撃を受けた。初号機はギリギリで前転して避ける。

 

 EVA十六号機の蹴りで地面にクレーターができていた。狙撃は山の影から行われようで狙撃の得意な浅間ヒデアキのEVA二十二号機からだった。

 

 ついにはEVA同士、いや使徒同士で連携を始めたようだ。動きは、ほぼパイロット本人と言ってよい。使徒の浸食がそこまで進んでいる。

 

 初号機は、狙撃のあった山の方をじっと見ていた。

 

 飛び蹴りの落下から立ち上がったEVA十六号機は、再び飛び蹴りを背後から仕掛ける。初号機は後ろも見ずに飛び蹴りを首の動きだけで避け、そのまま足を掴み振り回して山の方に放り投げた。

 

 放物線を描くEVA十六号機を追う様に初号機も飛び上がった。山で次の狙撃をしようとしていた二十二号機に十六号機がぶつかり倒れる。その隙に初号機が着地し、2機のエントリープラグを引っこ抜いた。

 

 ギリッ

 

(後6機!)

 

--Nerv本部 中央発令所

 発令所は静まり返っていた。

 

 初号機からの音声通信はゲンドウとの会話を最後に切られており、黙々と第二中隊のEVAを倒していく初号機の強さに圧倒されている。

 

 ゲンドウも黙って息子の行動を見ていた。

 

 普段のシンジからは考えられないような動きも見られる。しかし何故かある出来事を思い出す。昔レイが髪の毛の色のことで近所の子供にいじめられたことがあった。そのとき居合わせたシンジがレイを守ろうとしてケンカしたらしい。

 レイをいじめから守るためとはいえ、シンジがケンカをしたことはあれ一度きりだ。話を聞いてもドロだらけのシンジはずっと歯を食いしばって黙り、拳を固く握っていた。

 

「強くなったなシンジ……」

 

 

--山梨県南都留郡付近

 初号機は第二中隊のEVA十、十一、二十一号機を捉えた。いや逆に3機に囲まれていた。

 

 3機のEVAはいずれもアクティブブレイドという日本刀によく似た武器を構えている。パイロットは、瑞鶴リョウコ、龍驤ホノカ 、鞍馬ソウイチロウ。3人とも剣術の達人だ。

 

 3方を囲まれ逃げる隙が見つからない。3機は、じりじりと包囲を狭めている。EVAはそれぞれ大上段の構え、抜刀の構え、正眼の構えを見せている。まさに本人達そのものの構えだ。

 むしろEVAでの動作より生身の本人達に近くなっていた。

 

 初号機のちょっとした動きにも合わせ3機は完璧に連携している。連携に関しては本人達以上のようだ。

 

 緊張が頂点に達したとき、初号機の足元で地面がちょっとだけ崩れた。その瞬間3機が同時に襲い掛かる。

 

 

--Nerv本部 中央発令所

「あぶない!」

 

 オペレータ達が思わず声を上げたが、3機の中心に初号機はいなかった。

 

「!?」

「初号機、高度1,200mに位置しています!」

「な!?あの一瞬で!?」

「初号機プログレッシブ・ナイフを装備!」

 

 ここに来て初めて武器を装備した。肩のウエポンラックからナイフを取り出す。

 

「プログナイフを真下に投擲!」

 

 

--初号機エントリープラグ

 上空から投げたプログ・ナイフは、3機のEVAの武器を砕いた。丁度3本の刀が組み合わさった中心に当てられたらしい。空中でA.T.フィールドを蹴って一気に落下する。

 

 着地と同時に土煙を目くらましにして2機のエントリープラグを引き抜く。しかし残りのEVAが折れた刀で切りかかって来た。なんとか拾ったナイフで受け止める。

 

 鍔迫り合いの形から捻って二十一号機の掌にナイフを刺し、そのまま地面に縫い付けた。そのまま背後に回りエントリープラグを抜いく。

 

 ミシッ

 

(後3機!)

 

 

--静岡県御殿場市付近

 第三新東京市は目の前だ。Nerv本部に使徒と化したEVAを近づける訳にはいかない。しかし、その前に最後の3機を捉えることができた。

 

 夕日をバックに3機がこちらを見ている。

 

 第二中隊第一小隊の3機だ。パイロットは第二中隊隊長洞木ヒカリ、鈴原トウジ、相田ケンスケ。第二中隊のトップ。

 その内の1機、タンポポ色のEVAが一歩前に進み出る。腰に下げた2本の刀アクティブブレイドを抜きながら。

 

 タンポポ色のEVA四号機の搭乗者洞木ヒカリの実家は洞木流剣術の宗家だ。

 

 洞木家は古くは江戸幕府、帝国陸軍、現在では自衛隊の指南役として代々協力している。洞木流は剣術だけでなく戦術・戦略にも長けており、その分野でも重用されていた。ヒカリも次女として剣術でも戦術・戦略でも優秀で、飛び級で戦自防衛大を卒業している才女だ。

 

 その実績から第四次選抜適格者(フォースチルドレン)として採用され、少尉の階級と中隊長に抜擢された。

 

 前線で戦いつつ指揮するアスカと違い、普段ヒカリは後方からパレットガンで支援しつつ指揮するやり方をとっているが、決して戦闘力が低い訳ではない。得意の二刀流での近接戦闘力はトップクラスの実力だ。

 

 その二刀流の構えのEVA四号機が一気に加速して初号機に襲い掛かる。

 

 

--初号機エントリープラグ

「くっ!」

 

 ブログナイフで刀を防ぐが防戦一方だ。EVA四号機の操る2本の刀が、左右から上下から回転しながら絶え間なく襲い掛かってくる。初号機のフィジカルでなんとか弾いているが完全に押されていた。

 

 そしてそれ以外にも攻勢に出れない理由がある。

 

 初号機の足元で地面が弾けバランスを崩す。その一瞬をEVA四号機に狙われ危うく逃れるという状況が何度もあった。いつの間にか少し前進していたケンスケのEVA五号機が伏せた状態からライフルで足元を狙撃し、こちらのバランスを崩そうとする。

 

 EVA本体でなく足元を狙うのが酷く厄介でいやらしい攻撃だ。

 

 2機のEVAが的確な連携を見せているのが衝撃だが、なんとか打開しないとジリ貧になる。

 

 初号機は少し乱暴に地面を蹴り土くれをEVA四号機の顔にぶつけた。その一瞬の隙で狙撃しているEVA五号機に向かってブログナイフを投擲する。ナイフは狙いたがわずライフルの銃口に刺さった。

 

 初号機は一気にEVA五号機に詰め寄りエントリープラグを抜こうとする。EVA五号機は腰のハンドガンをクイックドローで構えるが初号機の動きの方が早い。

 

 取った!と思った瞬間、衝撃でシンジの意識が途切れた。

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。