--Nerv本部 中央発令所
『フラグ回収早!』
EVA零号機レイからの通信にオペレータ達は首を傾げ、マヤだけ頭を抱える。
あれから一日も経たず、使徒が来た。使徒警戒網にも各所の監視装置にも引っかからず、第三新東京市のど真ん中にに突如出現、Nerv本部は大騒ぎだ。
「西区の住民避難、後5分かかります!」
「目標は微速で進行中。毎時2.5キロ」
オペレータ達の報告を聞きながら、発令所に着いたばかりのミサトはマコトに確認する。
「どうなってんの?富士の電波観測所は?」
「探知してません、直上にいきなり現れました」
使徒らしきものは、白黒模様がある球体で、それが都市上空に浮かんでいる。特に攻撃的なことはしていない。今のところ、この一体だけのようだ。
とりあえずEVA第一中隊第一小隊の三機を都市にあげて三方から囲んで警戒している。これまでの経験から、また世界中に現れる可能性を考慮して、他の小隊は待機中。
「パターンオレンジ、A.T.フィールド反応無し」
「どういうこと?新種の使徒?」
「MAGIは判断を保留しています」
MAGIで分析をしているが、不明のままのようだ。使徒らしきものの正体が分からない。各機にとりあえずのデータを転送させ、ミサトから指示を出す。
「みんな聞こえる?目標のデータは送った通り。今はそれだけしか分からないわ。慎重に接近して反応をうかがい可能であれば市街地上空外への誘導も行う。先行する一機を残りが援護。よろしい?」
『ミサトさん、先行は僕にやらせてください!』
「シンジ君……アスカどう?」
『いいんじゃない?弐号機、バックアップ』
『零号機もバックアップに廻りま~す』
都市中心部で三方に散らばっていたEVAを一旦集合し、EVA初号機のバックアップの位置に移動するが、ビルなどの施設が集合している場所でもあり移動に時間が掛かりそうだ。
シンジはその様子を見ながらゆっくりと移動中の使徒の足止めを試みる。
「消えた!?」
EVA初号機の標準装備パレットガンから3点バーストで放った3つの弾丸が使徒に当たる直前に使徒そのものが消えた。弾丸はそのまま通過し遥か先に着弾する。
超スピードでかわしたとか変形したとかではなく、存在そのものが消えていた。
先ほどまで観測していたパターンオレンジもなくなっている。リツコ達もコンソールを叩き確認するが消えたという事実しか分からない。
しかし次の瞬間別の現象が青葉から報告される。
「パターンブルー、使徒発見!初号機の直下です!」
突如EVA初号機の足元に黒い影が広がった。影は円形で急激に広がっていくが不思議なことに周囲のビルなどの施設の下にもぐるように広がっていく。
影の上に立っていたEVA初号機が沈み始めた。影の上にあるビルなども同じように飲み込まれていく。初号機は影から抜け出そうと藻掻くが底なし沼のように沈む一方だ。
『何だよこれ、おかしいよ!』
「シンジ君!」
EVA弐号機の足元にも広がってきたが、ビルによじ登って難を逃れる。しかしそのビル自体も沈み始めた。なんとか他のビルに飛び移って影の範囲から逃げようとする。
零号機も同じような状況だ。初号機を助けに行けそうもない。
「シンジ君逃げて!マヤちゃんプラグ射出!信号送って!」
「だめです!反応ありません!」
ミサトの指示も空しく、初号機は暴れるほどに沈んでいく。
『ミサトさん!聞こえてますか!?ミサトさn』
EVA初号機から通信が途絶えた。完全に影の中に沈んでしまった。影は初号機が沈んだ後、広がりを止めた。上空にはいつの間にか先ほどの球体が浮かんでいる。
ビルはそのまま沈み切り、第三新東京市のど真ん中に円形の空間が生まれた。
『シンジ!』
『お兄ちゃん!』
「アスカ、レイ。後退するわ」
『ちょっ!まだシンジが!』
「命令よ、下がりなさい」
『だって!』
「いいから下がりなさい。また別の事態が起きたわ」
『え?』
初号機が飲み込まれた直後、使徒警戒網から通報が来た。
同じ使徒が全世界に現れたらしい。