【完結】NGチルドレン【EVAFF】   作:ガルカンテツ

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Part-C

--Nerv本部 作戦部会議室

「じゃあ、あの影の部分が使徒の本体なわけ?」

 

 作戦部スタッフと技術部スタッフが集まって使徒の分析結果を共有している。

 

 リツコはホワイトボードを使い、クラグや数式を書いて説明するがミサトを始め殆どのスタッフは理解できなかった。

 

「そう、直径680メートル、厚さ約3ナノメートルのね。その極薄の空間を、内向きA.T.フィールドで支え、内部はディラックの海と呼ばれる虚数空間。多分、別の宇宙につながっているんじゃないかしら?」

「あの球体は?」

「本体の虚数回路が閉じれば消えてしまう。上空の物体こそ、影に過ぎないわ」

「初号機を取り込んだ黒い影が目標か。リツコ他に現れた使徒も同じよね」

「ええ、恐らくディラックの海で繋がっているわ」

 

 浮かぶ球体と影の使徒が、世界中に出現した。

 

 第三新東京市と同じように都市中心部が飲み込まれている。その都市が問題で、殆どがその国の首都に出現していた。

 

 第三新東京市を始め、ドイツのベルリン、フランスのパリ、東アメリカのアトランタ、西アメリカのサクラメント、ロシアのモスクワ、インドのニューデリー、ブラジルのブラジリア、メキシコのメキシコシティ、中華連合の重慶。の十都市。いずれも人口の多い大都市だ。

 

 今まで使徒とはほぼ無縁だった世界は、首都に出現した使徒で大パニックになっている。Nervにもなんとかしろと矢のような催促が殺到していた。

 

「しかし、こことEU支部があるパリは分かるとして、なんで関連なさそうなところにも出現しているのかしらね。これまでのパターンにも当てはまらないし」

「分からないわ。共通点は人口の多さくらいだけど。使徒が人間の事情を理解している?」

「まさかぁ……ともかく使徒殲滅とシンジ君救出を考えないと。リツコなんかある?」

 

「あるわ」

「え?あるの!?」

「でも難しいわ。地球統合政府に未加盟の都市が問題ね」

「あー、東アメリカとか中華連合とかね……」

 

 東西に分裂したアメリカのように、中国もセカンドインパクト後に分裂して内戦状態になっている。人民解放軍が三国志どころか7つの軍区で覇権を争っていた。

 

「仕方ないわ。総司令に相談してみましょう」

 

 

--Nerv本部 総司令専用仮想会議室

『碇どうするつもりだ。世界中の使徒を』

『左様、使徒殲滅は君の仕事だぞ、早く何とかしたまえ』

『私の所有するビルも3、4個くらい飲み込まれてしまったぞ。どうしてくれる』

『私の不動産には影響なかったがね。これ以上あれが広がると困る。どうにかせんか』

 

 仮想会議室には、12枚の板が浮かんでいた。モノリスのような黒い板には、数字、Sound Only、そしてSeeleと書かれている。モノリスは実体でなく、Seeleメンバーのアイコンとしてホログラム表示していた。発言の度にモノリスが点滅する。

 

 モノリスに囲まれた碇ゲンドウは、使徒殲滅について説明した。

 

『N2弾頭を990個だと?』

「はい、一都市の使徒の影に99個のN2弾頭を投下。タイミングを合わせて各都市に派遣したEVAのA.T.フィールドを使い、使徒の虚数回路に1000分の1秒だけ干渉。爆発エネルギーを集中させて、使徒を形成するディラックの海ごと破壊します」

『ほう?飲み込まれた初号機はどうするのかね?』

「作戦は初号機の機体回収を最優先とします。たとえボディーが大破しても構いません」

『ふむ。息子がどうなってもよいと?』

「この際、パイロットの生死は問いません」

 

 一旦全モノリスの点滅が止み、静寂が訪れる。それを破ったのは01と書かれたモノリス。

 

『あの貴様が見捨てるとは思えんがな。N2弾頭は現存するのが992個。その殆どを使用してしまっていいのか?』

「人類補完計画の前では核抑止力など意味がありません」

『よかろう。N2弾頭は用意しよう。ただし使用するのは統合軍にやらせる』

「MAGIと連動できるのであれば問題ありません」

『分った。後は、東アメリカと中華連合へのEVA派遣か。03、東アメリカについて話を通してくれ』

『了解した。東アメリカ政府には言っておこう』

『中華連合は09で頼む』

『問題ない』

 

 地球統合政府に未加盟の2国だが、裏で世界を牛耳るSeeleにとっては簡単に操れるようだ。セカンドインパクト以降の世界自体がSeeleによって作られたものだからだろう。

 

 ゲンドウの正面のモノリス01が点滅する。

 

『さて碇、本来使徒殲滅は貴様の仕事だ。何か言うことがあるのではないかね?』

「……」

 

 ゲンドウは数秒の沈黙の後、席を立ち頭を下げた。

 

「お願いします」

 

 静まり返った後、仮想会議室が爆笑に包まれた。

 

『あのゲンドウが頭をさげたぞ!』

『いい気味だなゲンドウ・イカリ!』

『HAHAHA!まさか貴様から「Please」聞けるとはな!』

『無様無様!いっそのことDOGEZAでもしたらどうだ!?』

 

 12枚中11枚のモノリスが点滅と嘲笑を続ける。その中でもゲンドウは頭を下げたままだった。

 

 嘲笑が収まると、唯一笑わなかったSeele01キール・ローレンツ議長のモノリスが点滅する。

 

『その態度。やはり息子の救出が目的だな。まあいい。人類補完計画の遂行を忘れるなよ。以上だ』

 

 モノリスが一斉に消えた。ゲンドウはまだ頭を下げていた。

 

 

--統合軍大西洋基地 アトランティス人工島軍用空港

 アトランティスは大西洋の真ん中にある巨大人工島だ。第三新東京市や沖ノ鳥島と同じく地球統合政府の直轄都市であり、統合軍第一艦隊、第二艦隊の母港でもある。

 

 その基地にある軍用空港の滑走路に巨大な黒い全翼機が侵入していた。

 

『NEO PAN 400. Wind 0-9-0 at 5, Cleared for take off runway 12L.』

『Cleared for take off runway 12L, NEO PAN 400.』

 

 コールサイン『ネオパン400』が、管制塔の許可を受け滑走路から離陸する。

 

 この機体は、エヴァ輸送機と同じC-3『V-MAX』の派生型、巨大全翼爆撃機B-3『Bomb-MAX』だ。統合軍参謀本部からの指示で、B98精密誘導N2爆弾を大量に搭載している。使徒に落とすために。

 

 

--統合軍第一艦隊所属陸戦支援空母 CVS-051『ウィザード・オブ・オズ』甲板

 空母『ウィザード・オブ・オズ』は全長500m、最大幅120m、満載排水量23万トン。人類史上最大の艦船だ。

 統合軍でも第一艦隊と第三艦隊に1隻ずつ。計2隻しか存在しない。双胴艦であり造船時には巨大艦を2つ作って、それをつなぎ合わせる方式をとった。どうしても運河を通過する必要があった場合には2隻に分離して移動する。

 

 なぜこのように巨大な空母を作ったか。統合軍は基本海で行動するものであり、直轄地以外では常設の陸上基地を持たない方針のため、内陸特にユーラシア大陸の奥の方に戦力を投射する航空基地の代わりとして建造された。

 従来の空母のように機動運用はされず、ぎりぎりまで陸地に近づいて停泊し、大型の艦載機などを運用する。移動速度も15ノット程度だ。

 

 今作戦でも大陸奥深くにある都市に向け、大型機を発艦させようとしている。

 

 黄色の上着を着たカタパルト・オフィサーがハンドサインでGoを示すと、N2弾頭巡航ミサイルAGM-219搭載の重攻撃爆撃機A/B-5『バトルアックス』を電磁カタパルトで射出した。

 

 使徒の居るユーラシア大陸奥の都市へ向かう。

 

 

--戦略潜水艦 SSBN-903『ビューティー・アンド・ビースト』艦橋

「よし時間だな。衛星経由でNervのスーパーコンピューターと同期するために浮上する。メインタンクブロー!」

「アイサー!メインタンクブロー!」

 

 艦長命令で海面まで浮上する。事前に潜望鏡などで周囲は確認済み。潜水艦としてはかなり大型な『ビューティー・アンド・ビースト』がゆっくりとはいえ浮上するところは大迫力だ。

 

「艦長……本当によろしいのでしょうか……搭載弾道弾全弾とは……」

 

 副長が困惑した顔で艦長に確認する。この潜水艦に搭載されているのは、N2弾頭のSLBM(潜水艦発射弾道ミサイル)で核兵器抑止のためのみに使用される。

 

 地球統合政府は従来の核兵器(原爆、水爆)の所持、使用を禁止している。しかし既に技術としては知れ渡っており秘密裏に開発所持される恐れがある。そこで地球統合政府は統合軍に放射能の発生しないN2弾頭を開発、運用させた。

 

 N2弾頭は窒素爆弾と言われているが、その製造方法は完全に秘匿され統合軍以外は所持していない。さらに戦術兵器としては封印保管され通常戦闘では使用されない。

 戦略潜水艦だけは例外で、もし旧来の核兵器が使用された場合、報復攻撃のためSLBMとして搭載されている。

 

 今回は特令A-505『Nervに対する特務権限の付与。及び超法規活動の容認』の適用で、N2弾頭を使徒に対して使用することができるようになり、SLBM以外のN2弾頭爆弾や巡航ミサイルなども封印解除された。

 

「民間人の上に落とすより全然ましだろう。さっさと全弾撃って帰港するぞ。しばらく休みも取れるはずだ。羽を伸ばしてこい」

 

 艦長の言葉に艦橋で歓声が上がった。

 





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