【完結】NGチルドレン【EVAFF】   作:ガルカンテツ

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第13話 『霞』の中の真実
Part-A


--Nerv本部 第一実験場

「なんか……神々しいですね……」

 

 第一実験場では、EVA初号機のサルベージ計画を実行している。

 

 EVA初号機を横に寝かせてコアの部分をむき出しにするため胸部装甲を外していた。その上にはコアへのダイレクトエントリーを行う装置が設置されており、プラグスーツを着たユイが装置に括り付けられている。

 

 それは銀をベースにした金属でできていて照明に照らされるとユイを中心に輝いているようだった。

 

 白いプラグスーツと、腕をクロスにしたポーズから、まるで磔にされている聖人だ。

 

 マヤが感嘆しているのを横目に見ながら、リツコはマイクを握りユイに伝える。

 

「ユイさん状態はどうですか?きつく無いですか?」

『ええ、問題ないわ。進めて頂戴。シンジもいいわね』

『うん』

 

 仰向けになっているEVA初号機=シンジにも声を掛けた。リツコはシンジに説明を行う。

 

「シンジ君、サルベージ作業を開始すると一時的に外部から遮断されるけど慌てないでね」

『はい』

『直ぐに母さんが迎えにいくからね』

『分かった』

 

 初号機は瞼がないので目が瞑れないが、なんとなく光がなくなり目を使わないようにしているようだ。リツコはそれを確認し、後ろを振り向く。

 

 いつものポーズの総司令と、心配してそうな表情の副司令がいた。

 

「よろしいですね。総司令」

「かまわん始めてくれ」

 

 

--中央発令所

「今頃サルベージ作業を開始しているころだな」

「そうだな。こっちの作業がなければ見に行きたかったな」

「俺たちはお留守番か」

 

 青葉シゲルと日向マコトがコンソールで作業しながら愚痴を言い合っていた。

 

 いつもは騒がしい中央発令所が今は閑散としている。半分は松代に出張しており、他の皆はサルベージ作業を一目見ようと実験場に見物に行っていた。ミサトもまだ松代で指揮を取っていて戻ってきていない。

 

 そんなときオペレータ席の内線が鳴った。シゲルが受話器を取る。

 

「はいこちら中央発令所……何!分かった!」

「どうした?」

「使徒らしきものが現れたそうだ」

「何!どこに!?」

「世界中にだよ……」

「またか……」

 

 

--EVA初号機コア内部

(コアの中はこんな感じなのね……)

 

 ユイがコアにダイレクトエントリーした後、気が付くと暗闇に居た。

 

 上も下も右も左もない。どこまでが自分か分からない。自分の体も見えない。

 

 そしてまるでぬるま湯に浸かっているような気持ちよさだ。このまま広がって……

 

(だめだめ。自分を強く持たなきゃ)

 

 ここでは自分をしっかり持たないといけない。自我境界線を強く意識する。事前に着ていたプラグスーツが助けになった。段々と体の線を浮かびがらせ、自分の裸を出現させる。

 

(よし。後は服ね)

 

 プラグスーツを思い浮かべるとあっさり着た状態になった。

 

(あら簡単にできたわ。……他のものを着れるのかしら)

 

 ここではイメージする力が必要だ。普段着と白衣を思い浮かべるとあっさり着れた。

 

(ほう……)

 

 ブランドもののスーツ、着物、しまいにゃウェディングドレスを思い浮かべくるりと回ってみたりした。

 

(結局ドレス着て結婚式できなかったわね。まあセカンドインパクトで大変だったけど)

 

 慣れると体形も年齢も変えることができるようになり、ユイは次々と思い浮かべファッションショーを楽しんだ。

 

(はっ!遊んでる場合じゃない!シンジを捜しにいかなきゃ)

 

 

--中央発令所

「こんなときに、また使徒の複数同時展開か……」

 

 冬月副司令だけが、発令所に戻ってきて指揮を取っている。総司令や技術部長は実験場にとどまった。いま、サルベージ計画を止める訳にはいかない。

 

「出現場所は?」

「東西アメリカの境界付近、オーストラリアの元エアーズロッククレーター、サハラ砂漠。これって……」

「これまで使徒が出現した場所だな」

 

 シゲルの報告に冬月は答え、声を出さすに付け加える。

 

(そして、ここと同じような球体地下がある場所か)

 

「現地の映像はまだか。直接見に行くしかないな。現在稼働可能なEVAは?」

「第二中隊第一小隊の3機です」

「丁度三か所か。直ぐに出してくれ」

「はっ。EVA輸送用SSTOで現地に送ります!」

「任せる」

 

 マコトにEVA出撃指示を出し、後を任せた。松代のミサトにも呼び出しを掛けてもらう。

 

(やれやれ、こんな大事なときに……ユイ君は大丈夫かな?)

 

 

--EVA初号機コア内部

 シンジもまた暗闇の中に居た。

 

「母さん遅いな……」

 

 しばらく待っていると気配が近くに生まれ、シンジはその方向に振り返る。

 

「遅かったね。母さ……レイ!?」

「母さんよ。やっと見つけた」

 

 ユイは第一中学の女子制服を着ていた。年齢も14歳くらいになっており、髪と目の色以外は娘のレイにそっくりだった。

 

 以前レイの制服をこっそりと着ようとしてきつくて無理だったことは絶対に知られてはいけない。

 

「なんで制服着てるの?」

「ここではイメージが大事なのよ。シンジも服を着たイメージを浮かべてみなさい?」

「それってコスプ……」

「ん?」

「イエなんでもないです」

 

 レイにそっくりな笑顔だったが無性に怖かった。

 

 ユイに教えて貰いながら自分をイメージするとなんとかプラグスーツを着た状態になれた。

 

「よし、これでしばらくは大丈夫ね。シンジはもうちょっとここで待っててね」

「え?母さんどうするのさ?」

「シンジをEVAに縛り付けているものを確認してくるわ」

 

 

--中央発令所

「EVA参、四、五号機は、沖ノ鳥島に移動中。後、30分で到着予定です」

「統合軍航空基地では、既にSSTOの準備ができています」

 

 先ほどまでとは違い発令所が騒がしくなってた。サルベージ計画を見に行っていたオペレータ達が戻り、EVA発進、輸送作戦の作業をしている。

 

「東西アメリカ国境付近から映像が来ました。主モニターに回します」

 

 それは巨大な光の輪だった。光の帯が螺旋状になっており、それが輪を作っている。光る二重螺旋の円環構造を持つ使徒。これまでのどの使徒ともまったく違うタイプだ。

 

「目標は、現地上空にて滞空。定点回転を続けています」

「パターンブルーからオレンジへ、周期的に変化しているようです」

「どういう事だ?」

「MAGIは回答不能を提示しています。答えを導くには、データ不足ですね」

「ふむ、あの形が固定形態でない事は確かだな。先に手は出せんか……EVAが現地に到着しても、しばらく様子を見よう」

「はっ」

 

 冬月がマコトに指示を出す。前回は世界同時に使徒が動き出した。今回も何が起こるか分からない。

 

 以前東アメリカから一旦拒絶されたが、今回はあっさり入国許可が出た。正八面体の使徒と首都に出た2体の使徒で懲りたのだろう。

 

 東アメリカにはEVA参号機のトウジ、オーストラリアには五号機のケンスケ、サハラ砂漠には四号機のヒカリが向かっている。ヒカリは「またあそこか……」とげんなりした様子だったようだ。

 

 前回と違いNerv本部付近には出現していない。それが冬月には気になっているが、サルベージ作業に影響がでていないことはある意味助かっている。使徒も大事だがサルベージも気になる。まず第二中隊第一小隊に頑張って貰い、ミサトが戻ってきたら指揮を変わって貰おう。

 

 

--EVA初号機コア内部

「見つけた……」

 

 シンジをEVAに縛っているのは、想定通り別世界の『シンジ』だった。

 

 しかし、その『シンジ』は酷く不安定だ。ユイは思わず抱きしめたくなったが、それはできない。どうしてこうなっているのか。『シンジ』の記憶を辿る。

 

「そう。あれが成功していた世界なのね」

 

 2004年の実験が成功した世界の『シンジ』のようだ。

 

 実験でユイはEVAに取り込まれてしまうこと。それがユイの予想した結果だ。EVAに取り込まれることで、ヒトの生きた証を永遠に残そうとした。しかしシンジが取り込まれ失敗。ユイの目的は果たせなかった。

 

 この世界では成功したが、妻を無くした『ゲンドウ』、母を無くした『シンジ』。それぞれの人生は壊れてしまった。

 

 どうにかしてあげたいが、これは時間も空間も超越した魂の記憶であり、既に起きた、またはこれから起こること。別世界への干渉はできない。できるのは別世界の『ユイ』だけ。

 

 『ユイ』を捜しに行こう。

 

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