Part-A
--東西アメリカ国境付近
「なんやったんや?」
全然攻撃が効かなかった使徒が突如崩壊し、跡形もなく消滅した。特に本部から連絡はないが、使徒殲滅の任務は完了した。
「あー、本部。こちらEVA参号機鈴原。使徒が消滅しましたので、帰還しま……!」
突如背後に強烈な殺気を感じ、首だけで振り向く。
サメのように牙だらけの大きな口がEVAに噛みつこうとしていた。
咄嗟に前転で避けすばやく立ち上がる。漆黒の
『ちっ、避けやがったか。エントリープラグごと噛みちぎるつもりだったんやが』
「な!?ナニスンネン!」
『おお、ええ反応やん』
さっきまでおとなしくしていたと思ったら急に攻撃をしかけてきた。Seeleチルドレンの目的が分からない。それに、先ほどから本部からの通信が来ない。強力なジャミングが掛けられている。
『なあ、もうちょい遊んでいこうや』
「……手加減せぇへんぞ」
『こっからが本番や。ボコしたる』
Seeleとはあまり関わらないように言われているが、本部との連絡もとれず、先に攻撃を仕掛けてきたのは向こうだ。こうなっては仕方がない。戦闘の構えを取る。
漆黒のErzengelは、ボクシングのオードソックスな構えをしてステップを踏みながらジャブを出している。さっきのヒトとは思えない動作とは違う。
『じゃあゴングや。カーン!』
「口で言うんかい!」
思わずツッコミをしてるうちに、Erzengelが一気に間合いを詰めてくる。ジャブ……かと思ったら飛び膝蹴りを繰り出してきた。
「ムエタイか!」
--サハラ砂漠
『キャハハハハハ!シネシネシネ!』
使徒が何故か崩壊したと思ったら、今度はカナリア色のErzengelが、二丁持ちのマシンガンで攻撃してきた。EVA四号機は使徒にパレットガンを壊され遠距離武器がない。
どこかに隠れたいが、ここは砂漠だ。大きな岩などはなく遮蔽物は限られた。砂丘はあるが起伏に乏しく、簡単に貫通する。
走ってなんとか大き目の砂丘に隠れても、Erzengelの左肩装備にあるミサイルポッドから誘導ミサイルが発射され追い込んで来た。
弾切れを待っても、Erzengelは腰回りにロングマガジンをスカートのようにぶら下げており、直ぐ切れる様子がない。
避けるしかないヒカリはEVA四号機でずっと走りっぱなしだ。
「もう走るのいやー!」
--オーストラリア大陸中央部
使徒の崩壊を見届けるとケンスケは元エアーズロッククレーターの淵から離れようとした。
その瞬間、視界の端に光が見え、咄嗟に伏せる。
EVAが立っていた位置を弾丸が素通りた。遅れて射撃音が聞こえる。
「なんだ?誰かいるのか?」
他の場所と違い、空中の黒穴からは何も降りてこなかったはずだ。しかし今の射撃音は確かにライフルの音だった。
と、いうことはSeeleのErzengelがここにいるということになる。試しにその辺の岩を伏せながら頬り投げてみると空中で岩が砕けた。
射撃音が遅れて聞こえるということは、かなり距離があるところから撃ってきている。相手はスナイパーのErzengelだろう。
クレーターは直径数キロあるが反対側にいるのだろうか。しかし一度も姿を見ていない。
岩陰からチラリと見ようとすると直ぐ撃たれ、危うく被弾するところだった。狙撃の腕はかなり良いようで無闇に動けない。
持久戦になりそうだ。
「スナイパー vs スナイパーか……」