【完結】NGチルドレン【EVAFF】   作:ガルカンテツ

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Part-D

--中央発令所

「装甲隔壁は、Erzengel参番機により突破されています!」

「目標は、第2コキュートスを通過!」

「EVA初号機、ルート2を降下!目標を追撃中!」

 

 病棟から走って来たシンジはプラグスーツに着替える時間も惜しんで病衣のままエントリープラグに飛び込んだ。ミサトからの指示も無言で頷いて一刻も早くカヲルの元に行きたがっている。

 

 EVA初号機メインシャフトを降りるためのロープに掴まり、セントラルドグマに向かって降下していく。

 

「初号機、第4層に到達、目標と接触します!」

 

 

--EVA初号機エントリープラグ

『待っていたよ、シンジ君』

「カヲル君!」

 

 EVA初号機でカヲルに近づこうとするが、無人のErzengel参番機に阻まれる。お互い左手で牽制しつつ右手でブログナイフを装備。鍔迫り合いの状態になった。

 

「カヲル君!やめてよ、どうしてだよ!」

『EVAもErzengelも僕と同じ体でできている。僕もアダムより生まれしものだからね』

 

 ナイフの鍔迫り合いの状態が崩れカヲルの方向にナイフが向かった。シンジは止めようとしたが、カヲルの前に光る壁が現れる。

 

「A.T.フィールド!」

『そう、君たちリリンはそう呼んでるね。何人にも侵されざる聖なる領域、心の光。リリンもわかっているんだろ?A.T.フィールドは誰もが持っている心の壁だということを』

「そんなの分からないよ、カヲル君!」

 

 蒼き月で、崩壊するとき見えたカヲルの上に出現した光の壁。見間違いかと思っていたが、あれはカヲルのものだったのだ。

 

 渚カヲルは使徒。

 

 目の前で見てもまだ信じられない。カヲル君が人類の敵使徒だったとは。

 

 EVA初号機は、力を入れて無人のErzengelを押し返す。

 

「うわぁぁぁ!!」

 

 

--中央発令所

「EVAとErzengel両機、最下層に到達」

「目標、ターミナルドグマまで、後20」

 

 そのとき、大きな振動が発令所を襲った。警報が鳴り響く。

 

「どういうこと!?」

「これまでにない強力なA.T.フィールドです!」

「光波、電磁波、粒子も遮断しています!何もモニターできません!」

「まさに結界か……」

「目標およびErzengel、EVA初号機共にロスト、パイロットとの連絡も取れません!」

 

 

--最下層ターミナルドグマ

 シンジは無人のErzengelを倒したと思ったが、最下層についたとき足首を掴まれた。かなり固く握られ抜け出せない。カヲルはそのまま奥の通路に行ってしまう。

 

『待ってカヲル君!』

 

 通路の奥には扉があった。「L.C.L PLANT:CL3 SEG.Heaven's Door」と書かれている。

 

 カヲルの一睨みで扉のロックが解除された。

 

 最終安全装置を解除したカヲルは、そのまま中に入って磔にされた白い巨人の前に立つ。

 

「ロンギヌスの槍が刺さってない?まあいいか。やあ、リリス。そろそろ起きてくれないか。この茶番を終わりにしよう」

 

 すっと浮かび、白い巨人の顔の前で手をかざす。するとカヲルの顔色が変わった。

 

「違う……これは抜け殻!そうか、そういうことかリリン!」

 

 

--EVA初号機エントリープラグ

 

 EVA初号機がなんとかErzengelを振りほどき、カヲルの前までたどり着いた。

 

 カヲルが宙に浮きながら振り返る。

 

『なるほど、リリスはそんなところに居たのか……全てアダムの茶番だったという訳だ』

「カヲル君!どうして……」

『僕が生き続けることが僕の運命だからだよ。結果、人が滅びてもね。だが、このまま死ぬこともできる。生と死は等価値なんだ、僕にとってはね。自らの死、それが唯一の絶対的自由なんだよ』

「君が何を言っているのか分かんないよ!カヲル君!」

『遺言だよ。さて、僕を消してもらいたいが、君にまた頼むのは酷だね』

 

 そういうとカヲルは指を鳴らした。その瞬間カヲルの背後の空間が割れる。

 

「また?……え?何!?」

 

 割れた空間には、まるで教会のステンドグラスみたいに、色とりどりのガラスをランダムに組み合わせたような平面が覗いていた。

 

 そのステンドグラスから巨大な手が伸びてきて、背後からカヲルの体を掴んでしまう。

 

『次に会った時は敵だと言ったよな。碇シンジ』

 

 突然EVA初号機に音声通信が入る。画像はないがウィンドウには『Erzengel01 Glaube.Anker』とあった。

 

「グラオベ君!?」

『カヲル。別れの挨拶は済ませたか?』

『ああ、もうちょっと待ってくれないか。Herr Anker』

 

 グラオベ・アンカーの乗る銀色のErzengel壱番機は、手だけが空間から生えていて全身は見えていない。カヲルは完全に巨大な掌に収まって握られている。

 

『シンジ君。僕が消えないと君らが消えることになる。滅びの時を免れ、未来を与えられる生命体は一つしか選ばれないんだ。そして、君は死すべき存在ではない。君たちには未来が必要だ。ありがとう。再び君に逢えて、嬉しかったよ』

「カヲル君?」

 

『最後に一つ。ミサト先生に、かつ丼を奢って貰ったお礼がしたいな。『キーワードは希望』とだけ伝えてくれないか。では、またね。……じゃあ頼むよ。Herr Anker』

『ああ、じゃあなカヲル』

 

 そういうと銀色のErzengelは、カヲルを握り潰した。

 

 

  続く

 

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