【完結】NGチルドレン【EVAFF】   作:ガルカンテツ

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Part-D

--中央発令所

「地上施設、全て沈黙」

「敵は突入を開始しました。ベークライトの削岩を準備しています」

「作戦部、警備部は所定の位置に着きました」

「了解、白兵戦は極力避けて。向こうはプロよ。ある程度牽制したら後退。その後フロアにベークライトを注入」

「了解」

 

 本部上部から断続的に爆撃音が聞こえる。退避済みとはいえ、不安になってくる。戦闘員、非戦闘員総出で、通路にバリケードを設営し、待ち構える。

 

 発令所の下の方では、

 

「どうしてこんなことに?最後の使徒だったんでしょ?」

「全ての使徒は消えたはずでしょ。平和になったって事じゃないの?」

「なんで使徒じゃなくて人間の軍隊が攻めて来るんだ……」

 

 などの声が聞こえてくる。この攻撃に関しては高位の職員しか聞かされていない。

 

「皆不安よね。日向君マイクを」

「はい」

 

 ミサトは全館に対して放送されるマイクに向かい、深呼吸してから声を出した。

 

「こちら作戦部部長葛城です。現在の状況ですが、地球統合政府よりコードA-801が発令。それと同時に、特務軍がNerv本部占拠目的で攻めてきています。第3層までは封鎖しているので突入まで6時間ほどになります」

 

 ここで一旦区切り、口調を改める。

 

「でも大丈夫よ。これまでの実績で我々の強さは証明されているわ」

 

 発令所の下の階層から「でもこれまでは人間じゃなかったじゃないか」などが聞こえる。

 

 恐らく他の職員もそう考えているだろう。

 

「私の権限で特A級の情報を開示します。『人間は使徒』よ」

 

 その言葉に動揺しているのが聞こえる。

 

「人間は18番目の使徒リリンと裏死海文書に記載されているわ。これまで戦って来た使徒は人間のライバルでかつ同類なの。そして我々人間が勝利した。選ばれたのは我々よ」

 

 恐らく皆「なに言ってんだコイツ」と思ってそうだが構いなく続ける。

 

「ということは、今攻めてきているのは使徒よ。使徒に対して我々は常勝無敗。戦闘要員、非戦闘要員全員でこの困難を乗り切るわよ!」

 

 発令所に歓声が上がった。ほぼやけくそだろうが相手が使徒であればNervの本領発揮だ。

 

 マイクを切ったミサトが嘆息する。マコトが尊敬の眼差しでマイクを受けとった。

 

「さすがです葛城少佐!」

「これでちょっとでも士気が上がってくれるといいんだけどね」

「十分ですよ!対使徒であればNervは全勝ですからね!『人間は使徒』とか良くでましたね」

「あ、それは本当よ」

「へ?」

 

 そんなことを言っている間にも次々と内線が来ていた。

 

『こちら法務部です。先ほど発令されたA-801ですが発令までの工程に疑わしい点があります。そこを突けば解除できるかもしれません』

 

『こちら施設課。本部の構造ですが、電子媒体にない通路があります。どうやら建設時の予備点検路で現在は使われていません。これは紙媒体でしか残っていないです。敵に気づかれずに外に出れそうです』

 

『こちら食堂。みんなの分の食料、おにぎりを作ったからね。後で発令所にも持ってくよ!』

 

 普段の戦闘には関わっていない部署からも色々情報が寄せられる。食堂のおばちゃん達も元気なようだ。とても頼もしい。寄せられた情報を元に、この事態を打開しようと発令所で検討していく。

 

 

--総司令専用会議室

 冬月は無言でゲンドウの頭に向けて発砲し、銃声が会議室に響き渡る。

 

 しかしゲンドウはいつものポーズのまま微動だにせず。何も起こらない。

 

『なんだ?ゲンドウは死んだか?』

 

 珍しいことに冬月が抑えきれないように笑い出した。

 

「ははは!なるほど、碇のそのポーズはこのときの為だったのか?バレそうになった場合どうしようか考えていた私が馬鹿みたいではないか」

 

『冬月!?』

『ゲンドウはどうした!?』

『どうなっている!?』

 

 動揺するSeeleを無視して拳銃を捨てる。そのときゲンドウの姿がブレ、そして消えた。

 

 ゲンドウは立体映像だった。

 

「では、始めてくれ」

 

 落ち着いた冬月の声を皮切りに、Seeleの様子が変わった。

 

『なんだ貴様ら!私を誰だと思って!』

『どうしてここが!?』

『まて、何があった!やめろ!』

 

 各モノリスが点滅し、Seeleメンバーの背後で何かが起きている。悲鳴や銃声などが聞こえてきた。

 

『Seele05確保しました!』

『Seele11抵抗したので射殺!』

『Seele07逃亡しようとしましたが、拘束しました』

 

 次々に報告が入る。相手はSeeleでなく、Nervの情報部員だ。各Seeleメンバーの隠れ家に潜入し、突入の機会を伺っていた。

 

『冬月副司令、やはり手のひらに、アダムを仕込んでいました』

「切り落とせ」

『はっ!』

 

 直ぐ通信先から何かを切断する音と共に悲鳴が聞こえてきた。

 

「やはり再生したアダムを体に融合させていたか。サードインパクト後に主導を取るために」

 

 冬月の言葉は誰も聞いていなかった。12枚のモノリスが次々と消え最後の1枚、Seele01のみが残る。

 

『何故だ。冬月先生』

「キール・ローレンツ。あなたには色々世話になりましたな。ただ、私は未来を信じたいのですよ。碇ユイ君の信じる未来を」

 

『そうだ。全てはユイの。そして子供達のためだ』

 

 碇ゲンドウの声はSeele01のモノリスから聞こえた。

 

 

--中央発令所

「新たな機影です!主モニターに回します!」

 

 モニタに表示されたのは、大型の航空機で機体下部に巨大な兵器を抱えていた。

 

「あれは、GBU-82『ジオバスター』!ジオフロントごと破壊するつもりだわ!」

 

 ミサトが焦った声を出す。これまで死者も出しておらず、なんとか持ちこたえてきたが、直接破壊兵器を持って来られると外に対する攻撃手段がないのでどうしようもない。

 

「みんな!衝撃に備えて!」

 

 全館放送で叫ぶ。それしか対応できない。

 

 しかし、いつまでも衝撃が来ない。モニタを確認すると、ジオバスターを抱えていた爆撃機がジオバスターごとスパっと切断されていた。

 

「え?」

 

 落下する爆撃機の横を、音速の数倍のスピードで隕石のように煙を引きつつ2機の航空機が通り過ぎた。後から衝撃波による大きな音が響く。

 

「あれは!?」

「F-6A『ファイアブレード』です!あれは、確か太平洋だと第三艦隊にしか配備されていないはず!」

 

 マコトが機体を確認する。ファイアブレードは航空機用レーザー砲を標準装備しており、それを使用したようだ。スクラムジェットも使用し最速で来てくれたのだろう。

 

 そのとき外部より全周波数帯に通信が入る。

 

『(ザ……)……直ちに戦闘を中止せよ。繰り返す。こちら統合軍第三艦隊旗艦『オーバー・ザ・レインボー』。直ちに戦闘を中止せよ』

「葛城少佐!味方が来てくれました!」

 

 発令所が歓喜に包まれた。続けて第三艦隊から通信が入る。

 

『第十三遊撃特務艦隊は直ちに戦闘を中止せよ。貴艦隊の攻撃命令に関して違法な操作があり命令が有効でないことが確認された。またコードA-801に関しても発令に問題があり、先ほど地球統合政府最高意思決定機関Hirn(ヒルン)において撤回された。戦闘を中止しない場合、第三艦隊が全力でお相手する。繰り返す……』

 

 どうやら情報を持ったNerv職員の決死隊がなんとか脱出に成功し、無事統合軍に連絡できたようだ。

 

 各所で行われていた銃撃音が止み、静寂が訪れる。

 

 第三新東京市の長いようで短い戦闘が終わった。

 

 

--死海地下

 渚カヲルの遺言によってもたらされた3つの数字の内『31.5、35.5』は北緯31度30分 東経35度30分を示していた。

 

 その位置にあるのは、中東にある塩湖。死海だった。

 

 Seeleの教典であり、使徒の出現を預言していた裏死海文書が発見された場所でもある。

 

 その地下にSeeleの施設があった。

 

「なるほど、灯台下暗しとはよく言ったものですな。ここが赫き月ですか?キール議長」

「ここは赫き月ではない。Seeleの施設ではあるが。どうやってここが分かった」

 

 先ほどまで冬月と仮想会議をしていたキール・ローレンツの前に、拳銃を構えた碇ゲンドウが立っていた。ゲンドウはもちろん生身。キールは微動だにせず問いかける。

 

「それは明かせませんな。あなたにはお世話になりました。ただ我々と道が違ったのです」

「これからどうするつもりだ。人類補完計画なしでは人類は早々に行き詰まるぞ」

「ユイの計画があります。あなたには関係ないことです」

「そうか」

「では、さようならキール・ローレンツ」

 

 ゲンドウはそういうと拳銃をキールの額に向けて発砲した。

 

 弾丸は命中し、額に穴が開いている。しかし血も出ず、キールは何の反応も見せない。

 

 慎重に近づき様子を伺う。

 

「はっ、これは人形!?」

 

 キール・ローレンツは、一部機械の体を持っていることは知っていたが、それどころか一切生身ではなかった。何の意思も持たない人形だ。

 

「あははは!さっきの君と同じだよ!それは偽物さ!」

 

 ゲンドウは、振り返ると同時に拳銃を向ける。そこには少年が立っていた。

 

「貴様、フィフスか?」

 

 その姿は銀髪で赤目の少年。渚カヲルの姿をしていた。Seeleの制服を着ている。

 

「残念だが、私は渚カヲルではないよ」

「では何者だ」

「何言ってるんだい?先ほどまで会話していたじゃないか」

「キール・ローレンツか!?」

「そうだ。『私がキール・ローレンツだ』ちゃんと渋い老人声も出せるだろう?」

 

 確かにキール・ローレンツ本人の声だ。これまでは人形と話していたことになるのか。それにしても、ただの少年ではあるまい。排除するに越したことはない。

 

「そうか、初めましてだな。そしてさようならだ」

 

 ゲンドウは躊躇せず拳銃を発砲した。しかし、

 

「なに!」

 

 キール・ローレンツを名乗る少年の前に赤い光の壁が現れ弾丸を阻止した。空中で弾が止まっている。

 

「A.T.フールド!」

「そうだよ碇。そしてキール・ローレンツは偽名。私の本当の名前は『アダム』」

「なんだと……」

「あの再生アダムは単なる肉片さ。それを有難がるSeeleメンバーは滑稽だったよ」

 

「貴様……なにが目的だ」

「そこは変わらない。人類補完計画そしてサードインパクトを起こすことさ。ただし、その源は『リリス』ではない」

「リリスでなければなんだ」

「『イヴ』。それが本当のサードインパクトの源さ。そして生き残るのは人類ではない。さて、こういう場合日本では冥途の土産というのだったかな。赫き月の場所を知りたいだろう?それは渚カヲルの情報通りだよ。ここの座標と同様にね」

 

「フィフスの?3つの数字のことか?残りは……まさか!」

「ふふ、もし生きていたら、また会おう。ではな碇」

 

 キール・ローレンツ改めアダムは、そう宣言すると腕を振った。先ほどゲンドウが放った弾丸が、今度はゲンドウに向かう。

 

 眼鏡が割れるとともに弾丸がゲンドウの左眼を貫いた。

 

 

  続く

 






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