【完結】NGチルドレン【EVAFF】   作:ガルカンテツ

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第17話 目覚める『自由意志』
Part-A


--月軌道付近

『ムーンキャリア01、最終作戦軌道に投入準備。減速行動に移る』

『第一弾全エンジンを点火。燃焼を開始』

『S1C、燃焼終了。減速を確認』

『第一弾ブースターユニットをジェットソン』

『分離を確認。電装系をチェック。異常なし』

『了解した。燃焼タイミングはオート。第二弾全エンジンを点火』

『S1C燃焼終了。圧力弁を閉鎖』

『第二弾ブースターユニットをジェットソン』

『減速行動を終了』

『最終作戦軌道への投入開始。機首を反転。回頭開始』

 

 コールサイン『ムーンキャリア01』の月往復船は、減速を終了し月軌道へ投入される。他の月往復船も同様の行動をとり、次々に月軌道に到着した。その数24機。

 

 NervのFLY ME TO THE MOON作戦は第一段階を終了し、第二段階に移る。

 

 

 全機無事月軌道投入直後、周辺に新たな反応があった。黒い球体が割れるように複数の攻撃衛星が姿を見せる。球形の光学迷彩でカモフラージュしていたようだ。

 

 攻撃衛星はNervの月往復船に向けて大量のミサイルを射出するが、月往復船に到達する前に赤い光の壁に阻まれた。

 

 月往復船のベースになっているSSTOの格納庫が開きEVAがゆっくりと宇宙空間に出てくる。EVAからの攻撃で攻撃衛星は全て破壊した。

 

 EVAの背にはⅩ状のフレームを装備しており、フレームの先端にスラスターが付いている。スラスターを使い姿勢制御を行う。

 

『こちらEVA四号機洞木。全EVAは小隊毎に集結し、担当クレーター上空に待機!』

『『『了解!』』』

 

 

--ムーンキャリア01司令室

 月往復船はSSTOに居住区用のモジュールを機体下部に付けているが、ムーンキャリア01だけは、全体を指揮するための司令室にもなっていた。そこには数名のオペレータの他に、碇ユイ副司令、葛城作戦部長、赤木技術部長が乗り込んでいる。

 

「EVA全機配置に着きました。先ほどの攻撃衛星以外の妨害はないようです」

 

 オペレータの報告を聞いたミサトはマイクを持ち指示を出す。

 

「よろしい。では作戦を第二段階に移行します。日向大尉、衣笠中尉」

『『はっ!』』

「第一次突入隊を指揮して、アリスタルコス・クレーター、ティコ・クレーターに降下。敵施設の捜索、制圧。よろしい?」

『日向了解!第一次突入隊、第一班16名+EVA2個小隊は、アリスタルコス・クレーターに突入します!』

『衣笠了解!第二班は、ティコ・クレーターに降下します!』

 

 月往復船24機の内、8機から月着陸船が切り離され、EVAに護衛されながらそれぞれ目的のクレーターに向かう。一度に4つ全てへ突入しないのは突発的事態での全滅を防ぎ、半分の部隊で状況を確認するためだ。

 

「第一次突入隊、降下始めました」

「了解。ユイ副司令。作戦開始しました」

「ええ。最初で施設の構造が分かるといいんだけど……」

 

 ユイは月強襲部隊の総責任者ではあるが、作戦指揮自体はミサトに任せている。ただ、何かあれば自身も降下するつもりだ。そのため既に宇宙服替わりのプラグスーツに着替えている。他のスタッフも同じだ。居住区兼司令室モジュールは気密されているため、まだヘルメットは付けていない。

 

 リツコもプラグスーツだが、何故か白衣をその上に羽織っていた。手元のタブレットを操作しながら作戦を見守る。

 

「アリスタルコス・クレーターは直径40km。ティコ・クレーターは85.3kmか……広いわね。施設を捜すだけでも大変ね」

「そうね。でもそのための探索装置は準備しているんでしょ?」

 

 ミサトの言う通り月着陸船に接続されている月探索車には、様々な機器が装備されていた。電波探知、金属探知などで人工物がないか捜索する。

 

「ええ、ただクレーターが今見えている状態とは違うかもしれない。光学迷彩を使っているならば、全体をカモフラージュしているかも」

「突入して直接見ないと分からない状況ね……皆無事でね」

 

 

--月着陸船

「クレーター上空3,600m!そろそろクレーター内部に突入するぞ!注意しろ!」

「「「了解!」」」

 

 マコトを含め4名の作戦部隊員は、月着陸船でアリスタルコス・クレーター内に着陸を試みている。

 

 第一次突入隊、第一班は4機の着陸船に分乗しており、それぞれが同じタイミングで下降中だ。

 

 着陸場所はクレーターの影部分。しかし本当の影かどうか不明。カモフラージュされた空間に飛び込む形になる。EVAが護衛に付いているが何があるか分からない。

 

 姿勢制御をしながら慎重に降下していく。しかし影の部分に入った途端異常が起きた。

 

「何!?」

 

 影の部分に入った途端、ガクンと衝撃が伝わって来た。着陸船の降下速度が急上昇し、月に引っ張られている。いや急に重力が大きくなった。本来月は地球の6分の1の重力だ。

 

「なんだ!?何が起こってる!?」

「逆噴射!!急げ!!月面に激突するぞ!」

 

 パニックになる隊員にマコトが檄を飛ばす。操縦を担当していた隊員が、着陸船の着陸脚にあるノズルから逆噴射し減速させ、大きく揺れる。

 

「月面まで後、500……300……100、タッチダウン!!」

 

 着陸時、大きな振動があったが着陸脚のショックアブソーバが衝撃を吸収し無事に降下できたようだ。安心したのも束の間、小さな窓からみた景色に愕然とする。

 

 

 窓の外は一面緑色の草原だった。

 

 

「確かに月面に降りましたよね!日向大尉!?」

「慌てるな。カモフラージュされていた以上、何があっても可笑しくない。外の分析は?」

「はっ!……空気があります!成分も地球上と同じです。気圧も……重力も1G!」

「そうか。これは幻ではないんだな」

 

 改めて窓の外を見ると、辺り一面が足首くらいの草が生い茂った草原で、風も吹いているのか草が揺れている。大気の無い月面に着陸したはずなのに。

 

「空気と草はともかく、重力まで一緒とは……重力制御技術を持っているということでしょうか」

「分らん。他の着陸船は?」

「健在です。少し離れた場所に着陸しています」

「了解、これより外に出て合流すると伝えろ。操縦士兼通信士以外は着陸船から下船するぞ」

 

 マコトを先頭に気密室から出て、月面に降り立つ。

 

「本当に大気がある。風も吹いていますね。本当に月面なんでしょうか」

「そうだな」

 

 マコトは首を上に向ける。本来であれば見えるはずの星空はなく、雲一つない青空だった。

 

 しかし草原の先にはクレーター外延部が見えており、知らない場所に転移したとかいう訳ではなさそうだ。

 

「大尉、呼吸もできるようですけど、ヘルメット脱ぎますか?」

「……いや止めておけ。ここが敵地だということを忘れるな」

「了解」

 

 着陸船の下部に接続していた月探索車を降ろして、チェックする。

 

「まずは集合しよう。月探索車は無事か?」

「はっ、問題ないようです。ただ本来は月面の重力上で走行するはずでしたが……」

「地球上でも走行テストしていたはずだから問題ないだろう」

 

 他の着陸船からも月探索車に乗った隊員が到着し、突入隊12名全て集合した。他の隊員もこの風景に困惑した顔をしている。

 

「大尉、これは一体……」

「分からん。しかしヘルメットは取るなよ。これから何があるか分からないぞ。通信士、EVA部隊状況は?」

『EVA部隊も問題なく、着陸できたそうです。敵Seeleチルドレンはまだ見えないとのこと』

「分った。司令船との通信はできたか?」

『いえ、クレーター外への通信はできないようです』

「想定通りだな。軌道上まで着陸成功の信号弾を上げておいてくれ」

『了解』

「ではこれから敵施設の捜索に入る」

 

 

--EVA四号機エントリープラグ

「日向さんたちが無事でよかった……」

『せやな。てかなんで草原やねん』

 

 洞木ヒカリが安堵していると、鈴原トウジが外の景色にツッコミを入れていた。

 

 アリスタルコス・クレーターに突入したEVA部隊は、EVA第二中隊、第一小隊と、第三小隊の計6機のEVAだ。

 

 月面の影に入った途端、1Gの重力になり急激に落下したが、EVAのフィジカルで全機問題なく着陸できた。背にあったⅩ状のフレーム装備は役に立たないのでパージする。

 

「周囲を確認して!SeeleチルドレンのErzengelを警戒!」

 

 外の景色は気になるが、EVA部隊の任務は敵Erzengelから突入隊を守ることだ。何故重力が地球と同じなのかは分からないが、返って戦いやすい。

 

『……いいんちょ、おいでなすったで』

 

 トウジの通信から、振り返ると上空を羽を広げて飛んでくる機体が見えた。黒と黄色のErzengel。奇しくもトウジとヒカリが以前相手した機体だ。

 漆黒のErzengel五番機と、カナリア色のErzengel六番機が翼を羽ばたかせ草原に降りる。

 

『よう黒いの。また会ったな。リベンジ戦や』

『えー、またアンター?きらーい』

 

 敵対しているのに堂々と映像付き通信が入る。ウィンドウには金髪短髪の少年『Erzengel05 Winter.Bismarck』と金髪ツインテールの少女『Erzengel06 Licht.Seydlitz』が映った。

 

『いいんちょ、黒いのはワシとケンスケでやる。黄色いのを頼む』

「分ったわ。気を付けてね」

『おう』

 

 ヒカリは第三小隊のユング、ノリコ、ナディアと連携し、カナリア色のErzengel六番機を引き付ける。

 

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