【完結】NGチルドレン【EVAFF】   作:ガルカンテツ

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Part-B

--EVA参号機エントリープラグ

「オドレはワシとケンスケが相手じゃ」

『ええで。リヒトは邪魔だからあっちで遊んでな』

『うっさい!命令するな!言われなくとも行くもん!バーカ!』

 

 ヴィンター・ビスマルクが乗る漆黒のErzengel五番機が残り、リヒト・ザイドリッツの乗るカナリア色のErzengel六番機は、ヒカリが誘導する方に離れていく。

 

「ええんか?」

『あん?そっちこそ二対一でええんか?6機全部で相手してもええで?』

「二人で十分じゃ。今度こそボコしたる」

『それはこっちのセリフや。前回ボコしたのはこっちやろ』

「うっせ、エセ関西弁ヤロウ」

『ああ?テメーの方だろうがエセ関西弁!』

「あ゛?」

『あ゛?』

 

 通信ウィンドウ越しにトウジとヴィンターが睨み合う。

 

『いや、どっちもだろ……』

 

 ケンスケの冷静なツッコミは、どちらも聞いていないようだ。

 

 

--ティコ・クレーター EVA六号機エントリープラグ

『マナ!衣笠さんたちは、退避して捜索に出たぞ!』

「了解ムサシ。これで遠慮なく相手できるね」

 

 ティコ・クレーターにはマナ率いる第二小隊と加賀ユキノ率いる第三小隊が突入していた。

 

 霧島マナはEVA越しの視界に血のような暗い赤のErzengel四番機を睨む。

 

『あら?アスカは居ませんのね?』

「アスカなんて居なくても、アンタなんか、けちょんけちょんよ!」

 

 通信ウィンドウのウェーブが掛かった金髪少女モルゲンはマナの言葉に困惑した。

 

『けちょ?まあいいですわ。シュヴェーアト、手を出すんじゃないわよ』

『Dumm!なんでボクが居ることバラすんだよ!』

 

 周囲にはシュヴェーアトが乗るErzengel七番機は見当たらない。狙撃するために、どこかに隠れているのだろう。マナは第三小隊にスナイパーを捜すように指示を出す。

 

「へっぽこなとこ、本当にアスカそっくりね。さすが従妹」

『誰がアスカそっくりよ!一緒にしないでくださります?』

 

 パイロットの感情をそのまま反映したErzengel四番機は手を腰に当てて仁王立ちしている。

 

 その背後は、ビルが立ち並ぶ無人の都市だ。

 

 ティコ・クレーター内でも地球上と同じような環境があり、草原ではなく人の街並みが再現されていた。

 

 

--月軌道上 EVA弐号機エントリープラグ

「へっくし!」

『どしたの?アスカ』

「なんでもないわよシンジ。くしゃみが出ただけ。誰かアタシのこと褒めているのかしら」

 

 

--アリスタルコス・クレーター

 日向達は、月探索車で反応があった場所に向かっていた。反応は3か所あったが、一番近い場所を選ぶ。その場所はクレーターの淵にあるようだ。

 

 反応の場所に到着し、慎重に近づく。武装は統合軍で使用しているアサルトライフルだ。真空中でも火薬は使用できるため標準的な弾丸を使う。ただ、ガンオイルは低温で凍ってしまうため、特殊なものを使用している。

 

『大尉、入口がありました。ロック解除を試みます』

「よし、慎重にな」

 

 隊員が扉に慎重に近づき横にあるコンソールに小型PCを接続、ハッキングを試みる。

 

『アクセス成功。ロック解除しました!』

「よくやった。2人ここに残って警戒。残りは突入する」

『『『了解!』』』

 

 扉の左右に隊員を配置し、ハンドサインで指示を出す。1人が扉を勢いよく開き、もう1人が扉の内部に手榴弾を放り込む。爆風が落ち着いた後、突入するが誰もいない。どうやら本来であれば真空に出る前の気密室のようだ。再度扉を開け慎重に進む。

 

『アルファ、クリア!』

『ブラボー、クリアです!』

『なんか誰も居ませんね。撤退済みでしょうか?』

「かもしれんが油断するなよ。制御室を捜そう」

 

 各部屋を確認したが、誰もいないようだ。入口からそれほど離れていない部屋に制御室らしき場所を確認する。どうやら電源は生きているようでモニタに状況が表示されている。

 

 コネクタにUSBメモリを指しクラッキングを試みると、刺した瞬間モニタの表示が変わり制御を把握したことが分かった。

 

『は、早い。さすがMAGI・アルタバン……』

「よし、施設のマップを確認するぞ」

 

 コンソールを操作し施設のマップを表示してみた。施設はそれほど広くなく他のクレーターの施設は直接繋がっていない。そこには?マークが表示され構造が分からなかった。

 

『これは空振りでしたね』

「いや、クレーターの数4か所に施設があることが分かっただけでも良しとしよう。残りのクレーターのどこかが本命だ」

『そうですね。他になんか情報ないか確認してみます』

 

 隊員がそう言ってコンソールを操作すると、床から勢いよく気体が噴出された。

 

「状況ガス!警戒しろ!」

 

 日向が檄を飛ばすが、隊員は皆ヘルメットをしており、呼吸に問題なかった。隊員が腕のコンソールでガスを分析する。

 

『気体はサリン系の毒ガスですね。ヘルメット付けたままで正解でした』

「そうか。着陸船に戻るときは注意しないとな」

『制御室をハックすると毒ガスを出すトラップですね。それで撤退済みなのか』

「そうだな……」

 

 しかし日向はまだなにか違和感を感じていた。トラップがその程度で済むだろうか。何気にコンソールの下の空間をみると、何かチカチカと光るものがあった。

 

「!全員外に出ろ!走れ!!」

 

 隊員に促し、急いで部屋を出る。そのまま走り入口まで戻った。

 

「全員扉から離れて伏せろ!!!」

 

 全員が扉を出て、離れて伏せる。その瞬間、扉の奥から爆風が来た。間一髪巻き込まれなかったようだ。しかし、爆発はそれで終わることなく施設全体でも連鎖的に起きている。

 

「ここから離れよう!着陸船に戻るぞ!」

『『『はっ!』』』

 

 

--EVA参号機エントリープラグ

『クソがッ!!』

 

 漆黒のErzengel五番機に乗るヴィンターから苛立ちの声が聞こえた。

 

 トウジのEVA参号機と漆黒のErzengelでは、やはり実力はErzengelの方が上のようだ。

 

 しかし、ケンスケのEVA五号機からのサポートが、その実力差を埋めて余りある。

 

 格闘戦をしているEVA参号機と漆黒のErzengelから、少し離れた場所に位置しているEVA五号機は、ポイントポイントで効果的な射撃を見せた。

 

 時にErzengelの背後から、時にはEVA五号機の影から。ここぞというタイミングで射撃がくるため、ヴィンターはとてもやり難く、トウジは有利に立てている。

 

 EVAからの射撃はA,T,フィールドで防げるが、その一瞬の隙をトウジが逃さず攻撃に転じる。

 接近戦をしている味方に当てないようにするケンスケもすごいが、それを信頼して隙を見つけ攻撃するトウジも相当なものだ。

 

 対Seeleチルドレン訓練の賜物である。

 

 隙を突いたトウジの一撃で、漆黒のErzengelは、バランスを崩し距離を取った。

 

『ちっ!調子こいてんじゃねーぞ!ダボが!』

「お、どないした?関西弁で話す余裕もなくなったんか?」

『うっさいわアホンダラ!噛みコロス!裏コード:666の獣!』

 

 ヴィンターが叫ぶと、漆黒のErzengelに変化が始まった。バキバキと音を立て体が変化してく。胴体が少し膨らみ伸びた腕をだらりと下げ、俯き加減になった。牙だらけの口を開く。

 

「いかん!ケンスケ下がれ!」

 

 トウジの叫びと同時に、ケンスケのEVA五号機に襲い掛かる。その動きはこれまでと違い、まさにケモノの動作だった。

 

 EVA五号機は何とかライフルで噛み付きを防ぎ避けることができたが、ライフルは噛み砕かれてしまう。

 

『あ、あぶねー!』

「大丈夫か!?ケンスケ!」

『ああ、動きが段違いだな……』

 

 漆黒のErzengelは、そのままライフルをバリバリと咀嚼し、ペッと吐き出す。

 

『ギャハハハハハ!!今度はテメーの番だ!黒いの!』

「おう、来いや!」

 

 

--EVA四号機エントリープラグ

「はぁっ!!」

 

 ヒカリの気合と共に繰り出されたEVA四号機の双剣は、カナリア色のErzengelの肩に搭載されていたミサイルポッドを破壊した。そのミサイルポッドはN2弾頭が装填されていたものだ。

 

『ああああ!なにすんのよ!ちょーウサイ!!』

 

 Erzengelのパイロット、リヒトがイライラを隠さず怒声を上げた。

 

 EVAとErzengelでは、圧倒的にEVA側が有利に進んでいた。EVA4機でErzengelを囲み少し離れた所から遠距離攻撃をし、隙をついて接近戦を試みている。

 

 Erzengelは、EVAよりもA.T.フィールドの中和距離が長く、1対1では一方的に攻撃されてしまうが、中和するには意識をある程度集中することが必要だ。

 

 他の方向から攻撃されるとどうしても気が散ってしまい、上手くA.T.フィールドを中和できない。特にリヒトは気が散漫なようでEVAへの攻撃を当てられず、逆に接近戦でダメージを受けていた。

 

 EVA側は訓練した連携を発揮してErzengelに有効打を当てている。性能の差を数と作戦で埋めていた。

 

『でりゃあああ!スーパーイナズマキック!!!!』

 

 飛鷹ノリコの駆るEVA十六号機の飛び蹴りが、Erzengelの武器マシンガンを叩き落とす。これでErzengelの手持ちの武器は全て破壊した。

 

「Erzengel六番機のリヒト・ザイドリッツさん!抵抗をやめ投降してください!」

 

 ヒカリは油断なく構えながら投降を促す。真の目的は人類補完計画の阻止だ。Seeleチルドレンの殺害ではない。大人しく従ってくれれば戦闘は終わりだ。

 

『……ザイ……』

「え?」

『ウザイ!ウザイ!ウザイ!ウザイ!ウザイ!ウザイ!ウザイ!ウザイ!ウザイ!ウザイ!ウザイ!ウザイ!ウザイ!ウザイ!ウザイ!ウザイ!ウザイ!ウザイ!ウザイ!ウザイ!ウザイ!ウザイ!ウザイ!』

「なっ!?」

『みんな死んじゃえ!!!裏コード:七つの雷!!!』

 

 リヒトの叫びと共にカナリア色のErzengelの装甲が割れた。

 

 その直線の割れ目は一か所だけでなく、縦横斜めと何か所も不規則に溝ができる。

 

「何を!?」

 

 ヒカルが動揺している隙にも、Erzengelの溝が増えた。そして全ての溝に光が走りエネルギーが集中し始める。ヒカリは直接は見ていないがこの現象を知っていた。

 

「みんな!!離れて!!高威力の加粒子砲が来るわ!!」

 

 東西アメリカ国境付近で戦闘になった正八面体の使徒。その使徒の強力な武器がカナリア色のErzengelで再現されていた。溝で粒子を加速させ収束して発射する。

 

 その内の一本が至近にいたEVA十六号機に直撃した。

 

『ぐわあああああああ!!』

「ノリコ!!」

 

 A.T.フィールドを発生させたのにも関わらず貫通しEVAの胴体も貫通する。

 

 EVA十六号機からエントリープラグが射出され、月上空に飛んでいった。EVAのダメージが大きい場合の自動脱出装置が動作したようだ。この戦闘初のEVA喪失だった。

 

 ノリコの安否も確かめる暇もなく、Erzengelの全身から加粒子砲が放たれる。それは狙いを定めたものではなく、全方位に発射された。

 

『キャハハハハ!シネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネ!』

 

 もはや正気が感じられないリヒトの声と共に、多数の光線が襲い掛かる。

 

『くっ!』

『きゃああああ!』

「ユング!ナディア!」

 

 ユング・レキシントンとナディア・ラ・クレマンソーも悲鳴を上げた。それぞれ腕や足に命中し切断されている。エントリープラグで自動脱出していく。

 

 一瞬で3機のEVAが倒された。

 

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