【完結】NGチルドレン【EVAFF】   作:ガルカンテツ

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エピローグ
2031年


「では始めてくれたまえ」

「じゃあ、霜月祭全体の進捗状況から報告します」

 

 アタシの名前は、碇アヤ。碇家の次女、14歳。ここ第三新東京市第一中学の二年生で生徒会長でもある。パパ直伝の肘をついて口元を隠すポーズで報告を聞く。

 

 霜月祭とは第一中学校の文化祭の名前。11月に行われるため霜月祭と呼ばれる。霜月祭は中学の文化祭としては、かなり大規模だ。アイドルライブこそないが、出店、ミスコンや体育館でのバンドライブなど、まるで大学祭のような盛り上がりを見せる。

 

 正面に立って資料を見ながら報告しているのは、副会長の加持リョウイチ。同い年でアタシの幼馴染でもある。

 

 アタシが中学一年で生徒会長に当選し役員を指名する際に、よく知っているリョウイチを選んだのは知り合いだからという訳ではなく、彼の情報収集能力がとても高いからだ。それを指摘して将来はスパイになれば?と言ったらすごい嫌な顔をされた。

 

 一年生で生徒会長に立候補したとき、彼の情報収集能力を使い、パパから教わった権謀術を駆使して当選するつもりだったが、たかが中学の生徒会長でそこまでの気合は必要なかったようだ。まあ面倒くさくて誰もやらないだけなんだろうが。

 

 まあいい、このまま三年生の春まで勤めて権力の使い方を学んでいこう。既に校長以外の教師、全生徒の弱みは握っていた。

 ちなみに校長はリョウイチの母親、加持ミサトさんだ。昔からお世話になっている。

 

「……以上が進捗状況になります。全体としては数%しか遅れがありません」

「うむ」

「ただ、一つ問題が発生しています。遮光カーテンが足りず、一年B組と二年D組で取り合いになっていて揉めているところです」

「ふむ。冬月ちゃん」

「はい」

 

 アタシの斜め後ろに控えていた黒髪ロングの少女が反応する。手持ちのタブレットを素早く操作して確認した。

 

「一年B組は、教室で演劇。二年D組は、お化け屋敷ですね」

 

 何も言わなくても欲しい情報を直ぐくれる。さすが我が幼馴染にして親友の冬月ユミ。生徒会の書記でもある彼女は、パパの元恩師にして部下でもあった冬月コウゾウさんの親戚だ。その縁でリョウイチと共に小さい頃から一緒だった。

 

 リョウイチは困った顔をして判断を求めて来る。

 

「どうします?」

「……遮光カーテンは一年B組に使ってもらう。二年D組にはダンボールを優先的に配布しよう。お化け屋敷にするんだったら、窓に張るダンボールにそれっぽい装飾ができるだろう」

「なるほど、光を遮るついでお化け屋敷の演出に使えということですね」

「ああ、冬月ちゃんダンボールの確保は?」

「教材を梱包していた分が予備として取ってあります。壁一面に張るくらいは十分ですね」

「分った。伝えて来るわ」

 

 リョウイチは、そういうと直ぐに生徒会長室を出て行った。相変わらず行動が早い男だ。大型犬みたい。

 

 身長は14歳男子にしては高く、顔も整っている。まあ、アタシから見てもイケメンだ。もちろん小学生の頃からモテモテで数多く告白されていた。それでも誰とも付き合っていないとのこと。なんでだろうね?

 

 冬月ちゃんも黒髪美少女で、当然アタシもママ譲りの髪色で内巻きシャギーにしており美少女である自覚はある。生徒会長に選ばれたのも、この容姿のお陰もあるし外見は大事よね。

 

「アヤ、いいの?今日は早く帰るんでしょ?」

「あ!!もうそんな時間!?ありがとう冬月ちゃん!」

 

 無駄に広い生徒会長室にある豪奢な机から慌てて立ち上がり、鞄を引っ掴み部屋を出る。

 

「じゃあ帰るね!冬月ちゃんまた明日!」

「はいはい、久々に会うんでしょ?お兄さんによろしくね」

 

 冬月ちゃんに手をぶんぶん振って別れると昇降口まで急ぐ。

 

 

 今日は兄さん達が帰って来る日だ。家であるコンフォート17マンションに小走りで帰る。寒さで息が白く流れた。そろそろ冬服制服だけじゃなくコートも着こまないと寒そうだ。

 

 横目に第三新東京市の中心街にあるビル群を眺める。以前は戦闘があって一度は壊滅したそうだが、今は首都機能も一部移転してきており、高層ビルが立ち並ぶ立派な都市だ。

 

 16年前。人類は一度滅んだらしい。そのときのことを人類が半減したセカンドインパクトに準え、サードインパクトというそうだが、詳細は分かっていない。電子的な証拠が一切残っていない。全人類が白昼夢をみたような出来事があったそうだ。

 だが人々は口を揃えてこういう。ある少年が助けてくれたと。一度溶けたが、ある少年のお陰で元に戻った。とのこと。もちろん少年が誰かなんて誰も知らない。夢の中で出会って姿も声も朧気らしい。

 

 正直、なんのこっちゃと思うのだが、人類が全滅したらアタシは生まれていない。その少年?に感謝感謝だ。

 

 セカンドインパクトで地軸が歪み、日本の季節が無くなってしまっていたが、徐々に地軸が元に戻りつつあり、季節も戻りつつある。ここ第三新東京市にも冬が来そうだ。

 

 第三新東京市の地下にはジオフロントがあり、地球統合政府の組織、Nervの本部がある。Nervとは、全世界の情報を管理する機関だそうだが、良く分からないアヤシイ場所らしい。

 

 そのアヤシイ機関の総司令は、渚カヲルさん。副司令は加持リョウジさんで、リョウイチの父親でもある。そしてアタシの尊敬するパパは、そこの顧問で世界中を飛び回っている。

 

 ママも兄さんも姉さんもNervに所属していたらしいが今はパパだけだ。ママはずっと家に居たが、アタシが中学に入ると、実家である京都の碇家本家に度々行っている。碇家本家は幼い頃に行ったことがあるが、めちゃくちゃでかいお屋敷で、緊張した覚えしかない。ママはそこの現当主とのことだ。

 

 とてもやさしいママだが怒るとめちゃ怖い。パパもタジタジだ。顎髭を生やし変なバイザーを付けているが、ママの尻に敷かれているのは、かわいいよね。

 

 小走りで帰っていると、やっとマンションが見えてきた。

 

「ま、間に合った~」

 

 11階までエレベータで登り、廊下を通り、家のドアを開ける。

 

「ただいま~」

 

 家には、まだ誰もいない。先に帰れたようだ。部屋に戻り制服を脱いで普段着に着替える。

 

 リビングで一息ついていると、玄関が開いた音がした。部屋を出て玄関に向かう。

 

「アヤお姉ちゃん、ただいま~」

「ただま~」

 

 男の子と女の子がどたどたと入って来た。まっさきにアタシに抱き着く。

 

「おかえり!シンヤ君、ユイカちゃん」

 

 2人は兄さんの子供だ。アタシからすると甥っ子姪っ子になる。5才の男の子がシンヤ君、3才の女の子がユイカちゃん。めっちゃかわいい。向こうからすると叔母に当たるが絶対に叔母さんとは言わせないように教育済みだ。

 

「やっと着いた~ただいまアヤ」

 

 続いてドアをくぐって来たのは、大きなキャリーケースを持った、赤みがかった金髪ロングの美女。子供達の母親で兄さんの奥さん、碇アスカさんだ。

 

「おつかれ様、アスカ義姉さん。おかえり!」

 

 アスカ義姉さんは、兄さん共々、アタシが小っちゃいとき、忙しい両親に代わり、お世話したり遊んでくれたりした。おしめを替えたこともあるらしい。ちょっと恥ずかしい。年の差16歳差で、アタシに取ってもう一人のママであり、大好きな姉であり、ライバルでもあった。

 

 いつみても超美人だ。腰まである赤みがかったロングの金髪は綺麗なストレートで輝いて見える。スタイルも抜群で絶対に2人の子持ちには見えない。モデルや女優でもここまでの美人は見たことがない。今年で三十歳になるはずだが、そんな年には全然見えない。まあそれはママも同じでいつまでも若いままだ。きっと秘密がある。いつか暴いてやろう。

 

 アタシにはもう一人実の姉が居るが、めったに帰ってこない。長女であるレイ姉さんは世界中をずっと旅して見聞を広げているらしい。年に一回帰って来るかどうかくらい。

 レイ姉さんも小さい頃にお世話されているが、いまいちつかみどころがない人だ。

 

 アスカ義姉さんとシンヤ君、ユイカちゃんがリビングのソファーに座って一息入れる。お茶とお菓子は既に準備しているので、ゆっくりとしてもらう。

 

「はいお茶、ところで兄さんは?」

「ありがと、なんか食材を買って来るって。アヤもお腹すいたでしょう?」

「やった!久々に兄さんの料理が食べられる!」

 

 兄さんは料理が上手だ。小さい頃よく食べさせてもらった。その頃からずっと憧れの人だ。

 

 本気でお嫁さんになりたいと思っていた。まあ今も諦めちゃいないけど。だからアスカ義姉さんは恋のライバルなのだ。既婚?実の兄?それがなにか?

 

 仕事は地球統合政府の頂点、最高意思決定機関Hirnの世界で7人しか居ない委員の一人。全世界を管理している地球統合政府で重要案件を判断する重要な役職に若くしてついている。もちろん最年少での就任だ。アスカ義姉さんはその秘書をしている。

 

 Hirnの委員は、全世界で行われる選挙で選ばれるが、兄さんはトップの票数だったらしい。なぜそこまで人気があるかというと、東西に分かれて内戦していたアメリカの内戦終結と東西統一に尽力したから。

 

 人々は兄さんのことを『アメリカの恩人(benefactor of america)』と呼んでいる。それ以外にも世界中の平和に貢献し、それが評価されていた。

 

 ただアタシに取って最愛の兄さんであることは変わらない。アタシの名前、アヤ、漢字で書くと『綾』も兄さんが付けてくれたらしい。大切な人の名前の一部だそうだ。誰かは教えてくれないけど、きっといいひとなんだろう。この名前には誇りを持っている。

 

「ただいまー」

 

 玄関から美青年といっていいほどの男性が入って来た。髪は短めだが、後ろを縛っている。身長は女性にしては高めのアスカ義姉さんよりもさらに高い。細身だが程よく筋肉が付いており、適度に鍛えた体付きだ。

 

 はしたないが、廊下を走って大好きな兄さんに飛びつく。

 

「ただいま、アヤ」

「おかえり!シンジ兄さん!」

 

 

終わり




これで完結です。ここまで見ていただきありがとうございます。
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