僕はメリーさん   作:オル・ゼナ

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第1話

ジメジメとした夏の夜、陽は沈み星は陰り、空を見ると吸い込まれててしまうのではないかと錯覚するほどの闇が広がっている。

 

 左右をブロック塀で囲まれた夜道、一人の女性が歩いていた。道を照らすのは細い一本の街灯、灯りの下に立てば真っ白い光に包まれるが数歩歩くと女性の体は闇に溶けていく、女性の体が灯りの下から出るか出ないかの時だった。背後から静かな声が聞こえた。

 

「僕、メリーさん。今...」

貴女の後ろにいるの…

彼は子供らしい中性的な声で、けれどどこか自信に満ちたような

落ち着いた口調で目の前の女性に話しかけた、、、その時だった

 

彼の目前に現れた謎の空間が彼を飲み込む

 

ん?...え、ちょまッ今いいとこr…なんだよ薄気味悪い

 

彼が飲み込まれた空間は薄紫色をしていた、完全な黒ではなく、空に散りばめた星のように所々淡い紫がある。

 

これだけでも異質だということは分かるがその他にも自然が作り出したとも、人が創り出したとも思えない光景が広がっていた。

 

訂正、薄気味悪いじゃないなこりゃ、、、

 

「気持ちわりぃ」

 

彼の目には空間内に無数の目が映っていた、特にこちらを見るわけでも何かを見ている訳でもない、ただそこにあり色々な方向を向いていた

 

「気持ち悪いなんて、そんな酷いこと言わなくたっていいじゃない」

 

!?

 

「アンタさっきの女性だな?」

 

彼は目の前の女性が先程の、彼が驚かそうとしていた人だと分かった

 

「えぇ、そうよ。私は…」

 

彼の前に立つ女性は優雅でとても美しい女性だ。日傘をさし、フリルの付いた紫色のチャイナドレスと白いドレスを合わせたような服…そしてナイトキャップを被っていた。

 

彼女が口を紡ぐ

 

「私は八雲紫。人/妖怪/神、様々な種族が住む土地 幻想郷の創設者の1人で妖怪の賢者なんて呼ばれているわ」

 

「へぇ〜こりゃえらいもんが来たな、でその偉大な賢者様が俺になんの用?」

 

「貴方を幻想郷に招待しようと思ってこの空間に招いたのよ」

 

「ふーん...そうかい」

 

じゃあな、と彼は興味無さそうに踵を返す

 

「ちょっと!?待ってよ」

 

紫が引き返す彼を慌てて呼び止めた

 

「この話は貴方にとってとても有益だと思うのだけど、例えば…()()にもう一度会えるかもしr「アノ子のことを知っているのか!?」落ち着いて!!」

 

「すまん、つい」

 

「知ってるも何も貴方、妖怪の中ではかなり有名よ?何度手放しても帰ってくる呪いの人形『メリーさん』…聞いていた話と容姿は異なるけれどね」

 

メリーさん…それは『メリーさんの電話』という怪談話に出てくる妖怪である

 

「なぁひとつ聞きたい、アンタが彼女について知っているのは俺の事が有名だということは理解した…が、何故ソコに行けば彼女に会えるかもしれないんだ?ソコにいる神にお願いでもするのか?」

 

「いいえ、そのような事はしないわ...」

 

ただ…と、紫は何かを躊躇うように重い口を開ける

 

「彼女、この世界には居ないのよ…」

 

「…は?何言ってんだよ俺を騙そうとしてんじゃねぇ…ょ」

 

始めは笑い飛ばしてやろうと意気揚々だった彼の表情が一気に崩れていく

 

「ぁ…なぁ!嘘だよなあ?嘘だって言ってくれよ!!」

 

彼は哀しさのあまり自分が自分で無くなるような気がした、紫は悪くないが怒鳴り、当たらないと自分の存在を保てないような感覚に陥った

 

「彼女は此処には居ない、けれど向こう(幻想郷)なら彼女にもう一度逢える、よかったら私と一緒に行きましょう?」

 

怒鳴る彼を制止するわけでもなく、包み込むような優しい声で彼に話しかける、、、その声は自然と彼の行き場のないどうしようも無い感情をすっかり包み込んだ

 

「しゃーねーな、行ってやるよ」

 

「貴方、人にものを頼む態度がなってないわよ」

 

ふふ、紫は安心したように小さく笑った

 

「じゃあ行きましょうか、私たちの幻想郷へ」

 

 


 

何も無い空間に、音もなく出口が出現し、彼は躊躇わずに顔を外へ出した

 

「此処が…そうなのか?」

 

「えぇ、ようこそ私たちの幻想郷へ」

 

彼が出たところは神社の境内だった。あたりは森に囲まれ、鳥が囀り、天高く太陽が昇り照りつけていたが心地よい温もりを感じる

 

「貴方、妖怪ね?」

 

「ああそうだ、俺は、、、いや、僕は」

 

メリーさん、今貴女の後ろにいるの...

 

「!?」

 

な…ぜ?

 

声をかけた少女の頭の中は疑問でいっぱいだった、少女は彼がどんな行動をとっても対処できるように視界に入れていた()()()()、だが少女が話しかけた途端目の前から彼の姿は無くなり、突如後ろから声が聞こえたのだ

 

「なん...で」

 

少女は驚きのあまり喉からやっとの思いで出した小さな声で言う

 

「霊夢、彼は敵ではないわ」

 

「いきなり背後とって悪かったな、俺もびっくりしたもんでよ」

 

「私いきなり殺気立てて悪かったわ、ただ此処には良くないモノも居るから貴方も気をつけてね」

 

「いや、いいんだ気にするな。俺の名前はメリーだ」

 

「私は博麗霊夢、よろしくね」

 

あぁ、そうそう…と先程まで二人の会話を傍観していた紫が口を開く

 

「この子、博麗神社に住むから後は頼んだわよ」

 

「はぁ!?いきなり言われても準備できてないわよ!」

 

やっとひと段落ついたのに、また騒がしくなったな

 

「結局俺は行く宛がない訳だが」

 

「それなら、ここに住んで大丈夫よ」

 

喚く霊夢を他所目に立派な神社を指さして紫が言う

 

「ちょっと!紫!」

 

「まぁいいじゃない、2人で住んでも余りがあるくらい広いでしょう?」

 

そういう問題じゃねぇだろ…

 

霊夢は引かない紫に押されたのか渋々了承した

 

「でも、ご飯はどうするの?」

 

「それは問題ない、俺は食わなくても生活できるからな、居場所を貰えるだけで大助かりだ」

 

先ずは住めるところが見つかって良かった、もう少しで会えるから.....待っててな

 

彼の顔には安堵の表情の他に物寂しさが伺えた

 

 

 

 

 

 

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