彼が幻想郷に来てから1週間ほど経った。彼はこの1週間で幻想郷の様々な場所を訪れた、多くの人が住まう人里、吸血鬼の住む大きな紅い館にサトリ妖怪のいる地獄...今まで暮らしていた世界では体験できなかったことをこの数日間で行なった
「よおメリー、元気してるか?」
縁側でくつろいでいる彼に何者かが空から話しかけた
「あぁ?何だ魔理沙か...」
彼が上空を見上げると大きな帽子をかぶり、黒を基調としたドレスにフリルの付いたエプロンを掛けた金髪の少女が背丈ほどの箒に跨り、彼を見下ろしていた
「何だとは何だ、せっかく私が遊びに来たのに酷いじゃないか」
魔理沙はやれやれと言わんばかりに首を振った
「ところで霊夢は居るのか?」
「いんや?また
この幻想郷では度々異変というものが起こる、この異変は原因不明の厄介事で主犯はほとんど妖怪だという。博麗の巫女は人と妖怪の中間の立ち位置にいるため異変解決の中心として活動する
「今回は大事になってないからな、それほど厄介なものじゃないだろうからそろそろ帰ってくるさ」
「ただいまー、あら魔理沙来てたのね」
「邪魔するぜ!」
「私、疲れたから少し休むわ」
重い足取りで霊夢は神社の中へ入っていった
「っ霊夢!そういえばコイツの能力は分かったのか?」
疲れたと言いながら神社の奥へ行く霊夢を魔理沙が慌てて止める
「まだ分かってないわよ…でもメリーさんだから『相手の背後をとる程度の能力』とかじゃないの?詳しいことはソコにいる妖怪に聞くといいわ」
霊夢は虚空を見つめた後行ってしまった
「ソコ?」
魔理沙はキョトンとした表情で呟く
「まぁ紫のことだろうな、早く出てこいよ」
「あら、気付いていたのなら早く言ってくれれば良かったのに
「お前いつも覗き見してるからな、今更言うことでもねぇと思っただけさ。で、能力ってなんのことだ?」
「あれ、まだ言ってなかったのか?」
初耳だ、と彼は落ち着いた声で返答した
「
…程度という言葉で片付けていいのか?と疑問に思ったが言うほどのことでもないので言いかけて少し開いた口を閉ざした
「魔理沙、ただのコスプレじゃなかったんだな」
「当たり前だぜ!…というか、目の前で飛んでただろ」
「確かに、こりゃ盲点だったな…俺にもその能力ってのはあるのか?」
「貴方ほどの妖怪であれば能力はあると思うわ、今見て見ましょうか」
「頼む」
傍から見ると彼は冷静だが内心、能力というものに興味がある彼は人知れず胸を踊らせていた
男の性...だよな、と彼は思った
紫がそっと彼の頭に手を乗せ、沈黙が訪れる...やがて、置かれた手が離されると紫は言った
「予想と全く違う能力なのね」
「メリーの能力はどんなモノなんだ!?」
「落ち着けって、で?どんな能力なんだ?」
「そうね、言うなれば…『ありとあらゆるモノを模倣する程度の能力』かしら」
「ほぅ…」
彼からは驚きとも喜びとも取れない言葉が漏れた...彼自身、霊夢の言うように背後を取れる瞬間移動の能力やどんな場所からでも電話ができる能力などを想像していた
「模倣、、、ねぇ…正直なんとも言えないな、今までそんなことはこれっぽっちも出来たことないし、能力を自覚した今できるって訳でも無さそうだ」
「みんな初めはそんなものよ、これから色々なことができるようになるわ」
初めから完璧な人なんていないわよ、と彼を慰めるように紫は言った
「それもそうだな、しかも今使えなくても特に困ったことは無いしな」
彼には程度の能力の他に、向こうの世界で培った術がある為生活する上で不便はないだろうと考えた
でも、能力使ってみたいな、、、と彼は心の中で悲しんだがその気持ちを知るものは彼以外にいなかった
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