ピンガ「俺が生き残る為にオリキャラ生やした」 作:ていとくン
日記形式というものを書いてみたくなったので、普通の文章と混ぜつつ書いてみます。せっかくの処女作ですので、色々と挑戦してみようと思います。
今回はちょっと短めです。キリが良かったので……
○月△日
凄く疲れる1日だった。
私の監視役がジンとウォッカから代わる。これは朗報だったわ。間違いなく。絶対に。
でも代役がとてつもなく癖の強い人だった。アレは悪党とかそういう枠組みに収まらない、もっとこう、斜め下にいるような……
優しそうな人では、あったけど。
とりあえず、ジンと本気の喧嘩をするのは金輪際止めてほしいわね。こちらの心臓が保たないわ。割と切実に。
せめて私のいないところでやってちょうだい。それならいいわ。むしろやっちゃいなさい。年端も行かぬレディに殺気をぶつけてくる男なんて、そこらの床にでも転がされてればいいんだわ。
○月✕日
確かに、私はケーキが好きだと言ったわ。次の差し入れは一緒に食べてあげるとも言ったわね。
誰がホールケーキを山ほど買ってこいと言ったのかしら?
一緒に食べるならこっちでしょ?って言われて思わず頭を抱えたわ……一緒に食べるって、別に同じケーキを切り分ける必要はないでしょうに……
百歩譲って!ホールケーキを切り分けるにしても!一つあればいいでしょう!?おかげで自室の冷蔵庫がケーキで満タンよ!生クリームは賞味期限が短いってのに、どうするのよこれ……
○月□日
まさかあれから毎日来るとは思わなかったわ。……ケーキが無駄にならなかったのは良かったけど。……しばらく、体重計に乗るのはやめとこうかしら。
暇なの?って聞いたら間髪入れずに暇!って返ってきたのには思わず笑っちゃったわ……中々やるじゃない……
△月✕日
私が言うのは凄く変なのだけど、彼は監視の意味を分かっているのかしら?
日がな1日ソファに寝っ転がって漫画や本を読んではおやつを食べていることを監視と呼ぶなんて、組織は随分と優しい集団になったのね。
そう言ってあげたら、うん!ですって。……彼と接するようになって、ため息の数が増えたわ……ただでさえ組織なんて場所にいるせいで、私に幸せなんか巡ってこないってのに……
□月○日
彼に読み書きを教えてあげることになった。なんで?
いや分かっているのよ。あんまりにも頻繁に単語の意味やら読み方やら聞いてくるから、私は貴方の先生じゃない!って言ったら、じゃあ先生になって!って返してくるなんて、一体誰が想像出来ると言うのかしら?
今回の件で分かったけど、彼って存外押しが強いのね。それとも、断りきれなかった私が押しに弱いのかしら……いえ違うわね、私は悪くないわ。絶対。
☆月△日
久しぶりにお姉ちゃんと会えた。レストランに行ってランチを食べて、ショッピングも楽しめた。特筆すべきことは何も無い、そんなごく普通の1日。……私は、こんな日々を送れるだけで、それだけでいいのに……
それはそうと、お姉ちゃんに彼の話をしたら、とても会いたがってた。面白そうって。……お姉ちゃんには悪いけど、あんまり会わせたくないわ。収拾がつかなくなる気がするから……
これを書いてて思ったけど、彼がお姉ちゃんに何かしら危害をくわえるなんて、これっぽっちも考慮してなかった。彼もまた、組織の幹部に数えられる人間なのに。
……絆されたかしら。駄目ね、もっとしっかりしなきゃ。
☆月▼日
あぁもうあの馬鹿!信じられない!もう少しで組織に消されるところだったのよ!!
(以降は愚痴が延々と書かれている)
☆月□日
数日置いたから少し落ち着いたわ。……いえやっぱりあの日のことを思い出したらイライラしてきたわね……
事の発端は、私がお姉ちゃんと外出したって話を彼にしたこと。
久しぶりの外出で羽を伸ばせた、と話をしたら、彼がぷりぷり怒り出した。軟禁状態なのもそうだけど、家族にさえロクに会えないなんておかしい!って。
それなら、今から外へ遊びに行こう!ですって。君はもっと世界の楽しさを知るべきだ!って
…………やっぱり、優しいのね。
とびきりの馬鹿でもあったけどね!!
まさか、一切申請をしてないなんて!!私は監視対象なのよ!!何の断りもなく外出なんてしたら逃亡したと思われるに決まってるでしょうが!!馬鹿なの!?ええそうね、貴方は馬鹿ね!!
施設に戻ってきたら銃を構えた大量の構成員に出迎えられた時の私の気持ちが分かる!?ええ分からないんでしょうね!あの状態でも平然としてたものね!!馬鹿!!!!
我ながら、よく生きてたわね……日頃の行いかしら。
▽月○日
久しぶりに彼に会ったわ。……あの事件以来、私の監視から外されていたのよね。まぁ当然でしょうけど。
おかげでしばらくの間、またジンと顔を合わせなくちゃいけなかったのはやっぱり心臓に悪かったわ。
それで、また今日から私の監視に復帰するみたい。あの後上司にすごい怒られたって言ってたわ。「監視という言葉の意味を辞書で引いてみなさい」ですって。
……組織って案外お馬鹿さんしかいないのかしら?それともたまたま彼の上司がお馬鹿さんなだけ?類は友を呼ぶなんて言うものね。
……別に、寂しくなんかなかったけど。まぁ、少なくともジンよりかはマシよね。ジンよりかは。
◇月☆日
遂に、遂にあの二人が、お姉ちゃんと彼が、出会ってしまった……
きっかけは、またしても私の久々の外出日。お姉ちゃんとカフェでお茶をしていたら、すぐ隣の席に一人でケーキバイキングをしているお馬鹿さんがいたの。……この時点で店を出るべきだったのよ。己の判断の遅さを恨むわ……
お姉ちゃんが興味を持ったそのタイミングで、彼が座席に戻ってきてしまった。そこからはあっという間だったわ……お姉ちゃんと彼はすぐさま意気投合。私はただ二人に振り回されるしか出来なかったわ……
着せ替え人形の気分を味わえた貴重な1日だったわ、ええ。おまけに試着した服全部買うなんて……流石のお姉ちゃんもびっくりしてたけど、彼は一体いくら持ってるのかしら。今日1日だけで相当な散財をしたと思うのだけど……
クローゼット一杯に服を詰め込んで、ついでにまた沢山買ってきたケーキを冷蔵庫に詰め込んだところでお姉ちゃんとは解散。……これでここら辺のケーキ屋は全メニュー制覇しちゃったわね。明日から毎日エクササイズするわ。
次会う時も必ず来てね!ってお姉ちゃんは言ってたけど、彼は「家族の時間を邪魔ばっかするのは……」ってちょっと遠慮してた。……そういう気遣いは出来るのよね。
……お姉ちゃんはすごく楽しそうだった。だから、仕方ないから、どうしても一緒に来たいって言うなら、次も着いてきていいわよ。
お姉ちゃんは私の方を見てニヤニヤしてたけど、別に彼とはそういう関係じゃないわ。いや本当に。普段の彼を見ていると流石に恋愛対象としては見れないわよ。……退屈しないのは、否定しないけど。
✕月☆日
今日は、私の誕生日。……
今日の勉強を終わらせて、自室に戻った私を出迎えたのは、お姉ちゃんと彼、そして特大のウェディングケーキ。
待って?なんでウェディングケーキ?
特別な日なんだから特別なケーキじゃないと駄目?……あぁそうね、貴方は普段からホールケーキを元気に食べてるものね。普通の人間はホールケーキに特別感を感じるのだけどね。
お姉ちゃんはすごい楽しそうでストッパーにはなってくれない。二人してウェディングケーキの周りをぐるぐる回っている。……なんでお姉ちゃんまで子供に戻っちゃうのかしら……
やっぱり、この二人が出会ってしまったのは大きな誤算だったわね……
彼に出会ってから、お姉ちゃんは笑顔がとっても増えたわ。私も、誕生日にお姉ちゃんと一緒にいられたの、いつ以来かしら。……そこだけは、感謝してあげる。
私の部屋の冷蔵庫をまたケーキで一杯にしてくれたことはやっぱり許さないけど。……トレーニングマシン、買わなくちゃいけないわね……
○月▽日
彼と出会ってから、1年が経った。化学をはじめ、勉強は順調に進んでいる。これならあと2〜3年で研究者としての地位を貰える。
その事で、彼が話をしてきたわ。……彼と真面目な話をしたのは、これが初めてかもしれないわね。
心配、してくれて、ありがとう。
「そういえば、志保は親の影響でこの組織にいるんだっけ」
「えぇそうよ。……いきなりどうしたの?」
いつも通り、ソファに寝っ転がってスナック菓子を摘んでたアルマニャックが、ふと体を起こして志保にそんな質問を投げかけた。
志保の訝しげな様子に、何故か彼もまた複雑そうな顔をしていた。
「いや、俺と志保って案外境遇が似てるんだなって」
「はぁ?何を言ってるの?私は貴方が歩いてきた程の地獄を渡り歩いた覚えはないわ」
「いやァ似てるさ。……俺も志保も、生まれを選べなかったってことは。俺は戦場になんか生まれたくなかったし、志保もこんな組織に生まれたかった訳じゃないだろ?」
彼の言葉に思わず言葉が詰まる。
物心着いた時から、薄暗い世界にいた。両親は早々に死んでしまい、唯一残った家族に会うことさえ許可が必要という有り様。血腥い大人達が作った組織で、血腥い大人に囲まれて、そして私もその螺旋にいずれ取り込まれる。
……確かに、こんな世界になんて生まれたくはなかった。その一点では、彼と同じと言ってもいいだろう。
「……そうね。貴方が味わった
「俺と比べる必要はない。人それぞれ辛いことは違うからね」
「あら、随分と成長したじゃない」
「茶化すのはよしてくれ」
こちらが笑うと、彼からは苦笑が返ってきた。
事実、彼は本当に成長した。人間として生きる為に必要な情緒や知識が備わってきた。今や、裏社会特有の血腥さや薄暗さを除けば一般人と大差ないところまで到達しただろう。
僅かばかりの感慨深さを感じていると、彼が話を続けてきた。
「俺は、出来れば志保には表の世界に行ってほしかった」
「!」
「あの太陽みたいなお姉さんと一緒に、表の世界を歩いているのが、志保には似合ってる。……でも、この1年で分かった。組織は俺が思ってる以上に、志保に拘ってる。俺の口添えでも、志保を組織から逃がすことは出来ないと思う」
「…………そうね、お姉ちゃんはともかく、私は既に闇の螺旋の奥深くにいる。貴方も随分と上に気に入られてるみたいだけど、それでも私を引きずり出すのは無理でしょうね」
「あぁ。……だから、
目を見開く志保。彼の真っ直ぐな視線が、彼女を見据えている。
「俺は既にこの組織で地位を確立した。暴力の分野で、俺に口出ししてくる奴はいない。……志保も、
彼の言葉に、思わず笑みが溢れる。……彼は、この組織を気に入っている。自分の居場所として認めている節があった。だから、自分が抱える居心地の悪さを、彼には相談出来ないと思っていた。
そんなことはなかった。彼は、自分がこの組織に居場所のなさを感じていることに、気づいてくれていた。……気遣ってくれていた。
「心配してくれなくとも、元よりそのつもりよ。せいぜい私の研究の為に、上手く使ってやるわ」
「ヘヘッ、それならいいや」
お互いに笑い合う。……出会ってから1年、初めて心から彼と分かりあえた気がした。
どこまでも仄暗いこの組織に、自分が溶け込めることはないのだろう。でも、お姉ちゃんが、彼が、自分を案じてくれる人がいるなら、私は、まだ頑張れる。まだ戦える。
「ねぇ、アル」
「?」
「心配、してくれて、ありがとう」
うん、終わりませんでした!次回も志保回です!話をまとめる能力が、ない!
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