ピンガ「俺が生き残る為にオリキャラ生やした」   作:ていとくン

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今回で終わると言ったな?あれは嘘だ

書きたいこと書いてたら、またもや1万字余裕でオーバーしたので分割しました。今度こそ次で終わると思います。



虎穴に入らずんば虎子を得ず

 

 

 

 

 

『出番です、やりなさい、キュラソー』

「了解、分かったわ」

「!!」

 

 

 

瞬間、入口から猛然と迫ってくる女性。ラムの右腕にして組織屈指の武闘派、キュラソーがアルマニャックに肉薄する。

高速で飛来する貫手。一手一手が確実に人を殺めうる威力をもって放たれる。シェリーを庇いつつそれらを防ぐアルマニャックの顔に、常の余裕はない。

 

 

 

『ジン、ウォッカ、バーボン。貴方達は銃でアルマニャックを撃ちなさい』

「……正気ですか?シェリーは勿論、貴方の右腕であるキュラソーに当たるかもしれませんよ?」

『問題ありません。()()()()()()()()()()()()()()()()

「……ククク、成る程。分かった」

 

 

 

そう言うと、二人は懐から予備の銃を抜いて構え、バーボンは手元の銃を改めて構え直し、引き金を引いた。

ウォッカがばら撒き、ジンとバーボンが刺す。特にジンの弾丸は絶妙だ。一番来てほしくないタイミングで、来てほしくない場所に飛んでくる。それを弾く為に体勢が崩れ、そこをキュラソーが突く。

ピンガ程ではないが、キュラソーとも親交があったアルマニャックにとって、例え今敵として前に立っていても、彼女は死んでほしい人間ではない。キュラソーに当たりそうな弾丸を、彼女は敢えて避けず、アルマニャックが無理な体勢から力技で弾く。

当然シェリーを庇うことも忘れない。……彼女の存在こそが、ジン達の勝ち筋となっている。彼女を庇ってさえいなければ、アルマニャックはこの局面からでも勝利出来るだろう。

 

遂に、アルマニャックが傷を負い始めた。僅かなかすり傷ではあるものの、ジンの弾丸が、キュラソーの無手が、無敵を誇った彼に届きつつある。

戦闘に詳しくなくても、自分の存在が足手まといになっている自覚があった志保は叫ぶ。

 

 

 

「もう止めて!私のことは諦めなさい!これ以上は貴方が死んでしまうわ!」

「嫌だ!俺は諦めねェ!」

「私はもういいから!…………最期まで守ってくれて、嬉しかったわ。だから、もう、やめて……!」

「クックック……泣かせるじゃねぇかシェリー。麗しい愛情だ、応えてやれよアルマニャック」

「黙れ!黙れ黙れ黙れ!!俺はもう……二度と仲間の命を諦めねェ!!

「お〜お〜お熱いこって。おとぎ話の英雄サマみたいだなぁ?カッコいいぜアルマニャック!」

「なんで…………どうしてそこまで!」

「失う痛みを知ってるからだ!!」

 

 

 

キュラソーの蹴りを腹で受け止め、軽く血を吐きながらも、眼光は未だ猛々しく輝いている。オニキスの煌きが、その場にいた全ての人間を射抜く。

 

 

 

「シェリーだけが、特別な訳じゃない……ピンガも、キールも、コルンもキャンティもキュラソーもバーボンも、()()()()()()()だ!俺は、俺の内側にいる奴を、もう二度と手放さねェ!!」

「……………ッッ!!」

 

 

 

文字通り、血を吐く叫び。泣きそうな顔をしているバーボンの銃口は既に下がり始めている。

対して、キュラソーは目を見張ったあと、獰猛に口角を上げて笑う。

 

 

 

「……フッ、お前、()()()だな。アル」

「ハッ…………今更、気づいたかよ」

「あぁ、お前はいい男だよ。だからこそ、私が倒す。倒してやる。お前ほどの男を、ここで死なせるのは惜しいからな!」

「やれるもんなら、やってみやがれ、キュラソー!!」

「チッ、下らねぇ茶番にいちいち付き合ってんじゃねぇキュラソー。おいウォッカ、もっとばら撒け!」

「へい!」

 

 

 

一層熾烈さを増していく戦いの中で、底が見え始めた体力を少しでも温存すべく、ミリのズレも許されない戦場を少しでも長く舞う為に、アルマニャックの体捌きが、洗練されていく。

1ミリで避けていた攻撃を紙一枚で、髪一本で、肉薄していく。すり抜けていく。懐にいるシェリーを避けさせるその動きさえ、無駄が消え去っていく。

攻めている筈のキュラソーが、被弾するようになった。頬に、腹に、アルマニャックの拳や蹴りが掠っていく。

 

(フフフ、なんて男だ……!!)

 

不敵に笑うキュラソーの背に、冷や汗が走る。嗤いながら銃弾を撒いていたジンやウォッカの顔に、苛立ちや焦りが差しはじめる。

 

 

 

 

 

それを見届けているラムに、感情の起伏はない。

 

(ええ分かっていましたとも。この程度で落とせる男ではないと。……()()()()()のは、流石に想定外でしたが)

 

このままではキュラソーが落ちる。だが、彼女は既に役目を果たした。彼女が殺す気の全力でアルマニャックと対面したおかげで、彼は眼の前の戦場に集中している。気配を殺し、蟻の歩みで研究室へと迫る最後の切り札に、彼はまだ気づいていない。

 

 

 

 

 

 

 

『今です、ここで終わらせなさい。()()()

「あぁ、分かってるさ、ラム」

 

 

 

入口から部屋に躍り込むピンガ。その手に握られているのは、消火器のようなナニカ。……ピンガ謹製の強力な睡眠薬が大量に入った代物だ。

ノズルを引っ張ろうとしたその手に奔る衝撃。見ると、ホースが切り飛ばされていた。一拍遅れて、金属が弾かれるような音。

 

壁に、アルマニャックの象徴たる黒鍵が深々と刺さっていた。

 

 

 

 

 

 

 

「随分来るのが遅かったんじゃねェか?舞踏会はもう佳境だぜ、ピンガ……!」

「フッ……いつ気づいた?変装は完璧だった筈だ」

 

 

 

奇襲が完璧に読まれていた。ラムの顔に初めて焦りが生まれる一方、ピンガは余裕を崩さない。

この男なら見破ると、どこかで思っていたから。あの()()()()()に謀れる器じゃないと、信じていたから。

弾丸と拳撃の雨をかいくぐりながら、アルマニャックは声を放つ。

 

 

 

「見た目は完璧だったさ。そこは今でも区別がつかねェよ。さすがは俺の()()()()()だぜ」

「なら、どこで?何で確信を抱いた?」

()さ。……偽物は僅かに声が震えていた」

「声?」

「隠しきれない死への恐怖を演じたかったんだろうな。俺を揺さぶる為に。…………ピンガは、()()()()()()()()()だ。殺す覚悟も、()()()()()()()()……間違っても、たかだか銃を突きつけられた程度で声を震わせる程ヤワな奴じゃねェんだよ!俺の相棒を舐めるな、()()()()()!!」

 

 

 

 

 

 

 

映像に映るピンガは、数秒無表情になった後、おもむろに顔を破った。出てきたのは金髪をたなびかせる妖艶な美女。

千の顔を持つ魔女、ベルモット。その顔は不満げに歪んでいた。

 

 

 

「これだけ短時間で見破られたのは初めてよ。自信なくしちゃうわ」

「あの臭い三文芝居さえなけりゃ見破れなかったかもしれねェ。分かりやすいヒントをありがとな」

「……それは私の表の顔が女優と知っての発言かしら?」

()()()でも女優やれるのか。組織(ここ)やめたら次の就職先はハリウッドにでもするかな」

 

 

 

ベルモットの口元が怒りで歪み、端正な顔に青筋が走る。自身の変装と演技に絶対の自信を持つ彼女にとって、彼の発言は露骨な挑発と知っていても、聴き逃がせる発言ではなかった。

 

 

 

「これだけ追い詰められておきながら、随分と余裕そうじゃない」

()()()()じゃない、()()なんだよ」

「あらそう、格好いいわね。…………なら、これでも余裕かしら?」

 

 

 

胸元から拳銃を取り出し、キールの蟀谷に突きつけるベルモット。僅かに恐怖で体を硬直させたキールを見て、口角を上げて嘲笑う。

それを見たキャンティが眦を吊り上げて怒鳴る。隣にいるコルンの顔も不満げだ。

 

 

 

「おい、何してんだいベルモット!」

「あら、何か文句があるのかしらキャンティ?……まさか、貴女もアルマニャックにあてられた訳じゃないわよね?」

「!…………これはアタイが任された仕事だ。キールはアタイの獲物だ。殺すなら、アタイの弾丸で殺す。人の獲物を横取りするんじゃないよ、ベルモット!」

 

 

 

一瞬言葉が詰まるものの、それを呑み込み、怒りを隠すこともなくぶつけるキャンティ。

アルマニャックはキールを身内と思っている。なら、せめて死ぬ時は自分の弾丸で。魔女の手などにかけさせやしない。

確たる意志をもって睨みつけるキャンティを胡乱げに見るベルモットにも、常の余裕はない。

 

 

 

「もうそんな余裕を言っている場合じゃないことも分からないのかしら?……私の変装で騙し、キュラソー達が時間を稼いでいるうちに迫ったピンガが完璧な奇襲を果たす。それがラムの計画よ。でもピンガの奇襲は通らなかった」

「分かってるさ。アンタが早々にバレたせいでラムさんの作戦が台無しってこともね!」

 

 

 

キャンティが鼻で笑い、ベルモットの顔が悔しげに歪む。

 

 

 

 

 

 

 

アルマニャックと特に親しいピンガとキールを人質に取り、精神に圧力をかける。銃を突きつける役割をキャンティとコルンにすることで、更に揺さぶりをかける。……仲間を手にかける辛さを知るアルマニャックにとって、この一手はよく効くだろう。

次いで、キュラソー・ジン・ウォッカ・バーボンの四人がかりでアルマニャックをその場に留める。シェリーを、そして自分に殴りかかるキュラソーさえ庇いながらの戦いでは、流石のアルマニャックにとってもギリギリの戦いになるだろう。……戦闘範囲外の気配を察知する余裕など、ない程に。

四人が時間を稼いでいる間に、()()()ピンガが気配を殺して近づく。……特製の睡眠薬を携えて。

対面ならともかく、映像越しであることに加えてベルモットの技術をもってすれば、心身共に大きな負担がかかっているアルマニャックを騙すことも難しくないだろう。

ちなみにこれが毒薬でない理由は、彼に察知される危険性を避けてのものだ。

アルマニャックの言葉を信じるなら、彼は自分に近づく()()()()を察することが出来るらしい。そんな馬鹿な、と鼻で笑いたいところだが、あのアルマニャックならあるいは、と思ってしまった以上、念には念を入れて対策を練るべきであるとラムは判断した。

それに、やはりアルマニャック程の札を失うのは組織にとっても痛い。殺さずに済むなら、それに越したことはない。

 

今、ラムがアルマニャック相手に切ることの出来る札全てを使った。用心を幾重にも重ね、万全に次ぐ万全を期した。全力を尽くしてアルマニャックを仕留めにいった。勝てる、筈だった。

だが失敗した。自分はおろか、"あの方"さえ太鼓判を押すベルモットの変装が、あれ程の短時間で完全に見破られるとは思っていなかった。

 

この時のラムに油断はなく、慢心もなかった。彼は間違いなく、全力を出し尽くして策を練っていた。

 

ただ一ツ、見落としがあるとすれば、アルマニャックとピンガの間にあった絆の深さ。

友愛、恩義、愛情、義理、絆。ラムはこれらを目に見えず容易く崩れるあやふやなものとしか見なしていなかった。アルマニャックと出会って以降も、そこだけは変わらなかった。

自らが知り得ない力による敗北。そういう意味では、この結果は必定であったのかもしれない。

 

 

 

 

 

 

 

「……業腹だけど、認めるわ。私の失態で、この作戦は失敗した。だからこそ、早々にリカバリーをしなければならない。キールの死でアルマニャックの心を折る。これは必須条件よ」

「だから、それはアタイの仕事だと……」

「なら早く撃ちなさい。早くしないとキュラソーが落とされるわ。彼女、そろそろ限界よ?ジン達も、残弾数はほとんどない筈。猶予は残されていないわ」

 

 

 

ぐ、と言葉に詰まるキャンティ。数秒躊躇った後、ラムに確認の電話を入れようとした時、画面から声がかかる。

 

 

 

「やめとけ。もうキールは()()()()使()()()()

「…………どういう意味かしら」

 

 

 

ピンガの発言に疑問を投げかけるベルモット。心なしか苛立ちが乗った彼女の声に対して、ピンガの声は凪いでいる。

今回の件は"あの方"肝いりの任務。ラムが全力をかけて練り上げた作戦を自らの失態で作戦を仕損じたともなれば、"あの方"から気に入られている自分といえど制裁は免れない。

早く対策を打たねばならないが、アルマニャックが最も信頼を寄せる男の発言だ、この盤面では無視も出来ない。仕方なく耳を傾ける。

 

 

 

「今、この戦線が拮抗しているのは、アルに殺意がないからだ。ただでさえ余裕がなくなっているアルの前でキールを殺してみろ、ブチギレたアイツは少なくともジンやウォッカを確実に殺す。俺を含めた残りの三人も、タダじゃ済まないだろう」

「……なら、どうしろと言うのかしら?何か策でもあるの?」

「あぁ、あるさ。()()()()()()()

 

 

 

薄く笑ったピンガは、懐から拳銃を抜く。アルマニャックが向ける意識が、僅かに増える。

 

 

 

「"あの"アルマニャックを仕留めようってのに、お前ら覚悟が足りなさ過ぎるんだよ。……命くらいかけなきゃ、アイツは獲れねぇ」

 

 

 

抜いた銃を、己の蟀谷に突きつける。その場を見ていた、全ての人間の意識がピンガに集中する。

アルマニャックの目が、限界まで見開かれる。

 

 

 

「ベルモットだけじゃねぇ、しくじったのは俺も同じだ。なら、ケジメはつけなきゃだよな?」

「な、にを……ピンガ、お前……」

「見ての通りだろ。…………じゃあな、アル

 

 

 

 

 

 

 

 

濃密な"死の匂い"が、部屋に漂った。

 

 

 

 

 

 

 

 

アルマニャックは理解してしまった。

 

この場で唯一人、彼だけは理解してしまった。これは決して脅しではない。ピンガは、()()()()()()()()()()()()()()()と。

 

ピンガは笑って引き金に指をかける。力がこもり、指が曲がっていくのがまるでコマ送りのようにゆっくりとアルマニャックの目に映った。

 

この戦いが起こってから初めて、彼の意識が志保から離れた。抱え込んでいた志保をその場に置いたまま、ピンガの元へ全力で跳ぶ。

好機と見たジンとウォッカの弾丸が、何発もアルマニャックの体に突き刺さる。それらを意にも留めず、彼は手を伸ばす。

 

 

 

「やめろォォォォォ!!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おう、来てくれると思ったぜ」

 

 

 

ピンガが持っていた銃はアルマニャックに奪われ、彼の首元にはピンガが持つ注射器の針が刺さっていた。

噴霧予定だった睡眠薬、その原液が。象すら眠らせる程のソレを注入されて尚、僅かながらも意識を保っているアルマニャックを見てピンガの顔に呆れ半分の笑みが浮かぶ。

 

 

 

「ピン、ガ、お、前……」

「お前と同じ、俺も命を懸けてみた。ただそれだけさ。……お前なら、間に合うと思ってたがな、アル」

「ちく、しょ、う…………!志保、逃げ……ろ………………」

「!」

「アル!!」

 

 

 

最後の力を振り絞り、黒鍵をジンとウォッカの手元へ投げ、遂にアルマニャックは崩れ落ちた。

黒鍵は過たず二人の利き腕を撃ち抜く。苦悶の声を上げて蹲る二人を横目で見つつ、ピンガは腰が抜けて座り込んだシェリーの元へ歩いていく。

 

 

 

「シェリー。お前はしばらく監禁する。今回の反逆未遂に対する制裁としてな。……いいよな?ラム。本当はあんたもシェリーを殺すつもりはなかったんだろ?」

『…………よく分かりましたね、ピンガ。ええ、確かにその通りです。彼女が持つ技術は、それだけ重要なものですので』

「そういうことだ。……一応聞くが、抵抗はしないよな?お前が駄々をこねるだけ、アイツの治療は遅れることになる」

 

 

 

そう言ってピンガが親指で指し示す先には、大量の血を流して倒れ伏すアルマニャック。側にはバーボンが立っており、奪還は万一にも不可能。

元より戦闘力などないシェリーに、最早選択肢は存在しなかった。拳を握りしめ、わなわなと震わせる。

 

 

 

「貴方は、貴方達はどこまで……………!!」

「で、どうすんだ」

 

 

 

あくまでも冷酷に、冷徹に問い詰めるピンガに、シェリーは折れた。項垂れて両手を差し出す彼女に手錠をかけて立ち上がらせる。

 

 

 

「バーボン、キュラソー。アルを医務室へ連れて行け。アルの体力ならまだ保つだろうが、早くしろ」

「……えぇ、分かりました」

「随分と人遣いが荒いんじゃないかしら、ピンガ」

「仕方ねぇだろ、アルの重さじゃ一人だと運べねぇんだからよ。俺はシェリーを連れてかなきゃいけないし、ジンとウォッカはあのザマだ」

 

 

 

嘲笑を浮かべるピンガを鋭く睨みつけるジンとウォッカ。溢れんばかりの殺意が乗ったそれを、ピンガは涼しげに受け止める。

 

 

 

「てめぇ、ピンガ……!」

「ハッ、お前のそんなツラが見れただけでも、この作戦に参加した価値があったぜ……ジン。お前らも医務室でとっとと治療してもらえよ?」

 

 

 

最後に二人を鼻で笑い、研究室を後にするピンガとシェリー。

その背中に、ラムから声がかかる。

 

 

 

『本当にお手柄でした、ピンガ。君の機転がなければ、今回の作戦は失敗に終わっていたでしょう』

「……それなら、俺が着くまでアルを留めていたキュラソーの方が手柄だろ」

『…………君が手柄を誰かに譲るとは。先の機転といい、変わりましたね。ピンガ』

 

 

 

その言葉に応えることなく、今度こそシェリーを連れてその場を後にした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

シェリーを連行しつつ、先程までの光景に思いを巡らせる。

圧倒的不利な状況を凌ぎきり、何発もの弾丸にその身を穿たれ、特注の麻酔を受けながらもジンとウォッカを抑えきった、アルマニャックの姿を。

戦いの果てに、倒れ伏し血に沈む"最強"の姿を。

 

アルマニャックと出会って、5年。あの男が倒れる姿など、想像すら出来なかった。だがいつかその日が来るのなら、自分が打ち倒す役でありたいと思っていた。……そうして初めて、自分は本当の意味であの男の隣に立てる、そんな気がしたから。

その為に、多忙な潜入任務の合間を縫って体をいじめ抜いた。筋肉をつけ過ぎないよう、柔軟さや体捌きに重点を置いて毎日鍛錬を重ねた。

 

アルマニャックは、打ち倒された。己こそが立役者となって。

 

 

 

「もっと、嬉しいもんだと思ったんだがな……」

 

 

 

理由は分かっている。今回、己は多勢の力を借りた騙し討ちの果てに、薬の力で勝ちを得たからだ。

普通なら、それで構わない。卑怯狡猾何でもござれ。勝った奴が正しく負け犬に何かをほざく権利はない。今でもその考えは変わらないし、薬品も己が磨き上げた頭脳で作ったものであり、それは即ち己自身の実力に他ならない。

 

だが、"アルマニャックを倒す"、()()()()()、己の武力一つでやるべきではなかったか。

 

勝ちは勝ち。それを受け入れた上で、ピンガは決意を固める。

 

 

 

「次は、俺一人で……」

 

 

 

ピンガは、静かに拳を握り締めた。

 

 

 





戦闘描写は難しいからなるべく避けたかったのですが、気がつくと書かなきゃいけない話ばっかりな気がします。
脳筋キャラ作っといて戦闘描写避けるのは無理だろ?それはそう。



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