ピンガ「俺が生き残る為にオリキャラ生やした」   作:ていとくン

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評価バーに色が付きました……!しかも赤!!最初見た時数分はニヤニヤが止まりませんでした。バーに色がついてから、UAの数字がすごく伸びています。嬉しいですね……!

高評価を付けてくださった皆様、本当にありがとうございます!とっっっっても励みになりました!!
もっとバーが伸びたら、そんな未来を目指してこれからも頑張って行きますので、応援よろしくお願いします!



さて、今回は閑話です。本編のストーリーには直接関わりませんし、章の内容とも関係はありません。多分。
今後も、サブタイトルにInterludeと入っているものは閑話となります。

閑話はこれからもちょくちょく挟んでいきますが、時系列は適当です。原作時〜数年前位のどこかだと思っていただければ大丈夫です。

それと一つ注意事項を。今後もそうですが、閑話ではキャラが割と崩れます。原作こそ至高!という方はお気をつけください。



Interlude① キールとデート

 

 

 

 

 

 

きっかけは、福引だった。

 

何の気なしに入ったデパート。何の気なしに買い込んだ大量のお菓子。そして一定額以上の買い上げで貰える福引券を、何の気なしに回してみたら。

 

 

 

カランカランカランカラン!!

 

 

 

「おめでとうございます!一等!一等でございます!」

「ほほ〜、こいつは運が向いてるねェ〜。して、何が貰えるんです?」

「一等は何と!愛媛県は道後温泉、2泊3日のペア旅行券でございます!!」

「はぇ~すっごい」

「是非、大切な方と至福のひとときをお楽しみくださいね!」

「ありがとナス!」

 

 

 

「………………大切な人、ねェ…………」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『…………………………それで、いの一番に私の元へ連絡をしてきたと言うわけですか』

「そだよ!やっぱり俺にとって大切な人言うたら仲間だなって思ったんだけど、そもそもこの組織に招いてくれた旦那を抜きに話は進められないって思ってな。ラムの旦那も忙しいとは思うが、だからこそ時には疲れを癒やすのも大事だろ?よかったら、一緒に行かないか?」

 

 

 

恐らく電話の向こう側でニコニコしているだろうアルマニャックを想像し、ラムは両手で頭を抱えて蹲る。

 

(温泉旅行のペアチケットを当てて、最初におっさんを誘いますかね普通…………いえ、別に嫌な訳ではありません。ですが、この局面で"大切な人"と言ったら普通は……いえ、家族を呼ぶこともままありますね。変わり種で言えば世話になった人を呼ぶことも、なくはない、のか……?……いやしかし、本人含めたペアであればやはりそこは……)

 

折しも、今の自分は繁忙期真っ只中。とてもじゃないが温泉どころか休暇を取る余裕もない。

何故こんなクソ忙しい時に、自分は部下の情緒について思考を巡らせなければいけないのか。行けもしない温泉をチラつかされるこっちの身にもなってほしい。

純然たる善意で誘ってきたというのもタチが悪い。一番最初に声をかける相手として、彼が自分を選んだことをほんの少し嬉しく思っている自分に対してもため息が止まらない。

一分程頭を抱えた後、再起動したラムはポンコツ殺し屋に"お約束"というものを説いて聞かせることにした。

 

 

 

『お誘いは嬉しいですが、私は今少々立て込んでいるので遠慮しますよ』

「そっ、か………………残念」

『そんなに私と行きたかったのですか……?』

「まァ、ラムの旦那にゃ世話になってるし恩もある。ここらで少しは返しておきたかったんだが……仕方ない、別の機会にしよう」

『……そのお気持ちだけ頂いておきましょう』

「いやいや、忙しいのに悪かった。別の奴を誘うことにするよ」

『ピンガは駄目ですよ?』

「えっ」

『……やはり次はピンガに声をかけるつもりだったのですね』

「なんで分かったんだ……流石はラムの旦那だな。あっ!もしかして、ピンガはタトゥー入れてるのか!?たしか、日本の温泉はタトゥーを拒む文化があるって聞いたことがあるぜ……!」

『違うそうじゃない』

 

 

 

思わず普段の敬語が取れてしまった。アルマニャックとの関係が出来てから、頭を抱える回数が飛躍的に増えた気がする。

自分はスキンヘッドだからハゲる心配をしなくて済むのはよかった、などと益体もない方向に思考が向かうのをどうにか戻す。

 

 

 

『一つ、お教えしましょう。こういう時……えぇつまり、温泉旅行というのは、通常異性を誘うものです。即ち、女性を』

「女性を?」

『そう。それが様式美というものです。貴方も組織に入ってしばらく経ちますし、女性の知り合い位いるでしょう。そちらを誘ってください』

「そういうものなのか」

『そういうものです』

「ん〜、分かった。ほいじゃ、また」

 

 

 

電話を切ると、再び特大のため息が漏れる。何故自分は仕事と関係ないところで疲労を溜めなければいけないのか。

段々悲しくなってきたラムは、仕事に戻りつつ愚痴を溢す。

 

 

 

「このヤマが片付いたら、私も温泉に行きましょうかね……いえ、絶対に行きます。行ってやりますとも」

 

 

 

何やら悲壮な気配を漂わせるラムを、側近達が憐れみをたっぷり含んだ目で見ていることに、彼は気づかなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ラムとの電話を終え、一息ついたアルマニャックは脳内で候補を選定していく。

 

(部隊のメンバーは……ナシだな。女性は複数名いるし、一人だけ特別扱いするのはよくないだろ)

 

元々、交友関係は狭く深いアルマニャックにとって、旅行に誘える程に親しい女性はそういない。あっという間に4名まで絞られた。

 

 

 

キャンティ、キュラソー、シェリー、キール。

 

 

 

(キャンティは……残念だけどナシかな〜)

 

キャンティはコルンとつるんでいることが多い。にも関わらずキャンティだけ連れて行くのは、流石にコルンが仲間外れみたいで嫌なので、除外。

 

(キュラソーは駄目でしょ。ラムの愛人なんだし)

 

ラムが彼の脳内を覗いていたら顔を真っ赤にして否定していただろう。どうあがいても右腕=愛人の式など成り立つ筈もないが、アルマニャックの脳内ではそういう式になっていた。

 

(シェリーは前に外出しただけでめっちゃ怒られたから駄目だな)

 

外出したことを怒られたのではなく、無許可無連絡で監視対象を連れ出したことに怒られたのだが、アルマニャックはよく分かっていない。

 

(キールは……アリだな。シェリーみたいな制約もなく、キャンティやキュラソーみたいな相方もおらんし。何なら俺が相方みたいなところあるし)

 

(となると、キールだな。初対面時に泣かせちゃった詫びも兼ねて、楽しんでもらえたらいいんだが……よし、善は急げってな!)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「という訳でキール、温泉行こうぜ!」

「……ごめんなさい、何も分からないのだけれど」

「かくかくしかじかでな」

「まるまるうまうまという訳ね」

 

 

 

アンニュイな表情をしている彼女はキール。その正体は中央情報局(CIA)所属にして、"組織"と"ジャバウォック"、つまりアルマニャックの情報を調べるよう特命を受けている諜報員だ。

そう、彼女は諜報員だ。組織を裏から崩すべく暗躍する諜報員(スパイ)なのだ。情報を集める為に幹部達へ接触することはあっても、過度に関係を構築することは身元がバレる切っ掛けになりかねない。任務内ならともかくプライベートでは、まして旅行などという、多くの時間を共にする行事など論外もいいところだ。

 

(だけど……)

 

目の前でガイドブックを何冊も広げてニコニコしているアルマニャックを見て、内心ため息をつく。……なんか、すごく断りづらい。

任務外で彼と接していると、自分が裏社会にいることさえ忘れてしまいそうになる。これが策略なら大したものだが、100%天然でやっているので始末に負えない。

 

(……まぁ、アルには色々と世話になっているし?ここで突っぱねるのは印象が悪いわよね。後々の諜報活動にも支障を来すかもしれないわ)

 

"キール"が最も多く任務を共にしているのがアルマニャックだ。危機を助けられた経験は数知れない。……彼と共に行く任務が、とびきり危険度の高いものが多いのが大半の原因ではあるのだが。

そして、"本堂瑛海"としても彼は大切な人だ。……誰も気づいてくれなかった、自分にとって一番大事な気持ちを掬ってくれた人でもある。

 

(アルは恩義や義理を重んじる人。こういう繋がりを大事にすることで、後々私の助けになるかもしれないし?)

 

アルマニャックは裏社会の人間としては珍しく、恩義や義理を大切にする人間だ。こうした小さな積み重ねを彼は決して忘れない。いずれ自分が困った時、必ず助けてくれると確信出来る程度には、彼のことを信頼していた。

 

(そもそも、私の任務を遂行する上で、アルマニャックの情報は必須条件。プライベートを共にすれば、より良質な情報を得られるかもしれないわよね)

 

本堂瑛海が上から特に強く求められている情報は、組織のそれではなく"ジャバウォック"について。組織幹部のうち、誰がジャバウォックなのかを調べ上げ、その詳細を報告する必要がある。

正直、キールはアルマニャック=ジャバウォックを9割方確信しているものの、未だ上層部にはそれを告げていない。不確定情報を報告する訳にはいかない、というのが一応の言い訳だ。

 

 

 

「……そうね、ここのところ忙しかったし、きちんと休養を取ることも大事よね」

「おおっ!?ということは、つまり……?」

「えぇ、私でよかったらご一緒させてもらおうかしら」

「やったぁ!!」

 

 

 

子供のように喜ぶアルマニャックを横目に、机一面に広げられたガイドブックを食い入るように見つめながら答えるキール。……何を隠そう、彼女の密やかな趣味の一つが、温泉巡りなのだ。

彼女は諜報員だ。目的と優先順位を履き違える女ではない。

決して、趣味の一貫として今回の旅行に参加する訳では無い。道後温泉なんて行ったことなかったな〜楽しみだな〜などと考えている訳では無い。ないったらない。

 

 

 

「それにしても、何故私を誘ってくれたの?貴方ならまずピンガを誘うのだと思ってたのだけど」

「いや、最初はラムを誘ったんだ。忙しいって断られちまったが。その時に、温泉旅行は異性を誘うものですって言われてな?だからキールなんだ」

「ちょっと待って情報量が多過ぎるわ。ラムって、組織ナンバー2のラムよね?誘ったの?温泉に?」

 

 

 

ラム。"あの方"と呼ばれるボスに次ぐ地位にいる大幹部。その素性の一切は謎に包まれており、"組織"を探る上で避けては通れない大物だ。

彼がラムとパイプを持っていることは把握していた(というより本人が語っていた)が、まさかプライベートな付き合いが出来る程のものとは思ってもいなかった。

そして、それほどの大物が、温泉には異性を誘えなどと、あまりに俗的な話をする人間だとは思っていなかった。想像のかなり斜め下だ。

 

 

 

「おう、福引のお姉さんがな?大切な人とのひとときを是非!つってたから、大切な人って誰だろうって考えたんだ。そしたら、組織に呼んでくれたラムがまず浮かんでな」

「多分そのお姉さんもその絵面は想像していなかったと思うわよ」

 

 

 

キールはラムの素顔を知らないが、仮に実現したらそれはそれは愉快な絵面になっていたことだろう。

そして、ラムの発言の真意も理解出来た。ラムの発言を受けたアルマニャックが「大切な人」として誰を誘うのか、そして誰が応えるのかを見て交友関係を、ひいては弱みを把握したかったのだろう。……評判通りの相当な策士だ。ラムの発言にだけ注目していたら、ここには気付けなかったに違いない。

流石は"組織"。流石は"ラム"。長きに渡り裏社会で君臨する存在と、その中で次席の位置を守り続ける傑物は一筋縄ではいかないと、キールは改めて気を引き締めた。

 

 

 

…………なお、ラムにそんな意図は一切なく、単に面倒なアルマニャックの相手を押し付けられる存在として、また彼の情緒を育てる一環として女性の方が都合がいいと考えていただけという事実を、キールが知ることはなかった。

 

 

 

「でも、女性なら私の他にもいるじゃない。キャンティやシェリーは、私より付き合いが長いんじゃなかったかしら?」

「……キールは、俺と温泉行くの、嫌だった?」

 

 

 

途端にアルマニャックは捨てられた子犬のような表情に変わり、それを見たキールは動悸が激しくなる。

自分の状態に自分で驚きつつ、努めて平静を保ちつつ答える。

 

 

 

「ッ!そういう訳じゃないわ。ただ、他にも親しい人はいたでしょうに、私を選んでくれたのが気になって……」

「……俺は、キールと温泉行きたかったんだけど、それじゃ駄目かな……?」

 

 

 

その言い方はずるい。キールは白旗を上げた。

 

 

 

「いいえ、そんなことないわ。誘ってくれて嬉しい。ありがとう、アル」

「えへ、そう?良かった〜」

 

 

 

ニヘラと笑う彼を見て、キールこと本堂瑛海は気付いた。

 

(なんか瑛ちゃんを思い出しちゃった……。私、年下のちょっと抜けてる子に弱いみたい……)

 

ガイドブックの吟味に戻った彼を見て、キールは苦笑を溢すのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「着いた〜!!」

「フフ、まず宿へ行きましょう。荷物を置かなきゃ」

「荷物なんか俺が持つから、まずご飯食べに行こうよ!朝食べてなくて腹ペコなんだ……」

「あら?貴方が食事をおろそかにするなんて珍しいわね」

「……えと、笑わないでな?実は昨日、ワクワクし過ぎで寝れなくて、その、寝坊しちゃってさ……エヘ」

「」ズキュン

「ん?どしたキール」

「い、いえ何でもないわ。ただの致命傷よ」

「致命傷はただのとは言わないんじゃないかな」

 

 

 

 

 

 

 

「腹ごしらえもしたし、次はお待ちかねの温泉だな!」

「…………相変わらずとんでもない量食べるわね……」

「俺食わないと死んじゃうからね。一食抜くのは割とヤバいんだ」

「そう考えるとその体質も難儀なものね……」

「戦場じゃだいぶ苦労したぜ。んで、肝心の温泉だけど……いや種類多いな!」

「日本でも有数の温泉街だもの。アルはどれに入りたいのかしら?」

「ん〜どれでもいいって言うか、全部制覇したいというか……おっ?これなんかどう?美肌に効果があるんだと。やばいなキール、もっと綺麗になっちゃうな!」

「あら、上手ね。女性の扱いはお手の物ってところかしら?」

「旅先ではとにかく女性は褒めましょうってラムが言ってたんだ」

「ラムは貴方に何を教えているのかしら……」

「ん?これはなんだ?……混浴?温泉を混ぜてるのかな?」

「…………えっとね、混ざってるのは温泉じゃなくて、性別なの」

「えっ」

「つまり、男性と女性が同じお風呂に入れますよって言うやつよ」

「なっ……そ、そんなの駄目だろ!確かに戦場じゃそういうのも見たことあるけど……とにかく駄目駄目!その……え、えっちだ!!」

「」ズキュンズキュン

「……ん?どしたキール」

「いえ、何でもないわ。ただの致命傷よ」

「鼻血まで出てるぞ!?」

「大丈夫、問題ないわ」

「問題大有りだよね!?」

 

 

 

 

 

 

 

「ふぅ、いい湯だったわ……あら?どうしたの?ボーっとしちゃって」

「気持ちよかった……」

「フフ、貴方も温泉の虜になってしまったようね……」

「日本人はこれに毎日入れるのか……いいなぁ……」

「毎日温泉入る人はそうそういないけどね」

「ご飯も美味いし、治安もいいし、いい国だなァ日本って……俺、日本人になる……」

「あら、同じ日本人としては嬉しい言葉ね」

「キールも、日本人……?あ~そうか……美人も多いのか……それもいいなぁ……」

「」

「…………ん〜?キール……?お、おいどうしたキール!?……し、心臓が、止まってやがる……!!」

「川の向こう側……父さんが手を振ってるわ……」

「良く分からんが多分そっち行っちゃ駄目だ!メディック!メディーーック!!」

 

 

 

 

 

 

 

「おかずの種類が多くて、しかも全部美味しくて、いい夕ご飯だったなァ……」

「懐石料理って言うのよ。いい旅館や料亭に行くと食べられるわ」

 

 

 

再び温泉に入り、装いを浴衣に変えた二人は夕食に舌鼓を打った後に部屋へ向かっていた。

日本人ではなく、日本食についても殆ど知らないアルマニャックにキールが色々と教えながらの夕食だったが、双方共に楽しい一時を送っていた。

後は部屋でゆっくりするだけ。部屋にも露天風呂が付いてるので、それに入ってもいい、などと会話をしていた二人だが、部屋に到着して襖を開けた瞬間、固まる。

 

 

 

「あん?布団……一つしかないね。枕は二つあんのに、なんで?」

「あぁ、やっぱり……」

 

 

 

アルマニャックが旅館側のミスを疑う一方、キールはどこか覚悟していた様子を見せる。

温泉旅館に訪れた、男女二人組。旅館側から見たらどういう二人組に見えるかという危惧はしていたものの、切り出すタイミングが掴めないままにここまで来てしまった。

 

 

 

「う~ん……なんでこんなミスしたんだろか。まァいいや、女将さん?に頼んで、もう一枚布団持ってきてもらおう」

「えっとね、アル。これ、旅館側からしたらミスじゃないのよ」

「はい?これがミスじゃない……?え、どういうこと?」

「あのね、私達は二人一つのベッドで寝ると思われてるのよ」

「えっ」

「つまり、その……恋人みたいな

 

 

 

数秒呆けていたアルマニャックの顔が、ぽぽぽぽと赤く染まっていく。育ちからは考えられない位ウブな反応だな〜と、キールは遠い目をしていた。

 

 

 

「ひぇっ!!??ち、違っ、俺そんな、そんなつもりでキールを呼んだんじゃ、」

「分かってるわ。分かってたし今の様子で確信出来たわ」

「違うんだ!いや、こう言うと嫌がってるみたい……?待って!嫌な訳じゃない!いや違う、いや違くないんだけど、あう、うぅぅぅぅ……」

「はいはいどうどう落ち着いて」

「お、俺!風呂で寝ます!風呂で!だから大丈夫!大丈夫っす!」

 

 

 

アルマニャックの、普段の様子からは想像出来ない程の慌てぶりを見ているうちに段々面白くなってきたキールは、次第にいたずら心が芽生えてきた。

 

 

 

「そんなに、一緒に寝るのは嫌……?」

「……………………ふぇっ?」

「アルは、私のこと、嫌い?」

「好きです!!あっいや、違、いや違くな……待って、待って、」

「良かった……私も、アルのこと……」

 

 

 

少々上目遣いで彼の顔を覗く。顔がリンゴより赤くなった彼は、口をパクパクさせた後、遂に仰向けに倒れ込んだ。

 

 

 

「」キュゥ……

「あら、からかい過ぎたかしら」

 

 

 

茹だった顔で気絶しているアルマニャックに布団をかけ、頭を撫でるキール。顔には柔らかな笑みが浮かんでいた。

つくづく、彼と一緒にいると調子が狂う。まるで表の世界で、他愛もない日々を送っているような錯覚に陥りそうになる。

彼との日々があるから、組織での潜入任務を頑張れているのだと、キールは考えている。……弱くなった自覚はある。潜入先の敵に情を抱くなど失格。諜報員として、もっと冷酷にならなければならないと頭では分かっている。

それでも、そのままでいいのだと。温いままの自分でいいのだと、肯定してくれた彼がいる限り、自分は自分のまま戦える。

 

 

 

「迷いなく好きと言い切ってくれたのは嬉しかったわよ、なんてね?」

 

 

 

これじゃまるで悪女だ。一人苦笑したキールは自分も眠るべく布団に入る。……アルマニャックと同じ布団に。

 

おやすみなさい。その言葉と共に照明が落とされ、やがて彼女も眠りについた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

翌日、自分がキールと同じ布団に入っていることに気付いたアルマニャックは赤面し、彼女の浴衣が寝相で少々はだけているのを目の当たりにしたところで、もう一度気絶した。

 

 

 

 

 

 





う~ん、甘酸っぱい雰囲気作るのってすげぇ難しいですね……。今後も閑話でこういう文章作って練習したいと思います。



Q.もし他の女性を誘っていたらどうなっていたの?
A.以下の通りです。
キャンティ……普通に温泉に入り、普通にご飯を食べ、普通に呑み、普通にアルマニャックが食われる。アルマニャックの態度が露骨に変わるので親しい面々には一瞬でバレる。
キュラソー……温泉後の卓球が白熱し、ラケットと卓球台をぶち壊して旅館側に怒られる。その後浴びるほど酒を呑み、ムラムラしたキュラソーにアルマニャックが襲われる。シーツにくるまりシクシク泣いてるアルマニャックを横目に、キュラソーはボトルで酒を呑み煙草を吹かしている。
シェリー……誘っているタイミングで明美さんに出くわし、3人で行くことに。アルマニャックは自腹。温泉に入り、ご飯を食べ、川の字になって寝る。真ん中がシェリー。



Q.なんでアルマニャックは少年兵という出自でありながら女性に弱いの?
A.彼だけは戦場で最後まで生きることを諦めなかったからです。
生を諦め、未来を諦めた多くの者が薬や女などの享楽に染まる中、彼は生き延びることに全力をかけていた為、そういった行為を一切しておらず、その為耐性もありません。
初対面の人間からの色仕掛であれば罠前提で疑えますが、親しい人間から色気を感じると途端に処理落ちします。




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