ピンガ「俺が生き残る為にオリキャラ生やした」   作:ていとくン

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9/30 16:00 日間ランキング49位
      二次日間ランキング34位
10/3 23:00 日間ランキング82位
      二次日間ランキング61位

日間ランキングに複数回乗せて頂けるなんて、相当なことですよ!特に10/3は更新終わってから数日経っているというのに……皆様ありがとうございます!



☆10:syugaaa様
☆9:むぎ丸様、スターターセット様、至高神Z様、ナッパ様、ハイライト様
☆8:夜空人様

高評価を下さった皆様方、ありがとうございます!平均数値がじわじわ伸びていくのを見ると、とても幸せな気持ちになります。嬉しい!



別に余裕はないけど出来ちゃったので投稿します。

今回は繋ぎ回になると思います。



漁夫の利

 

 

 

 

 

 

FBIとの、赤井秀一との接敵から、丸三日。

深い眠りから覚めては常軌を逸した分量の食事を摂取し、再び昏睡する。

都合10回、これを繰り返した後。ようやくアルマニャックは覚醒した。

 

 

 

「あ゙〜〜〜〜〜、よく寝た……。節々がいてェな」

「起きた、アル」

「んァ?コルンか。おはようさん」

 

 

 

ベッドの傍らにはコルンが座っていた。大きな呆れを顔に張り付けた様子に、アルマニャックは首をかしげる。

 

 

 

「あ~、キャンティの車に乗せてもらってから記憶がねェんだが、あれから何時間経ってる?腹の減り具合的に、せいぜい数時間だとは思うんだが」

()()()

「……………………はい?」

「三日半。起きて、食事して、寝る。ずっと……繰り返してた」

「……………………マジ?」

「まさか、覚えて……ない?」

「なんも記憶にねェ……あの、つかぬことを伺いますが、食事の調達とかは……」

「俺と、キャンティで、やった」

「本当に申し訳ありませんでした」

 

 

 

深く頭を下げるアルマニャックを呆然と眺めるコルン。まさか、あれだけ豪快な食事が無意識下のものとは思いもしなかった。

道理で話しかけても反応がない訳だ。コルンはややあって、小さく笑った。

 

 

 

「アルがおかしいの……今に始まった話じゃ、ない」

「返す言葉もねェ……」

「キャンティも、心配してた」

「後でしっかりお礼言います……コルンも、ありがとうね」

「気にするな」

 

 

 

互いに苦笑を溢す二人。そこに、キャンティが帰ってきた。背後にはジン達もいる。

ベッドから体を起こしているアルマニャックを見て、キャンティは半眼になっていた。

 

 

 

「あぁ、そろそろ食事の時間だったね。ほら、買ってきたよ」

「あ~、その、今まですまん。今は、ちゃんと起きてる」

「アルが喋った!?」

「話はコルンから聞いたよ。ごめん、世話になった」

「いや、別にいいんだけどさ……見てて面白かったし。途中から動画撮っちまったよ」

「マジか。今度呑みの席で見せてくれ。絶対いい酒のつまみになる」

「相変わらずイカれてるねぇ」

 

 

 

ケラケラ笑うキャンティとアルマニャック。

その背後で、ジンが不機嫌さを隠さずに鼻を鳴らす。

 

 

 

「くだらねぇ話を玄関口でしてんじゃねェ。とっとと中に入りやがれ」

「悪い悪い」

 

 

 

そこでようやくアルマニャックは違和感を抱いた。自分を割と本気で嫌っているジンが、嫌々ながらもこの場に留まっている事実に。

一億歩譲って、自分の安否を確認する意図があったにしても、目的は既に達成している筈。それがキャンティやコルンを連れ出そうとせず、部屋にズカズカと入ってくるのは並ではない。

 

厭な、予感がした。

 

 

 

「何か、まずいことでもあったのか、ジン」

 

 

 

予感のままにそう問いかければ、一瞬眉を上げた後、凶悪な笑みを浮かべてみせた。

 

 

 

「ハッ、相変わらず鼻が利くな。その猟犬染みた勘の良さは褒めてやる」

「あぁ嫌だ嫌だ寒気が止まらん。お前が俺を褒めるなんて並大抵の事態じゃねェ。一体どんな面倒事こさえやがった」

()()()()()()()()()()()()()()()

 

 

 

その発言に、厭な予感が一層強まる。この場にキールがいないのは、任務の最中でもなく、お使いに行っているという訳でもなさそうだ。

 

 

 

「彼女に限ってヘマをやらかすとは思えねェが、一応聞こう。何をやらかした?」

「捕まった」

「は?」

「推定だがほぼ間違いない。FBIの手に落ちた。今は組織が居所を探ってるところだが、尻尾は掴めてねぇ」

 

 

 

 

 

 

「………………………………………ほォ」

 

 

 

 

 

 

部屋に、暗星が顕現する。

 

深海の水圧を思わせる、重力すら感じる殺気に、ジンは悪辣な笑みを深め、他の面々は大粒の冷や汗を流す。

 

 

 

「クク、半日前までの様子じゃただの介護患者だったが、キレっぷりは変わらねぇみたいで安心したぜ」

「あ、アル……」

「…………………………すまん、ちと熱くなっちまった」

 

 

 

キャンティの苦しげな声で我に帰ったアルマニャックは殺気を収める。数回頭を振り、水を飲んで精神を落ち着ける。

ややあって、一旦は落ち着いた様子をみせる。……その双眼は、昏い光を湛えていたが。

 

 

 

「で、組織から続報があるまで俺達は待機せざるを得ないってところか」

「そうだ。ベルモットも動いちゃいるが、続報はねぇな」

「分かった」

 

 

 

言うが早いか、アルマニャックは枕元に置かれていた携帯に手を伸ばす。

数回のコール音が鳴った後、繋がった先は。

 

 

 

『おや、貴方から電話がかかってくるとは。無事目覚めたようで何よりです。調子はどうですか?』

「お陰様でバッチリだ、ラム」

「「「「!!」」」」

 

 

 

組織の次点、ラム。"あの方"と呼ばれる総帥に次ぐ地位の大幹部にして、ほぼ一切の素性が謎につつまれた存在。

そんなラムにここまで気安くコールをかける人物など、"あの方"を除けばアルマニャック位だろう。ジンも立場としては同じことが出来るが、彼は性格上そういうことをしない。

 

 

 

「早速で悪いが、スピーカーにするぜ。一応情報を共有しておきたい」

『ふむ、となるとキールの件ですか。個人的には貴方が意識を失っていたこの三日間の話も興味深いと思っていたのですが』

「そいつはキャンティが映像を撮っといてくれてるらしい。今度飲み会で確認するから、面白かったら共有するよ」

『フフ、楽しみにしておきましょう』

 

 

 

軽口を叩き合う両者。ジンは軽く呆れているが、他の面々は驚きを隠せないでいる。

 

 

 

「あのラムと親しく話しているなんて……」

「今回ばかりはアンタに同意だよベルモット。ラムさんが軽口叩くなんて、ねぇ……」

「アル、言ってた。ラム直々に……組織へ、勧誘されたって」

「それは俺も兄貴から聞いてたが、ここまでたぁな……」

「なんだラム、えらくビビられてるじゃんかよ。もっと親しみやすさをアピールした方がいいんじゃないか?」

『私相手にそんなもの感じる人間など、貴方一人で十分です。それより、本題に入りたいのでは?』

「おぉそうだったそうだった」

 

 

 

軽い口調とは裏腹に、アルマニャックが纏う空気が変わる。やや弛緩していた空気が、瞬間引き締まる。

 

 

 

「率直に聞きたいんだが……組織としてはキールの処遇をどうするつもりだ?」

『奪還を考えています。……あぁ、粛清を危惧していたのですか?』

「そうだ。今年それでピスコが消されたばかりだろ?だから心配していたんだが……杞憂で良かったよ」

『彼とは失態の質が違います。衆目に我々の存在を露見しかねないミスをやらかした彼の粛清は必須でしたが、キールはそうではありませんので』

 

 

 

今度こそ、空気の緊張が解ける。ラムが粛清を提案していた場合、どう説き伏せれば撤回させられるかを必死に考えていたアルマニャックからすると、肩の荷が下りた感覚だった。

 

 

 

『それに、現状裏切り者でもない幹部を消したくはないのですよ』

「ヘェ、それはまた、何故?」

『そうですね……今年、どれだけの幹部が亡くなったか知ってますか?』

 

 

 

その言葉に思わず首をかしげるアルマニャック。数秒記憶を遡った後、指折り数えていく。

 

 

 

「テキーラ、ピスコ、カルヴァドス……俺が知ってるのはこの三人だな。……あぁ、成る程。確かに」

『今ので理解しましたか?流石ですね』

「ピンガがだいぶ前に言ってたんだ。()()()()()()()()()()、ってな。つまり、それに見合った実力者だけが選別されている筈」

『その通り。それでも厳しい任務などで亡くなる者はいますが、例年であればせいぜい年に一人いるかいないか、その程度です』

「それが今年は既に三人……良くない流れだ。これ以上の戦力低下は好ましくないな」

『ええ。キールを始末ではなく奪還の方向で動いているのは、そういう理由もあるのです』

 

 

 

無論、他にも理由はある。キールはピンガに次ぐアルマニャックのお気に入りだ。これを始末するとなれば間違いなく彼はゴネる。

それを説き伏せる為には相応の理由が必要になるが、FBIと接敵して敗北というのは理由とするには弱い。CIA同様、彼らもまた油断ならない怨敵であり、組織幹部の中にも逮捕こそされていないものの、任務失敗の憂き目に遭わされた者もいるからだ。

もたついていれば、FBIがキールから組織の情報を抜き取る可能性が高くなる。一刻を争うこの状況で、要らぬ内紛を抱えたくないラムとしては、ひとまず奪還を前提に動いた方がいいのだ。

 

 

 

『それで、わざわざ私に連絡を取ってきたということは、何かしら私にお願いがあったのでは?』

「そうだね。お願い事は二つかな。まず一つ、ピンガを動かしてほしい」

『詳細を』

「FBIのデータベースにハッキングかけるなり何なりで情報を集めてほしいんだ。無茶な要求は百も承知だが、ピンガならあるいは……と思ってな」

『それは構いませんが……その程度なら貴方が直接彼に伝えればいいのでは?』

「ピンガはアンタの側近だ。細かい用事ならともかく、今回の件はそれなりの大事。ラムの頭飛び越えて依頼出すのは違うだろう。不義理だ」

 

 

 

ラムは思わず笑ってしまった。……そうだ、こういうところがあるから、アルマニャックは自分のお気に入りなのだ。

あくまでこちらを上位者として立てようとする姿勢。筋を通すことを重んじる思考。個人主義者が多い組織ではどちらも稀有なあり方で、ラムの自尊心をくすぐるものだ。その姿勢に下心がないと分かっているからこそ、尚の事に。

 

 

 

『ハハハ、私は貴方のそういうところを強く気に入っていますよ。……分かりました。すぐにでも連絡しておきましょう』

「ありがとう。それと二つ目…………バーボンを、動かしたい」

『……意外ですね。貴方の口から彼の名前が出るのは』

 

 

 

3年前、スコッチ粛清の一件。あれ以来、アルマニャックとバーボンは互いに距離を置いている。関係は最早修復不可能だと判断していただけに意外だった。

それをアルマニャック自身も分かっているのか、声色はやや固く、話し方もややぎこちなくなる。

 

 

 

「あ~……まァ、確かに、そうかもな。ただ、彼は"探り屋"だ。組織きっての情報屋だ。とっととキールを救出したい以上、手段を選んではいられないからさ」

『成る程。ですがそれこそ私に許可など要らないでしょう?』

「ジン、ウォッカ、コルン、キャンティ、ベルモット、そして俺。キールも含めれば、既に7人の幹部がたった一件の為に動いていることになる。この上でピンガとバーボンも動かすとなれば……」

『他が手薄になりかねない、と。……フフ、配慮に感謝しますよ。ですが問題ありません。コードネーム持ちは他にもいますし、現状他で対応可能ですから』

「オーケイ。じゃあしばらくバーボンも借りるよ」

『分かりました。他には何かありますか?』

「うんにゃ、俺からは以上だ」

『では、これで』

 

 

 

ラムとの電話を切ったアルマニャックは、そのままコールをかける。

数秒後、繋がった相手は。

 

 

 

「よう。今……ちょっと、いいか?」

『……えぇ、問題ありませんよ。アルマニャック』

 

 

 

組織きっての探り屋、バーボン。

 

 

 

「キールがFBIに捕まったことは知ってるか?」

『ええ。耳には入ってますよ。先程まで別件があったので、探りは入れられていませんが』

「なら依頼だ。キールがどこに捕まってるか、探り当ててほしい」

『……既に組織が総力を上げて捜索をしているとも聞いています。今更僕一人が入っても変わりはないのでは?』

「そんなことはない。俺が知る限り、一番諜報に長けてるのはバーボンだ。だから、その……良かったら、助けてほしい。…………図々しいのは、分かってるが」

『ッ、貴方は………………』

 

 

 

沈黙、十秒。

 

小さなため息の後、バーボンは承諾する。

 

 

 

『分かりました。キールは組織幹部、どのみちそう遠くないうちに、僕の元にも捜索命令が下っていたことでしょう。こちらでも探ってみますよ』

「……ありがとう」

『いえ…………他に、用件は?』

「いや、それだけだ」

『分かりました。…………では』

「あぁ…………また」

 

 

 

今度こそ、通話を終わらせる。一息ついたアルマニャックの顔は、暗い。

ラムと話していた時とはあまりに違う様子に、周囲の反応は様々だ。

ジンやウォッカは小さく鼻を鳴らす程度。ベルモットは静かに目を細め、コルンとキャンティは顔を顰めている。

 

 

 

「アル、アンタ、まだあの時のことを……」

()()()()()

 

 

 

静かに、それでいて有無を言わせない声。キャンティは思わず口を噤む。

 

 

 

()()()()()()()()()

「……悪い。失言だったね」

「いや……んなことないさ。心配してくれてありがとうな。俺は大丈夫だ」

「大丈夫な顔、しちゃいないだろ……」

 

 

 

小さく呟いたキャンティの声を、アルマニャックは聞こえない振りをした。

そのままベッドに倒れ込み、天井を仰ぎ見る。

 

 

 

「何はともあれ、手は打った。後は便りが来るまで待つだけだ。いつでも動けるよう、準備しといてくれよ」

「てめぇに言われるまでもねぇ」

 

 

ジンの憎まれ口に、アルマニャックは応えなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

電話を切り、バーボンは改めて深くため息をつく。

 

(図々しい、ですか)

 

バーボンから見れば、アルマニャックは親友スコッチを奪った仇。その男が、仲間を助けたいと助力を請うてきた状況だ。確かに、図々しいと言われても仕方ない。その葛藤は、しっかりと伝わってきた。

そして、その葛藤は即ち、スコッチを死なせたことへの懺悔と苦しみから来ていることも、十分過ぎるほど理解している。

 

(駄目ですね、彼が関わると"バーボン"の殻が破れそうになる)

 

 

 

「つくづく、困った人です」

 

 

 

思うところが、ない訳では無い。だが、指令ではないと突っぱねられるほど、彼に対して冷酷になれる筈もなかった。

それに、"降谷零"としても、日本国内で勝手に捜査をしているFBIに対して腹に据えかねる思いがある。日本の主権を、警察の領域を侵犯して平気な顔をしている連中に、この国が誰のものか教えてやるのも自分の責務だ。

 

しばらく考えた末、今回は"降谷零"として動くことにした。単純に一人で探るには手が足りない。FBIへの警告という意味合いでも、公安が動く理由としては十分である。

そう考え、部下へ指示を出そうとした矢先、携帯が振動する。画面を見て、思わず眉を上げる。

 

着信先は、風見裕也。公安部における、自分直属の部下だった。

 

 

 

「どうした、風見」

『降谷さん!至急、報告したいことがありまして……』

「なんだ?」

 

 

 

そうして風見からの報告を聞くうち、降谷の柳眉は逆立ち、蟀谷に青筋が上り、吐息に怒りが混ざる。

一通り報告を聞いた後、いくつか指示を出し、通話を切った。直後、降谷は思わず携帯を強く握り締める。

 

 

 

「連中の厚顔ぶりは相変わらずだな……この国を、我々公安を何だと思っているんだ、C()I()A()……!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

12時間前 アメリカ合衆国 ヴァージニア州ラングレー CIA本部『ジョージ・ブッシュ情報センター』 第一会議室

 

 

 

「エージェント本堂との定時連絡が途絶して、既に48時間が経過している……。まさか、最悪の事態が起こってしまったか……?」

「決めつけるには早計だ。重要な任務の最中なのかもしれん」

「だが、戦地の只中であっても定時連絡を絶やさなかった彼女だぞ?それが48時間、空メールさえ寄越さないというのは尋常ではない」

 

 

 

会議室に集まっているのは、CIAの最高幹部。生き馬の目を抜く謀略の世界を渡り歩いてきた強者達。

そんな面々が、揃いも揃って難しい表情を隠さない。原因は、"キール"からの連絡途絶だ。

最後に受けた連絡は、日本におけるとある議員暗殺の任務についたという件。その連絡を最後に定時連絡が途絶え、48時間以上が経過している。

CIAにとって、"キール"は"組織"に繋がる唯一の根であると共に、"ジャバウォック"へ届きうる唯一つの切り札でもある。その消息が途絶えたともなれば、平常ではいられなかった。

即座に、緊急会議を開く程には。

 

 

 

「その件で、先程一つ連絡が入った」

「なんだ?」

「FBIに忍ばせている密偵からの報告で、先程日本にて"キール"と思しき女性を捕縛したそうだ」

 

 

 

瞬間、会議室が色めき立つ。

 

 

 

「何故日本国内でFBIが活動している?そもそも、我々にそのような報告は来ていないぞ」

「彼らの仕事は合衆国内における治安維持。国外での諜報活動は我々の領分だろう?」

「これは明確な領域侵犯ではないかね!?警察風情が諜報に首など突っ込みおって……!!」

「これでエージェント本堂が"組織"から見限られたらどうする!?"キール"は"組織"だけじゃない、あの"ジャバウォック"の足跡を追えるかもしれない唯一の手がかりだ。その重要性は言うまでもない!!」

「FBIはどう責任を取るつもりなのだ!」

 

 

 

誰もが口汚くFBIを罵る。そこには世界に君臨するアメリカ合衆国(ユナイテッドステイツ)の諜報を一手に担う者としての威厳など欠片もない。

 

それだけ、必死なのだ。彼らにとって、"ジャバウォック"討伐は、悲願に等しい。

 

 

 

「厄介なのは、この件でFBIに抗議を行うことが出来ない点だ」

「エージェント本堂の潜伏先はおろか、その存在さえ最高機密。我々を除いて知る者はいない」

「秘密は知る者が少ないほど秘密としての強度を保てる……そう考えて開示するものを絞りに絞ったことが裏目に出たな……」

「我々が手を貸すのも不可能。そこから彼女の正体が発覚してしまっては元も子もない」

「時間がかかればかかるほど、"組織"は"キール"が情報を漏らした可能性を考慮せざるを得なくなる」

「必然、始末される可能性も高くなる……か。既に丸二日以上経過している。最早一刻の猶予もないぞ」

「…………何か、案がある者はいるかね?」

 

 

 

沈黙。誰も、何も言えない。

 

CIAが直接動くことなく、他の組織を頼ることもなく、未だあらゆる諜報機関が影さえ踏めない組織にキールを送り届ける。こんなもの不可能だ。

 

それほどまでに重要な作戦の成否を、たった一人に頼っている時点で悪手とすら呼べない、あまりに劣悪な状況だ。

だが、そうでもなければ"ジャバウォック"の影は踏めなかった。既に現状こそが、いわば最悪の中の最善。

ここから更に悪い方向へ転がってしまった際のリカバリーなど、最早望みようもない。

 

万事休す。そう思われた矢先だった。

 

 

 

「公安を、使おう」

「公安?国家保安部(NSB)か?」

「いや、日本の公安だ」

「何?日本の?」

「日本にとっても、自国の領内で合衆国の警察が勝手に捜査を行っている状態を喜べはしまい。そこを利用する」

「…………つまり、日本国内にFBIが潜伏していることを公安にリークするということか?」

「そうだ。対外的には、我々(CIA)を差し置いて国外で諜報活動を行っているFBIへの腹いせによるリーク、ということにする」

「内ゲバ争いに巻き込まれた形になる日本の公安としては腹立たしいだろうが、無視も出来まい。躍起になって捜査を行うだろう」

「公安が派手に動けば、"組織"もそれを探知する。彼らが何を探しているのかが分かれば……」

「成る程。アリだな。というより、他に方法はあるまい」

「我々のメンツに多少傷がつくが、この際贅沢なことは言えまい」

「然り。"ジャバウォック"討伐の為なら何でもする。あらゆる屈辱は、その日の為に呑むべきだ」

「違いない。では我々は外交ルートを通じて日本の公安部に情報をリーク。彼らを動かすことで間接的にFBIを炙り出し、それを"組織"に伝える形で"キール"奪還の援助を行う」

「異議なし」「異議なし」「異議なし」

 

 

 





感想にて、「シェリー生存が許可されたのであれば、ピスコ編や天国のカウントダウンのストーリーにも変化が出てくるよね」と言及して下さった方がいましたので、ちょっぴりお話しようと思います。



結論、変わりません!

お話頂いた当初は「やばめっちゃ変わるのにピスコの辺り飛ばしちゃった……」とか思ってましたが、多分変わりません。
というのも、ジンニキは殺しちゃいけないと言われている人間でも躊躇なく殺そうとしちゃうんですよね。それこそ、「黒鉄の魚影」での直美然り。
なのでシェリーの事も普通に殺しにかかるんじゃないかな……と。
また、仮に殺すつもりがない場合であっても、ジンであれば「舐められない為に」殺すつもりに見せるということはしてきそうですよね。そうすると結局結末としては変わらないのかな、と。

唯一、明確にストーリーとして変化が出そうなのがベルツリー急行編でしょうか。
ジンはともかく、ベルモットは"あの方"から殺すなと言われて尚殺しにかかるかと言われると、かなり微妙な気がします。
ただ、あのお話をいじくるのってかなり難しいんですよね。結局「シェリーは死なない」という点は変わらないので、じゃあどこで差別点出すの?となると中々……

ベルツリー急行編に限ったお話じゃありませんが、例え黒の組織が絡むお話であっても、僕視点で面白いお話を思いつけなかった場合はサクッと飛ばさせて頂きます。
下手にダラダラやってると、魚影編にたどり着くまでにモチベがすり減ってしまうかもしれないので……申し訳ありませんが、ご了承頂きたいと思います。



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