ピンガ「俺が生き残る為にオリキャラ生やした」   作:ていとくン

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すみません、水曜頑張りすぎて土曜どころか日曜にも間に合いませんでした……
今週いっぱいまで忙しいですが、それ過ぎたら以前の更新速度に戻せると思うので、よろしくお願いします。



☆10:毛糸くん345様、黒蜜きなこ.様
☆9:小畑屋様、keiichiけい様、ぴいすけ様、徒野様、黄鬼様、とんとん虫様、8823様、こーたろ様、ほたて()様

高評価を下さった皆様、ありがとうございます!めっちゃモチベに繋がってます!



10/5 15:30 日間ランキング60位
      二次日間ランキング50位
10/6 22:00 日間ランキング34位
      二次日間ランキング30位

いつもいつもありがとうございます!本当に励みになります!ガンバルゾー!
今後も記録更新した時だけ小説情報に書いて、他は毎話のここに書かせていただきます。



さて、今回のお話ですが。また詰め込み過ぎたので1万字を余裕でオーバーしました。まぁ更新まで時間かかったし、その分の増量と思えば、多少はね?

ちなみに、
アルマニャック「粉砕!玉砕!大喝采!」
そういう回です、ええ。地雷にヒットしそうな方はくれぐれもお気をつけて。



藪をつついて蛇を出す

 

 

 

 

 

 

「杯戸中央病院?」

『えぇ、そこにキールがいます。どうやら頭を負傷して昏睡状態のようで』

「あ~、もしかして……しばらく待ってた方がいい?」

『君の実力ならキールを連れて逃げ帰ることも難しくないでしょうが、頭をぶつけて意識を失っている人間を激しく動かすのはお勧め出来ませんね』

「うォォめんどくせェ…………となると見張ってるしかねェか……了解。ここまで分かっただけでも十分だ。……助かったよ」

『いえ。……それでは』

「あの、バーボン!」

『……なんでしょうか?』

「……俺からの依頼なのに、受けてくれて、本当にありがとう。恩に着る」

『…………………………お気に、なさらず』

「……うん。じゃあ……また」

『えぇ……では』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「増員ねェ……」

『んだよその反応は。こちとら忙しい中時間を縫って調べてやったんだぞ』

「いやいや、ピンガの仕事に文句があるんじゃないぞ?ただ、な~んで増員なんてしてるのかなァ〜?って思ってな」

『十中八九バレてるだろ。少なくとも、"組織"の幹部だってことはな』

「ふ~ん……昏睡状態のキールから情報は得られない筈なのに、なんでそんなことが分かるのかしらねェ?」

『……ネズミがいるってことか?』

「あるいは最初からアタリをつけてたってところか。どうやって、ってのがやっぱり疑問なんだがな」

『調べとくか?』

「いいのか?インターポールは忙しいんだろ?」

『当然タダじゃねぇ、貸しイチだ。文句はねぇよな?』

「…………今度ジンと任務が一緒だった時、また煙草吸ってたら水風船ぶつけてやろうと思ってるんだ。その時の映像データでどうだ?」

『今すぐ調べてやるよ!!楽しみに待ってな!!』

「wwwwwwwwwwww」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「バーボンとピンガのおかげでキールの居所が分かった。敵の兵力もな」

「聞かせろ」

「そう急くなよ、ジン」

 

 

 

米花町近郊、とあるセーフティハウス。

 

組織の幹部を集めたアルマニャックは、バーボンとピンガから集めた情報を公開した。

 

 

 

「杯戸町、杯戸中央病院の一室。そこにキールは入院しているらしい。頭をぶつけて昏睡状態なんだとさ。今はFBIが24時間体勢で監視をしているとのことだ。最近増援が補充されたとか」

「やっぱり怪我をしていたのね……昏睡状態というのは、想定外だけど」

 

 

 

ベルモットが悩ましげな顔をする。彼女は彼女で動いており、正にキールが事故を起こした場面を見ていた子供を見つけるのに成功していたのだ。

 

 

 

「FBIの目を縫って運ぶとなると結構コトじゃないかい?」

「奴らも……無能じゃ、ない」

「正にそこでな。激しい動きは厳禁だろ?少なくともキールが起きるまでコトは起こせねェんだ」

「号室は分かるのかい?」

「そこまでは無理だったらしい。俺も一度病院に行ってみたが、全ての窓がカーテンを閉めていてな。中の様子は分からんかった」

 

 

 

キャンティとコルンが懸念を口にする。FBI相手に一戦立ち回った後に撤退するだけなら、アルマニャックの力量的に何ら問題はない。……一人だけなら。

要救助者を抱えつつ、なおかつ刺激を与えてはならないという注釈がつくと、途端に難易度が上がる。アルマニャックと言えど、可能であれば避けたい。

 

 

 

「俺としちゃFBIの増員ってのが引っかかるがな……バーボン、ピンガ両名共にそれらしい情報は得られなかったらしい。誰か理由に心当たりはあるか?」

「フン、やはりあの探偵がクロだったんじゃねぇのか」

「探偵?…………あぁ!キールに盗聴器をつけたとかいう奴か?」

「そうだ。毛利小五郎、奴がキールに盗聴器をつけていた。それに気づいた俺達が事務所に行った先で出くわしたのが赤井秀一だ」

「赤井秀一はその探偵と協働して俺達を嵌めにきたってことか。……いや、だとしても何故?最初からキールを"組織"の一員として怪しんでなきゃそんなものつけないだろ。その根拠はどこだ?」

 

 

 

どちらかと言えばキールは裏方だ。彼女の情報が漏れているということは、即ち組織幹部の情報がある程度漏洩していることを意味する。

"秘密"。これこそが"組織"が各国諜報機関や警察に対して優位を保てている秘訣だ。そこが揺らぐのであれば、座視は出来ない。

だが、そんなアルマニャックの懸念をジンは鼻で笑う。

 

 

 

「案外、()()かもしれねぇな」

「…………はいィ?」

「荒事専門のお前は関わったことがねぇか。探偵ってのはそういう生き物(キツネ)なんだよ。些細な違和感、あるいは思い込みからとことん獲物をつけ狙い、周囲を嗅ぎ回り、巣穴に潜り込もうとする。……己の立つ場所が晩餐の俎上とも知らずにな」

「思い込みで盗聴器つけるの?やば……倫理観どうなってんだよ……」

「ッハ!よりにもよってテメェが倫理なんて言葉を口にするかよ!」

「趣味で人の秘密をまさぐる覗き屋と俺を同じに扱うなよウォッカ」

 

 

 

軽くアルマニャックを詰るウォッカに、同じく軽口で答える。探偵が仮にそういう生き物なのであるとすれば、確かに、彼にとっては馴染みのない人種だった。

 

 

 

「なんか、好きになれないなァ……」

「クク、てめぇと同じってのは癪だが俺も連中は気に入らねぇ。……まぁ今は探偵についちゃ二の次だ。目下の課題はキールをどう奪還するか、だ」

「とにかく、キールが起きなきゃ話にならないんだ。だったら起きるまで見張るしかねェだろ」

 

 

 

途端にジンが呆れた顔をする。キャンティとコルンも微妙な顔色だ。ウォッカはピンときていない様子で、ジンの顔を伺っている。

 

 

 

「キールが何階の何号室にいるのか分からねぇと、自分で言ったばかりだろうが」

「おう、そうだよ。だからこれから張り込んで見つけ出すのさ」

「いやいや、いくらアルでもFBIの巣窟に入ってバレずにキールを見つけ出すってのは……」

「まァ大丈夫大丈夫。任せてくれ。上手くいく」

「心配……」

 

 

 

コルンとキャンティの不安げな顔にも不敵な笑みで応えるアルマニャック。

対してジンは薄く笑っている。その目は好奇の光を帯びており、アルマニャックが何をやらかすつもりなのか、高みの見物を決め込むことにしたようだ。

殺してやりたい程嫌いな男だが、その腕前だけは買っている。この男が自信をもって事に当たるなら、ひとまず放置でいい、ジンはそう考えている。……しくじったらそれを理由に鉛玉を馳走してやろうとも考えているが。

 

 

 

「そこまで言うならやってみろ。てめぇがどう場をかき回すか興味がある」

「かき回しはしねェよ。今回は隠密だ。キールを奪還するその時まで、FBIには嗅ぎつけられたくねェからな」

「ほう?てめぇにしちゃ随分弱気じゃねぇか」

「病み上がりのキールの命さえかかってなきゃ、いつものように皆殺し(キル・ゼム・オール)だよ。今回は特別だ」

 

 

 

そう言うと、アルマニャックはキャンティとコルンの方を向く。ほんの少しバツが悪そうに、苦笑を浮かべながら。

 

 

 

「任せろって言ったばかりで悪いんだけどさ、ありったけのカロリーバーと水、用意してもらえない?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

周囲の気配を探る。―――男性、二人。姿勢・息遣い・視線等から手練れと判断。つまり、FBI。

室内には更に数名。互いが死角を補い合うように立っている。外に見張りがいるからか、入口にこそ視線は向いていないものの、隙間を縫うのは至難の業。

 

(久しいな、この感覚)

 

自分という存在を、極限まで薄めていく。姿、音、匂い、気配……己の存在を証明していくモノ全てを内側に収め、薄め、溶かし、消していく。

かつて己がまだ弱かった頃。敵味方の骸に紛れて息を殺し、敵の目をかいくぐっていた時の感覚を、彼は完全に思い出していた。

 

そうしてアルマニャックは暗がりからぬるりと姿を現す。そのまま病院の裏口へと歩いていく。

特殊な姿勢と歩き方で衣擦れの音すら消し、気配を極限まで薄めた彼は、そのまま真っすぐ進み、見張りとして立っていた男のすぐ後ろに立つ。

 

 

 

ザリ、

「ん?」

 

 

 

ほんの少し、足をずらす。ごく僅かに地面が擦れる音。常人であれば聞き逃す程の微量な音を耳ざとく聞きつけ、僅かに視線を動かすFBI職員。それを利用して背後に回ることで見張りをすり抜け、室内へと潜り込む。

周囲に視線をやる。目に映ったものは、ポスター。固定しているセロテープを、ゆっくりと剥がす。

ヒラ、と揺らいで落ちるポスター。

 

 

 

パサリ

「なんだ?」

「ポスターか。……テープが剥がれたみたいだな」

「事務室に取ってきます」

「頼んだ」

 

 

 

刹那。

 

その場にいた見張り全ての視線、その動き、体の向き、呼吸。全てを目視し、そこから僅かに生まれた死角を導き出す。ライフルの狙撃にすら対応してみせる動体視力あってこその離れ業だ。

人間は視界全てに意識を払っている訳では無い。盲点は分かりやすい一例だが、映っていても見ていないなどということは、そう珍しい話ではない。

僅かに耳をくすぐる雑音や、視界の端で微かに揺らめいた何か。常人であれば意識すらしない事象だが、FBIは常人には程遠い手練れの集団。それが見張りという立場で目を光らせている以上、僅かな異常すら見逃しはしない。

 

()()()()()()()()()()

 

勿論、露骨な異常では警戒されて終わりだ。彼らの神経を尖らせない程度の、それでいて見逃されない程度には違和感を感じられるナニカ。針に糸を通す程の繊細な調整が必要なそれらの状況を、アルマニャックは見事に用意してこの場を乗り切った。

そのまま細い通路に入る。あらかじめ入手していた見取り図は、その通路の天井全体に伝う換気口の存在を記していた。音も立てずに高く跳び、換気口に潜り込む。

後は天井を這い回り、キールの病室を見つけるだけ。……僅かな音も立てず、並み居るFBIに視線を気取られず、あの赤井秀一すら欺く必要がある任務を「だけ」と呼べる者がいるかは疑問だが。

 

芋虫の如き速度で、ゆっくりとゆっくりと這っていく。外から感じる気配を、視線を探知しながら、少しずつ少しずつ進み、一室一室確認していく。その階全てを確認したら一旦天井裏から出て一つ上の階に向かい、再び潜り込む。その繰り返し。

 

 

 

丸三日。それだけの時間をかけ、遂にアルマニャックはキールの病室を見つけ出した。……彼女はまだ眠っているらしい。

携帯を取り出し、メールを送る。

 

 

 

from:アルマニャック

To:ラム

件名:キールいた

本文:おきるまでみてる。いつでもでられるようくるまをたのむ

 

 

 

(さて、後は眠り姫がいつ目覚めるか、だな)

 

ずっと同じ場所にはいられない。アルマニャックの体重を数日かけ続けると最悪天井裏が抜ける可能性がある。こまめに移動して圧力を分散しなければならないのだ。

また、ここは病院。間違っても獣臭など漂わせる訳にはいかない。その為、周囲に臭いを感知されない程度には、毎日体を清める必要がある。

どちらもアルマニャックをして体験したことのない潜入方法だが、やるしかない。

 

(買い出しに行く余裕は、流石にねェな。……頼むぜキール。せめて()()()が保ってる間に目覚めてくれよ)

 

ホコリ臭い天井裏。それを気にも留めずカロリーバーを齧りながら、アルマニャックは天井裏に潜み続けた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

from:アルマニャック

to:ラム

件名:キールおきた

本文:くるまとじゅう、びょういんまえたのむ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おい、起きろよ水無怜奈……お前が起きないと……瑛海姉さんが今どーなってるか聞けないじゃないか!!」

 

 

 

作戦会議がある、そう呼ばれて赤井秀一が走り去った後、病室で眠る女性に詰め寄る一人の男。その顔は眠っている女性のそれと、よく似ていた。

 

 

 

「おい、起きてくれよ!!お前、またどっかに連れて行かれちゃうんだろ!?その前に目を開けてくれ!!」

 

 

 

必死の形相で体を揺さぶるものの、彼女が起きる気配はなく。

涙を滲ませた男は、鋏を逆手に振り上げる。

 

 

 

「開けろって……言ってん……だろ!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ダメよ、瑛ちゃん」

「!!」

「言ったでしょ?人を傷つけるような人間になっちゃダメだって」

「ね、姉さん?」

 

 

 

鋏を振り下ろす右手をしっかりと掴んで、女性は目を開けた。

 

 

 

「ええ……だから何も言わずにこの危険な場所から立ち去って!」

「ウ、ウソだ!あんたAB型じゃないか!!昔、僕に血を分けてくれた姉さんならO型のはずだよ!!だって僕はO型の人からしか血を受けられない、O型なんだから!」

 

 

 

先程まで眠っていた女性が、今自分の眼の前にいる女性こそが、自分の姉にしてたった一人の家族"本堂瑛海"に繋がる鍵だと思っていた男、本堂瑛祐は動揺を隠せない。

まさか、鍵だと思っていた女性が自分の姉本人だったとは。

だが、彼にはそれを否定する根拠があった。血液型の相違という根拠が。

しかしそれもあっさりと覆される。

 

一人の、少年によって。

 

 

 

「AB型になっちまったんだよ……白血病の治療のための、骨髄移植でね!」

 

 

 

ドアを開けて入ってきた少年の名前は、江戸川コナン。彼によって、本堂瑛祐の血液型が変わってしまったカラクリが語られる。

自分の血液型が変わってしまったこと、そしてつまり、眼の前にいる女性は自分の姉で間違いないことは理解した。だが、それでも彼には分からないことがあった。

 

 

 

「でも、だったら何でそうだと僕に教えてくれなかったの?名前まで変えて何でアナウンサーしてたんだよ!?」

「それは……!」

「ねぇ、どうして!?」

 

 

 

言葉に詰まる瑛海につめよる瑛祐。瑛祐にとって瑛海はたった一人しかいない、大切な家族だ。そんな大事な姉が自分には何も告げず、名前を変えて暮らしていたことに衝撃を隠せない。

対して瑛海も、その理由を語る訳にはいかない。瑛海にとっても、瑛祐は大事な家族だから。大事な家族を、優しい性根の弟を、鉄火の修羅場に巻き込みたくなどないから。

何故なら、彼女の素性は、本当の職業は。

 

 

 

「仕方ないよ……お姉さんの正体は……」

 

 

 

コナンが、彼女の正体を明かそうとした、その時。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

バギンッ

 

 

 

天井の通気孔。その蓋が吹き飛び、地面に突き刺さった。

 

開かれた天井裏から、黒い影が降り立つ。ズドン、という着地音と振動が部屋を僅かに揺らす。

 

 

 

「なっ…………!?!?」

「だ、誰!?」

 

 

 

コナンや瑛祐が驚きを露わにする中で、影がぬらりと立ち上がる。

カーゴパンツに軍用ブーツ、パーカー。全てが黒ずくめという異様な風体の男。フードを目深に被り、ガスマスクを着け、手袋まで装備している為に肌の露出は一切なく、年齢はおろか人種すら判別出来ない。

黒ずくめの男は部屋を見回した後、瑛海の方を向く。彼女もまた、驚きを露わにしていた。

 

目の前に立つ男を、"キール"は知っている。その格好で戦場を駆ける姿を、何度も目の当たりにしていた。黒い背中が自分を庇ってくれたことも、一度や二度ではない。

アルマニャック。来てくれるかもしれないとは、思っていた。だがまさか、天井裏に忍び込んでいたとは。

服につく埃から察するに、数日は潜り込んでいた筈。自分が目覚めたのは2日前とはいえ、一切気付けなかったのは自分が腑抜けていたからか、それとも彼の力量故か。

驚きのまま、言葉が口を衝いて出ようとしていた彼女を、更なる驚きが襲う。

 

 

 

「あ、貴方……」

「待たせたね。迎えに来たよ」

「ンッフ」

 

 

 

なんだその声は。

 

可愛らしい女の子の声を無理やり機械で再現しようとしたかのような、どこかわざとらしい音声。

間違いなく変声器を使ってのものだろうが、よりにもよって何故それを選んだのか。見た目とのちぐはぐさが尋常ではない。

キールの口元が、大きくひくつく。それに気づくことなく、黒ずくめの男は声をかける。

 

 

 

「あぁそうだ。名前は出さないでね?俺の名前を、FBIは知らない。上手く行けば、君の名前も。この場で絶滅させられない以上、余計な情報をくれてやる必要はないからさ」

「わ、分かった、わ…………あの、一ついいかしら?」

「なぁに?」

「ングッ!……どうして、その声なの?変声器を使ってるなら、他にも色々あったでしょ?」

「いいでしょこの声、可愛くない?変声器で色々遊んでたらこの声が出てきてさ。気に入ったからしばらくこれにしようかなって」

「ンフッフ!…………そ、そう……」

 

 

 

ツボに入ってしまいお腹を抱えるキール。緊迫していた筈の空気が、僅かに緩む。しかしそれも束の間。異音を聞きつけて赤井秀一が駆けつけたことで再び空気は張り詰める。

 

 

 

「大きな音がしたと思って、慌ててかけつけてみれば……お仲間の登場か。何者だ?」

「赤井秀一……!今この場で八つ裂きにしてやりたいところだが…………あくまで彼女の奪還が優先。ここだけは見逃してやる……最後の幸運を噛み締めろよ……!!」

「(……何だその変な声は……)ほう?既にこの部屋はFBIで包囲している。外も同じことだ。逃げられるとでも?」

「質問を返すようだが、フーヴァーの狗共(FBI)ごときで俺を止められるとでも?」

 

 

 

戦意と殺意で、部屋が軋む。ある程度場馴れしているコナンでさえ冷や汗を流す程の密度。瑛祐は胸を押さえてベッドに寄りかかっている。

そんな中、黒ずくめの男が不意に視線をコナンに、次いで瑛祐にやる。

 

 

 

「にしても、まさかFBIがガキを動員するたァな。こんな鉄火場の最前線に連れてきて、何のつもりなん……だか…………んんんん???」

 

 

 

瑛祐に向けられた視線が固定される。数秒凝視した後、今後はキールに視線を向ける。数秒ずつ交互に二人を見たあと、大きく首をかしげた。

 

 

 

「顔、似てるね……?」

「ッ!?」

「もしかして、ご家族の方です……?」

「いえ、違うわ」

「えっ!?ね、姉さ……」

 

 

 

咄嗟に否定した。それに驚く瑛祐に視線を向ける。お願いだから、その先を口にしないで、と。

人間として、アルマニャックのことは信頼している。とはいえ、自分に弟がいることを組織に知られるのは非常にまずい。絶対に悟られる訳にはいかなかった。

 

 

 

「あらそう?にしては結構似てるけど……」

「ほ、ほら!他人の空似なんて言葉もあるじゃない?」

「……成る程確かに。そういや前にどっかで読んだな。この世界には、同じ顔の人間が300人はいるって」

「すごくたくさんいるわね」

「神経衰弱出来そうだな!」

「相変わらず発想が豊かね」

 

 

 

 

ウンウンと一人で納得しているアルマニャックに、胸を撫で下ろす。思わず普段の癖で突っ込んでしまったが、上手くごまかせたようだ。……こんなので誤魔化せてしまう辺り、騙しておいて何だがちょっと彼のことが心配になってしまう。

ふと、彼が窓の外に首を向ける。

 

 

 

来たか。……んじゃ、帰るぜ。我らの組織(ホーム)へ」

「えっ、ええ。でも今の私はロクに動けないわよ?」

「問題ねェ。こうすりゃいい」

 

 

そう言うが早いか、キールの体をするりと抱き上げ、片手で抱きしめる。

 

 

 

「え?……えっ!?」

「ん?あ~悪い、しばらく天井裏生活でな。ホコリ臭いだろうが、そこは我慢してくれ」

「い、いえ。それは大丈夫というか、そういうことじゃないというか……」

「待て!」

 

 

 

そのまま窓の方へ立ち去ろうとするアルマニャックの背に、コナンが時計を向ける。―――麻酔針を発射出来る、阿笠博士特性の腕時計を。

大の大人を即座に眠らせる効力を持った麻酔針が、アルマニャックの太ももに向けて発射された。……首元はパーカーのフードで隠されていた為、麻酔針が辛うじて撃ち抜けそうなズボンを狙い撃ったのだ。

発射された針は過たず彼の太ももへ向かい、

 

 

 

()()()()()()()()()()

 

 

 

「なっ……!?」

「針?……毒。いや、麻酔か?どっちみち、ガキが持ってて良いおもちゃじゃねェな。……何者だ、お前」

 

 

 

歩みを止めることには成功したものの、あっさりと針を掴まれたことに驚きを隠せないコナン。赤井も僅かに目を開いている。

 

 

 

「な、なんで針を……後ろから狙ったのに……!」

「あ?んなもん、お前の視線でバレバレだ。視線も、気配も全部ダダ漏れ。これからここを狙います!って丸分かりだわ」

「な、なんだよそれ……!」

「まァいい。お前の素性にも興味はあるが、今は時間が惜しい。()()()()()。必要なら後で探るさ。……んじゃ、()()()()()()

 

 

 

そう言って、アルマニャックの手がブレる。赤井は反射で首を傾けて避けようとしたものの、針が僅かに頬をかすめる。

 

 

 

「これを避けるか。流石だな。んじゃ、また日を改めて。…………お前はいつか必ず殺してやるよ、赤井秀一」

 

 

 

最後にありったけの殺意をぶつけ、アルマニャックは抱えたキールごと窓を突き破って部屋を飛び出る。

一度空中でキールを放り投げ、受け身を取って着地した後にキールを受け止め、敷地の外へものすごい速さで走り去っていく。その後ろをFBIが慌てて追いかけていく。

一方病室では、赤井が頭を押さえ膝を屈していた。コナンが駆け寄る。

 

 

 

「赤井さん!?」

「随分……強い麻酔を、使っているんだな、坊や……」

「そ、それは……」

「掠っただけで、これか……是非とも、FBIに欲しいものだ……!」

 

 

 

そう言って不敵な笑みを浮かべた赤井は、懐から銃を抜き取り、躊躇なく己の右手を撃ち抜く。

痛みによる覚醒。撃ち抜いた右手を簡易的に止血した彼は、コナンに指示を出す。

 

 

 

「俺はこれから奴らを追いかける。坊や、君は此処に残れ」

「なんで!俺も……」

「瑛祐君を頼む」

「!」

「FBIは総出で奴らを追いかけることになる。彼の護衛をしている余裕はない……頼めるな?」

「……分かっ、た」

「いい子だ」

 

 

 

コナンの頭を撫で、赤井は部屋を後にする。すぐさまキャメルが駆け寄る。

 

 

 

「赤井さん!水無怜奈が連れ去られたと報告が!」

「あぁ、今から俺も追いかける。キャメル、お前も車を回しておけ」

「了解です!」

 

 

 

走り去るキャメルの背を横目に、赤井も自分の愛車の元へ向かう。

自らがいながらみすみす敵を逃すという失態。FBIとして、一人の男として、このままでは引き下がれない。己の失態は、己の腕で精算する。

ハンドルを握り、エンジンをふかす。鷹の如き鋭い瞳は、ただ前だけを見据えていた。

 

 

 

「狗らしく、狩りの時間としゃれこもうか。退屈させてくれるなよ、狼くん?」

 

 

 

だが彼は知らなかった。

 

自分が追いかける男の正体を。彼が持つ、圧倒的な暴力を。

 

もう少し冷静になれていれば気づけただろう。多くの構成員を抱える"組織"が、水無怜奈の奪還にあたって何故一人しか人員を寄越さなかったのか。

奪還方法にしたって、他にいくらでもやりようはあったはずだ。何故、よりにもよって正面突破などという一番負担が大きい策を採ったのか。

 

"彼一人で正面から突撃して奪還することが一番確実"、あの"組織"がそう判断する理由がどこにあるのか。そこまで考えられていれば、気づけたはずだ。

だが、そうはならなかった。赤井秀一にとっても"組織"は仇。大切な恋人を奪われた、憎き宿敵でもある。彼らと切り結ぶ千載一遇の好機を前に、欲が湧いてしまった。

 

 

 

その代償は、彼の仲間が払うことになる。

 

 

 

 

 

 

 

 

キールを抱えたまま駆け抜けるアルマニャック。

先程微かに聞こえた車の停車音。ラムはしっかり人員を派遣してくれたらしい。その車はどれか、高速で周囲を確認していると、クラクションが聞こえた。

黒塗りのベンツから、女性の手がひらひらと振られている。

 

 

 

「こっちだ!」

 

 

 

すぐさま駆けつけ、ドアを開ける。キールごと自分の体を放り込むや否や、車は唸りを上げて発車した。

 

 

 

「助かったぜ、キュラソー」

「ラムからの命令よ。問題ないわ」

「だとしてもだ。キュラソーがハンドルを握るなら、俺は迎撃に専念出来る。運転は安心して任せられる」

「あら、光栄ね」

 

 

 

運転手はキュラソーだった。ラムの右腕を務める、優秀な工作員にして戦闘員。運転技術も卓越している。

組織幹部の中で、運転技術に極めて長けている者はアルマニャックが知る限り2名。キュラソーと、ウォッカだ。FBIから逃走するにあたって、この二人のどちらかを運転手として派遣して欲しいと、ラムには伝えていた。

希望が叶い、安堵したアルマニャックはキールをシートベルトで固定すると、トランクからケースを取り出す。中に入っていたのは、M16A2。アメリカを中心に、NATO諸国で広く制式採用されているアサルトライフルだ。

 

 

 

「おいおい、米国(グリンゴ)の銃じゃねェか。テンション下がるぜ」

「AKMなんて使ってるのは貴方位なのよ。西側資本の銃ならともかく、そっちはストックがないの。急な話だったんだから、我慢しなさい」

「あ~、キュラソーが手配してくれたのか。そいつは悪かった」

「それに、貴方はアメリカが嫌いみたいだけど、その嫌いなアメリカの銃でFBIを仕留めると思えば、悪くないんじゃないかしら?」

「…………へへ、確かにな。上手く俺を煽るじゃんかよ」

 

 

 

一通り装備を確認したアルマニャックは後方を確認する。まだ追手は追いついていないらしい。

ふと、キュラソーが質問を投げてきた。

 

 

 

「そういえば、貴方なんでそんな変な声にしているの?」

「ん?あぁ、もう切っていいか。…………よし。簡単に言えば、キールの不意を突くためだ」

「え、私の?」

 

 

 

変声器を切り、元通りの声に戻ったアルマニャックの発言に驚くキール。

ガスマスクを被っている為表情は伺えないが、キールにはいたずらが成功した時の笑みを浮かべている彼の顔が見えた気がした。

 

 

 

「盗聴器なんかの可能性を考えれば、名前含め俺の情報はFBIの前で出したくなかった。だがキールは寝起きだ。俺の思惑も知らない以上、名前を呼んでしまう可能性は十分ありえた」

「そうね……正直、目覚めたばかりでそこまで気が回るかと言えば、難しいわね」

「だからあの声にしたんだ。あれなら、キールはまず声に突っ込んでくれると思ったからな。そしたらそこで名前を出すなと伝えればいい。寝起きの反射、その一瞬を防ぐ為の小細工だよ」

「……成る程。見事に貴方の掌の上だったって訳ね」

「いたずら大成功、って訳だ」

 

 

 

苦笑を溢すキールに、ピースで応えるアルマニャック。そのやり取りを見ていたキュラソーも、フッと笑った。

 

 

 

「相変わらず、戦場での頭のキレは鋭いわね」

「そりゃあ俺は戦場生まれの戦場育ちだ。お前達ヒヨッコとはキャリアが違うのさ」

「フフフ、頼もしいじゃない。……じゃあそんなベテランさんに朗報よ。後ろからワンサカ来てるわ、FBIの皆様方が」

「おう、見えてるぜ。天井開けてくれ」

 

 

 

キュラソーが操作すると、徐々に天井が開き、強い風が吹き込んでくる。

そこから上半身を乗り出したアルマニャックは、下の二人に言葉を投げた。

 

 

 

「キュラソー!俺に配慮はいらねェ!好きに走らせてくれ!」

「了解!飛ばすわよ!」

「それとキール!しっかり掴まっとけよ!キュラソーの運転は激しいぜ!」

「えぇ、分かったわ!」

 

 

 

そう告げると、銃を構え、セーフティを外し撃鉄を起こす。引き金に指をかけると、知らず口角が上がった。

 

 

 

「さて……それじゃ、くたばれ狗共。It's a show time!!派手に弾けろや!!」

 

 

 

その言葉と共に、FBIの車列へ向かって銃弾の雨が降り注いだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ん?なんン゙ッ゙」

「ギャッ」

 

 

 

先頭を走っていた車が、まず犠牲になった。頭蓋を鮮血で彩った彼らはハンドルを手放し、歩道へ突っ込んで紅蓮の大花を咲かせた。

その爆発に巻き込まれ、更に1台がハンドルを取られる。すかさずそこへ弾丸が叩きつけられ、彼らもまた黄泉へと旅立っていった。

 

 

 

「なっ……!?」

「畜生、よくも仲間をぉ゙ッ゙!!」

「ゲギャッ」「ぐぁっ!」

「直線で走るな!カーブを混じえぇ゙ぇ゙!!」

「ビッ!」「あ゙ギッ」「ギャアッ!」

 

 

 

次々と的確に頭蓋を穿たれ、その命を散らせていくFBI。咄嗟に蛇行を混じえて運転した者も、その軌跡の先に弾丸を置かれ、仲間達と運命を共にした。

精鋭を誇るFBI、それが20名以上で追いかけていた筈が、瞬く間にその数を半数以下へと減らしていた。

 

 

 

「な、なんてことを……なんてことを!!」

「ジョディさん伏せて!!」

「ッッ!キャメル!?」

「ぬぅぅんん!!」

 

 

 

車列の中央にいたはずが、あっという間に最前列へと躍り出ることとなった、ジョディとキャメルのペア。そこへ降り注ぐ銃弾。二人の頭部を的確に狙った弾丸は、キャメルの卓越したハンドル捌きによってジョディの頭部すぐ上とキャメルの頬を掠めるに留めた。

ただ、急な方向転換に車の方が耐えられなかった。タイヤを滑らせた車はそのまま街灯へ突っ込み、動作を停止した。

 

 

 

「グ、ぅぅ…………ジョディさん……ご無事、ですか……?」

「えぇ……ありがとう、キャメル。助かったわ……」

「すみません、車が、これですし……今ので、腕をやっちゃったみたいで……もう、運転は……」

「……いいわ。正直、私達では奴らを止められない……!」

 

 

 

仲間を殺されたこと、自分が何も出来なかったこと、その悔しさに唇を噛むジョディ。

キャメルは他のFBIに、追跡を止めるよう無線を飛ばす。これ以上は、無意味に仲間の命を散らす行為に他ならない。

銃刀法に厳しいこの日本で、ここまで直接的に戦闘を行ってくるとは思わなかった。しかも公道のど真ん中でだ。

今の武装では、奴らに太刀打ち出来ない。こちらもより重装備を揃える必要があった。……つまり、現状では、奴らを見逃さざるを得ない。

唯一、望みがあるとすれば。

 

 

 

「シュウ……」

 

 

 

赤井秀一。FBIが抱える切り札(シルバーバレット)。ジョディは、最早彼に託すしかなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その赤井は、ジグザグにハンドルを切りながら心内で悪態をついていた。

 

(やってくれる……!狙いが凄まじく精密だ。現状どうにか避けられてはいるが、攻撃に移る隙がない!)

 

ただ頭の位置に飛んでくるだけではない。一度避けてやれば、以降は避けた先に弾丸が置かれている。こちらがどの方向にどれだけ避けるか、全て計算された上での射撃。赤井をして舌を巻く技量だった。

赤井も射撃の腕前には自信がある。同じことをやれと言われれば、()()()()出来るだろうと考えていた。……つまり敵は、こと射撃について自分と肩を並べうる程の存在であるということ。それを相手にするには、一人では流石に手が足りなかった。

 

(キャメルはこちらに乗ってもらうべきだったか)

 

既に連中を追いかけている車は自分1台だけ。残りは全て殺られてしまった。今晩だけでおよそ20名のFBIが殉職したことになる。他国での捜査中にこれほどの犠牲者が出るなど、前代未聞の出来事だ。

赤井は一匹狼だ。どちらかと言われずとも、単独行動を好む。だが、だからと言ってFBIの職員達に一切仲間意識を感じていない訳では無い。……仇を討ってやりたい、そんな気持ちを、彼はしっかりと抱いていた。

だが、手が足りない。まるで意思を持つかのように厭なところへ飛んでくる弾丸を避けるので手一杯。攻めか、受けか。どちらかだけでも任せられる人間がいれば。

ふと、脳裏に一人の少年が浮かんだ。並外れた知恵と観察眼を持つ、恐ろしいほど頭のキレる、一人の少年が。

 

(坊やに留守番をさせたのは、俺の失態だったかもしれないな)

 

そう考えて、強い苦笑が漏れる。ここまで追い込まれた状況で浮かぶ人物が、まさか子供だとは。

 

情けないな、と苦笑いをしていると、敵の攻勢が止まった。弾丸を撃ち尽くしたのだろう。赤井は既に2度、リロードを確認している。

既に愛車は死に体だ。もう一度、30発の5.56ミリ弾を受けるのは不可能。攻撃をするなら、この隙しかない。

アクセルを強く踏むと同時、傍らの銃へ手を伸ばす。

ハンドルから手を離し、銃を構える。前方を走る車の天井から体を覗かせる黒ずくめの男を、アイアンサイト越しに捉えたその時。赤井の目があるものを映す。

 

 

 

「―――クソっ!!」

 

 

 

悪態一つ、車から飛び降りる。

 

敵が取った手段は、複数の手榴弾だった。あんなものは流石にどうしようもない。追撃は諦めるしかなかった。だが、

 

(ただで逃がしはしない!!)

 

飛び降りる最中、赤井は即座に構えた銃から2発の弾丸を放つ。狙いは、敵の頭部と心臓。どちらかでも当たれば、敵を仕留めうる位置だ。

可能であれば生け捕りをしたかった。奴らから情報を引きずり出したかった。

それが最早不可能なのであれば、せめて仕留める。あの黒ずくめの男は相当な手練れ。組織の中でもかなり上位にいるヒットマンに違いない。ここで殺せれば、それなりの打撃にはなりうる。

 

最初で最後の攻撃。放たれた弾丸は過たず狙った通りの位置へ飛んでいき、

 

 

 

 

 

 

頭部のソレは首をひねって避けられ、心臓を狙った弾丸は()()()()()()()()()()()()()()

 

 

 

 

 

 

直後、手榴弾が炸裂する。自らの愛車が業火に呑まれ、爆音と共に消えていく。その爆風を食らって吹き飛びながら、赤井は瞠目していた。

 

(―――あぁ、そうか、()()だったのか)

 

今のは予測した動きではない。間違いなく、奴は飛んでくる弾丸を見てから反応した。

そんなことが出来る人間など、赤井には一人しか心当たりがない。

毛利探偵事務所前。あの場所で出会った男だ。見慣れない形の短剣で、ナイフで、自分が放った弾丸を弾いていた、あの男だ。

 

道路を転がりつつ、受け身を取る。既に車は遠くへ走り去っていった後だった。

仲間が多く殺され、敵の素性も分からず、手がかりは奪われた。完膚なきまでの敗北だった。

だが、全くの無収穫だった訳では無い。

 

(影を踏んだぞ、名も知らぬ戦士よ)

 

この敗北の味を、決して忘れはしない。今は届かずとも、いつか必ず報いを受けさせる。

 

赤井は、強く拳を握りしめた。

 

 

 





ギリッギリまで書いていたので後書きつけるの間に合いませんでした……投稿してから編集で書き足しています。すみません。

ありえん長くなってしまった。半分位で切って2回投稿すれば良かったですね……反省です。

次回は戦後処理。それで今章のメインストーリーはおしまいですね。
一応今週中に投稿したいと思っていますが、まだまだ忙しいのとストックは一切ないので、うむむ……ガンバルゾー!



最後までお読み頂き、ありがとうございました。よろしければ、感想・評価・お気に入り登録の程よろしくお願いいたします。
特に感想はすごく嬉しいです。本当に励みになります。どうかよろしくお願いします。
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