ピンガ「俺が生き残る為にオリキャラ生やした」   作:ていとくン

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☆9:はとりょー様、rai322様、くらき様、TABASA様、クーネ・R・ネームル様、仮初様、Macky☆様
☆8:Sunden様

高評価を下さった皆様、ありがとうございます!ぼちぼち☆9は100人の大台乗るかもしれない……やばい嬉しい……




これで今章は5話。まだ話の半分も終わってないってマジ……?
今回は結構長丁場になりそうです。お付き合い頂けたらと思います。



時の用には鼻を削げ

 

 

 

 

 

 

『よし、俺からの用件は以上だ。それじゃ……おん?』

「?どうしたの?」

『悪いキール、一旦切るわ。またかけ直す』

 

 

 

 

バーボンが解放された直後、アルマニャックは通話を切った。何やらトラブルがあったらしい。

キールが首をかしげる一方、ジンは心当たりがあるらしい。ニヤリと笑って自身の携帯からコールをかける。

 

 

 

 

「キャンティ、そっちの様子はどうだ?」

『ナイスタイミングだよジン!ついさっき、公安の車が病院へ入っていったところさ!』

「フッ、やはりな」

『アンタの読み通りだったねぇ!』

「あぁ。さて、これであのクソガキがどう動くか、見ものだな」

『ん?……なんだい、アルも動いてるのかい?』

「今は警察病院に潜入しているそうだ」

『じゃあアタイらが見張る必要ないじゃんか!公安なんざアル一人で十分過ぎるさね』

 

 

 

不満気に鼻を鳴らすキャンティ。アルマニャックの腕前を良く知る彼女からしたら、彼を潜入させて尚自分達が出張る理由が見えなかった。

アルマニャックへの信頼を感じる発言に、ジンもまた面白くなさそうに鼻を鳴らした。

 

 

 

「あのガキが潜入してると分かったのはつい先程だ。勝手に動きやがる」

『な~る。アルらしいよ。で?アタイらは引き続き見張りかい?』

「いや、そっちの人手は十分だ。お前らはアジトに戻り、()()()()を準備しろ」

『!?おいおい、()()()()()()()()()()()()!?』

「今回の任務はラムの肝煎りだ。確実に達成しなきゃならねぇからな……!」

『キャハハハ!いいねぇいいねぇ!了解!すぐに向かうよ』

「頼んだぞ」

 

 

 

ジンが通話を終えたタイミングで、再びキールの携帯が鳴る。一言二言話した後、彼女がスピーカー状態にした。

 

 

 

『さっきは唐突にすまなかった。警察側に動きがあってな。……どうやら公安が介入してきたようだ。キュラソーを連れ出すらしい』

「あら、早速じゃない。……ちなみにどこへ?」

『東都水族館、だそうだ』

「フン、公安の連中も勘付いたか。……それで?情報が漏洩しているぞ?バーボンはどうするんだ?」

 

 

 

ジンが嘲りの笑みを浮かべつつ、バーボンに銃口を向ける。ウォッカとベルモットも同様に銃を構える。

枷を解かれたものの、流石に3丁の拳銃から放たれる弾丸を避けられる程、バーボンの反射神経は外れていない。彼の顔は硬く強張っている。

電話先のアルマニャックは沈黙する。数十秒ほどそれが続いた後、ゆっくりと言葉を紡いだ。

 

 

 

 

『……いや、今回の件はバーボンが漏洩させたとは断定出来ない』

「あら、その根拠は?」

『質問を返すようだがベルモット、キュラソーが病院に運ばれたきっかけはなんだった?』

「確か、観覧車に乗っている最中に頭痛を起こして倒れたとか」

『だよな。キュラソーは記憶喪失だ。そんな奴が頭抱えてぶっ倒れたんだ。そこに記憶を取り戻す何かがあると考えるのは、何も不思議な話じゃない』

「搬送先は警察病院。警察が原因を知っているなら、公安がそれを掴んでいても不思議はないわね」

『その通りだキール。バーボンが入れ知恵した可能性も0ではないが、この件で彼の裏切りを断定するにはちと弱い。そして、"疑わしきは罰せず"が俺のやり方だ』

 

 

 

一応の納得を示すベルモット。キールも心なしか安心した表情を覗かせている。

対してジンは露骨に不満げだ。舌打ち混じりにアルマニャックをなじる。

 

 

 

「相変わらずぬるいこと言いやがる。"疑わしきは罰せよ"、それが組織(われわれ)のやり方だろうが」

『組織じゃなくてお前、だろ?それにバーボンの身柄は俺預かりだ。俺のやり方をさせてもらう』

「それで、バーボンはどうするの?」

 

 

 

不満げに大きく鼻を鳴らして一歩引いたジン。代わりにベルモットが会話を引き継ぐも、アルマニャックの返答は随分と気の抜けたものだった。

 

 

 

『ん?どうするも何も、好きにさせれば?どのみちバーボンはキュラソーを求めて東都水族館に来るしかない。わざわざ監視の必要もないだろ』

「貴方ねぇ、流石に舐め過ぎよ?確かに行動は制約されているかもしれないけど、連絡位は出来てしまうでしょう?」

『だから、そこで情報漏洩が確実ともなれば俺が片を付けると言ったろう?なんだベルモット、遂にボケたか?』

「ぶち殺すわよ。……それはあくまで彼が公安だった場合でしょう?別組織から派遣されていた場合、内情を漏洩されてもこちらでは認識出来ないわ」

『考えすぎだと思うがな……まァ分かった。それじゃキール、バーボンの見張りをお願いしてもいいか?』

 

 

 

ベルモットが示した懸念に、一応の対抗策としてキールを見張りに付けることを提言するアルマニャック。

突如指名されたキールは一瞬びくりと硬直したものの、何事もなかったかのように応える。

 

 

 

「えぇ、構わないけど……何をすればいいの?」

『別に何も?バーボンの後ろを着いていってくれればそれでいい。何かあったら俺に連絡してくれ。むしろ、彼が本当に裏切り者だった場合、殺されないように気をつけてな』

「……分かったわ」

『さて、バーボン。一応伝えておくな。……万一、万一お前さんが裏切り者だと言うのなら、黙って何もせず立ち去るといい。間違ってもキールには手を出さないでくれよ?もし、俺の耳にキールの訃報が入った時は、もうお前さんを友人とは思わない。…………楽には、殺さない

 

 

 

刹那、極寒の殺気が漂う。倉庫内を一瞬吹きすさんだそれは、直接向けられていないベルモットやキールでさえ背中に氷柱が刺さったかのような錯覚を覚えた。

バーボンは即座に戦闘態勢を取っていた。()()()()()()()()、それほどの圧を感じたが、それも瞬きの間。収まった殺気に彼も構えを解いた。

 

 

 

「…………ご安心を。僕にはキールを手に掛ける動機がありませんから」

『だよな?信じてるぞ?』

 

 

 

その言葉を最後に、通話が切れる。最早その場に殺気はない。だが、一度凍りついた空気は、そう簡単に温まることはない。

そんな中、最初に動いたのはジンだった。ウォッカを連れて倉庫の出口へと向かう。

 

 

 

「フン……俺達も東都水族館へ行くぞ。公安の連中に遅れを取る訳にはいかねぇ」

「FBIと連携してるってことは、赤井秀一も出てきやすかね」

「そうすれば、今度こそ奴の頭蓋を砕いてやれるだろうさ……俺は優しいからな?仲間が大勢待ってる場所に、あいつも送ってやらなきゃなぁ?」

「へへっ、ちげぇねぇ。車、回してきやす!」

「急げ。……おい、お前達も行くぞ」

 

 

 

ウォッカが駆けていくのを横目に、ベルモット達にも呼びかける。

だが、早速別行動を取る者がいた。バーボンだ。

 

 

 

「僕は別行動を取らせてもらいますよ」

「…………貴方、今なおNOCと疑われていることを忘れてしまったの?」

「おや?僕はしばし自由にしてて良いと、アルマニャックに言われたばかりだったと思うのですが……」

 

 

 

呆れた様子を隠さないベルモットに、あくまで強気に出るバーボン。

ジンも険しい顔を隠さない。彼の真意を、読み取ろうと睨めつける。

 

 

 

「この盤面で、単独行動をするってのが、俺達の目にどう映るか分かっての発言だろうな……?」

「単独ではありませんよ。見張りにキールが付くのでしょう?……それに、そもそも貴方のポルシェは4人乗り。僕とキールまで入ったら人数オーバーですよ」

「白々しいことを……」

 

 

 

しばし対峙していた両者だが、ふっとジンが視線を外した。そのまま外へ向かって歩いていく。

 

 

 

「いいの?」

「あのガキが預かると言ったんだ。万一バーボンが鼠であれば、奴が責任を取るだろう。取れなければ、()()()()()()2()()()()()()()()()

「そう。じゃあキール、彼の見張り頼んだわよ。あまり寄り道を許さないように」

「えぇ、任されたわ。貴女のバイク、借りるわね」

 

 

 

ちょうどポルシェのエンジン音が入口で響いた。ジンとベルモットを乗せたそれはすぐさま発進する。

 

走り去ったポルシェを見送った後、残されたキールにバーボンから話しかける。

 

 

 

「では、我々も東都水族館に行きましょう」

「あら、どこか寄りたい場所があるんじゃないの?」

「いえ、ありませんよ」

「じゃあ何故わざわざ別行動を……?」

「僕は、貴女とお話がしたかったのですよ。……場所を移しましょう。ここでは、お互い落ち着かないでしょうから」

「…………えぇ、分かったわ」

 

 

 

張り付けた笑みを濃くするバーボンに、得体のしれなさを感じて思わず身をすくめるキール。

このまま彼の言葉に乗ってはいけない、そんな予感を抱くも、彼の監視はアルマニャックから依頼された仕事だ。そんなあやふやな理由でフイには出来ない。

どこか居心地の悪さを感じつつ、バーボンにバイクを運転させる。自分は後ろにしがみつく形だ。

 

 

 

「では、東都水族館に向かう前に、適当な場所へ向かいましょう。話が、しやすい場所へ」

「……何を企んでいるの?アルとの電話を繋ぎっぱなしにするわよ?」

「ソレはやめた方がいい。()()()()()()()()()()()

「……どういうこと?」

「直に分かりますよ。そう焦らずに」

 

 

 

そう嘯くバーボンの笑みは崩れない。

彼の背中はとっている。彼が何をするより、自分が無力化する方が早い。

そもそも、自分がやられるようなことがあれば、その時点でバーボンの裏切りは確定する。そうすれば、アルマニャックがやってくる。あまりにも大き過ぎるデメリットを考えれば、彼がここでコトを起こすとは考えづらい。

 

 

 

そこまで分かって尚、キールの心内を占める不安は消えなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

阿笠博士宅から飛び出したコナンは、ちょうどすぐそばで待機していたジョディの車に乗り込んだ。

中にはキャメルにジェイムズもおり、赤井を除いて現在日本国内にいるFBIが全員揃っていた。

そこでコナンは灰原から聞いた情報を共有する。見返りにFBIもまたコナンに情報を提供する。

つまり、公安が盗まれた物とは何かを。

 

 

 

「NOCリスト……!?じゃあ、さっき言ってた殺された諜報員って……」

「えぇ、いずれも"組織"に潜入していた人間よ。各国の諜報機関は、これで根を絶たれたことになるわ」

「それだけではない。NOCリストがもし世間に公開されるようなことがあれば、世界中は疑心暗鬼に陥り、大きな混乱が訪れるだろう」

「それって……諜報戦の要を"組織"が握るかもしれないってこと?」

 

 

 

コナンの発言に頷くジェイムズ。

世界各国の諜報機関は、様々な国に諜報員を放っている。それはその国の内情を探る為であったり、単に情報収集の為であったり、あるいは大掛かりな陰謀の為に。

当然、彼らの存在は秘密裏だ。腹を無遠慮に探られて嬉しい人間などいない。まして友好国同士であれば尚の事。スパイを他国に送るなどしていない、そういう"建前"で皆動いているのだ。

NOCリストの公開は、それを前提から叩き潰すものだ。何処の国が何処の国に諜報員をどれだけ放っているかが明確に分かってしまう。国際社会の信頼関係は大きく崩れるだろう。それだけ危険な代物なのだ。

 

 

 

「まずい……一刻も早く"組織"から取り戻さないと!」

「うむ。しかし君のおかげで我々も少なからず情報を得られた。下手人のコードネームは大きな情報だ。キュラソーか……赤井君であれば、心当たりもあるかもしれんな」

「電話してみます」

「私は公安にこのことを報告しよう。今回は彼らが大々的に動いている。新鮮な情報は彼らの生死を左右するからな」

「公安……?」

「杯戸中央病院の一件以来、我々FBIは日本の公安と手を組むことにしたんだ。"組織"絡みの案件に限定されるが、今や彼らは同盟相手だ」

 

 

 

コナンの疑問に答えるキャメル。FBIに加えて強力な仲間が出来たことに、コナンの顔も思わず緩む。

 

 

 

「公安のお墨付きが貰えたってことは、つまりFBIは堂々と捜査に参加出来るってことだよね?……正直、黒ずくめの組織を相手取るには警察だと荷が重いだろうから、助かるよ」

「いや、まだ我々は大々的に動くつもりはない。公安とFBIが手を組んだという事実を、"組織"はまだ掴んでいないだろう。であれば、適切なタイミングまで伏せておいた方がいい」

「なるほどね……」

「ではコナン君。君はここで降りたまえ。ここからは、我々大人の仕事だ。また何か進展があったら連絡しよう」

 

 

 

我々は一度公安本部に戻る。そう言い残して走り去る車を見送ったコナンは、思索にふけっていた。

 

(どうして公安は東都水族館に?……恐らくは、そこにキュラソーの記憶を取り戻す何かがあると判断したんだろうけど……)

 

ポケットから五色のカードを取り出す。キュラソーが持っていたものだ。眺めているうちに、コナンは思い出す。このカードの配色と、全く同じものが東都水族館に存在したことに。

 

(観覧車前、噴水を照らすあのライト!もうじき夜になる。そうすれば、昼間よりはっきり映るライトで、彼女は確実に記憶を取り戻す!)

 

同時に、キュラソーが何にNOCリストを保存していたかにも思い至る。

 

(()()()()()()()()()()()()()()!とすると……黒ずくめの連中はそこで確実に仕掛けてくる!まずい!)

 

スケボーのスイッチを入れ、コナンは道路を駆ける。東都水族館へ向かう為に。NOCリストを、"組織"から守る為に。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

人通りのない裏路地。そこに出来た小さな広場。

東都水族館へ向かう道中に存在するその場所で、キールとバーボンは対峙していた。

 

 

 

「それで?私に話したいことって何かしら?」

「まぁまぁそう焦らずに。急いては事を仕損じるとも言いますよ」

「今は一刻を争うタイミングであることは明白よ。あまり到着が遅くなれば、私までジンに疑われるわ」

 

 

 

苛立ちと焦燥を隠しもしないキールに、相変わらず機械的な笑みを浮かべるバーボン。キールが焦っているのは、何も先を急いでいるからだけではない。

自分があの場で追求される立場にいなかった理由が、キールには見当もつかなかった。さしもの公安といえど、自分の正体について調べることが出来なかったのか。

そうならいい。だが、自分もまたNOCの可能性を疑われているのであれば。判断の為に泳がされているのであれば。ここで連中からの疑いを強めてしまう訳にはいかない。

 

 

 

「長話をする気はないの。さっさと済ませてちょうだい」

 

 

 

時計を指で叩いてアピールするキールに、バーボンは笑みを深める。

先程から感じている焦燥が、強まる。

 

 

 

「そう固いこと言わないでくださいよ……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

()()N()O()C()()()()()()()()()()()()

 

 

 

 

 

 

 

 

 

全力で、表情の動きを封殺した。だが、バーボンはその反応すら想定内のようで、笑顔を崩す気配はない。

 

 

 

「自分が疑われているからといって、私まで巻き込まないでくれるかしら?私はNOCではないわ」

「隠さなくても大丈夫ですよ。ここに"組織"の耳は届いていません。僕の部下が一帯をクリアリングしてくれていますから」

「……そう。自白するのね、自分がNOCであると」

「ええ、この盤面で僕の素性を隠す必要はありません。()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

 

 

バーボンが一歩踏み出す。知らず、キールの背中を、冷や汗が伝う。

 

 

 

「私は貴方の仲間になんてならないわ。……今、ここで降伏するなら、私からアルに助命をお願いしてあげてもいいけど?」

「おや?アルマニャックを頼るのですか?()()()?」

「…………何がおかしいの?」

「いやいや、一体どういう気持ちなのかと疑問に思いまして」

 

 

 

その先を言わせてはならない。キールは直感した。その先の言葉を言わせてしまえば、もう自分は後戻り出来ないと。

 

だが、少しだけ遅かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

()()()()()()()()()()()()()()()()()()。…………貴女達CIAにとって、最優先事項でしょう?彼の、"ジャバウォック"の首は」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「何を、言っているのか、分からないわ」

「ふふ、初めて表情を崩してくれましたね。ですがこれでもとぼけられてしまいますか。困りましたねぇ……」

 

 

 

応える声は、掠れていた。自身の正体、その核心にまで近づいていたから。それだけではない。

 

"いずれ殺す相手"

 

そうだ。()()()()()()()()()()。彼を殺す為に、彼の情報を、弱点を、CIA(ラングレー)に売るのだ。

それを、このタイミングで突きつけられた。

分かっては、いたことだった。あの日、アルマニャックの正体を本部に伝えたあの日に、覚悟はしていた筈だった。

だが、心の揺らぎまでは抑えられなかった。

心を千々に乱すキールに、バーボンは止めを刺す。今度こそ、彼女を仕留める一撃を。

 

 

 

「あまりこういう手法は使いたくなかったのですが……」

「……なに」

「貴女がこれ以上白を切るのであれば、僕は()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()。瑛祐君でしたっけ?可愛い盛りですねぇ」

 

 

 

気づけば、バーボンの胸ぐらを思い切り掴んでいた。

たった一人の家族。彼を守る為に、アルマニャックまで裏切ったのだ。

その家族が危険に晒されている。取り繕うなど出来る筈がなかった。

 

 

 

「弟に何をしたの……!?」

「怖い怖い。何もしていませんよ。彼の身柄は我々公安が()()しています。"組織"の手になど落ちてしまっては大変でしょう?」

 

 

 

バーボンの笑顔が、キールには悪魔の笑みにしか見えなかった。

彼の胸ぐらを掴む手が、力なく垂れ落ちる。

 

 

 

「………………何が、望みなの」

「そう難しいことではありません。"組織"に関して、貴女が掴んだ情報を我々公安にも流してほしいというだけです」

「貴方一人で、十分だと思うけれど」

「いやぁ、僕もしかしたら死ぬかもしれませんし」

 

 

 

あっけらかんと言い放つバーボンを、のろのろと見やる。

家族を平然と人質に取る残虐さも、自身の死をそう軽く言ってのける神経も、キールには理解出来なかった。

 

 

 

「僕が今後も"組織"で生き残るにはキュラソーの抹殺は絶対条件です。それをジンやアルマニャックに疑われないよう遂行する必要がある。……無理じゃないですかね?最後まで諦めないつもりではありますが、流石に今回ばかりは厳しそうです」

 

 

 

だから貴女をスペアとして使う、そう言ったバーボンの表情は、やはり得体のしれない笑みだった。

 

 

 

「僕が死んだ後も、我が国が対"組織"の諜報戦で遅れを取ることがないよう、貴女にも協力頂こうかなと。貴女も日本人でしょう?この国の為に、力を貸してくださいよ」

「……日本に帰属意識はないし、たった今嫌いになったわ」

「でも貴女は断らない。でしょう?」

 

 

 

小首をかしげるバーボンに、ありったけの呪詛を込めてキールは言い放つ。

彼女に今出来る精一杯の抵抗など、これくらいだった。己の無力さに、虫酸が走る。

 

 

 

「………………その条件を、呑むわ。でも、一つだけ」

「なんでしょう?」

「地獄に墜ちろ、バーボン」

「ハハハ、よく言われます」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(地獄に墜ちろ、か……)

 

項垂れるキールを視界に収めつつ、バーボンは益体もない思考を巡らせる。

 

 

 

(()()()()。俺のような極悪人が、天国になんて行けるわけないだろう)

 

生前、善い行いをした者が天国に行けると言うのなら。きっとそこへ行く資格を持つ者は。

 

(萩原……松田……班長………………ヒロ)

 

断じて自分などではない。そこに、自分の席はない。あっていい訳がない。

先程、自分はキールを皮肉った。いずれ殺す相手と何故交友関係を深めるのかと。何故、頼るのかと。

 

(裏切り者は、()()()()()()())

 

自分の方がよほど罪深い。仲間を騙し、家族を人質に取り、脅して従わせる。

 

そうだ。己は罪人だ。いずれ地獄の業火で焼き焦がされるべき悪逆の徒だ。

 

 

 

だが。それでも。

 

(俺は、この国を愛している。平穏に暮らす人々の笑顔を、愛している)

 

ごく普通の人々が、平穏な世の中で浮かべる穏やかな笑顔。

それを見るたびに思うのだ。この風景を、この国を守りたいと。

 

(その為なら何でもする。何だってやる)

 

 

 

例え、己が死すことになろうとも。

 

それこそが、己に課せられた責務であると、降谷零は知っているから。

 

 

 

 

 

 





ゼロの執行人で、小五郎のおっちゃんをああいう嵌め方するならこれ位やってもおかしくないかな?と。

Q.なんでCIAは瑛祐君を保護していなかったんですか?
A.彼が本堂瑛海の弱みになるなど思ってもいないからです。

本堂パパは"任務の為に己を贄に捧げた"。娘の瑛海は"それを受け入れ、実の父親を直接殺した"。
CIAから見れば、本堂一家は"覚悟ガンギマリファミリー"です。今更弟一人死んだ程度で揺らぐ筈もない、そう判断しました。



この先の展開を未だ考え中なのと、プライベートの方で色々と用事が立て込んでいるので、今後しばらく更新速度落ちます。ご了承頂きたいです。



最後までお読み頂き、ありがとうございました。よろしければ、感想・評価・お気に入り登録の程よろしくお願いいたします。
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