ピンガ「俺が生き残る為にオリキャラ生やした」   作:ていとくン

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☆9:wonderful様、康平太郎様

高評価を下さった方々、ありがとうございます!少しずつ、調整平均の数字が上がっていくのが見られるのは、やはり嬉しいものです。



今度こそ、黒ずくめの謀略編、最終話でございます。



千里の堤も蟻の穴から

 

 

 

 

 

 

「いた!桟橋に逃げるよォ!」

「本当に出てきた……」

「またラムの言った通りですぜ!」

「いちいち褒めるな……」

 

 

 

ジン達の手によって、轟々と燃え盛る海猿島。その森林部から抜け出してきたキャメルは、すぐ後ろから追い立てられていた。

桟橋の端に追い詰められたキャメルは、桟橋の柵を閉じる。

苦し紛れにしか見えないその行動を、キャンティが嗤っていたが、そのタイミングでもう一人、炎上する森から飛び出す影があった。

 

 

 

「アル!」

「悪い、遅くなった。んで、アイツがそうか」

「そうだよ!それにしても馬鹿だねぇ!銃相手にそんな柵が何の役に立つんだか」

「フン、バリケードにしちゃ隙間風が冷たそうだがな……大人しく出てきたら、苦しまずに死なせてやる……」

 

 

 

ジンの通告にいよいよ顔を強張らせたキャメルは、しかし背を向けて走り出した。

 

 

 

「逃げやがった!」

「撃つわよ!いつも通り頭を……」

「いや、背中だ。心臓を狙え……俺も一応顔を覗いておきたい。クソガキの判断だけじゃ心許ないからな」

「あいよォ!」

 

 

 

その様子を見ながら、アルマニャックは高速で思考を回していた。

 

(追い詰めているのは俺達の筈……じゃあ、この違和感はなんだ?)

 

()()()()()()()()()()

 

気配や視線に人一倍敏感なアルマニャックだからこそ察知出来た、僅かな視線。その方向が読み切れないことへの苛立ち。自分にさえ居場所を掴ませない程の手練れがいることへの驚きと、警戒。

再び装備していたガスマスクの裏側にしかめっ面を浮かべつつ、桟橋の周辺を見やる。

目に付くのは、閉じられた柵。

 

(どう考えても無意味。いくら追い詰められているとはいえ、俺から2度も逃げ出せる程の手練れが、あの盤面で数秒も使ってまで無駄な行動をするものか?)

 

ふと、引っかかるものがあった。無駄。柵を閉じて壁とする行為は、銃を前に無駄でしかない。

()()()()()()()

 

(全くの無駄、ではないな。好き好んで遮蔽物があるところを狙う奴はいない。つまり、()()()()()()()()()())

 

だからどうした。そう言おうとしたが、しかし眼前で()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

そして同時に、自分達に訪れている危機を理解した彼は、全速力でキール達の元へ向かう。

 

(今、あのFBIを襲った弾丸は2()()……!もう1発は、真正面から飛んできた!()()()()()()()()()()!!)

 

ちょうどその時、ジンが投げた手榴弾が狙撃され、空中で爆破する。

それを見ると同時、アルマニャックは両手でキャンティとキールを抱え、そしてベルモットの襟を歯で咥えたまま横に跳び、そのまま海へと飛び込んだ。

飛び込む寸前、ベルモットを口から離すと同時に叫ぶ。

 

 

 

「対岸にスナイパー!伏せろ!」

「んなっ!?」

「……あそこか!」

 

 

 

そのまま海を潜り、桟橋がちょうど対岸と自分達の間に来るような位置につき、ようやく浮上する。

 

 

 

「ぷはっ!……アル!いくら何でもいきなり過ぎないかい!?」

「貴女はまだいいわよ。私なんて襟がヨレヨレだし首が絞まるかと思ったわ」

「対岸からスナイパーに狙われてたんだ!勘弁してくれ!」

「対岸って……ここからだと1300ヤード以上離れてるわよ?」

「そこから手榴弾に狙って当てたと?……赤井でさえ難しいんじゃないかしら」

「ツラは今から拝んでやるさ!」

 

 

 

懐から単眼鏡を取り出し、桟橋の影から慎重に覗き込む。

対岸を探すと、その男の姿はすぐに確認出来た。

狙撃銃を構えるのは、()()()()()()()()()()()()()()。そのすぐ側で双眼鏡を覗き込んでいるのは、()()()()()()()()

 

(茶髪眼鏡の優男……?見覚えがねェな。だが隣のガキ、()()()()()()()()()()()()()…………ッッッ!!)

 

次の瞬間、アルマニャックは大きく首を仰け反らせる。直後、単眼鏡から響く破砕音。

レンズ部分を正確に狙撃されたのを、間一髪避け切る神業を披露した彼は、しかしすぐさま桟橋の影に身を隠す。

アルマニャックが狙撃されたのを見て、今度こそ狙われていると理解した3人。揃って顔を驚愕に染める。特にスナイパーであるキャンティの顔は蒼白だ。

 

 

 

「嘘だろ……あの距離から、狙って当ててきたってのかい……?」

「スナイパーの隣に、スポッターがいた。それもあるんだろうよ……コルン!無事か!?」

「大丈夫……伏せてる……」

「チッ、そこ遮蔽物ねェもんな……ジン!撤退だ!」

「馬鹿が!FBIの死体を確認するまで……」

「もう消防艇が来てる!」

「!!」

 

 

 

アルマニャックが叫んだちょうどその時、ジンからも放水を始める消防艇の姿が見えた。

仮に彼らを始末すれば、後詰めに警察が大量に押し寄せることとなるだろう。

これ以上騒ぎを大きくするのは得策ではない。苦虫を噛み潰した顔で怒鳴る。

 

 

 

「クルーザーを消防艇の反対側につけろ!ズラかるぞ!」

「りょ、了解!」

 

 

 

それを聞いて頷いたアルマニャックは、女性陣3人を再び抱きかかえる。

 

 

 

「あ、アル?」

「いきなりなんだい!?」

「ちと潜る。目一杯息を吸い込んでいてくれ。いくぞ?」

「あぁ、やっぱり私は咥えられるのね……」

 

 

 

両腕にキールとキャンティを抱え、どこか死んだ目をしたベルモットの襟を咥えたアルマニャックは潜水し、バタ足だけでクルーザーへと向かう。

 

 

 

 

 

 

()()()()()()()()()()()()()()()()F()B()I()()()()()()()

 

 

 

 

 

 

(見事だよ、俺から3度逃げ切った奴なんざ、戦場でも会ったことがねェ。覚えとくぜ、アンドレ・キャメル……!)

 

自分達を出し抜いた敵への感心と、それを遥かに上回るのは胸に走る敗北の苦み。

アルマニャックは、久しく味わっていなかった感覚を噛み締めていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「すまない、アンドレ・キャメル……何かを成し遂げるには、犠牲がつきものだ……」

「いや、まぁ理屈は分かるんですが……皆さん笑い過ぎでは……?」

 

 

 

バリカンで髪の毛をバッサリと刈られるキャメルと、それを見て腹を抱えたり口元を必死に押さえているFBIの捜査官達。

アンドレ・キャメルは死んだ。"組織"にはそう思わせる必要がある。彼が生きていることがバレてしまえば、この先も組織から狙われるであろうことは想像に難くない。

それを防ぐ為、キャメルの見た目を少しでも変える為の散髪だ。いわば変装の一貫である。

必要なことだと分かってはいるので、甘んじて受け入れていたキャメルだったが、ふと真面目な顔つきになる。

 

 

 

「改めて、赤井さん。助けに来てくれてありがとうございました」

「フッ、大したことはしていない。それに、作戦はコナン君と共同で立てたものだからな。彼にも礼を言うといい」

「そうなんですか!?……ありがとうコナン君、本当に助かったよ」

「えへへ、どういたしまして!」

 

 

 

実際、今回の救出劇はかなりの綱渡りではあった。赤井の射撃技術、コナンの策、そして阿笠博士の発明品。どれか一つ欠け落ちてもキャメルはこの場にいなかっただろう。

敵の行動にも助けられた。焼き討ちをされた際は流石に焦ったが、それが結果的に第三者の介入を招き、夜明けよりも早く敵を撤退させることに成功したのだ。

加えてキャメルの死亡偽装も叶った。大成功と言っていい結果だった。

 

 

 

「しかしこちらは捜査官が18人も殺されてしまったというのに、何の収穫もなく追い払うだけに留まったとは……私はまた、多くの仲間を無益に死なせてしまった……」

「ジェイムズさん……」

「皆、覚悟の上でした。貴官の責任ではない。殉職した者達も、同じことを言うでしょう」

 

 

 

ジェイムズが沈痛な表情で呟くと、他の捜査官も顔を歪める。その中で、軍属出身者達は改めて覚悟を決めた顔つきでジェイムズを慰めていた。

その言葉を聞いたキャメルはハッとした顔をする。小屋の中で盗み聞いた話を思い出したのだ。

 

 

 

「そ、そうだ!ウォッカが言ってました。ラムは顔を変えて、ふざけた名前をしていると……」

「ふざけた、名前?」

「それと、もう一つ。アルマニャックの素性についてですが……」

「なっ!?"ジャバウォック"について、何か掴めたというのかね!?」

 

 

 

"ふざけた名前"、この言葉に赤井とコナンが難しい顔で思考を巡らせている中、ジェイムズが泡を食った顔でキャメルの肩を掴み、大きく揺する。

 

 

 

「お、落ち着いてくださいジェイムズさん!」

「これが落ち着いていられるかね!?さっさと話したまえ!さぁ!!さぁ!!」

「ジェイムズ!キャメルがもう虫の息よ!」

「死んでも構わん!とっとと話せ!」

「ジェイムズ!」

 

 

 

ジョディ達数人がかりでようやく引き剥がしたが、肩で息をしているジェイムズはキャメルの顔を親の仇が如く睨みつけている。

当のキャメルはもう瀕死状態だった。

 

 

 

「ぐぇぇ……き、キャンティが……言ってました……彼は、元々、少年兵だと……!」

「少年兵……」

「それと……彼の情報は、"組織"でも、トップシークレット、みたいで……ジンでさえ、彼の過去を、知らないと……ラムが、口止めを、している、とか……」

 

 

 

そこまで言うとガクリと首を落として気絶したキャメル。

ジョディが看護をする傍ら、ジェイムズと一部の捜査官は今しがたの情報を吟味していた。

 

 

 

「ラム……"組織"のナンバー2直々に口止めとは、余程外に漏らしたくない情報があると見える」

「いよいよアルマニャック=ジャバウォックが確定したと言っていいだろうな」

「それにしても、少年兵とは……面倒だな。身元など探りようがない」

「戸籍すら存在しないことも珍しくないからな。そちら方面の進展はなし、か」

「いや、そうでもない」

「どういうことです?ジェイムズ」

「"ジャバウォック"は、合衆国に強い憎しみを抱いている。特に、CIAに対して」

「…………?……あぁ!成る程、奴の恨みの根源が少年兵時代にあるのであれば……」

「CIAが過去に実行した秘密裏の作戦、その中から民兵と衝突した案件を辿っていけば、奴が見つかるかもしれない!」

「すぐに洗い出しを始めます」

「頼んだ。CIAの妨害にはくれぐれも注意してくれ」

「了解」

 

 

 

一方で赤井はコナンとラムについて話し合っていた。

 

 

 

「赤井さんは、ラムの居場所や名前に心当たりある?」

「生憎だがないな……」

「……僕は、ラムはどこかに潜入しているんだと思う」

「ホゥ?その根拠は?」

「名前はともかく顔まで変えるなら、そこには何か理由があるんじゃないかな。()()()()()()()()()()()()()()

 

 

 

コナンの言葉に納得した赤井は、続けて彼と推論をぶつけていく。

 

 

 

「となれば、ジンの言う"ふざけた名前"だが、字面や読み方が独特という線は外しても良さそうだな」

「僕もそう思う。潜入するのに目立っちゃ何の意味もないからね。ただ、となると"ふざけた"ってどういう意味なんだろう……」

「…………ベタではあるが、山田太郎とか?」

「ありがち過ぎる名前ってことだね。後は…………あぁ!()()()()()とかどう?」

「言葉遊びということか。面白い着眼点だな」

 

 

 

ただ、推論はここで詰まった。どのみちラムについてさしたる情報もない現状では、これ以上の推測は難しかった。

 

 

 

「バーボンに、ラムの情報を仕入れるよう伝えておこう」

「僕もアナグラムでありそうな名前を考えておくよ」

 

 

 

負け続きだった"組織"との戦い。此度も犠牲こそ出たものの、FBIは初めて"戦果"と呼べるだけの情報を手にすることに成功した。

 

この情報が、後に大きな進展を生むこととなる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

時間を少し遡り。

 

海猿島から撤退するクルーザーの中で、キール達は身を寄せ合っていた。

 

 

 

「寒いわ……」

「水を吸っているから冷えるねぇ……」

「何してんだ、濡れた服なんかいつまでも着てちゃ駄目だろ。早く脱げ。風邪引くぞ」

「貴方ねぇ、女性に向かって発して良い言葉かどうかも分からないの?」

「言ってる場合か!あぁもう……コルン、タオルとかある?」

「確か……中に……」

「頼めるか?」

 

 

 

コルンは一つ頷くと船室へと消えていった。ややあって大量のタオルを抱え込んできた彼から、争うようにひったくるキャンティ達。

アルマニャックも一つ受け取り、顔を拭いつつ器用に服を脱いでいく。流石に下はそのままだったが、上は全て脱ぎ散らかした。

 

露わになった彼の素肌は、余すことなく古傷で覆われていた。首元から腹や背中に至るまで。健常な皮膚など、どこにもなかった。

それを見た女性陣はおろか、ウォッカまでもが顔を青くする。ジンやコルンでさえ僅かに表情を動かしていた。

 

 

 

「お前、その傷……」

「ん?あぁ、ガキの頃に負った傷だな。組織に来てからは一切の傷無しだ」

「……凄まじいわね。一体どんな戦場にいたらそこまでの体になるのかしら」

「まぁ、地獄ではあったな。……っと、すまねェな。見苦しいものを見せた」

「見苦しいなんて……」

 

 

 

タオルでさっと体を隠すアルマニャック。キールは悲痛な顔を隠さず、ベルモットでさえ神妙な表情をしていた。

そんな中、キャンティはケラケラと笑いながら言葉を投げる。

 

 

 

「何言ってんだい!傷は男の勲章だろ?むしろ格好いいじゃないかい。アタイはイカしてると思うよ!」

 

 

 

アルマニャックは目を丸くしていたが、やがて腹を抱えて笑い出した。

 

 

 

「ギハハハハハハ!イカしてるときたか!そんなこと言われたのは初めてだわ!そうかそうか!それなら痛い思いをした甲斐があったってもんだ!」

「チッ、いつまでも下らねぇ話をしてんじゃねぇ」

「あぁ悪い悪い。()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

 

 

アルマニャックの発言に、最初に反応したのはその場にいた面々ではなく、通信の向こう側にいる声だった。

 

 

 

『敗戦?どういう意味です?我々はかなりの戦果を上げた筈ですが……』

「だって最後の一人に逃げられちまったじゃねェか」

 

 

 

その言葉に、今度こそその場の全員が目を剥く。

何せ、アンドレ・キャメルが胸から血を噴き出して海に沈んでいくところを皆が目の当たりにしていたのだ。

だが、続くアルマニャックの発言に誰もが言葉をなくす。

 

 

 

「何を言っていやがる?あのFBIはキャンティが胸を撃ち抜いた筈だ」

「いや、()()()()()()()()()()()()()()()()。多分だが……ありゃ防弾チョッキと血糊じゃないかな」

「…………は?」

 

 

 

そこでアルマニャックは自分の見たものを、推論を語っていく。

あの時アンドレ・キャメルを襲った弾丸は2発だったこと。彼が狙撃された時、同じ箇所の反対側を撃たれていた為に、端から見たら撃ち抜かれたように見えたのであろうことを。

そして、海に沈んだ彼が泳いでその場を離脱していくところを見届けたことも。

一通り話し終えた時点で、ジンが激昂する。

 

 

 

「てめぇ……逃げているのが分かっているなら何故追いかけて殺さなかった!」

「俺はその時キールとキャンティ、ベルモットと一緒にいたんだぜ?彼女らを庇いながら戦えと?」

「置いていけば良かったろうが!」

「嫌だし、どのみち無理だ。あの距離から当ててくる腕前の狙撃手を前に、弾丸を避けながら泳いで追いかけろと?流石の俺でもちと分が悪いぜ」

「チッ、どうだかな……」

「それに、仮に俺が追いかけようとすりゃ、きっと奴はキール達を狙っていただろう。俺が同じ立場なら、そうする」

『……アルマニャック、その狙撃手の顔は確認しましたか?』

「あぁ、茶髪に眼鏡の優男だったぞ。見覚えはねェが……ありゃ赤井じゃねェかな?変装してたんだろ。根拠はない、ただの勘だが」

『……えぇ、その可能性は高いでしょう。FBIに狙撃手は数多くいますが、1300ヤード以上の距離を当てられる者となると、此方が得ている情報でも赤井秀一以外に該当者は見当たりません』

 

 

 

淡々と話す通信の向こうでは、ラムが苦々しい顔をしていた。

 

(アンドレ・キャメル……変装状態とはいえ私の顔を見ている捜査官。出来れば殺しておきたかったのですが……)

 

アルマニャックから3度逃げ切っているということも無視できない。

彼とはもう6年以上の付き合いだが、彼からそれだけの回数逃げ果せた者など、ラムの記憶には存在しない。

 

(FBIの危険人物は赤井秀一、ただ一人。()()()()()()()()()()()()()ようですね)

 

 

 

『最後に一人逃がしてしまったのは残念ですが、総合的な戦果で言えば上々です。2割近い捜査官を喪ったFBIはしばらく機能を停止するでしょう。十分です』

「すまねェなラムの姐さん……」

『状況的に仕方のないことです。今回の作戦はこれにて終了とします。お疲れ様でした』

 

 

 

そう言って無線を切ったラムは、背後で控えるピンガの方を向く。

ピンガは"消化不良だ"とひと目で分かる顔つきをしていた。

 

 

 

「また赤井に邪魔されたな……」

「えぇ、まさか彼が動くとは。()()()()()()

 

 

 

ともすれば弱音にも聞こえるラムの発言に、ピンガが思わず目を丸くする。

 

 

 

「アンタが、読み違えたってのか」

「……そうなりますね。この際ですから説明しましょう。アルマニャックに中途半端な変装をさせたのは、FBIに"疑い"を抱かせる為でした」

「疑い?」

「えぇ。島に向かった"アルマニャック"と思しき人物が本物かどうか分からない、その疑念を植え付けたかったのです」

 

 

 

ピンガはその意味を考える。アルマニャックがどこにいるか分からない、そう思わせることのメリットを考えた上で、一つ思いついた事を口にする。

そうだ、FBIはかつて、杯戸中央病院にて手痛い敗北を味わっている。アルマニャックという"脅威"を、彼らは"身を以て"よく知っている。

 

 

 

「FBI本隊がアルに襲撃される可能性を考慮させた……?」

「素晴らしい、その通りです。中途半端な変装により、FBIは"あの場にいるアルマニャックは偽物かもしれない"という疑念を抱きます」

「完璧な変装をさせなかったのは、"そもそも今回の作戦にアルマニャックが参加していない"という可能性を考慮させない為か」

「冴えていますね。彼に狙われていると分かれば、本隊の動きは慎重にならざるを得ない。その隙に出撃していたFBIを残さず亡き者にする、そのつもりでした」

「仮にその展開を考えたところで、万一の可能性を考えればその場に留まらざるを得ない。その筈だったってところか?」

「えぇ。ですが実際には赤井が現れた。認めましょう……私は彼らを、FBIを見くびっていた」

 

 

 

眉根を寄せて不機嫌さを隠しもしないラムに、思わず背筋が伸びるピンガ。

その様子を見て冷静になったラムは、ため息を一つこぼして意識を切り替える。

 

 

 

「この失態は、いずれ利子を付けて返すとしましょう。さて……最後は何とも締まらない形になりましたが、これで作戦は終了です。……何か、得られるものはありましたか?」

「あぁ、色々といい勉強になったぜ」

「ならば結構。我々も撤収しますよ」

「了解」

 

 

 

最低限の後片付けを済ませ、部屋を出ようとした際、ふと脳裏を掠めた、ある考え。

 

 

 

 

 

 

今回の小さな失態が、後に大きな被害を齎すのではないか。

 

 

 

 

 

 

(…………根拠が薄い。ただの杞憂ですね)

 

頭を降って益体もない考えを払拭したラムは、今度こそその場を後にした。

 

 

 

 

 

 





ちょっと、いやかなり巻きで行きましたが、これにて黒ずくめの謀略編は終了です。
アンケートの結果を踏まえてちょっと長くしたんですが、流石に場面を詰め込み過ぎたかしら……次回からは場面数も考えて投稿していこうと思います。
次回はいつも通り、閑話を2話挟んだ後、黒鉄の魚影編に行きます。
やっとだ……ようやっとここまでたどり着いたぞ……!むしろこれからですからね!頑張っていきます!



引き続き、活動報告にて閑話のお題を募集していますが、この先書ける閑話の数的に募集は次話で〆になると思います。
もし何かございましたら、お早めに頂けるとありがたいです。
重ね重ねで恐縮ですが、頂いた案を全て採用出来るとは限りませんので、ご了承のほどよろしくお願い致します。



最後までお読み頂き、ありがとうございました。よろしければ、感想・評価・お気に入り登録の程よろしくお願いいたします。
特に感想と高評価は凄く嬉しいです。本当に励みになります。高評価頂くたびにニッコリなりますし、感想通知来るたびにテンション上がりすぎて動悸がヤバいです。
どうか、よろしくお願い致します。
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