ピンガ「俺が生き残る為にオリキャラ生やした」   作:ていとくン

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すみません、予約投稿の日付間違えたのにさっき気づいたせいでちょっと遅刻しちゃいました……



☆9:yukimune7様、ライシンmk II様、ゾグ様、Happytrigger様

高評価を下さった皆様、ありがとうございます!ぼちぼち☆9が150人見えてきたな……嬉しいやら緊張するやらです。



さて、今回と次回は例によって閑話です。ストーリーに直接関わるものではありませんので、その旨ご了承ください。
原作キャラ達が普段よりはっちゃける為、キャラ崩壊が気になる方はスキップして頂いて構いません。
尚、今回のお話だけは時系列無視してください。どうしてもやりたかったんだけど、二人が対面した作中時期とか、そこら辺の整合性がどうしても不透明でして……



本当はこのお話、三が日に投稿したかったんや……



Interlude⑦ ラムとピンガとおしょうがつ

 

 

 

 

 

 

トントントントン

 

 

 

トントントントン

 

 

 

 

トントントントン

 

 

 

「旦那、にんじん切り終わったぞ」

「ふむ……見事ないちょう切りですね。その調子で大根もお願いします」

「あいよ〜」

「なんだこの食材……洗っても洗ってもヌルヌルするんだが……」

「まだこんにゃくを洗っているのですか?手際が悪いですね」

「手際が悪いですねェ」

「うるせぇ!じゃあお前もやってみろ!さっきっから野菜切ってるだけじゃねぇか!」

「いいから早く洗ってください。君だけ作業が遅れていますよ」

「そもそも普通はこの、コンニャク?ってやつは入れないんじゃないのかよ……俺ちゃんと調べたんだぞ」

「えぇ、こんにゃくは私が好きなので入れているのです。何か文句でも?」

「何か文句でも?」

「お前は黙ってろアル!」

 

 

 

それなりの広さをもつシステムキッチンにて、3人の男がめいめい料理に勤しんでいた。

 

禿頭の壮年男性、ラム。

金髪コーンロウの長身な男、ピンガ。

茶髪ショートの童顔男、アルマニャック。

 

それぞれ役割分担を行い、一つの料理を作っていた。

日本人が正月に食べる料理として最も有名なもの、すなわち、()()()

鰹や昆布による出汁に醤油や味噌で味をつけ、餅を主な具とするこの汁物は、地域によって具材に様々な違いがある。

今回3人が作っているのは、関東地方でオーソドックスとされているものをアレンジしたものだ。

餅、鶏肉、小松菜、人参の基本的な具材に加え、こんにゃくや蒲鉾など、色とりどりの具材を追加している、非常に華やかで豪勢なものだ。

 

 

 

「そもそも、なんで俺らは正月早々に集まって料理なんかしてるんだ……?」

「当然、お雑煮は正月に食べるものだからですね」

「そうじゃねぇよ……なんで集まって、その、オゾウニ?を作るって流れになったんだって話だよ……」

「そんなもの、アルマニャックに聞いてください。彼の発案なのですから」

「旦那〜、大根切り終わったぞ」

「相変わらずの手際ですね。結構、では餅班の様子を見てきてください」

「アイサー」

「マイペースか!質問に答えてから行け!つーか餅班?餅班ってなんだ!?」

「私の側近達が餅つきの用意をしています。正月と言えばやはり餅つきですから」

「餅つきですから」

「オメェは黙ってろアル!」

「質問に答えろって言ったり黙れって言ったり……一体どうしたってんだピンガ」

「最近の若者は怖いですねぇ、すぐキレるんですから」

「すぐキレるんですから」

「〜〜〜〜〜ッッッ!!!!」

 

 

 

顔が茹でダコのようになっているピンガを愉快げに横目で見るラムに、わざとらしく首をすくめてその場を後にするアルマニャック。

 

 

 

この愉快な集まりのきっかけは、ラムの発言にもある通り、アルマニャック恒例の"おねだり"であった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ラムの旦那、今いいか?」

『……構いませんが、どうしました?』

 

 

12月もいよいよ大締め、そんなある日。ラムの元にアルマニャックから一本の電話がかかってきた。

普段のおちゃらけた様子は鳴りを潜め、真剣な声色をしている。ラムの顔つきも深刻なそれに変わる。

ラムは知っている。経験則で知っている。アルマニャックが真剣な声色で電話を掛けてくる時は、本当に重大な事件か、凄まじくしょうもない"おねだり"か、その二択だと。

 

そして、今回は()()だった。

 

 

 

 

 

 

「旦那……旦那は、"オゾウニ"って知ってるか?」

 

 

 

 

 

 

ラムの顔から一気に真剣さが抜ける。目は半眼になり、心なしか背後も煤けて見える。

電話を切ってしまおうか、そう思いかける気持ちを惰性で抑え込む。

ラムは経験則で知っている。こういう時のアルマニャックは、適当に流そうとすると返って始末に時間がかかるということを。

 

 

 

『当然知っていますとも。日本の伝統的な民間料理です。日本には、正月にお雑煮を食べるという風習が古来からあるのですよ』

「成る程な……」

『…………………………食べてみたい、と?』

「良く分かったな旦那……流石だぜ」

『何年の付き合いだと思っているのですか。まして貴方は非常に分かりやすいですから』

「そうかね?」

『……こちらでいくつか手頃な店をピックアップしておきましょう。それで……』

()()()()、って言ったよな?」

『?……えぇ』

 

 

 

アルマニャックは感情を隠すことを、基本的にしない。顔を見る必要すらない。声さえ聞けば彼が今どんな精神状況なのか、おおよそ読み取れる。

彼は、今とてもワクワクしているのだろう。声が弾んでいた。

 

(面倒な予感しかしないのですが……)

 

この先を聞きたくない。とっとと電話を切ってしまいたい。しかしそれをやると後が面倒くさいことこの上ない。

そして案の定、彼は爆弾を放り込んできた。

 

 

 

 

 

 

「旦那、一緒にオゾウニ作ろうぜ!」

『…………………………、はぁ…………』

 

 

 

(ほら来た。言わんこっちゃない)

 

きっと彼の中で、自分が犯罪結社にいることも、電話先の男が長年この組織で次席に君臨し続けている顔の見えない重鎮であることも、忘却の彼方なのだろう。

ラムの頭脳が瞬時に回転する。こんなしょうもない案件であっても、平時と変わりなく即座にいくつものシミュレーションを展開出来る己の優秀さにすら、呆れを多分に含んだため息がこぼれる。

 

(うん、これは断る方が面倒くさい)

 

それに、話しているうちにラムもお雑煮を食べたくなってきた。せっかくだから食材の調達などをアルマニャックにやらせてしまえばいい。

高級な海の幸などは値段も高いが、それ以上に入手が困難だったりするのだ。

彼ならどれだけ漁が難しくとも、確実に入手してくれるだろう。

 

 

 

『仕方ありませんね……ですが、条件が1つ』

「おん?なんだい?」

『貴方には、海の幸をいくつか獲ってきていただきたいのです』

「そのくらいなら構わんが……なんだ、大変なのか」

『最高級の代物はあまり市場にも出回らないのですよ。メモの準備はいいですか?』

「……おっけ、大丈夫だぜ」

 

 

 

そうしてラムが挙げたいくつかの食材。志摩半島産伊勢海老などの高級食材を瞬く間に揃えてみせたアルマニャックは、めでたくお雑煮にありつくこととなったのである。

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふぅ……ようやく捌き終わりましたよ」

「ラム、アンタが捌いてたそれ……何の生き物だ?」

「伊勢海老ですよ。日本では縁起物の食材として古くより愛されており、そして高級品としても有名です」

「………………エビ?それが?」

「これが、です。君達欧米圏の人間だってロブスターを有難がって食べてるでしょうに」

「いや、そりゃそうなんだが……」

「それにしても……フフフ、これだけ大きなサイズは私でもほとんど見たことがありませんよ……!おまけに欠損は一切なく、鮮度もいい。これ程のモノを5尾も調達してくるとは……流石はアルマニャック、いい仕事振りです!」

「はぁ……」

「旦那〜、餅班の準備が整ったってよ〜」

 

 

 

何やらテンションが上がっているラムにやや引き気味のピンガ。

そのタイミングでアルマニャックが戻ってきた。後ろには、長らくラムの側近を務めている壮年の男性が2名いる。

いつも通りスーツに身を包んだ彼らは、しかし額に汗を滲ませており、腕を捲っている。その顔は何やら満足げだ。

 

 

 

「丁度いいですね。ではアルマニャック、貴方は餅つきの準備をお願いします」

「かしこまり!」

「ヘンリー、君はこちらで煮込みを。エドワード、君はお汁粉の準備を」

「「かしこまりました」」

「あっ、コンニャク洗い終わったぞ」

「ようやくですか。さて……うむ、出汁もこれでよし。では、コンニャクを一口大に切ってください。煮込むのは彼がやりますので、終わったら君はアルマニャックの手伝いに向かいなさい」

「了解」

 

 

 

まな板の上でプルプル震えるこんにゃくに苦戦しながらも、丁寧な短冊切りにしていくピンガ。

その隣では、エドワードと呼ばれていた側近が何やらラムと揉めていた。

 

 

 

「エドワード、私はあんこを買ってきなさいと言いつけましたね?」

「えぇ、確かにあんこを買ってきましたが……」

「何を言っているのですか。()()()()()()()()()()()()()()()

「…………恐れながらラム様、()()()()()()()()()()()()()()()()

「あんなもの、歯にくっついて鬱陶しいだけでしょう。こしあん特有の滑らかさあってこそのお汁粉でしょうが」

「粒あんの食感こそがお汁粉を食べる上でいいアクセントになるのです。加えて小豆本来の甘味も感じやすい」

「……今日は随分と聞き分けが悪いじゃありませんか」

「ラム様こそ、味覚がよろしくないのでは?」

「あ゙?」

「お゙?」

「どっちだっていいだろ……」

「「貴方は余計な口を挟まないように」」

「息ぴったりじゃねぇかよ」

「まだこんにゃくを切り終わらないのですか?ヘンリーが困ってしまうではありませんか。作業の速度を上げなさい」

「アルマニャック様が外で貴方をお待ちなのですよ?早く作業を終わらせ、行って差し上げるべきではありませんか?」

「分かった分かった俺が悪かった」

 

 

 

胸ぐらを掴んで一触即発かと思いきや、歩調を揃えてピンガをいびり出すラムとエドワード。

これ以上は付き合えないし付き合いたくないと言わんばかりに作業を倍速で終わらせ、庭へと向かうピンガ。

背後で何やら物が倒れたりドタバタと音がしているが知ったことではない。仮にも組織のナンバー2が、あの年にもなって取っ組み合いの喧嘩をしていたとして、ピンガからすれば知ったことではないのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

今年は例年に比べて寒い。気温は氷点下を下回っており、吐く息も即座に白く染まる。

掌をすり合わせ、吐息で温めながら庭に出ると、アルマニャックが何やら妙な道具を運んでいた。

 

 

 

「おいアル、なんだその……それは」

「これは臼と杵って言うんだと。臼にお餅入れて、杵で突くんだって」

「食材をハンマーで叩くのか……ブロワイエみたいなやつか?」

「ありゃ完成品を砕いて食べやすくしてるだけだろ?お餅は叩いて完成するんだとよ。叩けば叩くほどモチモチになって美味しいらしいぜ」

「……パスタ打つみたいなもんか?良く分かんねぇが……」

 

 

 

臼を頃合いな場所に置き、何処かから巨大な餅を持ってきたアルマニャックは、餅を臼に入れると杵をピンガに差し出してきた。

 

 

 

「ほい、杵。最初はピンガからな」

「俺がやるのかよ……」

「寒いだろ?体動かして温まろうぜ」

「お前はいいのかよ」

「餅つきには合いの手が必要なんだ。杵で突く度に水でちょっとだけ餅を湿らせたり位置を動かしたりな。難しいから俺は先にそっちを実演するよ」

「随分詳しいじゃねぇか」

「ヘンリーに教わったからな」

「……んで、そっちも俺はやらされるのか」

「だって俺も餅つきしたいもん」

 

 

 

ため息1つ。杵を受け取ったピンガは構える。

アルマニャックとアイコンタクトを行い、臼に杵を振り下ろす。ペタン、と間の抜けた音がした。

杵を振り上げるとすぐさまアルマニャックが臼の中に手を突っ込み、餅の形を修正する。

 

(なるほど、形を整えて満遍なく叩けるようにしてるのか)

 

水を張った桶で手先を濡らしているのは、餅が手につかないようにする為だろう。

確かに、これを高速でやろうと思うなら、それなりに技量を求められる。

アルマニャックのやり方をしっかりと観察しつつ、ピンガは再度杵を振り下ろす。たかが遊びと言えど、彼に遅れを取るつもりはない。

たかが杵1つで体幹が崩れるほどヤワな鍛え方はしていないが、ハンマーを振り下ろす動作など訓練でもやったことがない。

それ故最初はどこかぎこちなさがあったものの、腐っても組織の幹部。すぐにコツを掴み、その動作は淀みないものになった。

 

 

 

「よっ……フン!オラ!」

「ほい、ほい、ほい」

 

 

 

5分もしないうちに、ピンガの額に汗が滲むようになる。意外と運動量が多いことに驚いていると、アルマニャックが急に立ち上がった。

 

 

 

「もう、やり方分かったろ?」

「あ?あぁ……ハッ、もうやりたくなっちまったか」

「おうよ。チェンジだチェンジ」

 

 

 

ピンガの手から杵をひったくり、仁王立ちするアルマニャック。

思わず苦笑をこぼしつつ、ピンガも臼の前にしゃがみ込む。

 

ペタン、こねこね。ペタン、こねこね。

 

よっ、ほっと軽快な掛け声と共に、杵とピンガの手が交互に臼へと差し込まれる。

何とも平和な光景だった餅つきは、しかし急展開を迎える。

 

 

 

「よし、ぼちぼち体も温まったな。ピンガも慣れたろ?」

「あぁ、何の問題もねぇな」

 

 

 

 

 

 

「オッケー!…………じゃあ、()()()()()()()()()

「は?」

 

 

 

 

 

 

 

刹那。轟音。一拍遅れてピンガの顔をしたたかに打ち付けるのは、衝撃波(ソニックブーム)

思わず尻もちをついたピンガの眼前では、アルマニャックが杵を振り上げていた。

 

 

 

「……………………は?」

「いやぁ、この前テレビ見てたらな?おじいちゃん2人がめっちゃ高速で餅つきしてたんよ。アレ、やりたくてなァ」

「………………、〜〜〜〜〜〜ッッッ!?」

 

 

 

(動作が、()()()()()()……!)

 

ようやく理解が追いついたピンガの総身に、怖気が走る。アルマニャックは、マッハの速度で杵を振り下ろしたのだ。衝撃波(ソニックブーム)がその証拠である。

音速を超える速度で振り下ろされた杵は、しかし餅も臼も傷つけることなく、そしてピンガが気づいた時には既に振り上げられていた。

ふと上を向くと、アルマニャックが不思議そうな顔でピンガを見下ろしている。

 

 

 

「何してんだよピンガ、早く餅を整えてくれ」

「あ、あぁ……」

 

 

 

ピンガはおっかなびっくり餅の形を整え、臼から手を抜いた。

瞬間、やはり轟音。音速の壁を超えたことで押し出された空気がピンガを強く打ち付ける。

今度は尻もちという醜態を晒すことなく耐え抜き、アルマニャックを見ると、やはり杵を振り上げていた。

杵を振り下ろし、そして振り上げる。何のことはない一連の動作が、ピンガには一切目で追えなかった。

 

 

 

(こんの、バカゴリラ!こんなところで全力なんか出してんじゃねぇ!!)

 

心内で思い切り罵倒する。口に出さなかったのは、一重にプライド故だった。

こんなお遊び如きでみっともない姿など晒せるか。その思いだけでどうにか喉まで出かかった言葉を無理やり読み込んだのだ。

だが、ピンガの異常な様子に気づいたらしい。アルマニャックが気遣わしげに言葉を掛けてくる。

 

今のピンガにとって、核に等しい一撃を与える言葉を。

 

 

 

 

 

 

「あ~その……やっぱりこの速さだと()()()()()()()()()()()()()()()()()()()……」

 

 

 

 

 

 

「ゃ…………やったろうじゃねぇかよ!!」

 

 

 

たかがお遊びでさえ、相棒(アルマニャック)の本気を引き出せない自分への止めどない苛立ち。己の不甲斐なさ故に気遣いまでさせてしまったことへの、深い羞恥。

主にヤケクソ混じりのそれらが、ピンガの生存本能を振り切った。

その言葉を聞くや否や、満面の笑みを見せたアルマニャックが死刑宣告を下してくる。

 

 

 

「良かった〜、流石はピンガだぜ!……じゃあ、()()()()()()()()()()

「………………………………本、気?」

「行くぞ〜!」

 

 

 

その言葉尻が消えるより早く振り下ろされる杵。その爆音が響き渡る頃には、既に杵は高く振り上げられている。

ピンガが全力で餅を整えて手を抜くかどうかのタイミングで、再度振り下ろされる杵。空気の壁が破壊された音が冬空の下に轟く。

 

 

 

「ホイホイホイホイホイホイホイホイホイホイホイホイホイホイホイホイ!!」

「う、うぉぉぉぉおおおおおおお!!」

 

 

 

機関銃での掃討を思わせる爆音と、それに立ち向かうピンガ。その顔つきは悲壮の一言だ。

先程までかいていた汗など、疾うに全て消し飛んだ。今の彼を襲うのは、自身の直ぐ側に迫りくる死の恐怖。

 

(見てから動いたんじゃ間に合わねぇ!アルが杵を振り下ろす地点を予測しろ!)

 

極限状態の中で、ピンガの五感が研ぎ澄まされていく。彼は一種のゾーン状態に入っていた。

直感も含めた全ての感覚を総動員して、アルマニャックの動作を察知していく。

 

(体の向き、顔の向き、呼吸のリズムに空気の流れ!全てを掴め!そこから計算される未来を"予"め"知"れ!)

 

 

 

「ルオォォォォアアアアアア!!!!」

 

 

 

 

 

 

この日、ピンガは一つの壁を超えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「さて、餅つきの具合は…………どうしたのですピンガ」

「…………………………何がだ」

「髪の毛が凄いことになっていますよ」

「…………………………そうか」

「ふむ……」

「いやァ楽しかったぜェ!!」

「……なるほど。お疲れ様でした」

「…………………………おう」

 

 

 

餅つきも終わった頃合いで、ラムと側近達がお雑煮とお汁粉を鍋ごと持ってやってきた。

後はつきたての餅を手頃なサイズに分けて入れるだけだ。

高級具材をふんだんに使った見目鮮やかなお雑煮と、シンプル・イズ・ザ・ベストを地で行くお汁粉。

各々に器が行き届いた段階で、誰ともなく手を合わせる。

 

 

 

「「「「「いただきます」」」」」

 

 

 

「うむ、いい出汁が取れていますね。素材がいい。海鮮をアルマニャックに任せたのは我ながら英断でした」

「この伊勢海老、本当に素晴らしい……身の締りが段違いだ。流石はアルマニャック様」

「うへへ、ありがとな。……うん、うん!これがお雑煮か!美味しいな!何と言うか……落ち着く味がする!」

「出汁と味噌の旨味ですね。お気に召したようで何よりでございます」

「美味い……美味いなぁ…………俺、生きてる……!うぅ……!死ぬかと思った……!生きてて良かった……!」

「ピンガの情緒が酷いことになっていますね」

「どしたんピンガ?何かあったのか?」

「てめぇのせいだよクソ野郎!!」

 

 

 

約1名が泣きながらお雑煮を貪っているものの、穏やかな時間が流れている。

 

悪の組織といえど、中身は人間。時には休息が必要だ。体のみならず、心を休める時間が。

美味しい食事と、それを誰かと共に作り上げるという経験が、5名の心を癒やし解きほぐしていった。

 

 

 

「これがお汁粉か!甘い!あま~い!美味いなコレ!!おかわり!」

「どうです?あんこの具合は?」

「おう!つぶつぶなのが食べてて楽しいな!噛むと豆の甘味が出てくるのもいいね!」

「流石はアルマニャック様、お目が高い」

「……アルマニャック。世の中にはこれより更に美味なるあんこがあるのです。()()()()()()()()()()()()

「ほへ〜、ならそっちも食べてみたいわね!」

「……アルマニャック様は()()()()()()()()()()()()()()()()()。この時点で勝敗は明確。無駄な足掻きは見苦しいですよラム様」

「私から勝負の機会を奪うとは……負けるのが怖いのですか?無理もありません、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

「やはりラム様は味覚が狂ってしまわれているようだ……ついでに頭も」

「残念ですよエドワード……君は優秀な側近だと思っていたのですが、まさかあんこの優劣すら区別出来ない程の低能だとは」

「あ゙ん?」

「お゙ぉ?」

 

 

 

心を癒やし解きほぐしていった。

 

 

 

 

 

 





ヘンリー君とエドワード君はラムの側近です。"君"呼びだと区別つけづらいしなんか適当に名前つけるかな……ってノリで生えてきました。
ラムの側近→ラムといえば海賊の酒!ということで史実の海賊から取りました。ヘンリー・モーガンとエドワード・ロウですね。多分もう出てきませんが。



閑話のお題募集は今話の投稿をもって〆切とさせて頂きます。皆様、多くの協力を頂き本当にありがとうございました!



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