ピンガ「俺が生き残る為にオリキャラ生やした」 作:ていとくン
☆10:ガルバリウム鋼板様
☆9:くまさぶろう様、ホロホロ様、ジム009様
高評価ありがとうございます!こんなすげぇ間隔空いてしまった作品を……本当にありがとうございます。涙出る位嬉しいです。
久々の復帰だからか、感想も沢山頂けて。こっちもすっっっっごく嬉しいです。もっと、もっと感想を……!
1日おきのつもりでしたが、前回はほぼ話進んでないので今日は連続投稿です。次回から1日間を空けさせて頂きます。
そんでもって、映画本編のお話はここからです。当然円盤は買っていましたし、お話を書くためにしっかり観たのですが、何度観ても冒頭のワクワク感はたまりませんね!
ちなみに章タイトルのBarcarolle、これはフランス語で舟歌を指すそうで。この存在を知った時はビビっときましたね。今回の章タイトルとしてこれ以上のものはないだろと。
【注意】タグに"原作キャラ死亡"を追加致しました。
ドイツ フランクフルト
日中は多くの観光客で賑わう広場や大通りも、夜間にはめっきり人通りが少なくなる。
街灯に照らされたそこを爆走するのは、黒く塗られた1台のバイク。運転しているのはキールだ。
彼女が見据えていたのは、遥か前方を走る1人の女性。銃撃されたのか、肩を押さえつつよたよたと走っている。
この調子であれば、バイクは容易に追いつけるだろう。しかし、追いかけている筈のキールの表情は非常に険しい。
(駄目、逃げないで……!早く私に捕まって!彼が、
少々、時間を遡る。
━━━
数分前 フランクフルト ユーロポール防犯カメラ・ネットワークセンター
各国の警察機関が情報共有を行うことで、重大な国際犯罪に対処することを目的に設立されたこの組織は、警察と名がついているものの、捜査や逮捕といった大きな権限はない。
彼らの主な任務は情報交換や情報分析、専門技術の提供などによって各警察機関を支援することにある。
その情報分析における要の一つ、それがドイツのフランクフルトに設置された防犯カメラ・ネットワークセンターである。
その駐車場に設置された大きめのベンチに座る女性が1人。その女性に膝枕をされている男性が1人。
組織の幹部、キールとアルマニャックだった。
キールは油断なく周囲を警戒する様子を見せているものの、アルマニャックの方はうつらうつらと船を漕いでいる。
「……アル、流石に気を抜きすぎじゃない?」
「んァ〜〜〜……時差ボケ……キツくてなァ……zzz……」
「全くもう……」
腑抜けきった様子を見せるアルマニャックに、思わず柔らかな苦笑を浮かべたキール。
今、施設の中では彼の相棒が大仕事をしているというのにも関わらず、この有り様である。
(尤も、私達が暇なまま終わってくれる方がいいのだけどね……)
自分達にお鉢が回るということは、即ち目撃者が現れたということ。今回の任務は極秘裏に進めろと厳命されている以上、目撃者の
キールとしては、そうなる位ならここでだらけ切っている同僚を眺めている方が、よほどいい。
しかし、現実は非情だった。
「…………アル?どうしたの?」
「
突如、パチリと目を開けたアルマニャック。思わず何事かと問いかけると、簡潔過ぎる答え。
「動いた、って……?」
「ビルの中で、気配が動いた。ピンガのすぐそば。数は1人。……クソが、
「ッ!?」
キールはアルマニャックともそれなりに長い付き合いだ。共に幾度も戦場を駆け抜けており、その力を目の当たりにしている。
並外れた戦闘能力もさることながら、常軌を逸した気配探知も、当然よく知っている。その精度に今更疑問を差し挟む余地はない程に。それはつまり。
体を起こしたアルマニャックは、苛々した様子を隠しもせず頭をバリバリと掻いている。
「あれだけ周囲には気を配れと言ったっつーのに……!油断しやがったなあの馬鹿」
「……どうするの?」
「キールも聞いてただろ?今回は隠密を徹底しろと。なら、消すしかねェ」
「ッ……」
思わず言葉に詰まるキール。そのタイミングで、彼女の端末が震えた。
画面を見ると、そこにはピンガの名前があった。一拍の間をおいて、ボタンを押す。
「……何?」
『キールか。一人逃げた』
「っ、そう……見られたの?」
『あぁ、見られた。始末しろ』
一方的に要件のみを告げて、通話は切られた。
どうかアルの勘が外れていてほしい、そんな微かな願いは打ち砕かれた。思わず拳を握りしめるキールを見て、アルマニャックも改めて眉を顰める。
「確定か」
「……えぇ、見られてしまったそうよ」
「……目撃者が完全なカタギだったらケジメ案件だったぞ……終わったら説教確定だな」
「清掃員とか、そういう人材の可能性は?」
「ピンガから逃げられている時点で素人じゃねェ。十中八九ユーロポールの捜査官だろうさ。とはいえ本来必要のない殺しだったことに変わりはないがな。……ったく、余計な人死にこさえやがって……」
束の間、陰鬱な表情を浮かべていたアルマニャックは、しかし次の瞬間には冷たい顔に切り替わっていた。
「キール、運転は任せるぞ。仕留めるのは俺がやる」
「……いえ、ここは二手に分かれましょう。一刻も早く目撃者を追い詰めるなら、追手は増やした方が合理的よ」
「そりゃそうだが……キール、殺れるのか?」
アルマニャックの顔に浮かぶのは疑念、ではなく心配。仕事をしくじるのではという疑いではなく、純粋にキールの心を案じていた。
その顔に、思わずキールは顔を歪める。裏切りに対する罪悪感は未だに強く燻っているが、今は感傷に浸っている場合ではない。
アルマニャックより先んじて自分が追い詰めれば、あるいは目撃者を逃がせるかもしれない。
その為にも、彼と行動を共にする訳にはいかなかった。
「大丈夫よ。覚悟は出来ているわ」
「……………………分かった。何かあったらすぐ連絡してくれ」
「……えぇ」
「んじゃ、俺は行くぞ」
そう言い残すと、恐ろしい程の速さで走り去るアルマニャック。
それを見届けることもなく、キールもすぐさまバイクに跨り、エンジンを入れる。
(何としても、アルより速く追いつかなければいけない……!)
━━━
そうして、冒頭に戻る。
目撃者と思しき女性は道路を突っ切ったり、歩行者専用の鉄橋を駆け上がるなど、どうにかしてキールを撒こうとしており、その度に彼女は焦燥を募らせていた。
が、やはり徒歩とバイクでは後者に軍配が上がった。階段をバイクで駆け抜け、跳び上がる。それを見て驚く女性の足元に銃弾を一発。驚いた彼女は尻餅をつき、持っていた携帯が手を離れ、地面を滑っていく。
バイクから飛び降りたキールは彼女の側に着地し、銃を構える。銃口を向けられ、女性の顔が恐怖で歪む。
そんな彼女を見据えつつ、ヘルメットに付いているマイクを握り締めると、小声のドイツ語で話しかけた。
「
「えっ……?」
「
キールの顔に殺意はなく、あるのは焦燥のみ。女性も、キールが指を引き金にかけていないことに気づくと、意を決して川に向かって走り出す。
銃を構えつつそれを見送るキールは、内心安堵のため息をついていた。
(良かった、間に合った……!)
そして、欄干に足をかけて跳び上がった彼女。それを見て銃を下げようとしたキール。
そのすぐ横を、一陣の風が吹き抜ける。
(……えっ?)
アルマニャックだ。驚くべきことに、キールが会話していた十数秒で、その距離差を詰め切って追いついたらしい。
彼はそのまま女性を追いかけ、一緒に橋を飛び降りた。直後、
バギンッ!!
太い骨が折れたような鈍い音が響き、一瞬の後にバシャンと何かが水面に落下した音。
直後、欄干に手がかかり、そこから片手でよじ登ってきたアルマニャックは指の調子を確かめるように動かすと、キールの方に近づいてきた。
「……やっぱりな。そうだと思ったよ」
「ッ!その、これは……」
「だから聞いたろ?殺れるのかって」
アルマニャックの表情は痛々しげで、怒りや侮蔑の類は見当たらない。
つまりこの期に及んで、彼はキールを欠片も疑っておらず。その事実こそが彼女の心を締め付けていく。
「キールの優しさは美徳だと思うぜ?でもそりゃ表での話。戦場で敵に情けをかけるなんざ、殺してくださいって言ってるようなもんだ」
「……ごめんなさい」
「…………
「そう、ね……気をつけるわ」
「撃てない銃は構えるな。構えたなら撃て。そんで、戦場で構えることを躊躇うな……俺からのアドバイスだ。余計なお世話かもしれないがな」
「……いいえ、そんなことはないわ。……ちゃんと、覚えておくから」
「頼むよ?俺はキールの葬式になんか出たくないからな」
そう言ったアルマニャックは、途端に苛々とした表情を浮かべる。吐息にすら怒りを浮かべる姿に、それが自分に向かっていないと分かっていても思わず身構えてしまうキール。
ちょうどそのタイミングで、再び彼女の携帯が震えた。ピンガからの着信だ。
「はい、こちらキール」
『目撃者は始末したか?』
「始末したか、だと?俺のクソまみれで小汚ねェケツを拭ってくださいましたかの間違いじゃねェのか?」
『げっ、アル……』
「げっ、とは随分なご挨拶だなァ、ええオイ?」
キールから携帯を取り上げて会話を引き継ぐアルマニャック。怒りを露わにする彼とは対照的に、ピンガは気まずそうだ。
「俺ァ言ったよな!?戦場じゃ周囲への警戒を怠るなと!常に最大限の用心をもってコトに当たれと!それが何で目撃者の発生なんて結果になるんだ?」
『そ、そりゃ帰ってなかったあの女の間が悪いというか……』
「おおかたハッキングに集中しすぎて周囲への警戒が抜けてたとか、そういうのだろ。……まさかとは思うが、戸締まりが甘くて漏れた光でバレたなんてふざけたこと、言わねェよな?」
『!?!?』
「……図星かよ」
『そ、それは……』
「油断、慢心、軽率。信じ難い失態だ。……ラムの器には程遠いな」
苛立ちを隠しもせずに左手で頭をバリバリ掻きむしるアルマニャックと、普段の自信に溢れた言動など見る影もなく悔しさと不甲斐なさに押し黙るピンガ。蚊帳の外に置かれたキールはただその場であたふたしている。
「俺は、お前に背中を預ける、って言ったんだ。その意味、分かるよな?」
『ッ!!…………あぁ』
「ならよ、こんなくだらねェミス、してくれるな」
アルマニャックらしくもない、どこか諭すような口調。
ピンガは、他ならぬ自分がそれを引き出してしまったことに激しい羞恥を感じた。
気づけば、謝罪の言葉が口を衝いていた。
『………………悪かった』
「期待して、いいんだな?」
『あぁ。もうヘマはしねぇ……!』
「……撤収だ。ホテルで落ち合うぞ」
『了解』
通話を切って携帯をキールに返すと、投げ出されたバイクの元に向かうアルマニャック。慌ててキールも後に続く。
「さて、俺らもホテルに帰るぞ。運転は任せても?」
「えぇ、大丈夫よ。アルは後ろで休んでて」
「そりゃ嬉し、い、ね…………」
「アル?どうしたの?」
会話の途中で、アルマニャックの視線が一点に注がれていることに気づいたキールは、そちらの方を見る。
そこには目撃者が落とした携帯が、未だ通話状態のままで転がっていた。ニーナ!ニーナ!と名前を呼ぶ声が聞こえてくる。
無言でそちらに向かい、踏み潰すアルマニャック。キールの方を振り返ったアルマニャックは、どこまでも無表情だった。
「…………………………なァ、キール」
「な、何?」
「これって……油断、慢心、軽率だよな?」
「ど、どうかしら……」
「…………ピンガに向かって偉そうに説教かましてたやつが、敵に繋がったままの携帯を見過ごしてたんだ。これが軽率じゃなくて何なんだ?」
「えっと………………」
「うおォ……!!恥ずかしい!恥ずかしい!なんだこのザマは!?死にてェ!!」
「見逃してたのは私も同じだから!というか、これは多分私のミスよ!ごめんね!」
「うう……キール……なんていい女なんだ……!」
頭を抱えてうずくまるアルマニャックをどうにかこうにか宥めるキール。どこか既視感のあるやり取りをしつつ、彼をバイク後方に乗せる。
走り出した後も、しばらくの間彼はキールにしがみつきつつ半ベソをかいていた。
「オォン……恥ずかしい……死にたい……」
「ピンガには秘密にしておくから……」
「……ありがとう。キールに、また一つ借りを作っちまったなァ……」
「また?」
「ほら、初対面の時に、キールのこと泣かせちゃっただろ……?」
「あっ!あれは貴方のせいじゃないって……というより、まだ覚えていたのね……」
「勿論だ。あれからずっと、キールには借りっぱなしだなァ……」
「そんなことないわ。今日だって、助けてもらったし……」
「その割には、傷ついた顔してるぜ」
「!」
図星を突かれて思わず言葉に詰まるキール。いつの間にかベソかきをやめたアルマニャックはキールの首元に顔を埋めており、その表情は読めない。
「ラムに言っとこうか?俺専門の後方担当に回してくれって」
「……そこまで、貴方の世話になる訳にはいかないわ」
「でも、キールは荒事に向いてないよ。絶望的に」
アルマニャックの指摘に言葉を詰まらせるキール。
自分でも分かってはいた。冷酷になりきれない、甘さを捨てられない自分の弱さに。この期に及んで、己の立場を決められずにいる自分の
いずれ殺す相手に頼ってしまう、己の
そんな相手からかけられる優しさを、嬉しく思ってしまう
「娘の適性を見抜けなかったのは、親父さんの明確な失態だぜ」
「……この道を選んだのは、自分の意志よ」
「なら止めてやるべきだった。現に今、キールは苦しんでる」
(違う、違うのアル。私が今、一番苦しいのは……この世界にいることじゃなくて……)
その先は、考えてはいけない。思考に蓋をしたキールは辛うじて無言を貫く。
とはいえ、体の強張りまでは隠せず。それを察知したアルマニャックは謝罪を口にする。
「……悪い。無粋だったな。忘れてくれ」
「……大丈夫よ」
以降はお互い言葉もなく。1台のバイクが街灯に照らされた夜の街並みに消えていった。
━━━
『つーわけで、仕込みは出来たらしいが目撃者が出ちまった。済まないが、死体の処理を頼みたい』
ホテルに到着した後、他の二人は休ませ、アルマニャックがラムへの報告を行っていた。
最後の最後でミスを犯してしまった為か、声色にいつもの覇気がない。
「成る程。死体の処理については考えなくても大丈夫でしょう。無意味と言った方が正しいですが」
『え?なんで?』
「ユーロポールの職員が消えたとなれば流石に捜索されます。まして直前まで通話をしていたのであれば尚の事。死体を消す意味はほとんどありません」
『そっか……。すまん、しくじった。もうちょい早く電話に気づけていれば……』
申し訳なさそうな態度のアルマニャックに、内心苦笑するラム。
「電話をかけられた時点で手遅れですし、貴方の失態ではありません。しくじったのはピンガの方でしょう。まだまだ彼も詰めが甘い」
『それはキッチリ言っておいたから安心してくれ』
「ならば今はそれで結構。……一応聞きますが、死体に指紋は付いていませんね?」
『流石にそこまでボケちゃいないさ。グローブは肌身離さず持ち歩いてる』
「であれば、ひとまず問題はありません。ピンガは潜入先に帰らせますが、貴方はどうしますか?」
『ん〜…………キールはどうすんだ?』
「潜水艦に向かわせます。バーボンとベルモットが実行班、ウォッカとキールが後詰めです」
『例のなんちゃらシステム開発者、だっけか。たかが職員1人の拉致に幹部が4人たァ随分豪勢だな』
フランクフルトにおける今回の任務はあくまで"仕込み"に過ぎない。むしろ本題はこの後の任務にこそある。
"老若認証システム"。骨格から老化や若返りを計算し、その顔をCGで構築。それと合致する顔を顔認証で探り当てるというシステムのことで、これの奪取が今回の目標だ。
(そも、パシフィック・ブイなどという施設が存在しなければ、ここまで大掛かりな作戦を立てる必要もなかったのですがね……)
ラムは内心ため息をつく。あの施設の存在そのものが、裏社会全体にとって目の上のたんこぶとなるからだ。
日本全国にある警察の防犯カメラに加え、ヨーロッパ全土の防犯カメラが近々接続され、その全ての映像をリアルタイムで確認出来るようになっている。いずれは全世界の防犯カメラがその対象となるということだ。
それはつまり、光の届かない"裏"の領域が限りなく狭まるという意味に他ならず。そこに"老若認証システム"が加わろうものなら、組織・個人を問わず全ての日陰者が情報戦において著しい不利におかれることになるだろう。
(ですがそれも、"我々がそのシステムを利用出来る"のであれば話は別。むしろ組織にとって最大の武器となり得る)
その為の拉致であり、アルマニャックにも作戦内容とその意図をしっかりと説明したものの、機械に弱い彼はやはりというか、システムの名前すら覚えていなかったらしい。思わず軽い苦笑が浮かぶ。
「今回の任務は極めて重要なもの、万一にも失敗したくありませんから。……そうだ、貴方もどうです?潜水艦なんて、乗ったことないでしょう?」
そう、ラムにとってこの任務は絶対に失敗する訳にはいかないものだった。幹部を5名も投入している辺り、彼の本気度が伺える。
しかし、だからと言ってアルマニャックを潜水艦に乗せる意味は薄い。彼の本領である戦闘が艦内部で行われる可能性はまず無く、潜水艦の運用も彼には出来ないからだ。
『……正直、乗ってみたい。でもいいのか?6人も人員割いちまって』
「近々で他に大きなヤマはありませんから、大丈夫ですよ」
とはいえ、乗せて何かデメリットが存在する訳でもなく、現状彼に頼まなければならない程の任務も存在しない。
ならば、日頃の頑張りに対する細やかな褒美として彼の好奇心を満たしてやろう、ラムはそう考えた。
そう、
『……それなら、俺も乗ってみたいな。海中深くに潜るって、どういう感覚なんだろうな〜!』
「フフフ、半分休暇だと思って満喫してください。日本行きのチケットを手配しておきましょう」
『ありがとう。よろしく頼むわ!』
「お気になさらず。それでは」
━━━
とある男の元に、一通のメールが届く。
from:キール
件名:フランクフルトの一件について
本文:ユーロポール防犯カメラ・ネットワークセンターに組織が侵入し、ピンガがハッキングを実行。その際職員1名に目撃され、殺害。殺したのはアルマニャック
「ふむ…………」
━━━
東京 八丈島
ひょんなことから園子様パワーの恩恵にあずかって八丈島のホエールウォッチングに行くことになった、コナン達少年探偵団と
ベルツリーホテルに着いたコナンが、その道すがら白鳥警部を見かけたことを蘭に報告していると、懐の端末が震えた。
外に出て画面を確認すると、"沖矢昴"の文字。FBI捜査官、赤井秀一の
「もしもし、どうしたの昴さん?」
『そろそろ八丈島に着いた頃だと思ってね……ボウヤはドイツのフランクフルトに、ユーロポール防犯カメラ・ネットワークセンターがあるのを知っているかな?』
「うん。それがどうしたの?」
『そこに最近何者かが侵入してね。その侵入者を目撃したユーロポールの職員が、アルマニャックに殺された』
「アルマニャックに!?」
自分をこの姿にしたジン程ではないにせよ、色々と因縁のある名前だ。コナンが知る限り最も多くの人間を殺してきた、組織きっての危険人物。
『"組織"に潜入しているキールからの情報だ』
「キール?つまり侵入者ってのは、やっぱり黒ずくめの……」
『あぁ。髪をコーンロウに編み上げた男で、コードネームはピンガ。ラムに気に入られていると聞いたことがある』
「ピンガ……」
ピンガ。カシャッサ、カシャーサと呼ばれることも多いこの酒は、ブラジル産の蒸留酒だ。
原材料はサトウキビ、つまりラムと同じ。初めて聞くコードネームということもあり、名付けに何らかの意図を感じたコナンの目つきが険しくなる。
「……それで、どうしてそれを僕に?」
『今日、そのセンターと回線を繋いで本格始動するのが、その近くにあるパシフィック・ブイだ。君なら気になると思ってね』
ああそれと、などとまるで今思い出したかのように沖矢は忠告を付け加える。正義感に溢れる小さな探偵が、不幸な事故を起こさないようにと。
『
「!」
『アレは僕でも
そう言って、突如通話が切れる。コナンは思わず、赤井さん!と彼の本名を呼んでしまったが、返ってくるのはツーツーという終話音のみ。
ため息をついて通話を切り、携帯を懐にしまうと、コナンは鋭い目つきで海を睨みつつ、高速で思考を回していく。
(……ジン、ウォッカ、コルン、アイリッシュ、ピスコ、テキーラ。そして、アルマニャック。そして、ピンガ。蒸留酒の名前がついたメンバーは、全て男)
今回初めて名前を聞いたピンガ。ラムと同じ原料という点から察するに、それなりに彼と近しい距離にいるのだろう。……組織のナンバー2、未だ顔も見えない"組織"の重鎮と。
そんな男が、"怪物"アルマニャックと手を組んで動いている。
(何を企んでいやがる?……嫌な予感しかしねぇぞオイ……)
アルマニャックの異常さは、コナンもよく知っている。頭のキレはともかく、戦闘という分野ではジン以上の強敵かもしれない存在。間違っても無策で挑んでいい相手ではないこと位は、コナンも承知していた。
そこに、未知の幹部が絡んできた。此方が置かれている状況は決してよろしくない。コナンは眉を顰める。
灰原に、改めて話を聞かなければいけないかもしれない。せめて、敵の情報を少しでも仕入れなければ。
(また文句を言われそうだな……)
それでも、奴らと戦うことを諦める訳には、負ける訳にはいかない。
コナンは、強く拳を握り締めた。
ここから映画イントロが入るの、初めて劇場で観た時ゾクゾクしました。コナン映画、面白ッ!ってなりましたねぇ!
全てを余すことなく書こうと思うと、量が膨大になってしまうのと、原作コピペになってしまいそうなので、今回も黒の組織の動きを中心に書いていこうと思っています。他の人間の動きは適宜、といった感じですね。
それと、皆さんのご意見を伺いたくアンケートを取らせて頂きます。
お題は「更新形式」ですね。今回みたいに章単位でまとめて作ってから更新した方がいいか、出来た話からドンドン投稿した方がいいか、皆さんのご意見をお聞かせ頂けたらと思います。
最後までお読み頂き、ありがとうございました。よろしければ、感想・高評価・お気に入り登録の程よろしくお願いいたします。
更新速度どうしましょう?
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出来次第とっとと投稿せんかい!
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章ごとにまとめて投稿せんかい!