ピンガ「俺が生き残る為にオリキャラ生やした」 作:ていとくン
1〜5話まで、色々と改訂を加えました。フォントいじったり特殊効果入れてみたり、色々遊んでみました。
ストーリーに関わる箇所も少々ございますので、よろしければもう一度目を通して頂けたら嬉しい限りです。
アメリカ合衆国に存在する対外諜報機関である彼らの業務は多岐に渡るが、主な業務は
要するに
ただ、本意であろうがなかろうが
加えて、諜報機関の旨として、現地の組織や人員を巧妙に動員することもある。
それらを総計すれば、小国の軍隊に匹敵する戦力を保持しているとも言われている。
そのCIAにおいて、『屈辱のアラモ事件』『白昼の鮮血事件』と呼ばれる事件がある。
最も、その名前はあまり知られていない。虚飾を多分に含んだ概要でさえ、一定以上の階級を持つ者や最前線で活動するエージェントでなければ知ることが出来ず、事件の詳細な情報においては上層部が情報を徹底的に隠匿している為だ。
CIAがそこまで神経質になるのも致し方ない。…………たった1人の人間によって、CIAが海外に築いた軍事拠点を一つ落とされたなど、本部に白昼堂々侵入され、幹部が複数名暗殺されたなど、到底知られる訳にはいかないからだ。
きっかけは些細なことだった。某国での諜報活動において、現地のマフィア組織が妨害活動を行ってきたことである。
それを疎んじた現地のエージェントが、妨害を排除すべく現地のヒットマンを複数雇ってマフィア幹部の暗殺を目論んだのだった。
任務そのものは成功した。マフィア幹部を複数暗殺し、組織の力が大きく削られた為に彼らはCIAに構っている余裕がなくなったのだ。
ただ、犠牲も大きかった。成功率を高めるべく、同じ標的を相手に複数のヒットマンを同時に雇った為、ヒットマン達は現場で鉢合わせする羽目になってしまい、情報不足からその場でマフィアを混じえた三つ巴の殺し合いに発展してしまったのだ。8人のヒットマンがこの作戦に投入されたものの、そういった理由から生存者は僅か2名という、高い死亡率を出してしまった。
最も、死んだのはあくまで現地のヒットマン。CIAの懐は一切痛むことなく任務を遂行出来たことに、関係者達はむしろ喜んでいた。
依頼を出したエージェントが拉致され、
あまりにも猟奇的な犯行に、関係者は激怒した。たかが殺し屋風情が
部隊が派遣されて数時間後、一通の無線が入る。
「全滅する」「化け物」「逃げられない」その言葉を最期に、派遣した部隊との連絡は永遠に途絶した。
俄かに混乱する拠点。しかしそれが収まる間もなく、警備部隊から緊急連絡が入った。
ー
ー有事の際の逃走経路が原因不明の爆発により崩落。至急調査されたしー
基地は大混乱に陥った。確かにここはCIAが秘密裏に築き上げた軍事拠点。加えて本作戦の為に本部から精鋭を二個分隊借り受けている。
しかし、あくまで存在が極秘のものである為、基地自体の規模は小さい。その為拠点に詰めている戦力の大部分を占めるのは警備部隊なのだ。その他のエージェント達も基本的な戦闘技術はあるものの、部隊を瞬く間に壊滅させるような存在との戦闘など想定されていない。
残りの特殊部隊が増援として現場に向かったものの、戦闘音はものの数分で途絶え、後は施設の至るところで散発的な発砲音と悲鳴が聞こえてくるのみ。
いつしか、全ての音が途絶えていた。否、聞こえてくる音が二つだけ。一つ、痛いほどに鳴っている己の鼓動。一つ、司令室に迫る足音。
ドアが蹴り破られる。
そこには、全身を返り血に染めた
(ああ……)
首が斬り飛ばされ、宙を舞う。崩れ落ちる自らの肉体を上空から眺めながら、現地の責任者は後悔する。
(我々は、とんでもない
軍属が数十名詰めていたCIAの極秘拠点が、たった1人の殺し屋によって壊滅した瞬間だった。
2日後、突如一切の連絡が途絶したことを疑問に思った本部が近隣のエージェントに確認させたところ、基地を襲った惨状が発覚した。亡骸と血肉に彩られた拠点に度肝を抜かしたエージェントは至急本国に報告を入れる。
しかし、その惨劇に動揺するまでもなく、本部そのものが未曾有の大混乱に陥っていた。
アメリカ合衆国 ヴァージニア州ラングレー CIA本部『ジョージ・ブッシュ情報センター』
「敵襲!敵襲!」
「こちら警備!増援を、増援を!」
「ギャッ」「グアアアア!!」
「何事だ!」
「敵襲です!侵入者は……一人、一人です!」
「たかが一人に何を手間取っている!さっさと捕縛しろ!」
「で、出来ません!強すぎます!信じらんねぇ、銃弾を弾いてやがるのか……!?至急増援を!増え……あぁ嘘だろ神様……助け、ぐぁぁッ!!」
「おい、どうした!?何があった!?応答せよ!応答せよ!」
驕りがあったのだろう。二度の大戦を制した我々に敵う者などいないと。半世紀に渡る冷戦を戦った我々CIAに、
自分達こそが世界の警察である。秩序を守る為に戦う正義の軍隊である。即ち、我々の行動は正義である。世界各地で行っている諜報活動も、妨害工作も、暗殺作戦も、全ては正義の為であり、故に我々は正しいと。
踏みにじられる者達の気持ちなど知る由もない。だって我々は正しいのだから。自分達は正義の側であり、支配する側であり、奪う側である。そういった無意識下の驕りが積み重なっていたのだろう。
最新の設備を投入しようが、重武装に身を固めた精鋭部隊を警備に入れようが、それを運用するのは人間だ。である以上、完璧はない。
傲慢の代償を、支払う時が来た。
見るがいい。朱き死を纏うかの男の姿を。黙示録の四騎士がやってきた。驕れる罪人に死を賜わす為、ヨハネの喇叭を掻き鳴らし、
さぁ、裁きの時だ。
立ちはだかる敵を片端から肉片に変え、血煙を纏いながら駆け抜ける一人の男。この建物に到着して、既に数十は屍を積み上げている。間違いなく、
だがそんなことはどうでもいい。彼にとって、是が非でも殺したい人物はたったの二人。他は全て
ようやく目的の扉の前に到着する。ここは第1会議室。お偉方が集まって国家の安寧やら未来やらについてお話している場所であり、事前の調べでは正に今日この時間に会議が行われており、目的の人物がいる場所だ。
思い切り扉を蹴り開ける。蝶番ごと吹き飛んだ扉が、部屋の壁に突き刺さる。中には避難を始めようとした上層部の御歴々。CIA長官を始め、錚々たる面々が、驚愕に目を見開き、彼を見つめている。
それらの視線を意にも介さず、彼は懐からリストを取り出し、一人一人顔を照らし合わせていく。
「あぁ良かった。あの作戦を立てたアホと、それを承認したマヌケ、二人ともここにいてくれて。避難を始めようとしてたみたいだし、タッチの差で間に合ったね」
「お、お前は……一体……!?」
「口を閉じてな長官サマ。あんたに用はねぇ。俺が欲しいのはそこにいる馬鹿二人の首だけなんだから。一緒に落として欲しいってなら、話は別だけど」
誰も、言葉を発することが出来ない。指一本動かせない。指名された二人でさえ。それだけ彼が放つ殺気は恐ろしかった。
「本当なら拷問でもしてやりたい位なんだけど、流石にそこまで長居は出来ないからね。一撃で終わらせてやるよ。ほら喜びな」
「き、貴様……自分のやったことが分かっているのか?」
「そ、そうだ!CIAは、いや
「報いを受けるべきはテメェ等だろうが」
一時ざわめいた会議室は再び静寂を取り戻した。不幸にも、最初に彼と目が会ってしまった人物は悲鳴を上げて気絶した。
闇色の業火。全てを吸い込む引力を放つ純黒の瞳のその奥に、圧搾された憎しみの炎が燃え盛っていた。
「テメェ等は
だから殺す。微塵の躊躇もなくそう言い切り、二人の参謀の首にそれぞれ大ぶりのナイフを突きつけた。
「ま、待て!私を、私達を殺したらどうなるか!」
「そ、そうだ!私を、私達を殺したところで終わりではない!
「そうか。それで?」
「分かっているのか!?いずれお前を絞首台に連れて行くのは、ポトマック河畔のオーバル・オフィスにいる御仁だということが!アメリカという国家そのものを敵に回すことになるんだぞ!!」
「望むところだクソ野郎」
「!?」
「それでは、御然らば。先に地獄で待っていろ」
参謀二人の首を刎ねた男はナイフの血を拭うと懐にしまい、御歴々を一瞥すると部屋を後にする。男が部屋を後にしてしばし時が経つまで、誰も動けず、誰も言葉を交わせなかった。
その後、男は凄まじい速さでその地を後にする。州をまるごと覆い尽くす程の警戒網が敷かれるも、遂に男を捕まえることは叶わなかった。
此度の一件は『白昼の鮮血事件』と名付けられ、某国に築いた極秘軍事拠点を陥落させられた『屈辱のアラモ事件』と合わせてCIAの黒歴史となった。彼らは必死で情報封鎖を図ったものの、闇から闇へと情報は流れ、拡散していった。
合衆国政府の人間は、最初誰もが事件の内容を聞いては冗句を疑い、映像を見て度肝を抜かれた。同時に怒り、そして恐れた。
此程の惨状が
たった一人で
下手人の名前は"ジャバウォック"。現在CIA主導の元、各国諜報機関によって2000万ドルの懸賞金がかけられた、特級の犯罪者である。
CIAはジャバウォックの首を本気で追い求めている。そして同時に、彼の牙が再び自分達に向けられることを心底恐れている。
だからこそ、事件から数年後、とある諜報員が本部に届けた2つの情報は、今度こそCIA全体を恐怖の底に叩き込むこととなった。
一つは、"ジャバウォックが『組織』の手に落ちた"こと。
そしてもう一つはーーーーー
事件から5年後、合衆国ヴァージニア州ラングレー CIA本部『ジョージ・ブッシュ情報センター』 とある会議室
「イーサン・本堂が失敗した……!!」
「これで我々が"組織"に対して取れる手段が限りなく少なくなってしまった……」
「それだけじゃない!よりにもよって、あの"ジャバウォック"が"組織"にいるだと……!?一体何の冗談だ!?」
「例の一件以来、奴のスカウトを目論む団体は星の数ほどいた。弱小マフィアから国際的なテロ組織まで、枚挙に暇がないほどに。だが奴はその全てを断っていた筈……"組織"は何を提示して"ジャバウォック"を射止めたのだ?」
「そんなことはどうでもいい!大事なことは、我々合衆国に正面から喧嘩を売り、今ものうのうと生きている特級のテロリストが、未だ全貌もロクに掴めていない犯罪シンジケートに下ってしまったことだろう!」
「"組織"に潜り込ませたNOCが露呈する前にこの情報を掴めたのは不幸中の幸いだが……あくまで掴めたのは組織幹部の誰かが"ジャバウォック"であるということのみ。素性は未だ不明なままだ」
「これまで奴の消息を周回遅れとはいえ辛うじて掴めていたのは、奴があくまで個人として動いていたからだ。痕跡全てを一人で消し切るなど到底不可能だからな」
「だが奴は"組織"というバックアップを得てしまった。ここ数年、各国諜報機関からも"ジャバウォック"の痕跡が途絶えたとの報告が届いていたが、そういうことだったとはな……!今後はあの暴力装置の所在に怯え続けるしかないというのか……!?」
会議室にいるのは、長官をはじめとするCIA最高幹部達。合衆国の諜報を担う重鎮達は、しかし動揺と焦燥を隠せずにいた。
ここにいる面々は、そのほとんどがあの日ジャバウォックの姿を目の当たりにしている。情報として閲覧している者達とは比較にならない程に、彼らはあの男を恐れているのだ。
ただでさえ"組織"には頭を悩ませている。各国諜報機関や警察が手を尽くして尚、その影すら満足に拝むことが出来ずにいる詳細不明の犯罪結社。
CIAもそれなりの諜報員を潜り込ませているが、"組織"の嗅覚は尋常ではない。送り込んだ諜報員の殆どが既に抹殺されてしまっている。
イーサン・本堂は数少ない成功例だった。"組織"のボスと直通の連絡先を貰える程の信頼を得ていたのだ。幹部の椅子も秒読みのところまで来ていた。
だが、最後の最後で
そこに"ジャバウォック"の一報である。凶報に凶報が重なり、彼らは殆ど参ってしまっていた。会議は一向に進まず、焦燥だけが降り積もっていく。
しかし、とある一言によって、そこに光明が差した。
「……そういえば、イーサンには確か娘がいたな」
「娘?……あぁ、そう言えば彼女もCIAの諜報員として活動していたな。親子2代とは珍しい」
「彼女は今どこに?」
「彼女は…………!そうだ、彼女はまだ"組織"に潜入している!」
「彼女の現状を至急報告させろ!状況によっては使えるやもしれん!」
そして、彼女が「裏切り者の父親」を殺した功績でコードネーム持ちの幹部にまで一気に昇格したことを知るや否や、会議室は色めき立った。
「遂に幹部にまで登り詰めた者が出てくれたか…!それにしても、まさか新人が最初に到達するとはな」
「通常新人とは疑われやすいものだが、やはり父親殺しが効いているようだな……」
「イーサンに限って娘にむざむざ殺されることなどあるまい。全ては彼が書いた脚本通りなのだろう」
「己すら布石にすることで確実に楔を打ち込んだという訳か。全く大した男だ……」
「2階級特進ものだぞこれは。遺族への恩給は奮発しておかねばなるまい」
「
「賛成だな。下手に二の矢を継いで彼女の存在が露見してしまえば目も当てられん」
「では、対"組織"への諜報活動はエージェント本堂に一任する。同時に、新規の人材派遣は一旦凍結し、我々はバックアップに留めるものとする。異論は」
「なし」「なし」「なし」
こうして、エージェント本堂こと本堂瑛海に特命が与えられた。
一ツ、"組織"の情報を探り、適宜報告せよ。
一ツ、"ジャバウォック"の正体を探れ。
一ツ、"ジャバウォック"に関する情報を調べ上げ、報告せよ。どんな些細なものでも構わない。
本件は最重要任務である。心して当たれ。失敗は、許されない。
今回は繋ぎ回ですね。原作キャラが名前しか出てこない……
イーサン・本堂が組織でどのような立ち位置にいたかについてですが、原作では"あの方"に直接メールを送れる程の地位と信頼を築いている、とあったのですが、幹部の証であるコードネームが出てこなかったんですよね。
"あの方"に直接連絡取れる人間が幹部じゃないってことあり得るのか?とは思うんですが、実際にコードネームが出てきていない為、当ssでは「幹部の椅子に限りなく近づいたものの、あと一歩のところで死亡」という解釈をさせていただきます。
次回はキール回です。本当は一緒にしたかったのですが、長くなりすぎたので2話に分割することにしました。
最後までお読みいただきありがとうございました。よろしければ、感想・評価・お気に入り登録の程よろしくお願いいたします。