欲望とメダルとヒーローのアカデミア   作:ヒーロー好きの一般人

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どもです。第二話です。ちなみにヒロインは予想通り耳郎ちゃんですね。
個人的にすんごい好きなんですよねぇ…世間じゃ貧乳だのなんだの言われてるけど…それがなんだ!そこがいいんだろ!
…作者の叫びはおいておいて、本編どうぞ。


入学と顔合わせと体力テスト

欲望とメダルとヒーローのアカデミア、前回の3つの出来事!

一つ!特撮好きの一般人、火欲 望司がヒロアカ世界に転生!

二つ!雄英高校、入試開催!

そして三つ!望司、入試にて0ポイントロボットを撃破した!

 

◆◆◆◆

 

あの入試から数日、俺は自宅で夜はしっかり眠れる日々を過ごしていた。

…この語り出しはあれだな。

まあ実際のところ夜は眠れていたが、起きている間はめちゃめちゃ色々気にして目がギンギンと冴える日々が続いていた。

その訳はもちろん、雄英高校の合否結果発表通知が近日届くからだ。

 

「流石にそろそろ落ち着きなさいよ。果報は寝て待てっていうでしょ?」

「そうは言うけどさ、母さんだってこの立場なら絶対こうするでしょ…」

「それはまあ…そうだけど…」

「ほれー!」

 

俺と会話を交わしているのは、俺の母親である火欲 映望(ひよく えいみ)。個性は『投影』、自身が思い描いたことを空中に映し出す個性だ。ライダー風に言えばドライブのデコトラベラーが近いだろうか。もっとも、あれはピッカピカのシャイニーーーーング!な映像しか流せないんだが。

 

「まあまあ母さん、俺だって雄英受けたときはこうだったんだから。しょうがないっちゃしょうがないさ。」

「父さんもこう言ってるんだしさ、しょうがないってこうなるのは!」

 

俺に同調してくれたのは、俺の父親の火欲 生司(ひよく せいじ)。彼も個性持ちで、個性は『生態系』。自分の体の一部に生物の一部を出現させることができる個性で、どことなく俺のオーズに近いものを感じさせる。俺の名前は親二人の名前から取ったらしいが、別の組み合わせ方をすれば映司となるのはどういう因果だろうか。

 

「ま、どっちにしろ待つしかないさ。こう言ってる間にもポストに入ってたりしてな!」

「いやいや父さん、それは流石にないない!」

「…いやでも今家の前に郵便局の人来てるわよ」

「マジかっ!?」

 

マジですか!?あマジだ!本気と書いてマジだ!よっしゃポストへゴーオン!

 

「……あの子、ほんとに元気よね…」

「…元気がないよりはいいけどな…」

 

◆◆◆◆

 

んで、ポストを確認して雄英高校からのブツと判明して俺が舞い上がってから数分後。

 

「さて…俺が落ち着いたところで開封の儀と行こうか…」

「自分で言っちゃうのね…」

「まあそれはともかく!この封筒を!」

 

と、入ってても紙が数枚ほどであるはずの封筒を俺が開封すると、その中には予想通り複数枚の書類、そして何か小さめの…機械的ななにかがあった。

 

「なんだろこれ。ちっちゃめの円盤だけど。」

「俺が受けたときはこんなのなかったな…普通に合否判定が紙で届いただけだったぞ。」

「うーん…まあとりあえず置いとくか…」

 

と、俺がその白い円盤を机においた瞬間。

 

『私が投影されたぁ!』

「どわあああっ!?」

 

何じゃ急に!画風違う顔が真正面から浮かんできたんだけど!?

…あーちょっとまって、この顔…

 

「「「オールマイト!?」」」

 

一家総出で円盤から投影された顔…もとい人物の正体に驚愕していると、そのタイミングを見計らったのように、投影されているオールマイトが喋りだす。

 

『驚いたかい?実は私はこの春から、雄英に勤めることになったんだ。』

「まじか…オールマイトが教師かよ…」

「いやあ…仕事で何度かあったことはあるけど…まさかなぁ…」

 

言ってなかったが俺の父もプロヒーローで、その中で何度かオールマイトと共同戦線を張ったこともある。まあ父さん曰く、ほとんどオールマイトに持っていかれたらしいが。

 

『まあ私のことは控えめにして、気になる入試の結果だ!筆記試験は9割7分、素晴らしい成績だ!そして、この学校いや!この学科のメインとも言える実技科目!君の(ヴィラン)ポイントは75ポイント!これだけでも実にすばらしい!十分首席合格だ!だがしかし!我々が見ていたのは敵ポイントだけにあらず!』

「え?」

「おー…お前もこの洗礼を受けるかあ…」

「ちょ父さん知ってるのかよ!?」

「そりゃ受けたからな。ほれ。オールマイトの口あいたぞ。」

『我々ヒーロー科が求める人材は、ただ戦闘能力が高ければいいというものではない!誰かを救け、守る力もまた重要なヒーローの素質!というわけでこちら!完全審査制救助(レスキュー)ポイント!人助けを…人として正しいことをした人間を排斥するヒーロー科があってたまるかって話さ!綺麗事?上等さ!綺麗事を命がけでやるってのがヒーロー!少女を助けるためにゼロポイントをぶっ飛ばしたりもした君の救助ポイントは84点!計159点でぶっちぎりの首席合格だ!雄英史上滅多にない三桁だぜ、少年!』

「三…桁…」

「お前すげえぞ!俺合格したとはいえ50とか60だったのに!」

 

俺…なんかやっちゃってますねこれは…

 

『君ほどの力と心を持った人間を、我々は全力で歓迎する。

 

 

  来いよ。ここが君の、ヒーローアカデミアだ。

 

「やった…よっしゃぁぁぁぁぁぁぁっ!」

 

受かったぞオオオオオオオオオオオオオオオオオ!

 

「やったな望司!」

「よーし!今日の夕飯は豪勢に行くわよ!お父さん!買い出し手伝って!」

「おうよ!望司は書類書いとけよ!」

「うん!これで出し忘れて入れなかったら自分許せねえもん!」

「よっしゃ!じゃあ父さんたち行ってくるわ!」

 

…よし。じゃああの人達にも報告を…

 

◆◆◆◆

 

74:スレ主

久方ぶりに俺参上!

 

75:名無し

おおモモタロス…じゃなくてスレ主!受験どうだった!?

 

76:スレ主

それがなんと合格ですよ!しかも実技150点超えで!

 

77:名無し

マジで!?たっっっっっか!

 

78:名無し

実技試験の様子は掲示板のライブ機能で見てたけど…いやぁ…まさか三桁とは…

てかオールマイト雄英いるんでしょ?どうだったよ初見の反応は。

 

79:スレ主

いやビビりましたよ…てか画風違いません?ヒロアカジャンプでしたよね?オールマイトだけアメコミなんですけど。

 

80:名無し

まあ…しょうがないさ。

 

81:スレ主

そういえば、入試終わったあとに新しいメダル開放されたんですよ。

山場を超えたからかもしれませんけど。

 

82:名無し

マジか!どのメダル!?

 

83:スレ主

サゴーゾの3つです!これでようやくパワー系が開放ですよ…

 

84:名無し

あー、考えたら今まで、純粋なパワー系ってなかったもんね。バッタがギリギリ脚力っぽいけど。

 

85:スレ主

まぁ、入学まではサゴーゾ系の訓練ですかね。父さんっていう実験だ…じゃなくて訓練相手もいるので。

 

86:名無し

今親に対してとんでもないこと言わなかった?

 

87:スレ主

言ってないっす言ってないっす。

それじゃ訓練なんでサラバーイ!

 

88:名無し

…逃げたな、あいつ。

 

◆◆◆◆

side third

 

遡ること数日前、雄英高校のとある部屋で、今年度入試の結果が発表されていた。

 

「実技、総合成績出ました!」

 

ある教師の声でモニターに映し出されたのは、成績top10の名前と敵ポイント、そして救助ポイントの一覧。

 

「しっかし…今年の一位はすごいわねぇ、まさか三桁だなんて。」

 

教師たちが見る別のモニターには、今年度一位の受験者…火欲 望司の試験本番での戦闘が流されていた。

 

「メダルとベルトで姿を変え、動物由来と思しき能力で敵をなぎ倒す…個性の強さもそうだが、彼がそれを使いこなしているというのも流石というところだな。」

「それだけでもすごいんだけどねぇ…救助ポイントがこんなに高いのもなかなか見ない点数よ。」

「近年は、ヒーローは敵を倒していればいいという考えが多いですからね。そんな中で彼は、積極的にピンチになった受験生を救けていた。」

「最後はとんでもないよな。あの0ポイントをぶっ飛ばしちまうんだから。」

「しかも大爆発って形でね…倒しに行ったのも怪我をした他の受験生を助けるためだったみたいだし。」

「2位の子もすごいんですけどねえ、救助ポイントゼロなのにこの順位、なかなか見ないですよ。」

「逆に、敵ポイントゼロで七位って子もいるけどね。こう見ると、今年は中々豊作ね。」

 

教師たちは、このあとも試験への批評を続けていく。

 

◆◆◆◆

side望司

 

あれから数週間がたち、とうとう入学式当日がやってきた。

 

「忘れ物ないね?ちゃんと持った?」

「持った持った。ちゃんと確認してるよ。」

「よし!じゃあ…行っておいで!新しいヒーロー!」

「…行ってきます!」

 

俺は人生で一番と言えるほど、威勢よく家のドアを開けた。

 

 

それから電車に揺られて歩くこと数十分、俺は数週間前に来たきりの雄英へとたどり着いた。

 

「しっかし門でけえなぁ…やっぱり異形系個性に配慮してんのかな…」

 

入門しながらそんなことを考えるも、その思考はすぐに雄英のスケールに吹き飛ばされる。

高層ビルのような校舎を進み、指示されたクラスである1-Aへと向かう。

ようやくたどり着き、またしても大きめな教室のドアを開けると、そこには数名の生徒が。

 

「あ、お前!あの変な歌の!」

 

初対面から失礼すぎだろこいつ。てか歌?…あ、まさか。

 

「君確か…俺が変身したときに反応したやつだっけ?」

「そうそう。俺、上鳴電気。個性は帯電だぜ。」

「帯電…雷系の個性か。」

「そ。これからよろしく。」

「こちらこそ。そんで…そっちにいるのが受験で質問してた…」

 

 

俺の視線の先には、角ばったメガネをかけた、あのカタブツ感漂う男子生徒がいた。

 

「ああ。ぼ…俺は飯田天哉。個性はエンジンだ。」

「へぇ。スピード系か。」

「ああ。三年間よろしく頼む。」

「ああ。で、更にこっちが…おお、お前か。」

「久しぶり、えーっと…」

 

俺が更に目線を動かした先には、耳からイヤホンのコードを伸ばした女子…耳郎響香がいた。

 

「あー…俺、自分だけ色々聞いてたな。耳郎にも名前言ってなかったし。俺は火欲 望司。個性は欲望の生物だ。」

「欲望の生物…欲望要素なくない?」

「ああ、ちょっと名前思いつかなくてノリでつけた結果。子供ゆえのあれだから気にしないで…」

「あ、ごめん…」

 

…よし。実際問題昔オーズだから欲望だろ!って発想でつけちゃったからある意味間違ってない。ヨシ。

 

「ま、多分見たほうが早いから今度の授業かなんかで見てもらうってことで。」

「ああ。それにしても、やはり雄英、いたるところで最高峰を感じるな。」

 

カタブツ君…じゃなくて飯田が多分誰もが抱いた感想を口にしていると、ドアが少々乱暴目に開けられ、そこに一つの影が。

 

「君!学校の備品や設備は丁寧に扱いたまえ!」

「うっせえわ!どうせ壊れねえよ!」

 

そう言いながら机に足をドカンと乗せる彼を見て、飯田の怒りは更に加速。

 

「机に足を乗せるんじゃない!先輩方が使ってきた物を汚す気か!?」

「ああ゛!?なんか文句あんのか!?お前どこ中だこの端役!?」

「俺は私立聡明中学出身、飯田天哉だ!」

「聡明ぃ〜?糞エリートじゃねぇか、ぶっ殺し甲斐がありそうだなオイ!」

 

ムッコロ!?じゃなかったぶっ殺!?どんなヒーロー目指してんの!?

 

「ぶっ殺し甲斐!?君の物言いはなんて酷いんだ…本当にヒーロー志望なのか!?」

 

うっへぇ…意外と飯田と仲良く慣れそうな気がしてる自分がいるぜ…いやこれ共通の敵がいるから的なあれかな…

俺が‥というかみんなが内心で辟易している中、更にぞろぞろとクラスメイトたちが集まってくる。

顔合わせなどを済ませつつも皆着席し、そして最後に来たあのちぢれ毛の少年と飯田くん、そして丸顔な女子がドアのあたりで談笑していると。

 

「お友達ごっこしたいなら他所へ行け…ここはヒーロー科だぞ…」

 

…なんかいる…廊下で寝袋にくるまってパウチ系ゼリー食べてる不審者がいる…えこれどっから突っ込んだらいいのこれ、やっぱ通報?

俺がそう考える間にあの…多分人は立つと、寝袋のチャックを開けて廊下にぽいっとおいた。

 

「はい静かになるまで8秒かかりました。時間は有限、君たちは合理性に欠くね。」

 

この口ぶり…まさか先生!?ってことはあの人もプロヒーローで…いや見たことないな…まさかの事務員とか…?

 

「担任の相澤消太だ、よろしくね。」

 

担任!?あんたが!?え嘘でしょ?見た目不審者だよ!?

 

「早速だが‥これ着てグラウンドに出ろ。」

 

…体操…服…?

 

◆◆◆◆

 

担任を名乗る男の指示によって着替えさせられた俺たちが案内されたのは、端的に言えば運動場。試験のときのようなビル群もなく、文字通り本当の運動場だ。

…まあ、ここもここで馬鹿広いが。

で、ここで俺たちは何をするかというと…

 

「「「「「「個性把握テスト!?」」」」

「入学式は!?ガイダンスは!?」

 

唐突に告げられたテストの存在に、先程の丸顔女子が意見するものの、担任…相澤先生は素知らぬ顔で返した。

 

「ヒーローになるなら、そんな悠長な行事、出る時間ないよ。雄英は自由な校風が売り文句、それは先生側もまた然り。」

 

えぇ…自由というか横暴だろ…てか同じヒーロー科のB組は出てるじゃん入学式…

 

「お前たちも中学の頃からやってるだろ、個性使用禁止の体力テスト。未だ画一的な記録を取って平均を取り続けている…まぁ、文部科学省の怠慢だな。」

 

すごい言うじゃん。もうちょっと優しさとかないん?

 

「実技試験のトップは火欲だったな。」

「…俺?」

 

あれ待って、そんな目立ちたくないんだけど…

 

「中学の時、ソフトボール投げ何メートルだった?」

「…47メートルですけど…」

 

これでも前世じゃ高い方なんだけどなあ…全体的に身体能力高いんだよなこの世界の中学生…

 

「じゃ、個性を使ってやってみろ。円から出なけりゃ何してもいい。」

 

というわけで、俺はグラウンドに書かれたソフトボール投げ用の場所に案内…もはや連行された。

 

「何しても…それじゃ早速‥」

 

俺が持ってきていたオーズドライバーを取り出すと、クラスメイトからは様々な声が上がる。

 

「何だあれ?サポートアイテムか?」

「いや待て、あれって確か入試の…!」

 

俺は前と同様にベルトを装着してメダルを装填し、オースキャナーを引き抜いてメダルをスキャンした。

 

「変身!」

 

タカ!

トラ!

バッタ!

バ!バ!

 

「「「「「「変身したぁぁぁぁぁぁぁっ!?」」」」」」」」

「いやそんな驚くことじゃないでしょ…」

 

流石に驚きすぎじゃない?変身系個性ってまあまあいるでしょ?

 

「嫌だとしても驚くわ!」

「しかも変な歌まで流れてたし…」

「てかあいつ入試で0ポイントぶっ飛ばしたやつじゃねえか!?」

「うわほんとだ!?てか俺ヤバかったとき助けられたわ…」

「あの人もゼロポイントを…」

 

クラスメイトが口々に呟くが、俺はそれを軽くスルーして相澤先生からボールを受け取って構えた。

…何してもいいってことは…投げなくてもいいってことだよね!

 

「オォ……ラァッ!」

 

俺は手に持ったボールを正面…ではなく真上に投げ、落ちてきたボールを右足で蹴っ飛ばす。

バッタの脚力によって蹴り出されたボールはすぐに小さくなり、その影は徐々に地面に近づいて…

 

「まず自分の最大限を知る。それがヒーローの素地を形成する合理的手段。」

 

そう言って相澤先生が提示した端末には、俺のソフトボール投げ…というかソフトボール蹴りの記録が。ちなみに結果は1036m。ファッ!?

 

「いきなり1000メートル!?」

「なにこれ面白そう!」

「個性を自由に使えるなんて…さすがヒーロー科!」

 

皆が騒ぎ立てていると、その瞬間相澤先生の目が変わった。

 

「面白そうか…。ヒーローになるまでの3年間、そんな腹づもりで過ごす気でいるのかい?」

 

…俺はその言葉を聞いた途端、背中に嫌なものが一つ2つ3つ4つ…数え切れないほど這った。

 

「よし…8種目トータル成績最下位のものは、見込みなしと判断し、除籍処分としよう。」

「「「「「「「「「はぁーーーーーーーーっ!?」」」」」」

 

じょ…除籍!?初日で!?

……このときの俺は知るよしもなかったが、俺たちの担任となった相澤先生、彼は去年の一年生…つまり俺たちの先輩になるはず(・・)だった生徒を1クラスまるごと除籍処分にしていた。

…だがそれを知らずとも、今の俺はこの言葉が冗談やその場の勢いで言ったものではないように感じていた。

 

「生徒の如何はオレたちの自由。ようこそ。ここが雄英高校ヒーロー科だ。」

 

……とんでもないとこ来ちゃったなあ…俺…

 

◆◆◆◆

 

「最下位除籍って…入学初日ですよ!?いや、初日じゃなくても理不尽すぎる!」

先程も先生に意見していた丸顔女子が、今回も相澤先生に意見した。というかそれが普通だろう。あの試験を乗り越えて入学したと思ったらこれだ、文句の一つや二つは言いたくなる。

…だが先生は、あくまでも冷静、冷徹に言葉を返した。

 

「…自然災害、大事故。そして身勝手な敵たち。いつどこから来るかわからない厄災。日本は理不尽にまみれている。そんなピンチを覆してくのがヒーロー。放課後マックで談笑したかったらなお生憎、これから三年間雄英は君たちに苦難を与え続ける。更に向こうへ、Plus Ultra(プルス ウルトラ)さ。全力で乗り越えてこい。」

 

…しっかし…入学最初のレクリエーションにしては胃もたれしそうな奴だな…

…まあ、やるしかないか。流石に除籍処分は勘弁。

 

「…ねえ、火欲。先生の言う除籍って…やっぱり冗談じゃないよね?」

「だろうな…ま、やるしかねえよ。ここまで来たんだしな。」

「それもそうだね。アンタに助けてもらったんだから、ここで除籍は勘弁だよ。」

「だな…」

 

こちらによって来た耳郎と会話を交わす中、先生はとうとう個性把握テスト…その皮を被ったふるい落としを始めようとしていた。

 

◆◆◆◆

 

153:名無し

っと、スレ主もとうとう洗礼を受けたか。

 

154:名無し

ヒロアカ世界に何も知らずに転生した奴はここでめちゃくちゃビビるからな…まあ、スレ主ならなんとかできそうだけど。

 

155:名無し

最初は50m走からか。スレ主はタトバで挑むみたいだが…

 

156:スレ主

「っ!」

 

157:名無し

うーわ早いねぇ。さすがバッタの足だわ。

 

158:名無し

結果は2.53秒。3秒の飯田くん地面に手ついちゃってるよ。

 

159:名無し

そりゃタトバコンボって100m4.5秒だからな。この結果も納得だよ。

 

160:名無し

それにしても他の生徒もすごいですね。爆豪なんか手で爆発起こしてブーストしてますよ。

 

161:名無し

柄は悪いのに実力はあるんだよなあ…それを言ったらお茶子ちゃんも考えてるよな。個性で服と靴の重力をなくして軽くするって。

 

162:名無し

青山くんは…レーザーでぶっ飛んでから、そこからレーザーが切れて落下して…あとはほぼダッシュ…

 

163:名無し

1秒以上発射すると、お腹壊すんだっけ。

 

164:名無し

次は握力か。

スレ主はどうする…っと!ここであいつの出番か!

 

165:スレ主

「ハッ!」

タカ!

ゴリラ!

バッタ!

 

「また変わった!?」

「いや違う!今度は腕だけ変わってる!ゴリラって…」

 

166:名無し

おーおー、みんな驚いてる。

 

167:名無し

そりゃ驚くでしょうねえ……あれ待って、ゴリラアームの力だと…

 

168:スレ主

「まーとりあえず…フンッ!」

バキッ!

「「「「あ…」」」

 

169:名無し

まあ…そりゃ…ぶっ壊すよね…

 

170:スレ主

「すいません先生!弁償とかって…」

「授業で備品が壊れるなんて日常茶飯事だ。予備は大量に用意してある。…結果は測定不能だな…」

「測定不能!?」

「どうなってんだよあいつ!?」

 

171:名無し

こう見ると、ライダーの力って途轍もないって実感するよな…

 

172:名無し

そうだよなあ…次は反復横飛びか。

 

◆◆◆◆

 

「…ねぇ火欲、あんたできないことあるの?」

 

握力測定を終えた俺のもとに、少々引き気味の耳郎がよってきた。

 

「できないことはあるよ…水中戦とか空中戦とかできないし…」

「それこのテストじゃ関係ないじゃん…」

 

あー…うん。やっぱりオーズの力ってやべえわ。

 

「とっ…とりあえず次始まるみたいだし行こうぜ。反復横跳びだってさ。」

 

無理やり暗い空気をぶち切っておいて、俺は次の種目へと臨んだ。

 

「まあ…これもバッタだな……ゴリラだと重いし腕変えとくか。」

 

反復横跳びというスピードが求められる種目で、ゴリラの巨大な腕は重量面でマイナスになると考えたので、先程のタトバコンボへと戻る。

 

「始め。」

「うおおおおおおおおおおっ!」

 

合図とともに俺は力を足に集中し、バッタ由来の瞬発力とジャンプ力で必死に左右運動を繰り返す。

 

「止め。」

「ふぅ…351回か…結構行けたな…」

 

前世だと行けても80回とかだったしな…やっぱ個性…というかライダーの力の凄さが身にしみるわ。

 

「結構で済むやつじゃないと思うんだけど…てかバッタ凄すぎない?」

「バッタって人間サイズならめちゃめちゃ飛べるしめちゃめちゃ早いからね。それを実現しちゃってるのが俺なわけだから。」

「いやー…ウチも結構鍛えてはいたんだけど…火欲には敵わないや。」

「耳郎だって100回超えてるじゃん。ちゃんと鍛えてる証拠だよ。」

「ありがと。次はソフトボール投げだって。」

「ソフトボール俺やったんだけどなぁ…」

 

んで、続くソフトボール投げ。

俺は一度やったのと同じなので割愛するとして、特筆すべきはあの丸顔女子…麗日お茶子の記録だろう。

彼女はボールに五指で触れると、そのまま全速力でぶん投げた。

…そして、上に行き、上に行き、上に行き……落ちることはなかった。

 

「記録、無限。」

「「「「「「「「「「無限!?」」」」」」」

 

麗日の個性って…無重力的なあれか…

俺たちが驚きに満ちる中、ちぢれ毛のあいつ…緑谷出久の番となった。

彼が神妙な顔でボールを見つめた後、彼はなにか決意した様子でボールを投げた。

そのボールはまっすぐ飛び、そして地面に落ちて───

『46m。』

記録用のロボットが告げた数値は、この場において高いとは言えないものだった。

 

「今…確かに使おうって…!」

「個性を消した。」

 

唖然とする緑谷の後ろに、相澤先生が髪を逆立て、首のマフラーの用に見えていた細い布を周囲に浮かせながら近寄った。

 

「つくづくあの入試は、合理性に欠くよ。お前のようなやつも合格できてしまう…」

個性を消す…そうか…相澤先生は…!

「個性を消した…そうか!見ただけで人の個性を抹消する個性…抹消ヒーロー、イレイザーヘッド!」

「…メディア露出を嫌ってるんだっけな…そりゃパッは思いつかないわ…」

 

そりゃあそうだ、俺もヒーロー関係の雑誌とかは見てたけど、イレイザーヘッドが出てたのはたまたま写った数回とかだもんな…

 

「…見たとこ、個性が制御できないんだろ?」

「っ!」

「また行動不能になって、誰かに助けてもらうつもりだったか?」

「そ…そんなつもりじゃ…がっ…」

 

緑谷が言い切る前に、先生は首の布で緑谷を巻き取って自身に急接近させた。

 

「昔、暑苦しいヒーローが大災害から一人で1000人以上を助け出すという伝説を作った…」

 

…聞き覚えがある。数年前、俺たちが小学生の時に起きたものだ。そのヒーローは…オールマイト。

 

「同じ蛮勇でも、お前は一人を助けて木偶の坊になるだけだ。緑谷出久。お前じゃヒーローにはなれないよ。」

 

先生はそう一方的に言うと、彼の拘束を解いた。

 

「お前の個性は戻した。ボール投げは二回、さっさと終わらせろ。」

 

先生がその場から立ち去ると、緑谷はブツブツと何やら考えているようだった。

 

「…なあ、誰か緑谷の個性知ってる人いる?」

 

俺が近くにいた麗日や飯田の方に聞いてみると、麗日がすぐに答えた。

 

「えーっと…簡単に言ったら超パワー!…みたいな感じなんだけど、試験でゼロポイントを個性で倒したときは、それで腕がボロボロになっちゃって…」

「諸刃の剣、ってやつか。あいつが今までの種目で個性を使った素振りがなかったのも…」

「多分、使うとまたああなるんだろうな…」

「しかし、緑谷くんは大丈夫なのか…このままでは最下位どころか…」

「けっ、デクがこの学校に入れてるのが間違いなんだよ!」

 

…この爆発頭ぶん殴っていいかな‥

俺たちが会話する間にも、緑谷は思考を続け…そして。

 

「…っ!」

 

彼はボールを先程の様に投げ…そして、結果は全く違うものへとなった。

ボールは先程の何十倍もの速度、何十倍もの風圧で上空へと飛んでいった。

 

「先生…まだ…動けます…!」

 

彼をよく見てみれば、指先を腫らしているだけだった。

…そうか、先程の話から考えると…指だけに個性の力を発動させたのか…

 

「すごい…」

 

俺が思わず称賛の声を漏らしてしまう中、先生はどこか喜びに満ちた目で、緑谷を見つめていた。

 

◆◆◆◆

 

「どういうことだ…コノ!」

 

俺たちの横にいた爆豪が不意に走り出し、手のひらで爆発を起こしながら緑谷に近づいて…ってちょっと待て!

 

「訳を言え!デクてめぇ!」

 

おいおいおいあれ襲いに行ってるやつじゃん!

 

「おいちょっと待て!」

 

俺はとっさに飛び上がって爆豪に追いつき、眼の前に着地して無理やり彼の体を押し止めた。

そして次の瞬間、彼の背後から先程も見た布が伸び、彼へと巻き付いた。同時に、彼の手で爆発が止まっていることに気づく。

 

「何だこの布…硬え…!」

「炭素繊維に特殊合金を編み込んだ捕縛武器だ。ったく…何度も何度も個性使わせるなよ…俺はドライアイなんだ!」

 

理由それかよ!?てか強い個性なのにもったいねえ!

 

「時間がもったいない。次準備しろ。」

 

先生はそう言い残すと、さっと何処かへ去っていった。

 

「…大丈夫?指。」

「あ…うん、なんとか。」

「とりあえず休めとけ。無理したら余計悪化するぞ。」

 

さり気なく爆豪と緑谷の間に立つようにして緑谷を麗日や飯田のいる方に誘導し、俺も次の種目へと急いだ。

 

◆◆◆◆

 

あれからしばらく経って、最後の種目である持久走がやってきた。ちなみに今までの種目は上体起こしや長座体前屈などで、オーズの力では少々スピードが早くなる程度だった。長座体前屈に関しては何も変わってない。むしろベルト邪魔。

んで、最後は長距離走…なら、やっとあれが使えるか。

 

「よし…やっとこいつの出番か…」

「あれ…またメダル変えんの?」

「ああ。長距離走なら、バッタより更にスピード重視の方がいいってことで…!」

 

俺はバッタメダルを別の黄色いメダルへと変え、オースキャナーでスキャンした。

 

タカ!

トラ!

チーター!

 

「今度は足が黄色い…いくつあんの?火欲のメダル。」

「あー…数えんのめんどいから今度な!とりあえず…」

 

俺は耳郎の話を少々無理やり目に切っておいて、俺はクラウチングスタートの体制を取った。

そして、専用の機械からスタートが告げられた途端───

 

「───はっ!」

「「「「「はええええええええええええ!?」」」」」

 

俺は全速力で駆け出した。コーナーを周り、直線を突っ切り、そしてゴールのマークが見え、それを通過した瞬間。

 

「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお……!しゃっ!止まった!」

 

トラクローを突き立てて、無理やりブレーキ。いや…やっぱりこれきついわ…

 

「おい火欲。最後のは必要なのか。」

「必要っすね…なかったら校舎の壁まで行って埋まってましたよ…」

「…なら…しょうがない。」

 

やっぱ早いわ、チーター。

 

そして全種目を終え、再度集められた俺たち。

 

「んじゃあぱぱっと結果発表。トータルは単純に、各種目の点数を合計した数だ。口頭で言うのは時間の無駄なんで、一括開示する。」

 

そう言った相澤先生は端末を操作し、空中に表を投影した。

一位は…俺。いやマジか。まあ手抜かずにやったからヨシ!

…そして、最下位は…緑谷。

…あいつ、話してる限り結構…いやだいぶいいやつだったんだけどな…まさか初日でお別れとは…

 

「ちなみに除籍は嘘な。君らの個性を最大限引き出すための合理的虚偽。」

「「「「「「「「「はぁーーーーーーーーーーーっ!?」」」」」」」」

 

はっ!?はぁっ!?何言っちゃってんの!?

…いや違う、これもしかして…

 

「あんなの嘘に決まってるじゃない。ちょっと考えればわかりますわ。」

 

端の方にいる女子生徒…八百万さんが言うのに対し、俺も声を出した。

 

「ちょっとじゃなくて、しっかり考えたら、これは本当だったんだろうな。」

「えっ?」

「相澤先生のあの目はガチのやつだった。それに、ソフトボール投げでの緑谷に対する行動、声聞こえてたけど、あそこで緑谷があの結果を出してなかったら本当に除籍にするつもりだったんだと思う。先生も言ってたろ?最下位だから除籍するんじゃなくて、見込みがないから除籍するって。つまり、俺たちにはまだ見込みがある、そう判断したってこと。違う?先生。」

「…どっちでもいい…明日から本格的に授業だ、教室にカリキュラムとかの書類あるから、目透しとけ。」

 

そう言って、先生はさっさと立ち去っていった。

 

「…ま、良かったな緑谷。」

「うん…良かったよ…」

 

◆◆◆◆

 

それから数時間後、俺たちは雄英生として初の放課後タイムとなっていた。

 

「しっかし、相澤先生とんでもないな…初日から除籍を考えるって…あそうだ緑谷、指は?」

「うん、リカバリーガールのお陰でなんとか。…まあ、だいぶ疲れたけど…」

「あの人の個性、あくまで人の治癒力を促進するものなんだっけ。それの代償、ってわけか…」

「まあ、治ったのだからいいじゃないか。これからもあるんだ、無理はしないでくれよ。」

「うん、わかってるよ飯田くん。火欲くんもありがとう、かっちゃん止めようとしてくれて。」

 

かっちゃん…と言われて、それがあの爆豪のことを指してるのだと気づく。

 

「いやいや…あいつ下手したらお前も爆破する勢いだったしな。ま、先生のお陰でなんとかなったけど。」

「しかし、君と爆豪くんは知り合いなのか?やけに彼は君のことを気にしていたが…」

 

飯田の声に、緑谷は少々戸惑った素振りを見せてから答えた。

 

「あーその…子供の頃から仲良くて、いわゆる幼馴染ってやつなんだ。…まあちょっとあれだけど…」

「…あー…どんまい。」

 

なるほど、あいつは結構性格があれであれなタイプってわけね。

 

「おーい!」

 

不意に後ろから声がして振り向いてみると、その声の主と思しき少女と、もうひとりの少女が。

 

「耳郎…」「麗日さん…」

「三人、今から帰り?駅までだったら一緒に行こ!」

「ウチもいい?どうせ駅行かないと帰れないしさ。」

「いっ…いっいっいっ…」

「いいよ、人数は多いほうが盛り上がるし。」

 

…緑谷…女子耐性ゼロなやつかこれ…

 

「しっかしすごいね、火欲くんの個性!あれどんなやつなの!?」

「ああ。上下三色で異なる生物の力を…しかも0ポイントのヴィランロボットを倒したと聞いたのだが!」

「いやほんとにすごかったよあれ…近くにいたけど大爆発してさ…」

「爆発!?僕も倒したけど、あれ潰れるぐらいだったのに…」

「あー…まあ帰りながら話すわ!とりあえず行こうぜ!」

 

…意外と、ここでもうまくやっていけそうだな。友達も、4人は出来たみたいだし。




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