欲望とメダルとヒーローのアカデミア   作:ヒーロー好きの一般人

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なんか筆が進んだので3日連続投稿です。
そこ!日付またいでるじゃんとか言わない!
まあとりあえず、本編どうぞ。


始まりと授業と戦闘訓練

欲望とメダルとヒーローのアカデミア、前回の3つの出来事!

一つ!火欲、雄英高校に入学!

二つ!入学早々、除籍をかけた体力テストが行われる!

そして三つ!除籍宣言は、相澤先生が見込みありと判断したことにより撤回された!

 

◆◆◆◆

 

入学初日から波乱だったものの、なんとか乗り越えた俺たち雄英高校の新入生に、いよいよ通常授業の日がやってきた。

雄英高校のカリキュラムでは、午前は英語、数学などの高校で必修の通常授業。

 

「じゃあ、この中の英文で間違っているのは?」

((((((……普通だ…))))))

 

英語担当であるプレゼント・マイクが、はっきり言ってめちゃめちゃ普通な授業をしている光景に、俺たち生徒の思考はこの一瞬全く同じとなる。

 

「Everybady hands up!盛り上がれー!」

 

…いや無理だって。あと問題は関係詞の場所が違うから四番だな。

 

 

昼休みでは、クックヒーロー、ランチラッシュが提供する一流の料理を安価でいただける。

 

「塩ラーメンのAセットで。」

「中華って、時折無性に食べたくなるよね!」

 

俺もなんとなく食べたくなった塩ラーメンとチャーハンのセットを頼み、彼から受け取る。

 

「…なんでこの出来であの値段なんだよ…雄英経営大丈夫かな…」

「火欲、隣いい?」

「ああ耳郎か。空いてるしいいぞ。」

「ありがと。そっちは塩ラーメン?」

「そういうそっちは焼き鯖か。」

「なんか今日和食の気分でさー。」

 

隣に座った耳郎と談笑しながら食事を済ませると、すぐに午後の授業がやってきた。

…そしてその午後の授業こそが、このヒーロー科の本懐、ヒーロー基礎学。

文字通りヒーローになるための基礎を学ぶ授業で、単位数も一番多い。

そして、その担当こそが……

 

「わーたーしーが…普通にドアから来た!」

 

その人物の登場に、否応なしにクラス中が沸き立った。

 

「オールマイトだ…!」

「すげえ…ほんとに先生やってるんだ…!」

「あれ、シルバーエイジのコスチュームね…!」

「画風違いすぎて鳥肌が…!」

 

…やっぱり、画風違うよね、オールマイト。どう考えてもマー○ルとかD○とかの方だもん。

 

「私の担当はヒーロー基礎学、ヒーローの素地を作るため、様々な訓練を行う科目だ。単位数も最も多いぞ。」

 

しっかし、至近距離で見ると迫力すごいな。これから毎回こうして教えられることになるのか…

 

「早速だが、今日はコレ!戦闘訓練!」

 

オールマイトが取り出したBATTLEと書かれたプラカードが告げる訓練内容にさらにクラスが沸き立つ中、オールマイトは手に持ったとある機械を壁に向けて操作した。

 

「そしてそいつにに伴って…こちら!入学前に出してもらった個性届と、要望に沿ってあつらえたコスチューム!」

「「「「「「おおおおっ!」」」」」

 

左側の壁のスリットから、出席番号が記されたアタッシュケースがぞろぞろと出てくる。ほんとにハイテクだなこの学校。

 

「着替えたら順次、グラウンドβに集まるんだ!」

 

オールマイトの指示で俺たちは着替えに向かいコスチュームに着替え、グラウンドβへと集まった。

 

「格好から入るってのも大切なことだぜ、少年少女!自覚するのだ、今日から自分は…ヒーローなんだと!」

 

オールマイトが待っていたグラウンドβ入り口に、多種多様なコスチュームに身を包んだ1年A組の面々が集った。

 

「いいじゃないかみんな、かっこいいぜ!さあ始めようか!有精卵ども!」

 

オールマイトのもとに集まった俺たちの中には、サイズを間違えてパツパツスーツになった麗日の衣装に対してヒーロー科最高とつぶやくアレなアイツがいたりした。てか緑谷のコスチュームめちゃめちゃオールマイトっぽいな。

 

「さあ、戦闘訓練のお時間だ!」

「先生!」

 

飯田と思しき声を出したのは、メカメカしいスーツに身を包んだやつだった。どことなくガン○ムっぽいな。

 

「ここは入試の演習場ですが、また市街地演習を行うのでしょうか?」

「いや、もう二歩先に踏み込む。ヴィラン退治は主に屋外で見られるが、統計でいえば屋内のほうが凶悪ヴィラン出現率は高いんだ。」

 

確かに派手な戦闘だったり、ひと目に付きやすいのは屋外戦闘だよな。でも、本当に賢い奴らは屋内の闇に紛れていろんな悪事を働いてるわけか…

 

「君らにはこれから、ヴィラン組とヒーロー組に分かれて、2対2の屋内訓練をしてもらう。まあ、このクラス21人だから一つは3人になるんだけどね。」

「基礎訓練もなしに…?」

「その基礎を知るための実践さ!ただし!今度はぶっ壊せばOKなロボットじゃないってとこがミソだ!」

 

蛙吹さんが思わず呟いてしまうものの、オールマイトはその声にもしっかりと答える。

 

「勝敗の付け方はどうなります?」

「ぶっ飛ばしてもいいんすか?」

「また、相澤先生みたいな除籍とかあるんですか…?」

「分かれるとはどのような分かれ方をすればよろしいですか!?」

「このマントやばくなーい?」

「ううぅぅぅん聖徳太子ぃぃぃ!」

 

生徒からの質問の連打に流石のオールマイトも処理しきれず、思わず絶叫。てか最後のやつなんか違ったぞ。

オールマイトは何やらメモのようなものを取り出すと、それを見ながら言葉を続け…ってあれカンペか!?

 

「いいかい?状況設定はヴィランがアジトのどこかに核兵器を隠していて、ヴィランはそれを処理しようとしている。ヒーローは時間内にヴィランを捉えるか核兵器を確保すること、ヴィランは制限時間まで核兵器を守り切るか、ヒーローを捕まえること!」

 

だいぶアメリカンな設定だな!オールマイトがアメコミっぽいし違和感はないけども…

 

「コンビ及び対戦相手はくじだ!」

「適当で良いのですか!?」

「プロは、他事務所のヒーローと急造チームアップすることが多いし、そういうことじゃないかな!」

「そうか…先を見据えた計らい…失礼いたしました!」

「いいよ、早くやろう!」

 

オールマイト…まさかほんとに適当でくじにしたんじゃないよな…

…まあというわけで、くじ引きの結果決まったチームが以下の通り。

 

Aチーム 緑谷 麗日

Bチーム 障子 轟

Cチーム 峰田 八百万

Dチーム 爆豪 飯田

Eチーム 芦戸 青山

Fチーム 口田 砂藤

Gチーム 常闇 耳郎 火欲

Hチーム 上鳴 蛙吹

Iチーム 尾白 葉隠

Jチーム 切島 瀬呂

 

「ここが三人のチームになるとはな。よろしく、二人とも。」

「ああ。よろしく頼む。」

「まさか火欲と一緒とは…これなら心強いよ。よろしく。」

 

耳郎はたしかイヤホンジャックだっけ…常闇の個性後で聞いとかないとな‥

 

「最初の対戦相手は…コイツラだ!」

 

そういってオールマイトが取り出した玉には、ヴィラン側にはD、ヒーロー側にはAと書かれていた。

 

「他の者は、モニタールームに向かってくれ!」

「「「「「「「「ハイ!」」」」」」

 

オールマイトに従ってモニタールームへと向かう中で、俺は昨日の体力テストでの、爆豪が緑谷に襲いかかっていたときの光景を思い描いていた。

…無いとは思うけど…あの二人、戦わせて大丈夫か…?

 

◆◆◆◆

 

数分後、全然大丈夫ではなかったことに、俺は気付かされた。

最初ヒーロー側のAチームがアジトとなったビルに侵入して数分、急遽爆豪が爆発を伴っての奇襲を仕掛けてきたのだ。

それだけなら、まだ立派な戦術だ。奇襲は相手の判断力を衰えさせ、一気に自身を有利にできる。

それから緑谷と麗日は別れて爆豪から離れ、緑谷が再度爆豪と遭遇して戦闘になったとき、事態は起きた。

 

「爆豪少年ストップだ!殺す気か!?」

 

オールマイトがマイクを握りしめて叫ぶモニターの先には、コスチュームに備え付けられた腕の手榴弾型手甲、それのサイドに有るピンを抜こうとしている爆豪の様子だった。

…おそらく、いや間違いなく、あのピンを抜けば先程以上の爆発が起きる。

爆豪はオールマイトの制止を聞かず、そのままピンを引き抜き───

───画面が、一面爆風と爆炎で染まった。

 

「授業だぞこれ!?」

「少年!緑谷少年!」

 

オールマイトが呼びかけると同時に視界が晴れ、コスチュームがボロボロになりながらもなんとか無事だった緑谷の姿がカメラに写った。

 

「先生!止めた方がいいって!爆豪あいつ相当クレイジーだぜ!?殺しちまうぜ!?」

 

切島がオールマイトに訴え、オールマイトはしばし考えた後に言葉を発した。

 

「爆豪少年。次それ撃ったら、強制終了で君らの負けとする!」

 

カメラの先の爆豪が何やら反応し、ちょうどのタイミングでオールマイトが再度口を開く。

 

「屋内戦において派手な攻撃は、守るべき牙城に損壊を招く!ヒーローとしてはもちろん、ヴィランとしても愚策だそれは!大幅減点だからな!」

 

爆豪はそれを聞いて体を、そしておそらく声も荒げると、爆破でブーストしながら緑谷に向かっていく。

 

「…先生、流石にあれはやりすぎです。いくら実戦形式とはいえ、捕縛テープで押さえればいい話。緑谷のダメージとあいつの技量なら、今でもそれは可能なはずです!」

 

俺が必死に訴えるものの、オールマイトは尚も悩んでいる様子だった。

そんな中画面の先では激しい戦闘が続き、緑谷は一方的に蹂躙されながらも抵抗を続ける。

…そして互いが向かい合い、お互いの右手に力を込めて正面へ…

 

「やばそうだってこれ!先生!」

 

切島の声にオールマイトはついに決断したのか、マイクを握りしめ…

 

「…双方中──」

 

中止…と言いかけたところで、オールマイトの動きが急に止まった。そして、画面の先の緑谷も、また。

彼は爆豪に向けていた拳を下から振り上げ、その威力で生じた風圧は上へと。

爆豪の起こした爆発が緑谷を襲うも、彼は右手を振り上げたまま、決して引いていない。

そして別のモニターでは、その衝撃によってへし折れた柱を掴む麗日さんがいた。

彼女は散った瓦礫をその即興バットで打ち、飯田へと降り注がせた。

飯田がその瓦礫の雨に怯む中彼女は宙を舞い、そして落下と同時に核へとタッチした。

 

「…ヒーローチーム…WIIIIIIIIIIIIIIIIIIN!」

 

…オールマイトの声が響く中、モニターには腕を変色させて倒れ込む緑谷と、それを呆然と見つめる爆豪、そしてその二人の攻撃で半壊したビルがあった。

 

◆◆◆◆

 

その後今回の戦闘の講評があったりしたが、それも終わって次の訓練へとなった。もちろん、会場は別で、だ。

 

「それでは、第二戦を始めよう!今の講評を踏まえ、訓練に挑むように!…第二戦!ヒーローチーム、Gチーム!ヴィランチーム、Iコンビ!」

 

俺がヒーローサイドか…Iコンビは…尾白と葉隠…尾白が尻尾で葉隠が透明か…

 

「あの戦闘のあとがウチらか…なんかプレッシャーあるね…」

「だが、臆していても仕方がない。前は気にせず、全力でやるのみだ。」

「そういうこったな。そうだ、常闇の個性、聞いておいていいか?」

「ああ。俺の個性は黒影(ダークシャドウ)、影のようなモンスターを使役する個性だ。おい、黒影。」

「アイヨッ!オレガダークシャドウダゼ!」

「おお…かっけぇ…」

 

いやめちゃくちゃかっこいいじゃん。こういう闇属性的なあれ大好きなんだけど俺。

 

「…男子の趣味ってよくわかんないや…」

「わかってもらえなくとも…構わん!」

 

どうせ前世じゃそうだったしな!泣いていいか!?

 

「っと、ウチも一応言っとくね。個性はイヤホンジャック、心音をこのイヤホンジャックを通して指した相手とかに送り込める個性。コスチュームのスピーカーに接続すれば増幅も可能。それから壁に指して索敵とかもできるよ。」

「なるほど…潜入とかだとだいぶ使えるな…俺の個性は…まあ昨日ので見た通り、動物の力を頭、腕、足に分けて発現できる個性。今使えるのが…タカ、ライオン、トラ、チーター、クワガタ…」

「あーストップストップ!とりあえずそれはあとにして、今は作戦を…」

「おおそうだった。で、今回なんだけど…相手が葉隠と尾白、二人の個性って把握…というかもう見えてるか。」

「うん、透明と尻尾でしょ?」

「どちらも目立つような個性ではないが侮れないものだ。ここはどうするか…」

 

うーん…尾白はあの道着みたいなコスチュームだし、下手したら尻尾だけじゃなくて純粋な格闘技も強そうなんだよな…葉隠は透明だし…てかあの人よく考えたらいま手袋とブーツしかしてないんでしょ?冷静に考えて全r…「火欲?大丈夫ボーっとして?」

「…お、おう。平気平気。」

あぶねえあぶねえ…邪な考えはポイだポイ…とりあえず、葉隠は下手したらブーツも手袋も脱ぎ捨てて完全な透明になられそうだな…そうなったらほんとに何も見えないし妨害とかされたら……あー…ちょっと待って。

 

「葉隠の個性なんだけど、俺もしかしたら無効化できるかも…」

「…え!?どうやって!?」

「あー無効化というか、俺なら見えるかもしれない。だから、俺が先陣を切って二人と戦う。耳郎は索敵しながら位置を伝えてくれ。常闇はダークシャドウで俺と一緒に正面戦闘…で、どうだろ。」

「あー…いいんじゃない?索敵なら任せてよ。」

「ああ。俺もいいと思うぞ。戦闘はダークシャドウの得意分野だ。いけるな?」

「オウヨ!マカセトケ!」

 

よしよし、そうと決まれば早速演習場に!

 

◆◆◆◆

 

『準備はいいかな?それでは第二戦…スタートッ!』

「よっしゃ耳郎頼む!」

「オーケー!」

 

オールマイトの開始の声とともに耳郎に呼びかけ、その声に応じた耳郎は耳のイヤホンプラグを壁へと突き刺す。

 

「今一人四階に降りてきた…音的に多分裸足…これがきっと葉隠だと思う…あとは一人、最上階で待機してる…」

「つまり、それが尾白ってわけか…よし、じゃあ俺も‥」

 

俺はドライバーを取り出して腰に装着し、選んだ三枚のメダルを取り出してベルトに装填した。

そしていつものようにオースキャナーを取り出して、メダルを素早くスキャンした。

 

「変身!」

 

タカ!

カマキリ!

バッタ!

 

「見たことない腕…カマキリ?」

「そ、タカ、カマキリ、バッタでタカキリバ。ちなみに前の持久走のがタカトラーター、握力測定がタカゴリバ。」

「あのタカトラバッタのような歌はなかったが…」

「ああ、あれはちょっと特殊で…っと、言ってる場合じゃねえや。とりあえず入ろう。」

 

俺たちは一先ずビルの中に入り、身長に足を進めていく。

 

「…!足音近い、裸足だから葉隠もうちょっとで来る!右側!」

「わかった。とりあえず俺が行ってくる。」

 

俺は二人を角で待たせておいて、眼の前の曲がり角を右へと進む。

…すると俺の視界に、今まで見たことない人物が写った。…裸で。

…せめて手袋ぐらいしておこう?!と思ってしまったものの、着てないものは仕方がない。今は気づいてないふりをして、身長に彼女の方へ近づく。

…そして彼女との距離が10メートルを切ったとき、俺は動いた。

 

「───はぁっ!」

「っ!?」

 

自分を見ていなかったはずの俺が、自分めがけて跳躍してきたことに、眼の前にいる影が明らかに動揺し戦闘態勢に入る寸前、俺は腕のカマキリソードを彼女の左右の壁めがけて突き立てた。

 

「…嘘…私が見えてるの…?」

「ああ。タカのお陰でね。とにかく、ここで君を捕らえさせてもらう。」

「そうは行かないよ。私だってまだ!」

 

そう言った彼女は俺の腕の下から抜け出すと、俺へと向かって手を伸ばす。

殴る蹴るなどではないあたり、おそらく俺を地面に押し付けようとしているのだろうが、あいにくそれをさせるほど隙を作るつもりはない。

俺は彼女の手をバックジャンプで回避すると、そのままテープを取り出して再び彼女の元へ跳躍し、テープを伸ばして彼女の腕に巻き付けた。

 

「あー!尾白くんごめーん!」

『葉隠少女、確保!』

「ナイス火欲!」

「…俺、必要だったのか…?」

「何いってんの!まだ次がある!急いで上に!」

「ああそうだった!」

「そうだ…行くぞ黒影!」

「アイヨ!ツギコソオレノデバン!」

 

葉隠を確保した俺たちは再度足を動かし、核があるはずの最上階へと向かう。

 

「耳郎、核があるのって最上階であってるんだよな?」

「うん、最初の索敵で最上階からふたりとも動いてたから、少なくともあそこにあるのは間違いないと思う!」

「だったらとっとと駆け抜けるだけか!」

「なら…ダークシャドウ!最上階へ急げ!」

「アイヨ!ゼンソクリョク!」

 

常闇の指示を受けたダークシャドウは、影ゆえの超高速で通路を走り抜けていった。

 

「おお…早いなあいつ…さすが影…」

「音聞いてみたけど、ダークシャドウ、ちゃんと最上階に向かってるみたい。…!今着いた!」

「じゃあ今頃尾白と戦闘中ってわけか!俺たちも急ごう!」

「うん!」「ああ。」

 

そうして、俺たちがダークシャドウのあとを追って数分、ようやく俺たちもビルの最上階へとたどり着いた。

 

「黒影!」

「!フミカゲ!コイツツヨイヨ!」

 

ダークシャドウに常闇が呼びかけるとあいつはこちらを向き、戦闘中だった尾白から離れてこちらに戻ってくる。

 

「まさか葉隠さんに気づいてしまうなんて…1対3とか無理があるだろ…」

「じゃあどうする?降参でもするか?」

 

俺が尾白に問えば、彼は再度目に光を宿らせて言った。

 

「いや、ここで引くのは…ヴィランとしてもヒーローとしてもナシだ!」

「そう来ると思ったさ!耳郎爆音頼む!」

「わ、分かった!」

 

尾白が向かって来るのに合わせて、急遽だが耳郎に指示を飛ばす。彼女はなんとか意図に気づいてくれたようで、彼女のイヤホンプラグをブーツのスピーカーに接続して、尾白に向かって増幅された心音を放つ。

 

「ぐっ…音が…」

「今だ常闇!一気に行くぜ!」

「ああ!行け黒影!」

 

俺と常闇のダークシャドウが同時に突っ込み、あわよくばそのまま確保しようとしたものの。

 

「くっ…させるかっ!」

 

尾白は俺とダークシャドウを尻尾で薙ぎ払うと、体勢を立て直して拳を構えた。

 

「その構え…やっぱり武道経験者ってわけか。」

「ああ。尻尾だけじゃ勝てない、だったら自分自身を鍛えるしかないと思ってね…ハァッ!」

「行くぜ常闇!耳郎!」

「ああ!」「うん!」

 

こちらに迫ってきた尾白を迎え撃つため、俺たちも動いた。

正直言って、この場で誰かが核を抑えに行けばすぐに事は終わる気もする。だが、尾白の身体能力と瞬発力を考えると、核に向かいに行った途端そちらに反応されて対応される可能性もある。やはり、人数差も利用して彼を抑えるのが得策だろう。

 

「黒影!尾白を抑えろ!」

「アイヨッ!」

「今だ火欲!」

「ああ!」

 

俺はダークシャドウが尾白を抑えた一瞬の隙にメダルを入れ替え、再度オースキャナーでスキャンする。

 

タカ!

ゴリラ!

ゾウ!

 

「ダークシャドウ離れろ!オラァァァッ!」

 

タカゴリゾに変わった俺は、強靭な足でしっかりと大地を踏みしめながら、ダークシャドウが離れた尾白めがけて腕部のガントレット型武器、ゴリバゴーンを発射する。

 

「ロケットパンチってそんな反則な…うわあああああっ!?」

 

その勢いのまま壁へと尾白を叩きつけておいて、そこから捕縛テープをつけようと接近する。

 

「まだ…終わりじゃない!」

 

ところがどっこい、尾白はなんとまだ抵抗した。まだギリギリ動かせた尻尾を振り、俺たちの接近を防ぐ。

 

「くっ…耳郎、爆音頼む!」

「いやでもここだと火欲まで!」

「あーそっか…タカだと耳もいいし…そうだ、だったらイヤホンであいつの尻尾と打ち合ってくれ!」

「えぇ!?…や、やってみる!」

 

よっしゃナイス耳郎!そんでもって!

 

「常闇!もし尾白が抜け出したらもっかい拘束頼む!今からちょっと派手に行く!」

「心得た!黒影、いつでも動ける準備!」

「アイヨ!マカセナ!」

 

俺は二人の仲間のお陰でタイミングを作ってもらい、その隙にオースキャナーを手に取った。

…やりすぎかもだけど…手加減するし…すまねえ尾白!

 

「ハァッ!」

 

スキャニングチャージ

 

「うおおおおおおおおおっ!」

 

俺は足と腕にエネルギーを込めると、尻尾を耳郎が飛ばすイヤホンジャックの処理に使っている尾白へと全速力でダッシュ…いや、タックルを仕掛けた。

そしてそのまま腕を突き出し、未だ尾白に突き刺さっているゴリバゴーンへと腕をはめ…

 

「セイヤーーーーーーーーーーーーーーーッ!」

「うああああああああああああああああっ!?」

 

俺はタックルの勢いそのままに、ゴリバゴーンをはめたことで威力を増した全力パンチを尾白にお見まいした。

 

「っ!常闇テープ頼む!」

「ああ!黒影!これをあいつに巻け!」

「アイヨ!」

 

俺が後ろに下がって生まれた隙間にダークシャドウが入り込み、少々傷を負った尾白にテープを巻いた。

 

『ヒーローチーム、WIN!』

 

オールマイトのアナウンスが、ビル中に響き渡った。

 

◆◆◆◆

 

「それでは講評の時間だ!今回のMVPは誰だと思う!?」

「はい、オールマイト先生。」

「よし!八百万少女行ってみよう!」

 

訓練が終わり、モニタールームに戻ったところで先程のような講評が始まった。

オールマイトの問いに真っ先に反応したのは、実はさっきの訓練でも講評をしていた八百万だった。

 

「今回のMVPは、尾白さんと火欲さんだと思います。」

「俺えぇぇぇぇぇ!?」

 

まさか自分の名が呼ばれるとは思ってなかったのか、尾白が声を上げて叫ぶ。

 

「ふむ、理由を聞かせてもらってもいいかい?」

「まず火欲さんですが、葉隠さんの位置を見破って奇襲を防ぎ、早々に敵の人員を一人減らしたことが挙げられます。」

「そうそう!絶対バレてないと思ったのに…あれどういう仕組みで分かったの?」

 

葉隠が俺に聞いてきたので、言うしかないよなと思いつつも話す。

 

「まず、近づいてきたのは耳郎の索敵でわかってた。位置がわかったのは、あのタカメダルを使ったときの効果で視力がめちゃめちゃ良くなってたからなんだ。」

「…え?視力がいいからって透明の人なんて…」

「あー…それがなんか俺、見えるみたいなんだよね。偶にある光学迷彩装置とかも、めちゃめちゃ見えてたから。」

「えー?!じゃあ、今も私のこと見えてるの!?」

「いや、今は見えてないよ。変身してないからさ。」

 

流石に変身前も見れたらオーズ版ハイドープだよ…

 

「…待てよ、ってことは火欲は葉隠の裸を見たってことに…」

「さっきのロケットパンチ、お前も受ける?」

「ヒッ!?」

 

…このぶどう頭…一発殴ったほうが良いかな…

 

「そしてチーム全体への指示によって、戦闘を優位に進めていました。一方尾白さんですが…最後まで諦めなかったからです。」

「そう!その通りさ!」

 

八百万さんの声に、オールマイトが激しく頷く。

 

「彼は序盤から相方が捕まるという事態で、更に常闇少年の黒影による強襲や3対1という不利な状況でも戦い抜いた!諦めが悪いヴィランというのは、何をしでかすかわからない。そういう点に置いても、尾白少年の行動はヴィランとして大正解と言えるものなんだ!もちろん。ヒーローとしてもな!」

 

うんうん、実際問題、俺一人で戦ってたらフォームチェンジもできなかったし、戦闘中になんとか核にふれるってのが関の山だった気がするしな。

 

「しかしそれにしても…火欲少年やりすぎじゃないかい?ロケットパンチからの全力タックルのコンボは流石に…」

「あー…一応これでもやりすぎないようにしたんですけど…コンボじゃないんで控えめですし…」

「ん?コンボ?」

 

俺の声に耳郎が反応したのを見て、俺はそちらに顔を向けた。

 

「ああ…変身したときに、ベルトから歌が流れるやつがあったろ?」

「ああ、た、と、ば、たとばたとば。みたいなやつだろう?」

「うん。ああいう感じで、変身したときに歌が流れるやつがコンボっていうんだ。あのタトバコンボってやつはちょっと特殊なんだけど、基本的にコンボは同じ色のメダルを三枚使って変身する形態のこと。相乗効果でめちゃくちゃスペックも上がるしちょっと特殊能力も出るんだけど、その反面負担がすごい。」

「あれでフルパワーじゃなかったのか…」

「ま、コンボじゃないから弱いってこともないんだけど。とにかく、他のやつは強いは強いけど完全なフルパワーじゃないって感じで思ってもらえれば。」

「なる…ほど…」

 

…オールマイト引いてない?ちょっと大丈夫?

 

「…まあとにかく!これで第二戦は終了だ!続いて第三戦を───」

 

こうして、この日の訓練はあっという間に終了した。轟がビル全体を凍らせて一瞬で制圧したり、瀬呂が肘から出すテープで核までの障害物を作ったりなどいろんな見どころがあったが、皆一様に、終わったときには自分の可能性を感じ、表情にはエネルギーが残っていた。

…ただ一人、爆豪を除いて。

 

◆◆◆◆

 

「いやー、みんなお疲れ様!緑谷少年以外は大した怪我もなく、初めての訓練にしては皆よくやった!じゃあ、私は緑谷少年に講評を聞かせねば!」

 

そう言ったオールマイトは、足を上げ腕を上げ、ダッシュの予備動作を取ると。

 

「急いで教室に…お戻りぃーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーっ!」

 

…一秒で姿を見えなくするほどのスピードで、グラウンドから去っていった。

 

それから数十分後帰りのHRを終えた俺達は、未だ教室に残っていた。切島などの提案で、今日の振り返りをみんなでしようと言うことらしい。もちろん俺も乗っている。

 

「しっかしすげえよな火欲!すんげえ飛べるだけかと思ったら剣もでるしロケットパンチも出るし!」

「てかあれほんとに動物なのかよ…ロケパン発射するゴリラなんて聞いたことねえぞ…」

「そんなことよりあいつの目だろ!めっちゃ視力がいいって透視とかもできんのか!?」

「できねえわ!てかお前それどう使う想定だよ!?」

 

こいつ入学早々性癖隠す気ねえな!?やっぱ一発ゴリラパゥワーを…

俺がそんな思考をしているとき、教室の前側のドアが空いた。

そこに立っていたのは、コスチュームを着たまま右腕にギプスをつけた緑谷の姿だった。

その姿を認識した途端、切島を戦闘として皆彼に駆け寄っていく。

 

「おつかれ!いや何話していいかわかんなかったけど…熱かったぜ!おめえ!」

「あの爆豪と互角に渡り合うなんてな!」

「よく避けたよ!」

「一戦目であんなのやられたから、俺等も力入っちまったぜ!!」

「エレガントには程遠かっt「よく避けたよ!」」

「えっ?えっ?」

 

おっと、ついていけてないなあいつ。

 

「俺、切島鋭児郎!今みんなで、訓練の反省会してたんだ!」

「俺、瀬呂範太。」

「僕は、青山優g「私、芦戸三奈よく避けたよ〜!」」

「蛙吹梅雨よ、梅雨ちゃんと呼んで。」

「俺、砂藤!」

「オイラは峰田!」

 

おお、急に出てきたなあの変態。あ間違えた。

 

「騒々しい…」

 

ちなみに俺は、今日チームだった常闇、耳郎、そんでもって戦った尾白、葉隠と一緒にいる。ちなみに今の発言は常闇のである。

 

「常闇くん!机は腰掛けじゃないぞ!今すぐやめよう!」

 

おお飯田。相変わらず硬いな。

 

「いいじゃん、それぐらい。」

「てか何その手。」

 

確かにカクカクしてんな、あいつの手。なんか手のひら上に向けてスタンディングバイしてるし。

 

「なあ麗日、今度飯行かね?何好きなん?」

 

お、後ろドアからナンパ中の上鳴登場。でも早速相手緑谷のとこ行ってるし。どんまい。

 

「っ!デクくん、腕治して貰えなかったの!?」

「ああ、これは、僕の体力のあれで…ぁ…」

 

緑谷は急に押し黙ると、奥の机の一つ…爆豪の席を見た。

 

「麗日さん、それより…」

 

 

緑谷は麗日の話を聞くと、すぐに教室を出て走っていった。

 

「緑谷くん!廊下は歩いて─「今はいいだろ。そんな硬いこと言ってる場合じゃない。」」

 

相変わらず硬い飯田を宥めておいて、と。

…やっぱり、緑谷と爆豪は何かあるっぽいな。いつか聞けたらいいんだけど…

……まあ、とにかく今は明日の授業のために休みますか…。




Count the medals!
今望司が使えるメダルは!

タカ
ライオン
トラ
チーター
クワガタ
カマキリ
バッタ
サイ
ゴリラ
ゾウ
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