幸せな未来へ    作:多音

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何も決まってないとはこの事

「朝から何……?」

 

 朝からまた会いたくもない会長の所に居た。その理由とは……、

 

「講堂の使用許可を頂きたいと思いまして!」

 

「部活動に関係なく、生徒は自由に講堂を使用できると生徒手帳に書いてありましたので」

 

 講堂の使用許可を取りに来ていた。この学校は事前申請しておけば一般生徒でも講堂を使用する事が可能なのだ。俺も昨日海末に言われて確認したから全くの初耳だったんだがこれなら反対する事は出来ないだろうという妙案である。

 

 赤「新入生歓迎会の日だね〜」

 

「何をするつもり?」

 

「それは……」

 

 海末が痛い所を突かれたみたいな表情しているが、それは生徒会長がまた口出しして来ないようにライブをする事を伏せると事前に話し合っていたからである。本当に何やったって良いじゃねぇかって話だがな。

 

「ライブです!3人でスクールアイドルを結成したので、その初ライブを講堂でやることにしたんです!」

 

 ア穂乃果によって話し合いは意味のない物になった。いや本当に何やってんだよ!?あの事前の話し合いがただの無駄な話し合いになっちまったじゃねぇか!

 

「穂乃果……!」

 

「ま、まだ出来るかどうかは分からないよ?」

 

「えぇぇぇ!!やるよぉぉ!!」

 

「待ってください。まだステージに立つとは……!」

 

「出来るの?そんな状態で……」

 

 まぁこれに関しては癪だが会長に賛成かもな。こんなまとまってないやり取り見せられたら誰だって怪訝な表情になる。

 

 

「だ、大丈夫です……!」

 

「新入生歓迎会は遊びじゃないのよ?」

 

 会長の指摘が止まらない。ただこれに関しては俺達が悪いので何も言い返せない。

 

 柴「彼女達は講堂の使用許可を取りに来ただけですよね?」

 

「部活でもないのに、生徒会が内容まで、とやかく言う権利はないはずやん?」

 

「それは……」

 

 なんと眼鏡の先輩と副会長と思われる人が俺達に助け船を出してくれた。これはありがたいな。そして結局使用許可を得ることに成功したのだ。

 

 

「「「「「失礼しました」」」」」

 

「講堂の許可取れて良かった〜!」

 

 俺達は無事講堂の使用許可という目的を他の生徒会の助けも得て達成する事が出来たのである。

 

 

 

 

 休み時間。

 

 中庭に移動し、穂乃果に海未からの説教が始まろうとしている。

 

「ちゃんと話したじゃないですか! アイドルの事は伏せておいて、借りるだけ借りておこうと!」

 

「ふぁんでぇ?」

 

 海末が苦言を言うが全く反省しておらずパンにかぶりつきながら海末の方に顔を向ける。コイツ海末事を舐めてんのか?

 

「……またパンですか?」

 

「うち和菓子屋だから、パンが珍しいの知ってるでしょ~?」

 

 道「コイツのパン好きは昔からだろ?」

 

 翔「まぁ食べてない日を見た事ないな」

 

 まぁまだ昼休みになってないから間食ってことになるがな。コイツ体重とか増えても大丈夫なのかねぇ。

 

「……お昼前に太りますよ?」

 

「そうだよねー」

 

 と言いながらもかぶりついている。もうこれ没収したろうかと思ってしまう。

 

「4人とも、掲示板見たよー」

 

 あぁ?掲示板がどうしたって?

 

「スクールアイドル始めるんだってぇ?」

 

「えっ?」

 

 道「ア穂乃果……」

 

 海末はびっくりしてる。俺に関しては掲示板にいらん事をしたのが想像出来たので呆れと怒りで半々の感情である。

 

「海未ちゃんがやるなんて思わなかったぁー」

 

「掲示板に何か貼ったのですか!?」

 

「うんっ!ライブのお知らせを!」

 

「うぇっ?」

 

 もう嫌だマネージャー辞めたくなってきた。なんでまだ始めてもないのにライブの告知なんてすんだよ!?

 

 

 

 

「勝手すぎます!」

 

 廊下に海未の声が響き渡る。無理もない。

 

 こんなに勝手に動かれてはもうどうする事を出来ないのだから。翔也ですら苦笑いしてるこの状況は極めて異常である。

 

「あと一ヵ月しかないんですよ? まだ何一つ出来てもいないのに、見通しが甘すぎます!」

 

 道「なんでそういう大事な事だけ相談しねぇんだよ?報連相なんて基本中の基本だぞ?」

 

「ほうれん草は好きだよ?」

 

 道「ちょっと流石に今のでキレたわ……」

 

「気持ちは分かりますが落ち着いて下さい道夫。それと穂乃果。報告、連絡、相談。これを報連相と呼ぶのです」

 

 ちょっとあまりの酷さに狂った笑みが出かけている俺を海未は宥めてから、代わりに説明してくれた。

 

「そうなんだー!もうっ!略さずに言ってよ道君!!」

 

「……そろそろ頭のネジを治してやろうかぁ?」

 

「ひっ!?道君顔が怖いよ!!」

 

「落ち着いて下さい。顔が鬼になってますよ」

 

 なんと俺は鬼と化してしまっていたようだ。こちとら昨日から会長の言い方とかでイライラしっぱなしなんだよあんま怒らすな!!

 

「でもことりちゃんは良いって言ってたよお?」

 

 ことりがか?アイツまで何考えてんだよ!?

 

 教室に戻ったらことりは西海と絵を描いていた。いや本当に何してんだよ?

 

「ことり……?」

 

「西海も何やってるんだよ?」

 

 西「いやなんか集中して描いてるから気になって見させてもらってたんですよ」

 

「……うんっ、こんなもんかなあっ! 見て、ステージ衣装を考えてみたの!」

 

 ことりが俺たちにも見えるようにイラストを見せてくるがそのイラストは流石なものだった。

 

「おお!!可愛いー!」

 

 翔「本当のアイドル衣装みたいだな!」

 

「本当!?ここのカーブのラインが難しいんだけど、何とか作ってみようかなって」

 

 道「ことりは衣装作れるのか?」

 

「裁縫は元々好きだったから、挑戦してみようって思ったんだ!」

 

 衣装を作る係がこれで決まったな。衣装作れる存在がグループに居るのは本当にありがたい話だ。

 

「ことり……?」

 

「海未ちゃんはどう?」

 

「えっ……と……」

 

「可愛いよね?可愛いよね!?」

 

 笑顔で聞くことりと穂乃果と違って、何故か海未の表情は困惑していた。あぁ〜……そういう事ね。しばらく考えて困惑してる理由に納得がいった。

 

「こ、ここの、スーッと伸びているものは……?」

 

「足だよ♪」

 

 道「いや足以外の何に見えるんだよ?」

 

 イラストのスカートが短すぎておかしくなったのか当たり前の事を聞く海末。

 

「……素足にこの短いスカートって事でしょうか?」

 

「アイドルだもん♪」

 

 まぁスクールアイドルの衣装ってのはこれくらいの長さのスカートが普通なのかもな。それを受けて海未は頻りに自分の足をモジモジさせ始めた。ちょっと俺達の前でやるのはいかがなものかと思うがそんな事構ってられないくらいに恥ずかしいのだろう。

 

「大丈夫だよ! 海未ちゃんそんなに足太くないよお」

 

 穂乃果が海末にフォローみたいな言葉を入れるがそれも女子だけでやって欲しい話題だな。

 

「ひ、人の事言えるのですか!?」

 

「えぁ、うーん。……ふん、ふんふんふん……よし!ダイエットだ!」

 

「2人とも大丈夫だと思うけど……」

 

 ことりの言う通り穂乃果も海末も俺の目で見ても太いとは思わない。何故そこまで気にするのか俺には少し謎である。

 

 西「アイドルでも始めるの?」

 

「うん!昨日からスクールアイドルを始めることになったんだ!」

 

 西海の問いにことりが答える。

 

「そうだ!西海君マネージャーやらない?」

 

 道「確かに今は3人と2人で1人ずつの担当にするのは難しいが西海が入れば人数は丁度良いな。どうだ西海?」

 

 ことりの勧誘に俺も納得する。1人ずつ担当するには人数が足りてなかったしことりとも仲が良さそうだし丁度良いしな。本人がやる気なら是非とも協力して欲しい所だ。

 

 西「僕は全然良いよ」

 

「本当に!ありがとう!!」

 

 道「西海俺からも礼を言う。ありがとう」

 

 西「全然楽しそうだったし、僕を必要としてくれるなら出来る事はやりたくなったんだ」

 

 西海なんていい奴なんだ善人過ぎて俺の心の癒しになってきてる。最近のイライラが解消していきそうだ。

 

「西海君よろしくね!」

 

「よろしくお願いしますね」

 

 翔「よろしく頼むぜ!」

 

 こうして3人目のマネージャーも確保した俺達は次にやる事を考えていた。

 

「ああー、他にも決めておかなきゃいけない事がたくさんあるよねー」

 

 穂乃果の言う通り決めなくてはならない事が沢山ある。早めに決めて活動をスタートさせていかなければならない。

 

「サインでしょ?町を歩く時の変装方法でしょ?」

 

 道「んなもんいらねぇよ」

 

「そんなもの必要ありません」

 

 西「まだ歌ってもないんだしやるとしてももっと後だと思うなぁ……」

 

 んなくだらねぇ事は今必要ねぇんだよ。もっと考える事があるだろう?歌う曲とか練習場所とか他にもあるぞ重要な事が。

 

 

「それよりぃ……」

 

 ことりが言いにくそうにしているが、数秒後、意を決したように言いたい事を伝える。

 

「グループの名前……決めて無いしぃ……」

 

「「あっ……」」

 

 西「決めて無かったの!?」

 

 翔「うっかり忘れてたぜ」

 

 道「大丈夫か俺ら本当に……」

 

 グループ名の事をすっかり忘れてた俺達の今後が心配になってきたわ。

 

 ーーーーー

 

 今は図書室でグループ名を考えていたのだが難航していた。

 

「うーん……中々思いつかないよねえ」

 

「何か私達に、特徴があればいいんだけど……」

 

「3人共性格はバラバラですし……」

 

 このように3人に合うグループ名が出てこないのである。

 

 道「まぁ個性や特徴は3人ともあるんだがなぁ……」

 

 翔「グループ名にするのは難しいよなぁ……」 

 

 西「簡単には思いつかないよねぇ……」

 

 とこんな感じで6人とも意見が出ずに困ってる状態だ。個性なら穂乃果が元気とバカっぽい、ことりが癒し、海末が大和撫子と上手い具合に個性があるんだがなぁ。

 

「単純に3人の名前を使って、『ことり!穂乃果!海未!略してことほのうみでぇ~す!!』とか?」

 

「漫才師みたいですね」

 

 翔「想像してみたけどアイドルっぽい姿は想像出来なかったぜ……」

 

 道「ダメに決まってんだろうが」

 

「だよねぇ……」

 

 案が出てきたのは良いんだが今のはセンスがなさすぎるというかまんま漫才師である。

 

「あ、そうだ!海未ちゃんは海!ことりちゃんは空!穂乃果は陸!名付けて!陸・海・空!』」

 

「全然アイドルっぽくないけど……」

 

 翔「市民の平和でも守る気かよ穂乃果ちゃん……」

 

 西「自衛隊だよね……」

 

 道「やっぱりお前はバカなのか?」

 

「バカじゃないよぉ〜!!」

 

 いやだってさぁ、こんなアイドルっぽくないグループ名ばっか思いついてふざけてるようにしか見えねぇんだよ!

 

「じゃあ道君も考えてよ〜……」

 

 ツッコミのしすぎで穂乃果がこっちを睨みながら意見を求めてくる。こんな事ならツッコミを30%位我慢すれば良かったわ。

 

 道「オレンジ色のマリンバードとか……?」

 

「穂乃果だけ名前が無いじゃん!」

 

「穂乃果と変わりませんね」

 

「あはは……」

 

 俺が出した案は不評だったようだ。まぁ自分もこれはダサいなと少しは思ってたがここまで微妙な反応をされると辛いってもんだ。良いじゃねぇか、オレンジ色のマリンバード。

 

「うう~……じゃあ、じゃあ……あ、そうだ!」

 

 穂乃果は何かいい事を思いついたようである。

 

 ーーーーーー

 

 道「初ライブのお知らせ。グループ名の募集って全部任せてんじゃねぇか!」

 

「丸投げですね」

 

「こっちの方がみんな興味持ってくれるかもしれないし!」

 

 まぁ確かに目につくわな。ちゃんとライブの宣伝もして、グループ名の募集箱も用意してあるので生徒も興味を持ってくれるだろう。

 

 翔「確かにそうかもな」

 

 西「僕も悪くない考えだと思うよ。これでグループ名を考える事でライブにも興味を持ってくれたら最高だしね」

 

 それにもう俺達ではさっきみたいな案しか思いつかないし、こんな事で時間を潰すのはもったい無い。

 

 翔「これの隣に男子生徒で誰が1番人気かのアンケートBOXを置きたいくらいだぜ」

 

「そんなもの必要ありません!」

 

 道「グループ名募集のBOXまで避けられるから辞めろ!それともしアンケート結果が入ってたとしてもお前に入れる生徒は0だ」

 

 翔「道それは酷すぎないか!?」

 

 いやだって生徒会コンビは女子からも人気だし、あの不審者に同伴してた先輩もクールでかっこよかったし、西海は女子人気2年だけでもかなりの数のファンいるし、一年にも容姿が完璧な可愛い系女子みたいな男子が居るって噂だし女好きを隠さない翔也には天と地がひっくり返っても1番人気になる事は無理だ。

 

「よーし!次は歌とダンスの練習だー!」

 

 道「おぉー、やっと本格的な活動が始められるんだな」

 

「さぁ!練習場所を探しに行くよ!」

 

 翔「慰めてもくれないのね……」 

 

 1人で拗ねてる翔也を放置して穂乃果達は練習場所を探しに向かった。放置された翔也も1人は嫌なのか「俺の扱いが……」とぶつぶつ言ってたが着いてきていた。

 

 グラウンド

 

「1〜!2〜!3〜!4〜!」

 

「パスが強いよ〜!」

 

「ごめーん!」

 

 

「うーん、ここは使え無さそうだね……」

 

 西「外の競技をやる部活が使っちゃってるもんね」

 

「他の場所にも行ってみようか」

 

 外ではサッカーやってたり、ランニングしてる生徒が居た。サッカーとか人数必要なのによく集まったな。

 

 体育館

 

「今当たってアウトでしょ!」

 

「落ちる前に取ったからセーフだよ!」

 

 

 

「ああ~、ここも全部使ってるぅ……」

 

 道「なんでドッジボールやってんだ……?」

 

「違う所行ってみよ?」

 

 バスケやバドミントン、バレーをやってる生徒も居たが何故かドッジボールやってる生徒が居た。あれは部活なのか遊びなのか謎である。

 

 

 

 空き教室

 

「んぐー!んぎぃー!」

 

 翔「鍵がかかってるみたいだな」

 

「空き教室は使えないみたいですね」

 

「職員室で先生に鍵を貰いに行こう!」

 

 空き教室は鍵がかかって使えなかったので職員室に鍵を貰いに行く事にした俺達。

 

 

 職員室

 

「空き教室を?何に使うんだ?」

 

「スクールアイドルの練習に……」

 

「お前らが、アイドル? くふっ……!」

 

「は、鼻で笑った……!?」

 

 いきなりスクールアイドルやりたいなんて言いだしたので何をバカな事をと思ってしまうだろう。特に言い出した穂乃果は本当にバカだからさらにそういう反応になってしまうのだろう。

 

「後のお前達もす、スクールアイドルをププッ、西海はともかくとして仲田と上中がやるのか……?」

 

 道「女子に混じって踊るとか恥ずかしいにも程があるだろ……」

 

 翔「面白そうだけど俺はアイドルを見てたいからお断りです」

 

 西「僕はやらないですよ……」

 

 うん、俺達がやる訳ねぇだろうが。西海はともかくって確かに女子と混ざっても分からない位だがいくらなんでも可哀想すぎるだろうが!先生のキャラ的に弄る教師だがここまで弄るのは何か訳ありなのか?

 

 道「穂乃果行くぞ。次の場所を探しに行くぞ」

 

「えっ?空き教室は?」

 

 道「先生が弄り倒すのは良くあるがここまで長いと何か訳ありだろう」

 

「そういう事だ。すまないな、部活でもないのに渡す事は出来ないんだ」

 

 やはりそうだったか。

 

「そうなんですか……。ありがとうございます。失礼しました」

 

 やはり場所を見つけるのは相当大変なようだ。

 

 

 

 屋上

 

「ここしかないようですねえ……」

 

「日陰もないし、雨が降ったら使えないけど、贅沢は言ってられないよね……」

 

「うん、でも、ここなら音とか気にしなくてもよさそうだね」

 

 道「何かを得るには何かを妥協しなければならないしここがベストだろ」

 

 雨が降ったら使えない、日陰がない、そんな事まで気にしていたら場所がいつまでも見つからないしな。広い場所と音を気にしないで済むという最初の希望は叶ってるここがベストになる。

 

「よぉーし!頑張って練習しなくっちゃ!!」

 

 翔「ついに練習の始まりか」

 

「まずは歌の練習!」

 

「「はい!」」

 

 そう言って穂乃果達は横一列に並び歌の練習を始めようとする。いや、やるのはいいんだが、

 

 西「何を歌うつもりなの?」

 

「「「……‥‥」」」

 

 西海の言葉に沈黙する俺達6人。いや何を歌うんだろうなぁとか思ったがまさか決めてないとか言わねぇよなぁ?

 

 

「……えっと、曲、は……?」

 

「……私は、知りませんが……」

 

「私も……」

 

 翔「マジですかい……」

 

 ことりの質問を海末と穂乃果も答えるが誰も曲の事を知らないという事態だ。曲位自分達で話し合っておけよ……。

 

 道夫side out

 

 

 ーーーーーー

 

 スクールアイドルの名前募集箱とチラシの元に1人の少女は興味を持っていた。

 

「アイドル始めた人が居るんだ……私もやってみたいけど無理だよね……」

 

 今声を漏らした少女、小泉花陽は大のスクールアイドル好きである。そんな彼女にとってスクールアイドルがこの学校でも生まれたのは花陽を高揚感を溢れさせるには充分なのだ。同時にやりたい気持ちも出てくるがそれ以上に自分には向いてないと思う気持ちが強くなってしまっていた。

 

「かーよちん!」

 

「わっ、凛ちゃん」

 

 そこに幼馴染の星空凛が小泉花陽を探しに教室から出てきた。

 

「どうしたの?」

 

「う、ううん!な、なんでもないよ……」

 

「ん?……さ、帰ろ〜!」

 

 凛は花陽の顔を怪訝に見ながらも、気にせず促してくる。花陽は言いたい事をはっきりと言えないこの性格を治したいがそんなすぐに治るものでもないとまた諦める。

 

「うん……」

 

 先を行く凛について行こうとするがやはりアイドルのチラシが気になりもう一度見てしまう。そんな花陽の後ろから2つの足音が近づいた。

 

「何これ?」

 

「さ、さぁ……」

 

「……」

 

「……ふんっ」

 

(なんだったんだろう?)

 

 

 ツインテールの3年矢澤にこはそれだけ言って去っていき、無言だった戸張拓人の存在もあり不思議に思うのだった。

 

「かよちーん?はーやーく〜!玄関まで競争するんだからはやくするにゃ〜!」

 

「ちょ、ちょっと凛ちゃん廊下は走ったら危ないからやめようよぉ……」

 

「いっくにゃー!!」

 

「待っ、待ってよぉ〜!?」

 

 花陽の忠告をスルーして走り出す凛。足の速い凛が全速力で走っていきそれを花陽が追いかける展開になった。そして凛が曲がろうとした時1人の少年とぶつかってしまう。

 

「わわ!!ごめんなさい!」

 

 涼「痛いのですよ。しっかりと前を向いて歩くのと廊下を走るのは辞めて欲しいのです」

 

「本当にごめんねぇ、怪我とかして……可愛い〜!!」

 

 凛がぶつかった相手は先輩や同級生から男子だけど女子にしか見えないと噂の容姿可愛い系女子の男子霧丘涼太だった。凛は同じクラスなのだが初めて直接見る自分より可愛いその容姿に驚きを隠せなかった。

 

「ちょっと凛ちゃんぶつかったんだから謝らなきゃ……」

 

「あ、そうだった。ぶつかっちゃってごめんなさい」

 

 涼「別に僕は大丈夫なのですよ。でも凄いスピードだったから他の人に気をつけた方がいいのです。そうしないと相手も自分も怪我をして救急車がピーポーピーポー鳴らして来るのですよ」

 

「次から気をつけるね」

 

 涼「分かればそれでいいのですよ。それじゃあまたなのです」

 

 そう言って霧丘涼太は去って行った。

 

「もう、凛ちゃんこういう事があるから走っちゃだめなんだよ」

 

「ごめんにゃ。でもさっきの子男の子なんだよね?」

 

「うん、可愛い系男子って言われてかなり噂になってるみたいだよ」

 

「へぇ〜……」

 

 凛はさっきぶつかった相手の事を考えていた。それは申し訳なさももちろんあるが何より今まで自分を揶揄ったりしてきた相手と雰囲気が何もかもが違ったからだ。

 

「私達もそろそろ帰ろう?」

 

「う、うん……」

 

 これが大きな事を成し遂げるのを支える存在になる事を彼女はまだ知らない。

 

 

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