デート・ア・ライブ ダブル・ボイルダー   作:天音/IA

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5章 欠けている物

Area 神社

 

「やれ!」

 

「「「イーッ!!」」」

 

「「「はっ!!」」」

 

クウガと夏海はシャドームーン以外に現れた、雑魚兵を相手にしてディケイドはシャドームーンにライドブッカ―をソードモードにして歯向かった

 

「ネオサタンサーベル!」

 

紅く燃えるそのサーベルを異次元から召喚させるとディケイドのライドブッカ―の刃が当たり、その場で刃がこすれる音がする。ディケイドは、片手で剣をさばき、後ろに下がるとライドブッカ―からカードを取り出し、ベルトに読み込ませる

 

Attack Ride Blast

 

ライドブッカ―をガンモードに変形させた後、ディケイドはマゼンタ色のエネルギー銃弾をシャドームーンに放つが、その銃弾をシャドームーンが軽く弾き飛ばすが、ディケイドはそれが分かっていたのか再びソードモードに戻して下から切り上げるが、もう片方の腕に異次元からサタンサーベルとは別の剣を取り出してソードモードの一撃を避ける

 

「答えろ、お前は俺の知っている月影なのか!」

 

ディケイドが話す、月影という人物は以前に士がシャドームーンと戦った時、そのシャドームーンにも異世界を渡る能力を持っていたため、同一人物ではないかと疑ったのだが、目の前の彼はすぐさま一蹴する

 

「ツキカゲ……確か、貴様と戦ったシャドームーンの名前だったな。そんな軟弱と一緒にするな!」

 

「何……!」

 

「ネオシャドービーム!!」

 

「ちぃ……!」

 

Attack Ride Reflection

 

シャドームーンの腕から緑色の閃光が光り始めると、ディケイドはすぐさまレーザーを跳ね返すカードをドライバーに読み込ませるが緑色の稲妻はリフレクトバリアの障壁をあっさり軽く突き破り、ディケイドを吹き飛ばす

 

「ぐっ!!」

 

「どうした?そんなものか、世界の破壊者」

 

「っ……ならば、これならどうだ!」

 

Kamen Ride Drive

 

ディケイドは、別のカードをドライバーの中に装填するとその力によりアイレンズが車のライトのように光り、胸元にタイヤが装着されている赤いライダーに変身する。今度はシャドームーンのほうが驚く素振りを見せた

 

「何!?貴様、いつの間にその力を……!」

 

「知ってるか?俺の進化は光よりも早い!」

 

Attack Ride Maxflare

 

カードを連続で読み込ませると、胸のタイヤが別のタイヤに置き換わり、普通のタイヤから炎の形を表現させたようなタイヤに変わる

 

「はぁ!」

 

キィン!

 

腕に炎を纏わせ、驚いているシャドームーンに攻撃を仕掛ける。しかし、シャドームーンは冷静に炎を纏った拳を二刀で重い一撃をあっさりはじき返す。ディケイドは途中で蹴りをかましてみるものの、その蹴りには顔色一つも変えていなかった

 

「ならば、更に力で押し切るまでだ!」

 

Form Ride Drive Wild

 

赤いタイヤの戦士の姿は変わり、その姿は先ほどよりもゴツいタイヤを装備させた黒いフォームのタイプワイルドであった。ドライブという仮面ライダーの別の姿なのだろうか

ディケイドは、腕を地面に叩きつけることで大きな衝撃波をその場で出す。シャドームーンの足がぐらついたところで鳩尾にむけて殴りかかる

シャドームーンは、サタンサーベルを持ちつつも、その拳を片手で受け止める

 

「……!」

 

「重いが……鈍くなっているのでは意味がない!」

 

「ぐああ!!」

 

シャドームーンはディケイドを腕ごとこちらに引き寄せた後に上から、レーザーブレイドのような別の剣で切り伏せる。そして、隙を逃さずに抑えていた拳から大量の緑色の電流をディケイドに浴びせる

 

「……弱いな。ネオシャドーセイバーを使うまでもなかったか」

 

「はぁああああ!!!」

 

タイプワイルドのついているタイヤが大きく回転させると、それは高速に回転し、シャドームーンの装甲をガリガリと削ったのである。タイヤはゴムでできているため、その付近のパーツには電流があまり通らず、ある程度のダメージが軽減できていたのである

 

「……小癪な真似を」

 

火花を散らせながらシャドームーンは痛い顔はしておらず、めんどくさそうな苦い顔をしたような口調を出すと直ちに蹴りをかますことで引き離した。それと共に、二重変身をしていたディケイドは元の姿に戻ってしまったのである

 

「ぐっ……」

 

「士!!」

 

「大丈夫ですか!?」

 

そこにクウガと夏海が傍に駆け寄ってくる。ディケイドはクウガに起こされる。全身に直に大量の電圧が流されたからか、ディケイドの足は若干おぼつかない状態だ。シャドームーンは二つの剣を持って、ディケイドのほうにゆっくりと赤く目を輝かせながら、近づいていく。しかし、その時だった

 

「ちっ!もう嗅ぎつけてきたか」

 

シャドームーンが見上げる先には、天使のようなベールを被った人形がざっと数えても20ぐらいが上空でシャドームーンに対してエネルギー弾を放ってきたのである。

シャドームーンは地上から数メートルにいるはずの人形のほうに跳躍し、そこにいる人形を切り裂いて、上空で爆発させる

 

「あいつ、空中だっていうのになんて手捌きなんだ!」

 

シャドームーンはまるで空中の空気を足場にするかのように高速で飛び跳ねて、レーザーを機械的に放ってくる人形をサーベルで切り捨てていく。遠くにいる人形にはもう片方のセイバーを媒体に放電をすることであっという間に全滅させてしまったのだった

 

「今回は見逃してやろう、次に会った時は……こいつのようになる」

 

そういったシャドームーンはベールで隠れているであろう、首だけになった人形の頭だと思われる場所をぐしゃりと踏みつぶした後、銀色のオーロラの中へと戻っていったのだった

 

「ネオシャドームーン……か。今回はヤバそうだね、士」

 

「それはいつものことだろ?なんにせよ、あいつを倒すのが今回の世界で俺のやるべきことのようだ」

 

「あの人たち、何が狙いなんでしょうか?」

 

「楽園の女神か……エデンショッカーのエデンに当たる言葉なんだろうが、そいつは本当に神なのか、それとも何かを例えたものなのかだな」

 

そういって、ディケイドは変身を解除するが、未だにシャドームーンの電撃が残っているのか、変身解除した状態でもフラッとぐらついてしまう。それを変身解除した夏海が支える

 

「いけません……!令音さん達に見てもらわないと!」

 

「そうだよ!せっかく写真館以上に医療が充実してるのに勿体ないよ!」

 

「このくらいはなんともない……!くはははははは!wwww!?いたたたたた……」

 

いきなり笑い始めた士、それは夏海が笑いのツボを押して無理やり黙らせたからである。しかも、笑うときは意外と全身の筋力を使うため、地味に痛みが響いてくる

 

「馬鹿な事言ってないで、いきますよ!」

 

「いくから、そんなに手を引っ張るな!」

 

そのような光景をみて一人ユウスケは笑いながらも、少し羨ましそうにしてみていた

 

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Area 五河家

 

「はい、これ」

 

朝、家の玄関にて琴里は士道に可愛らしい柄の入った鍵を渡された。長さからして家の新しい鍵である可能性が高いため、士道はあまり気にならなかった

 

「鍵か、家のシリンダーでも変えたのか?」

 

「特に昨日の騒ぎもあったでしょ?……明らかに精霊を狙っているとしか思えないわ。だから、怪物相手だと気休め程度にしかならないでしょうけど、家と精霊マンションのセキュリティを更に強化してみたわ」

 

今朝に窓の外を見た感じ、外見があまり感じられなかった。もちろんシェルターを家ごと被せることもラタトスクの経済力ならなんてこともないのだろうが、一つ士道に見覚えのあるものがあった

 

「おいおい、まさか顕現装置使ってないだろうな?」

 

鍵も鍵でラタトスクが作り上げたものである。指で鍵の溝をなぞった感じからするとかなり精密に作られている鍵であり、鍵屋で鍵の複製をしたとしても開けられないだろう

 

「当たり前じゃない。それも考えていたけど、相手はフラクシナスの完璧な不可視領域を完全に見抜いたのよ?そんな大規模な随意領域展開してたら、襲ってくださいって言っているようなものよ。今回は単純に家の強度を強くしただけだわ」

 

よく見ると士道の持っている鍵は二つに繋がっていた。それをまじまじと見ていた士道に対して、靴を履いて、つま先をトントンと整えながら琴里は話す

 

「十香達にはもう渡してあるわ。もう一つの鍵は凜祢に渡してちょうだい」

 

「分かった」

 

適当にポケットの中に突っ込んだ後、士道は凜祢達が待つ外に向かっていった

 

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Area 学校

 

士道達は昨日の件が何事もなかったかのように学校に登校した。殿町に関しては見なかったことにしているのか天狗牛の話を一切していなかった。それもそのはずである。殿町のホラ話が実際に起きてしまったのである。殿町が一番動揺しているのだろう

 

「そういやぁ、今日は球技大会だったな……確か、今の俺は病み上がりっていう状態だったんだよなぁ……どうするか」

 

「確か、僕たちはサッカーだったっけ?僕が補欠メンバーだったから交代するかい?」

 

「シドーは無理せんほうがいいだろう。次に備えて、少しでも休んでおかんと」

 

「十香ちゃんの言う通りだよ。士道。まだ病み上がりなのにあんなに動くんだから」

 

凜祢は心配した顔で士道の顔を横から覗いてくる。本当はクラスメートのためにも頑張りたいなと思ってはいるのだが、臨時のときに疲れてしまっては命取りになってしまうだろうと士道は判断したため、十香と凜祢の提案に賛成する

 

「そうか……じゃあ、お言葉に甘えてもらうとするかな。そういや、お前ら二人は確か、テニスとラクロスに出るんだったな」

 

凛祢は気合をいれるかのように軽いガッツポーズをして気合を入れていた。その隣で十香がテニスのフォームの素振りを軽くやっていた

 

「そうだよ。私はラクロス部だから頑張んないとねっ!」

 

「うむ!ちゃんと、はやてから勧められたテニスの〇子様を見たから万全だぞ!」

 

「十香にテニヌをやらせる気かあの馬鹿狸め……!」

 

それを聞いた士道は手のひらを顔に乗せつつも、対戦相手が絶望する様が思いっきり頭に浮かんでしまう。十香ならばテニスゲームでよくある魔球程度なら打てるのでないかと思うとそれを打ち返せるのはよほどの化け物だということである。折紙辺りなら太刀打ちできそうなきがするのだが

 

「少し待て、そこの男子二人」

 

廊下でフィリップと士道は振り向くと、士が片手に資料を持ってフィリップに押し付ける様に資料を渡す。士道は周りに誰もいないか確認した後に、中身をざっと確認し鞄の中に入れた

 

「ありがとう、門矢士。これで調査が進展する」

 

「気を付けろよ?あいつら、まだ何か隠しているらしい」

 

「分かってます。ありがとう。士さん」

 

士は後ろを振り向くと腕をさっとあげながら、職員室のほうに向かった

 

「……結局、士さんは何者なんだろうな」

 

「異世界人だということが確かだ。しかし、なぜ彼は世界を渡っているのか。そしてどういった経緯でフラクシナス、いや、秘密結社であるはずのラタトスクに入っていたのか。僕にもさっぱり……」

 

「記憶違いか?となると、士さんも容疑者の一人になるのか……?」

 

「かもしれない。あのような変身能力を持ったライダーだ。あんな一人芝居はたやすいと思う」

 

廊下を歩いていたところ、フィリップはすっと立ち止まって考える素振りをして話したため、士道はフィリップを見て、苦い表情を作る

 

「なら、夏海さんの説明はどうするつもりなんだよ?まさか、全員グルなのかよ?」

 

「流石に、僕も出会って間もないから分からないよ。人が考えていることまでは地球の本棚であっても検索できないしね」

 

立ち止まっているフィリップは肩をすくめる。士道は考え込むような素振りを見せるが、その時、十香と凜祢が二人を置いてきてしまっていることに気づき、十香が大声で腕を振りながら呼ぶ

 

「何をしているのだ!二人とも、はやくいくぞ!」

 

「考えるのも後だ。今は、サッカーに集中しろ」

 

「そうだね。普段鍛えている蹴り技の威力、見せてあげないとね」

 

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Area 教室

 

「今日は、皆さんお待ちかねの球技祭です!」

 

来禅高校には体育祭の他に、体を動かすイベントでは、生徒会で運営している球技祭が存在する。大会に入賞すると様々な賞品がクラスごとに貰えるという太っ腹なイベントだ。

普段はあまりやる気がない連中もやる気になるぐらいの商品はあるので現金なものである

 

「テスト前の最期の息抜きに思う存分青春の汗を流してくださいねぇ」

 

「あー先生」

 

「どうしました?五河君」

 

「病み上がりで調子よくないので見学にさせてください。もちろん、補欠の人にも話はつけています」

 

「あらあら、仕方ないですねぇ。もしも具合が悪いようだったら保健室にいってくださいねぇ」

 

「了解です」

 

すると、殿町がわざとらしい咳をゲホゲホとしだす。岡峰先生はそれを心配して殿町の元に駆け寄ってきて背中を擦る

 

「だ、大丈夫ですか!?殿町君!」

 

「せ、先生、俺も持病の結核が再発して……!」

 

岡峰先生は殿町の嘘にまんまと引っかかってしまい、とても驚いたような顔をする。恐らく、自分も見学になることで女子の応援にいくつもりなのだろうか

しかし、その見えぬいた嘘を心がある意味純粋な、フィリップが幸か不幸か殿町の結核を否定してしまう

 

「そんなはずない!殿町宏人は昨日発熱や気管支喘息らしい反応はなかった。それに、結核は感染症だ。仮に、結核が判明したとしても校則の感染症による出席停止扱いになる。

どちらにせよ、殿町宏人、君が球技祭で女子の運動している姿を拝めることはないだろう」

 

「なっ……!?」

 

「あーあ……言っちまったよ」

 

殿町の意図していることがフィリップの口からあっさりと言われ、殿町は顔が青冷めるような表情をし、士道はあきれた顔をし、凜祢は苦笑いをしていた。もはや、憐みの目だ

 

 

「結核かぁ……そいつぁ、良かったな、ホモ町ぃ……?」

 

「本当に出席停止にしてやろうか?えぇ?」

 

殿町の前で立ち上がって指をポキポキとならしたのは、クラスの中で一番ガタイの大きいラグビー部の副部長と、その片割れのラグビー部の部員とても怖い目で睨み付ける。それでなくてもクラス全員の殿町に対する人気がガタ落ちである

 

「さいってー……」

 

「クラスの恥ね」

 

「マジ引くわー」

 

「これは、私もどうかなって思ったわね」

 

「どうしようもない屑ね」

 

亜衣、麻衣、美衣やクイーン、エリザベスを筆頭にクラス中の女子(十香と凜祢を除く)は殿町のことをまるでゴミを見るような目で視線を一斉に殿町に向けた

 

「す、すんませんでしたぁぁぁぁ!!!!」

 

流石に、このままでは物理的にそして、社会的にも死亡フラグが立ってしまうため、仮病を使った殿町はクラス全員に対してその場で土下座をしたのであった

 

「全く……仮病はよくないですよぉ?ちゃんとクラスに貢献しましょうね?」

 

殿町は周りから散々叩かれた結果、仮病で休むことはもうやめようと心に誓った瞬間だったのである

 

「ったく、十香が真似したらどうするつもりなんだよ……」

 

「みろ、シドー、昨日琴里に頼んだら作ってもらったぞ!」

 

士道がため息をはきながらつぶやいて隣にいる十香のほうをチラリと向くが、十香はラタトスクで作ってもらったのか、きれいなクリスタルの紫色のラケットをケースの中から取り出しており、白いグリップには「さんだるふぉんにごう」と平仮名で書いてあった

 

「大丈夫みたいよ?」

 

凜祢はクスリと笑って士道のほうに向くと、ほっと息をついたのだった

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Area 学校の外

 

「……はぁ、とは言ったものの俺の周りの知り合いは見どころがないんだよな」

 

自分のクラスに限って親しい友人のことを考えると、フィリップはサッカー、折紙はバレーボール、十香はテニス、クイーンとエリザベスと凛祢はラクロスという感じになる。

フィリップに関しては、Wのファングジョーカーになって以来、士道の知らない間に何回かフラクシナスでもVRで訓練をしているようで彼ならばオーバーヘッドキックを決めて圧勝レベルだろう。十香は十香でテニヌアニメを見てしまったら最後、本当にやらかしてしまいそうなため、相手を泣かせてしまうほどの圧勝になるだろう

 

折紙も折紙で高速に体を動かしていれば、バレーボールは味方コートに落ちる可能性が限りなく低いうえに、応援に行けば、後で十香に文句を言われるだろう。

悩んでいる士道に肩をポンと叩かれた。士道は後ろを振り向くとジャージ姿の士がそこにいた

 

「他の奴の応援にいかないのか?」

 

「いや、何処にいくか悩んでて……」

 

「なら、丁度いい、ちょっと付き合ってくれ」

 

「は、はぁ」

 

そういった士は士道を連れて、グラウンドの見学スペースのほうについていった

 

 

「ほらよ、俺のおごりだ。のめ」

 

「ありがとうございます」

 

士は士道にスポーツドリンクを渡すと士道はそれを受け取り、缶をプシュッとあけるとそれを一口飲んだ

 

「……なんで俺を呼んだんです?」

 

「精霊を守るっていう意味では、俺とお前は同僚みたいなものだろ?あのチビ司令官はお前のことについては、資料を渡して説明して終わりだからな……それだけじゃ、俺は納得いかねぇんだよ」

 

キョトンとした士道の顔を士はジャージからぶら下げているマゼンタのトイカメラでシャッターを切る。写真撮られて、そのシャッター音で我に返ると気になっていたことを聞きだす

 

「様々な世界でいろんな仕事をこなしていたと聞きますが。どのような仕事を?」

 

「そうだな、セールスマン、学生、郵便配達、探偵に警官、挙句の果てには殿様の黒子をやらされたときもあったな」

 

「経験豊富なんすね」

 

士は自分のコーラをプシュと開け、それを飲むと、空のほうを見上げながら士道に話す

 

「俺からも一ついいか?」

 

「どうぞ」

 

「俺は、霊力が暴走したときの話を聞いた。フィリップが戻れと言ったらしいが、なぜ引かなかったんだ?」

 

士道は少しムッとした表情を作り、軽く士のほうを睨み付ける

 

「目の前で苦しそうにしている大切な人を守って何が悪いですか?」

 

その士道の解答に士は声のトーンを少し落として真面目に問いかける

 

「お前が死ぬことになってもか?」

 

「俺はそうするつもりです。かつて、俺の師匠が命がけで俺や仲間を守ってくれたように」

 

その言葉に士は反応し、いきなりプッと笑いだした。士道はそれを快いとは思わなく、スポーツドリンクの缶を投げ捨て、士に殴りかかった。しかし、空を見ていたのにもかかわらず、士は士道の拳をコーラ片手に受け止めた

 

「……何がおかしいって言うんだ!!」

 

士は殴ってきたことをあまり怒らず、その士道の拳をゆっくりとおろさせながらも誤解をしている士道に話す。その士の顔は不愛想なものではなく、何かを懐かしんで、自然に笑顔がこみ上げるようなそんな表情だった

 

「いや、悪かったな。昔、俺にも弟子みたいなやつがいたんだ。そいつは生意気なガキで当時は今のお前ぐらいの年だった。だが、何よりも大切なもののために守る優しいやつだった」

 

「弟子?」

 

士が謝ったことで、士道は怒りを収める。このような自由奔放みたいな人が弟子を取るなんて、一体どんな人物なのだろうかと士道は気になったのである

 

「似ているんだよ。お前と、そいつが。お前はライダーとして、いや、守る側として大切なものを失っている。それに気づかないんじゃあ、あいつも、お前も進歩しねぇよ」

 

「大切な何か?何です、それは?」

 

士は自分のコーラを飲み干すと、こぼしたスポーツドリンクの缶を拾い上げ、一緒に缶のカゴの中に投げ入れながら、話した

 

「さぁな。お前がこの世界で見つけることだ」

 

「……」

 

キーンコーン、カーンコーン

 

すると、休憩時間を知らせるチャイムと試合終了を告げるホイッスルが全体に鳴り響いた

 

「そろそろ飯時か。あいつら探しているんじゃねえのか?」

 

「そうっすね、俺はこれで失礼します」

 

士道は士に礼をすると、最後に言っていた士の言葉の意味を考えながら、フィリップ達を探しに校庭を歩いたのだった

 

(失っている、何か……か)

 

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「遅いぞ、シドー!」

 

すると、そこにはフィリップ、凛祢、十香、折紙、そして美紀恵に殿町がいた。先に食べていたのか、すでに弁当箱は開かれていた

 

「どうして、クラスの恥(笑)もここにいるんだ?」

 

「ひどぉい、五河君ってそういう人だったのね」

 

殿町は演技で泣きながら士道にすがってきたため、士道は無理やり殿町の頭を引きはがす

 

「キモイからやめろ!ホモ町!」

 

「あはは、一人で黙々と弁当食べていたから可哀想かなって思って、誘ったんだ。

迷惑だったかな?」

 

士道はポリポリと頬をかきながらため息を吐きながら話す。自分のスペースを確保するとその場に座ったのだった

 

「いや、凛祢がいいっつうならいいさ」

 

「凛祢ちゃんマジ天使!惚れる!結婚して!」

 

「お前、少しは自重しろ!」

 

フランクフルト用に持ってきていたものなのか、士道はマスタードの袋を持つと、それを殿町の鼻の中に思いっきりぶち込んだ

 

「くぁwせdrftgyふじこlp!」

 

この場で悶絶して転がっている殿町を放置して士道は自分の分の弁当を凜祢から貰い、パカリと開け、からあげを箸でつかむと口の中に頬りこんだ

 

「わわっ、凛祢さんの作ったお弁当は美味しそうですね!私も一口いいですか?」

 

「いいよ、美紀恵ちゃん、張り切ってたくさん作っちゃったから遠慮せずに食べて?」

 

「ありがとうございます!」

 

美紀恵は目を輝かせて、凛祢の弁当のおかずを食べる。さながら、餌付けをしている猫のようだ。一方、美紀恵の隣で折紙は自分の弁当の玉子焼きを箸で取り出すとそれを士道の口に近づけた

 

「士道、あーん」

 

折紙のことだから、どうせやるのだろうとは思ってはいたが、流石に、「はい、あーん」をこんな大人数の前でやる勇気は士道にはなかった

 

「折紙?こんなに人がいるってのに、羞恥プレイをやらせる気なのか!」

 

「…人前を気にするのであれば、私の家に来て。園神凛祢よりも美味しい手料理を作ってあげる」

 

「お前の手料理はいつも何か仕込んでいるからいやなんだよ!?」

 

十香は折紙のやっていることに気づき、慌てて折紙を止めようとする

 

「鳶一折紙!貴様、何をしている!抜け駆けは許さんぞ!」

 

「私は、ただ自分の弁当を園神凛祢がミケにやったのと同じように分けているだけ。園神凛祢が作った弁当を食べている以上、貴女にあーんをする資格はない」

 

「なんだと!?凛祢の弁当は私の弁当でもあるからいいのだ!さ、シドー、私のウィンナーも食べるといい。あーん!」

 

そう十香が叫ぶと、自分の分のウィンナーを取り出し、それを士道の口の中に入れようとする。折紙もまけずに自分の玉子焼きを口の中に入れようとする

 

「馬鹿野郎!そんな同時にいれようとするな」

 

「あーん」

 

「あーん!あーん!あーん!」

 

十香は健気に「あーん」を繰り返し、自分のおかずを士道の口に殆どねじ込むように中に入れる。折紙もそれに負けずに自分のおかずを次々と士道の口に入れようとする。士道の口の中はカオスな状態になっていくのである

 

「ふぃり…たふけ……!」

 

「やれやれ……二人とも、少しは自重したらどうだい?士道の顔色が悪くなっているの分からない?」

 

士道が助けを求めると、フィリップは前のほうに迫ってきている、十香と折紙の体を首の襟を引っ張ることで元の座っている位置に戻す。何とか吐き出さずに飲み込んだ士道はおかずが詰まったのか咳をする

 

「っ……げほ、げほ!」

 

「大丈夫!?はい、お茶!!」

 

凜祢は士道の背中を擦ってあげた後に、コップに入れたお茶を渡す

 

「あぁ……助かった。サンキュ、凛祢」

 

「大丈夫か?士道!おのれ……鳶一折紙!」

 

「元々の原因は貴女の割り込みが原因。私は何も悪くない」

 

十香と折紙はいつものように目線に火花を散らして互いににらみ合っている。その一方で、

凜祢はついでにと全員分のコップにお茶を注ぐ

 

「折紙さんも折紙さんでやりすぎなんですよぉ……あ、このミニハンバーグ美味しい」

 

「よく噛んで……味わいながら食べましょう?食べ物を粗末にしたら……許さないから」

 

最後の言葉のときの凜祢は笑顔だったが、目が笑っていない怖いほうの笑顔をしていたことに折紙以外の面々はぞっとしてしまう。ただ、折紙だけは慣れているのか動揺はしていなかった

 

「そ、そうだな」

 

「園神凛祢……あなどれない」

 

「ささ、気を取り直して楽しくご飯食べましょ?」

 

士道はちらりと後ろのほうを見ると、建物の影で、その光景を覗いている体操着姿の少女がいた。その姿はそう、昨日の夜に会った文学少女、シオンの姿だった

建物を見ていた士道が気になり、十香が話しかけてきた

 

「ぬ、どうかしたのか?シドー」

 

十香のほうを見た後に、もう一度建物のほうを見るとシオンの姿が消えていたのだった

昼食を誘おうかと思っていたが、いなくなったのでは仕方ないと考えた

 

「いや、なんでもねぇ。さっさと食っちまおうぜ?午後の部が始まっちまう」

 

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Area 教室

 

「みなさぁ~ん、球技祭、お疲れ様でしたぁ。皆さんの頑張りでうちのクラスはかなりの好成績を収めたんですが……惜しくも総合優勝を逃してしまいましたぁ」

 

全員が落胆した様子でため息を吐いたり、励ましあったりしていた。何気にこのようなクラス対抗のものはやる気があればあるほど、負けてしまったときの落胆は大きいものである

 

「ですが、入賞はしましたから、そんなに気を落とさないでくださいねぇ」

 

ちなみに入賞したのは、十香、フィリップ、折紙、凛祢のいたスポーツだった。ただ、他の競技を完全にフォローできるほどのぶっちぎった成績ではなかったため、僅差で負けてしまったのである。ちなみに商品は最新の掃除機だったり、タオルセットだったりしたため、今後の掃除が楽になりそうである

 

「はいはぁい、体を動かした後はいよいよテストが近づいてきますよぉ?気持ちを切り替えて、テスト勉強頑張ってくださいねぇ」

 

全員がブーイングの嵐の中、岡峰先生がなだめたところで球技祭は幕を閉じたのだった

しかし、士道は期末テストや球技祭のことはあまり考えておらず、士の言っていたことを頭の中で繰り返していた

 

(大切な……何か)

 

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放課後、士道は一旦その問題を後回しにして、精霊の安定化でもさせようかとデートに誘おうとしたが、その前に士道のスマートフォンからメールが一通届く

 

「ったく……ん?これは、美九のメアドか」

 

士道は美九から届いたメールをスマートフォンで開くと可愛らしい絵と共に美九のメッセージが書かれていた

 

[だーりん♪私は今日の放課後は空いているのでデートしませんか?(๑˃́ꇴ˂̀๑)

あ、そーだ!親睦深めるって意味で、お友達も連れてきてくださいな♪

あ、なるべく可愛い女の子多めでお願いしますぅ!(๑•̀ㅁ•́๑)✧

天宮タワーのモニュメントに4時集合で! 愛しの美九より]

 

メールを閉じると士道は悩んだ

 

「おいおい、俺にハーレムデートでもやらせるつもりかよ……」

 

士道は悩んだところ、ふっと凜祢の姿が目についたのであった。

 

「ちょうどいいところに、おーい、凛祢!」

 

凜祢は学校の階段に座り、士道と同じように悩んでいた素振りだった。周りには気を配っていなかったのか士道が呼んだときにはビクッと背を伸ばして驚いた表情をした

 

「な、なぁんだ。士道か」

 

「どうかしたか?」

 

「ううん、別に気にすることじゃないよ?もしかして……デートのお誘い?」

 

「あー……そういうわけじゃねぇんだよな。まず、このメール見てくれないか?」

 

士道はさっきのメールを凜祢に見せるとふむふむという納得を示すように首を何回か縦に振る

 

「なるほど……でも、私って可愛い女の子なの……?」

 

「馬鹿、そんなこと思ってねぇなら誘わねぇよ」

 

凜祢は冗談だと思っているのか、にっこりと笑って軽く受け止める。凜祢は笑顔を取り戻すと、学校の階段から立ち上がった

 

「ふふっ、ありがとう」

 

「もうちったぁ、欲しいな……四糸乃は友達と遊んでるだろうし、フィリップは家に帰って検索中、十香はさっき一人称共と勉強会って言ってたしな」

 

凜祢はテスト勉強の言葉に反応して士道に聞きだす

 

「そういえば、士道はテスト大丈夫なの?」

 

「お前な、前の俺のテスト成績覚えてるだろ?」

 

凜祢は少し首を傾げた後に、あ、そうだった!と思い出したかのように顔を縦に振る

 

「誘うなら、あまりテスト勉強に負担にならないような、頭の良さそうな子がいいかな?」

 

「なら、折紙とか美紀恵らへんか?」

 

「美紀恵ちゃん、頭いいの?」

 

「あほいえ、あいつ、ああ見えても飛び級してるんだぞ?」

 

折紙と美紀恵のことを話していると、どこからかひょっこりと折紙と美紀恵の姿が現れた。折紙が士道のことをストーキングしているのを美紀恵がついてきているだけなのだろう。折紙はそのようなことがまるで最初からなかったかのような装いで士道達に近づいた

 

「呼んだ?」

 

「うぅ、私ってそんなに頭が悪く見えるでしょうか……?」

 

「おぉう!?お前ら、驚かせるなよ!?」

 

折紙はこくりと頷くと先ほど美九から届いたメールをもう一度確認する

 

「要件は分かった。士道の頼みならば断るわけにはいかない」

 

「私はテスト勉強が……「後日、私がつきっきりで勉強手伝う」

 

「帰ります」という言葉を言われる前に折紙は美紀恵の退路を断つように折紙は美紀恵の手を包み込むように両手を添える。美紀恵はいきなりそのようなことをされたのか、顔を真っ赤にさせる

 

「折紙さんと……マンッツーマン……ですって……!?」

 

美紀恵は折紙と二人っきりの勉強会のことを考えると、美紀恵は顔が熱くなるどころか、鼻から紅い血がトロリと流れ出す。あわてて美紀恵はティッシュを勢いよく鼻に詰めるととろけたような声で答えた

 

「はい……いかせていただきましゅ」

 

百合属性があった美紀恵に士道は驚きを隠せず、はぁ……というため息を吐いた

 

「こいつ、美九とあわせて大丈夫なのか?」

 

「さ、さぁ?」

 

凜祢は顔を少し苦笑いにしてこの答えをごまかしたのであった

 




次回は、アンケート結果で採用したものを実行していきたいかなぁと思います

皆さん、お待ちかねの美九回です!(ここの読者さんは美九ファンが多いですね(汗))
ただ、更新できたとしても7月末日から8月かなぁ(多少変更になりますが)
とおもっているので気長に待っていただけるとありがたいです
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