年末のマモノのせいということで勘弁してください
丘の下であたしたちは盛り上がっていた。
「コーラさん!他には?アリオスさんあたしのこと他になにか言ってませんでした?」
「あーーー…えーーーーとですねー…えーその…流石にもう思い出せなくて…あ、すいません」
コーラさんは後ろを向いた。
「エ…デモモウネタガ…イイカラツヅケロ?トニカクナンカヤレ?…ハイ…イエ…ハイ…」なんかブツブツ言ってるな…良く聞こえないけど。
「…すいません、お待たせしました。えーとですね…アリオスがこう…」
コーラさんはどこからか短い光る棒を取り出し、指に挟んで片手に4本づつ持って構えた。
「えるおーぶいいーエカルちゃーん!」
突然輝く笑顔で棒を振り回しつつキレッキレの変な踊りを披露するコーラさん!
「ひゅー!」
「…等と叫んで踊っていた可能性も微粒子レベルで存在する可能性がなきにしもあらずでー…」
瞬時に元のテンションに戻り、棒はどっかに消えた。手品かな?
「えーアリオスさんがそんなオタ芸みたいなことを!?他には…」
「(げふっ)…他には…ですか…」
「お待たせ二人とも…って何してんの?」
盛り上がっているうちにアリオスさんが戻ってきた。
「いえ…なんでもありませんよ…なんでも…ねぇ?」「あ、はい…」
口をぐいとぬぐいながらコーラさんが応じる。
ついノリで盛り上がってしまったが、よく考えればアリオスさんがそんなことするはずないよね。
コーラさんの冗談だろう。案外面白い人なのかもしれないな。
「そうなの?コーラ、目の下のクマが凄いけど…目つきがフリッカージャブの死神、マ・シヴァみたいになってるぞ」
「誰ですかそれは…」
「俺がいたころのリーザスコロシアムのランカーだけど」
「…なんでもありませんよ。宮仕えにもそれなりの苦労があるものなのです」
「よくわからないけど大変だな…」
コーラさんは顔をくしくしとこすって表情を戻した。
「それで、あちらの人と話はついたのですか?」
「ああ、それがね…」
丘の上にいる頑健そうで袖破ったジージャンが好きそうなオッサン、略して頑ジーはゼスのお偉いさんで、この国の有り様を憂いているらしい。
んで、征伐のミトを名乗っていろいろと世直し…というかまあ悪党をボコって逮捕させるみたいな活動をしているのだが、もうすぐ大事な仕事があり、今度はマジでヤバイので頼むから仕事場にいてください、派手な服を着るのをやめてもいいですからと部下に泣いて頼まれているんだそうだ。
が、タイミングの悪いことにようやく尻尾を出した巨悪がいて、ここで逃すと次はいつになるかわからない。
そこで勇者として悪党の成敗に力を貸して欲しい…ということらしい。
「へー。いいじゃないですか悪党の成敗。勇者らしくて…」
「うん、良いことだとは思う。でもな…」アリオスさんは乗り気じゃないみたいだ。
「なにか訳でも?」
「…うん、エカルちゃんなら良いか。実は、俺の任期は残り少ないんだよ」
「え?任期って勇者の?」
「ああ。だいたい今年いっぱいってところかな」
「えー…そんなに短いんですか…」
「…俺はこれまで正直勇者の名に相応しい活躍をしたとは言えない。なにか、人類のためになる大きな事をしたいんだよ」
「そのためには、悪い魔法使い貴族をちびちびしばくなんてまどろっこしいことしてられないと…」
アリオスさんは頷く。
「エスクードソードも回収したし、これからはそのための準備を…」
「いや、いいじゃないですか悪党退治。私はいいと思いますよ」
コーラさんが急に口を挟んできた。若干早口だ。
「えっ、コーラ?どうしたんだ?いつもはそんな下らないことしてる場合ですか?とか、
あなたにはそれくらいの事件がお似合いですかねフフン、とか言うのに」
うーん辛辣。しかしコーラさんは構わず続ける。
「ええ、でも貴方がそんなに大きな仕事がしたいというなら私が情報を集めますよ。少し時間がかかりますから、その間、その子と悪党退治でもしていてください」
「え?あたしと?」
「はい、まあ計画もボツ出されましたし、とにかく今は一人になりた…なる必要があるので」
「計画?なんかコーラ、今日は妙に早口だな」
「何でもありませんしいつもこんなもんですよええ」
ペラペラと捲し立てるコーラさん。
なんかこう…進めてたプロジェクトを上の一存で潰された上に、急に降ってきた偉い人の接待に胃を痛めてたところで、会場を抜け出す口実を見つけた中間管理職みたいだなあ。知らんけど。
「そういうことなら…エカルちゃんがよければだけど…」
アリオスさんがこっちを見る。あたしは勢い良く頷いた。
「もちろんいいですよ!悪党をボッコボコにしてやりましょう!」
「じゃあそういうことで!では!」ぴゅーっ
コーラさんはすごい勢いでどっかに行ってしまった。
「あっ、行っちゃった…」
「コーラってあんなに足早かったのか…」
なにはともあれ、そういうことになった。
というわけで、あたしたちは仕事に戻るがんばってそうな偉いジジイ(略してがんジイ)と別れてウィチタさんの案内で北のナガールモールに向かった。
「ところで巨悪って何してるやつなんだ?」
「脱税とか横領とか所得隠しとか反乱計画とかです」
「おお、それっぽい」
「あと二級市民をすごい勢いで遊び半分で殺したりしてます」
「そっちが先じゃないんだ」
というわけであたしたちは悪い魔法使い貴族を成敗した。
ちょっと長くなるのでかいつまんだ上にイメージで説明すると、
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(作者注・ここから先はグナガンの宝の絵みたいなイメージでお楽しみください)
「このウスギタナイ・マネー宮殿のオショクの間に悪い奴らが集まって悪いことを相談していて証拠もそこにあると思うのでやっちゃってください!」
「「はーい」」
【オショクの間】
「ノエーッエッエッエッ!征伐のミトなぞなにするものぞ!我々の権力とコネの前では敵ではないマセ!」
「いやーそのとおりそのとおり!」
「ゲヘッ!ゲヘッ!二級市民!殺したい!」
「おー!前祝いに二級市民3000万人殺すか!」
「助けてーっ」×3000万
「よっしゃ!みんな!オラに権力を少し分けてくれ!」
「いいぞやれーっ」「やっちまえーっ」バッババッ(手が上がる)
「うおおおおお!すごい権力だ!くらえ権力玉ー!」どかーん
「グワーッ!」×3000万
「ノエーッエッエッエッ!二級市民が死ぬのは愉快でマセ!」
「そこまでだ!」
「そこまでよ!」
「なにーっ!?誰だ貴様ら!」
「通りすがりの勇者だ!」
「そしてお供のスーパー美少女神官よ!」
「何を生意気な!やってしまえ!」(マッハピヨ笛ぴよよよよよよ
「治安隊参上!テロリストめ!皆殺しだー!」
「「「「ピーッピーッ!!!」」」」(ぞろぞろ)
「はああああ!なんでか解禁されたエスクードソードでの勇者斬り!ナーフ前ver!」
「「「「ピガーッ!!!」」」」(すぱーんすぱーん)
「きゃあああああ!私の唯一の友達のウォール君達が!!」
「それーっ!手加減突撃(弱)!」ボカーッ
「グワーッ!こ、このゼス一のイヤミ青縦ロールジジイと言われたワシがこんなところで…無念…がくっ」
「「正義は勝つ!はーっはっはっはっは!」」
「ありがとう勇者様とスーパー美少女神官様!ばんざーい」×3000万
「よし、証拠回収!青縦ロールジジイは縛り上げて放り出して成敗完了!」
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いろいろとだいぶかなり誇張したが大筋でこんな感じのことがあった。
成敗したノエマセとかいう青縦ロールジジイは情報長官という偉いやつだったらしいが一味も含めて逮捕され失脚した。
なお、後任は王と四天王一人の反対を押しきり、長官達の合議でゼス一のイヤミ黄色縦ロールジジイと評判のソエマセが就任したそうだ。
で、2週間ほどでこんな感じの成敗をいくつかこなしたのだが…
「うーん、すっきりはしましたけど…ねえ?」
「勇者の仕事としては…どうなのかなぁ…」
正直悪徳貴族の私兵や治安隊は正規軍でもなんでもないのであたしたちにとっては弱すぎる。
2~3件もこなせば正直飽きてしまうのだ。
「どうします?そろそろどっか行きます?」
「うーん…でも途中で投げ出すのも…コーラはまだ戻らないし…」
あたしたちがうんうん悩んでいると、ウィチタさんがやってきた。
「アリオスさーん。エカルさーん。お疲れ様です!これ、次の情報です」
アリオスさんが封筒を受け取り、中身を読み上げる。
「えー今度は…なになに…『自由都市で暗躍する地下犯罪組織【ブハード】の調査』…?」
「へ?」
どっかで聞いたような名前に、あたしはつい声を漏らしたのだった。
UA5万到達しました。大変嬉しいです。
なんと500人くらいは読んでくれている計算です。
これからも頑張ります。
コーラは自分の仕事のため(ちょっとだけアリオスのため)に世界を混乱させる計画を頑張って進めていました(史実ではアリオスが阻止しました)
が、急に上からの通達で全部ボツにされました。大変ですね。
自分で書いといてなんですが、コーラに同情することになるとは夢にも思いませんでした。
もうキューティーの手下のウォールやらメイトやらを蹴散らすくらいでは面白くないのでとっとと次の話に行こうと思います。
以下、妄想です。
ノエマセ
LV 2/10
イヤミ0
ゼスの情報長官。ゼス一のイヤミ青縦ロールジジイ。
センサー地蔵とかを管理する情報局の長。
征伐のミトをどうにか暗殺しようとしている。
才能には恵まれなかったが努力で磨き上げたイヤミで千鶴子の胃を痛める。
二級市民は全員処分してしまえばいいという意見の持ち主。
ソエマセ
Lv3/9
イヤミ1
ノエマセの弟で情報長官の後任。兄にそっくりなゼス一のイヤミ黄色縦ロールジジイ。
征伐のミトを迷惑な人だなぁと思っている。
天性の切れ味鋭いイヤミで千鶴子の胃に穴を開ける。
二級市民は魔法使いの盾くらいにはなるので無駄に殺すのはもったいないという意見の持ち主。
ツエマセ
Lv4/8
イヤミ2
ソエマセの弟。兄にそっくりなゼス一のイヤミピンク縦ロールジジイ。
征伐のミトをいい面も悪い面もある存在だと思っている。
質、量ともに圧倒的かつ重厚なイヤミで千鶴子の胃を完膚なきまでに破壊する。
二級市民には制限付きながらいろんな権利を認めていくべきという意見の持ち主。
シエマセ
Lv5/7
イヤミ3
ツエマセの弟。兄にそっくりなゼス一のイヤミ緑縦ロールジジイ。
ゼスの全ての縦ロールジジイ(全4人)中最強のイヤミの使い手。
征伐のミトを貴方はそのようなことをしている場合ではないでしょう、目を覚まされよと思っている。
毎秒20発放つネクストレベルのイヤミで千鶴子の胃という概念を世界から消し去る。
二級市民と一級市民は手を携えねばゼスに未来はないという意見の持ち主。
半径300m以内の人間全てを瞬時に胃潰瘍にする、モンスターの群れを自壊させる、魔人をストレスで寝込ませる、上級神をもイラつかせるほどのイヤミがバランスブレイカー認定されAL教に封印されてしまった。