【ゼスに行ったランスと合流せよ】
お兄ちゃんはゼスに冒険しに行ったらしい
早く探しださないと面白いものを見損ねてしまう
泣くシィルさんをなだめて、とりあえず琥珀の城の中に戻った。
「えーっと…ちょっとどっか落ち着けるところはないですか?」
「はい、こちらにどうぞ」
その辺の使用人さんに声をかけて、案内されたのはそばに窓があるボックス席のようなところだった。
隣にある窓からはなんか…小規模な砦を人工のダンジョンにしたような箱庭が見えて、そこではビンボくさい男たちがしょっぱい武器でモンスター相手に死闘を繰り広げている。なんじゃこりゃ?
「飲み物や軽食などの用意もございます。御用がありましたらお声をおかけください」
「…あ、どうも…で、何があったんですか?」
使用人さんが去っていき、あたしはシィルさんに尋ねた。
「それが…ランス様が…かくかくしかじかで…」
「はぁー!?なにそれ!?」
シィルさんが説明してくれたことによると、燭台奪還の依頼人だったラドン長官とやらはお兄ちゃんを勝手にシィルさんの奴隷扱いした挙句、この窓の外の奴隷観察場に放り込んでしまったらしい。
観察場の中には見ての通りモンスターが放たれていて、中の奴隷はモンスターを倒してノルマをこなさなければ食事の配給が出ない。
そんな奴隷とモンスターの戦いを外から魔法使いたちが見物する…という場所だ。
ぶっちゃけお金持ちの考えることはよくわかんないね。その辺のダンジョンに行けばモンスターにやられる雑魚冒険者なんていくらでも見られるのに…
まぁ、安全なところから見下ろすのが楽しいのかな?
で、先日までお兄ちゃんはこの中で元気に…というのもなんだがモンスターをしばいていて、シィルさんもどうにか解放してくれるようにあちこちに頼み込んでいたのだが、先日からお兄ちゃんの姿が見えなくなってしまったそうだ。
で、ラドンに聞いてみたら配給のリストに名前がないので、おそらく死んだんだろう…と…
「…うう…ランス様ぁ…」
うなだれるシィルさん。うーん腐ってるとは思ってたけどここまでとはなぁ…
部屋のどこかでどっと歓声が上がり、窓から奴隷観察場を眺めてみれば、奴隷が一人イカマンに攻撃されて血を流して倒れたところだった。
うーん。ありゃ素人だなぁ…装備もしょっぱいし、イカマン相手でもちょっと厳しい…ん?
「あれ?うーん…」
違和感を覚えて、観察場に放たれているモンスターをざっとチェックしてみる。
…イカマン、ぷりょ、ローパー…正直言ってカスばっかだな。
なんか見たことない大柄な人型の怪物もちょっといるけど…とろいし、そこまで厄介でもなさそう。
んで観察場の構造をよく見れば、ちょくちょく安全地帯はあるし、逃走や挟み撃ちもしやすそう。
住居としては劣悪だけど…ダンジョンとしては、はっきり言ってヌルい。
「ねぇ、シィルさん…」
「…はい?」
「正直ここの環境を見る限り、お兄ちゃんがこれくらいで死ぬとは思えないんだけど」
「ええ…私もそう思いますけど…でもお姿が…」
「ほら、どっかに抜け穴でもあって、そこからこっそり逃げ出したとか!」
「でもこちらに戻られなくて…」
「いや、こっちに戻ったらまた放り込まれちゃうじゃん。」
「…はい、そうですよね!ランス様が死んだり…しませんよね!」
シィルさんが顔をあげてちょっと笑った。
あたしに気を使ってちょっと無理してだしたカラ元気、って感じだけど、カラ元気も元気のうちだ。
「うん、だからお兄ちゃんもシィルさんを探してると思うし…」
「じゃあ、私たちもここを出てランス様を探しに行きましょう!」
というわけであたしとシィルさんは琥珀の城を出て、オールドゼスの方向に向かっていた。
歩きながら二人で話す。
「ところでエールちゃん。どこか当てとかあります?」
「うーん…ないなぁ。シィルさんは?」
「私もちょっとないんですが…落ち着くためにもいったん両親のところに顔を出そうかな、と…」
「え?シィルさんゼス出身だったの?」
「はい、そうなんです。オールドゼスに実家があるんですよ」
全然そういう感じしなかったなぁ…魔法使い絶対主義、みたいな感じは微塵もないし。
「へぇー。それじゃあ、なんで奴隷に?」
「実は修行の旅をしていたら夜盗に襲われてしまって…そのまま奴隷商に…」
「ふーん…そこをお兄ちゃんに買われたんだ…」
あたしはうんうんと頷いて、前を指さした。
「ところで夜盗っていうと、例えばこんな人たち?」
「そうそう、ちょうどこんな人たちでした…えっ?」
街道の先には、覆面をした怪しげな男たちが待ち構えていた。
シィルさんの笑顔が固まり、こん棒だのでかい袋だのロープだのを構えた連中があたしたちを取り囲む。
「…で、誰よアンタら?」
「…シィル・プラインだな?」
剣を抜いて突きつけるあたしを無視して、怪しい連中はシィルさんに誰何する。
「…え、ええ…」
シィルさんの回答と同時に男たちは目配せし、こん棒を振り回して襲ってきた!
「きゃっ…」「下がっててシィルさん!でりゃー!」あたしは剣でこん棒を弾き返して叫ぶ。
「ちっ…護衛の奴隷戦士か?放っておけ!魔法使いを黙らせろ!」
「誰が奴隷戦士よ!雷の矢!」「ぎゃっ!」「こいつも魔法使いだと!?」
妙なこと言う夜盗に魔法をぶち込んで逆に黙らせる。
「炎の矢!」「ぐっ!」「でりゃー!」「ぐあっ!」
シィルさんも落ち着いて魔法を唱え始め…そうなれば大した敵でもなかった。
半分ほどしばき倒し、残った連中を睨みつける。
「くっ…この女ども…」
「ふん、あたし達を相手にするには力不足ね!」
「いやぁ、お見事ですね」
ぱちぱちぱちと拍手が起こり、そちらを見れば青いジャケットの白髪男が笑顔でこちらに歩いてきていた。
「…隊長…?」「うん」
覆面が声を漏らしたのを白髪が手で制した。こいつが頭だろうか。銀髪青眼のわかりやすいイケメンである。
「まず、手荒なことをしてすみませんでした。僕はこういうものでして」
言葉とともに差し出されたのは四角い紙…名刺だ。男たちが武器を収めたのを確認して、シィルさんはおそるおそるそれを受け取った。
「レジスタンス…アイスフレーム、ブルー隊隊長アベルト・セフティ…?」
「ええ、よろしくお願いしますね」
にこにこと笑うアベルトとかいう男をじろりと見返して、あたしは口を開く。
「で、そのレジスタンスの隊長さんが何の用なのよ。それともアイスフレームって言うのは人さらい集団なの?」
「あはは、そういうわけじゃあないんですが…うん、やっぱり似てるな…」
あたしをじろじろ見てうんうんと頷くアベルト。
「はぁ?似てるって…」
「貴方達、ランスという緑の服の戦士はお知合いですか?」
「えっ、それって」「ランス様を知っているんですか!?」
あたしが反応する前に、シィルさんが前に出た。
「ええ。今は僕たちの組織に加わってくれています。彼に頼まれたんですよ。『琥珀の城に居るシィル・プラインを探して連れて来い』って…」
「よかった…ランス様…」「はぁー…心配ばっかかけるんだから」
シィルさんが安心したのか涙ぐんだ。
あたしも大丈夫だとは思っていたけど、やっぱり気が抜けちゃうね。
「手荒な手段をとってすみません。てっきり、彼を観察場に落とした魔法使いかと思っていたので…」
「いえ、大丈夫です…」
シィルさんが手をばたばたした。まぁお兄ちゃんも明らかに言葉が足りてないね。
話が済むと、アベルトはこっちに視線を向けた。
「ところで、貴女のお名前を聞かせていただいても?ランスさんにどこか似ていますが…」
「あ、うん。ランスの妹のエールです」
「へぇー…なるほどなるほど……いや、もう少しかな…」
「…っ」
「…いやぁ、ランスさんに妹さんが居たとはは思いませんでしたよ」
にこにこと明るく笑うアベルト。なんか一瞬ぞくっとしたけど…気のせいかな?
「というわけですので。二人とも一緒に来てもらえますでしょうか?」
「はい!エールちゃんもいいですよね?」「…あ、うん。もちろん」
あたしたち二人は返事して、アベルトたちに着いて行ったのだった。
アイスフレームのアジトは森の中にあるらしい。前を行く男たちに続いて深い森をひたすら歩く。
「…まだ着かないのー?」
「ええ、もうすぐですよ」
「さっきもそう言ったじゃない…」
「あはははは、ランスさんもそう言っていましたよ…ほら、そろそろ見えてきました」
何が楽しいのかにこにこ笑うアベルトの指さす先を見れば、森を切り開いて作られた広場にロッジや倉庫などがいくつも立っているのが見えた。
「へぇー…割と大規模なんだね」
「まぁ、昔はもっと大所帯でしたから。いまはちょっと活動を縮小してるんですが…」
「それで、ランス様はどこに…?」
「先ほど呼びに行かせましたのですぐに…おっと。来ましたね」
通りの向こうからのしのしと歩いてくる見慣れた姿。隣には背の低い男の人が従っている。
「おい、シィルが見つかったというのは…」
「ランス様…生きてらっしゃったんですね…ランス様ぁ!」
「ふん」「きゃん!」
シィルさんが駆けより、お兄ちゃんに抱き着こうとして…その頭にチョップが命中した。
「ばかもん!奴隷が主人のそばを許可なく離れおって!」
「す、すみませんランス様ぁ…」
「すごいだす!ランス様が魔法使いの頭を叩いているだす!」
背の低い人が驚きの声をあげる。周りの人たちも大なり小なり同じようにびっくりしていた。
まぁ、この国の常識からしたら、非魔法使いが魔法使いを奴隷にしているなんて驚きだよね。
「お?くくく…おい、シィル。ここで俺様のハイパー兵器を…」
あ、お兄ちゃんがにやーっと笑って…あーあ。こりゃ描写できないや。
タグが面倒にならないように目を転じると、背の低い人が濃い顔でこちらを見ていた。
「えーっと、あんたもランス様の奴隷だすか?」
なんだろこの人。なんかちょっと態度悪いような…
「いや、あたしはお兄ちゃんの…ランスの妹だよ。」
「ほえ?!ラ、ランス様の妹様だすか!それは失礼しましただ…お、おらはロッキーというだす。ランス様の召使をさせてもらってますだ。」
ロッキーと名乗った人は背筋をピンと伸ばして急にぺこぺこした。
お兄ちゃんが男の人をそばに置いてるなんて意外っちゃ意外だな。対して強くも見えないし。
言っちゃ悪いけどあんまり女受けする顔じゃないから許してるのかもしれない。
「ふーん。あたしはエール。よろしくね」
「へぇ、ご主人の妹ならご主人も同然だす。なんでも言いつけてくだせぇ、エール様」
そうこうしているうちにお兄ちゃん達のおっぱじめたのもひと段落したようだ。
「がはははは!グッドだ!あー気分がいい…」「うう…」
がはがは笑うお兄ちゃんに歩み寄って声をかける。
「もう、再会するなり何やってんだか」
「む?なんだ、エールではないか。お前もシィルと一緒だったのか」
「うん、琥珀の城で会ったんだ」
「あの、ランス隊長…」
すっと割り込んできたのは和服の女性だ。
奈美さんを思い出させる動きだな…けっこう強いかもしれない。
「こちらの方と…こちらの妹さん。二人をこれからどうなさるんですか?」
「シィルは俺様の奴隷なので俺様の隊に入れる。ついでにエールも俺様の部下にしてやろう。光栄に思えよ、がははは」
「えー?そんな勝手な…ていうかお兄ちゃん隊長なんてやってるの? …まぁいいけどさぁ」
急にレジスタンスやることになったけど、まぁこの国印象よくないしね。
お偉いさんも似たようなことやってたし、少しくらいいいだろう。
「は、はい…お世話になります…」
シィルさんも口を拭って立ち上がり、頭を下げた。
「はい、よろしくお願いしますね。私はカオル・クインシー・神楽と申します」
「あ、シィル・プラインです」「エール・クリアでーす」
「では二人とも、リーダーのところにご案内しますのでこちらに…」
「はい、ではランス様…」「またあとでねー」「うむ」
カオルさんに案内されて、あたし達はその場を後にしたのだった。
以下、妄想です。
アベルト・セフティ
Lv14/27
剣戦闘Lv1
盗賊Lv1
話術Lv1
冒険Lv1
女性の内面にはうるさいが、外見には無頓着…
と、見せかけて豊満な女性が好きという説がある。
おまけ
仲間入り時点のステータス
エール
LV14
EXP0/470
HP182/182
SP8/8
FR10/15
攻撃力 62
魔法力 62
防御力 35
魔抵力 35
回避力 25
弱点属性 闇
SKILL
攻撃
手持ちの武器を使って攻撃します
敵単体
ヒーリング
味方の体力を回復させます
味方単体
雷の矢
雷の塊を敵にぶつけます
敵単体/遠距離 属性:雷
装備ベース
WEAPON
D ショートソードx2
攻撃力+4
魔法力+4
ARMOR
D 冒険服
防御力+30
魔抵力+30
ひつじ小屋別館風キャラ性能説明
ランス6では
サーベルナイト討伐後に「俺様の奴隷が見つかった(おまけ付き)」実行でシィルと一緒に加入。
攻撃力、耐久性、回避力、魔法、回復をすべてそれなりに備えるが、
それぞれランス、パットン、かなみ、志津香、シィルに劣り、
痺れや各戦術、貯めなし範囲攻撃、手加減攻撃などの特技もない、相変わらずの器用貧乏。
貯めが必要な必殺技を2つ持つがどちらも命中率にマイナス補正があるため、使いたいならもじゃ人形ときに竹刀か無視メガネを持たせよう。
ランスと同様に素質のオカリナx2もおすすめ。
控え一番手が定位置になるが、才能限界無限を活かせる終盤から兄と一緒に暴れはじめる。
Sランク武器はカオスと同時入手。攻撃力魔法力の両方に補正があり、合計値は高いがそれぞれは並。