まっ白
さて、何をしようかな
お兄ちゃんがこしらえた借金を返し終えてアジトに戻ってくると、もうとっくに日は沈んでいた。
お兄ちゃんは安らかにぐーすかぴーと寝ていて、あたしたちは胸を撫で下ろしたのだった。
まーさすがにこんなんで死んだら悲しいどころの話ではないからね。リセットものである。出来ればの話だが。
しかし、部屋のゴミ箱に銀行からの督促状があったということは郵便屋さんがここまで来ているんだよね。レジスタンスのアジトなのに手紙が届くなんて…郵便屋さんはすごい。
良く下宿や孤児院に手紙を届けに来ていた郵便屋さんの事を思い出してしまう。相変わらず元気にしてるだろうか?
シィルさんは看病に残るというので、あたしはその辺をうろつくことにした。まだここに慣れてないしね。
とはいえ人影もまばらで、お兄ちゃん達以外に知り合いもいないし…グリーン隊のロッジに行って訓練でもするかなー。
「…ん?なにこの音…」
考えつつ歩いていると、かすかに音が聞こえてきて、あたしは足を止めた。
(笛…かな?結構上手だな、誰が吹いてるんだろ)
気になったので、あたしは音が聞こえてくる方に行ってみることにした。
しばらく進むとアジトの外れに出た。ちょっとした丘の上にある樹の根本で、誰かが笛を吹いている…あれは…
「アベルトさん?」
「おや、エールさん。こんばんは、いい夜ですね」
そこにいたのはアベルトだった。吹いていた銀色の横笛を口から離してこちらに向き直る。
「こんばんは。笛なんて吹かれるんですね」
「ちょっとした趣味でして。あまり自信はないのですが…」
照れたように笑って頬を掻くアベルト。
そんな顔もするんだ。ちょっと意外かな。
「いえ、結構上手でしたよ。少なくともあたしは好きです」
「そうですか?ありがとうございます。…でしたら…少し聞いていってれませんか」
「いいんですか?じゃあ、是非…」
「ははは、ありがとうございます。…よろしければこちらにどうぞ」「は、はい…」
地面にハンカチを敷いてくれたので、遠慮がちに腰を下ろす。
ひゃー…動作がいちいち優雅…
「…では」
座り込んだあたしの前で、アベルトは一礼し、笛を吹き始めた。
月の光に照らされた銀髪と笛がぼんやりと輝いて、奏でられる音が静かな森の中に響く。
普通にうまいなあ、リーザス青将のコルドバさんのハーモニカにも負けないかもしれない…あっちと違って耳だけでなく目の保養にもなるし…
それからしばらく、あたしは笛に聞き惚れたのだった。
「…へぇ、エールちゃんは孤児院で育ったんですか。で、旅に出た先でランスさんと再会したのは二年ほど前と…」
「はい、そういうことになりますね。なんだかあっという間だったような、長かったような…」
笛を一通り吹き終えたアベルトさんとあたしは、二人で並んで座り込み話をしていた。
「ははは、まだそんなに長い付き合いでもないですが…ランスさんは楽しい人ですからね。一緒に過ごしていれはそうなるかもしれませんね」
「そういうもんですかねぇ…確かに、お兄ちゃんと居ると退屈とはほど遠いかな…そうそう、前にこんなことが…」
あたしもそんなに経験がある訳じゃないけど、初めて話すタイプの男の人だ。お兄ちゃんともアリオスさんとも違う感触で、ちょっとむず痒くなる。
「…さてと。すみませんが、僕はそろそろ行かないと。」
気がつけば結構長く話し込んでいたみたい。
「あ、そうですか…笛、ありがとうございました」
「いえいえ、良ければまた聴いてください…おっと、そうだ」
立ち上がったアベルトさんは、荷物をごそごそと漁って大きなビンを取り出した。
「頂きものなんですが…よかったら貰ってくれませんか?」
差し出されたビンには白い液体が揺れている。
「これは…うし乳?…いいんですか?」
「ええ。以前に関わりがあった牧場の方にもらったはいいんですが、僕も父もあまり好きではないので…」
「やったー。ありがとうございます。」
あたしは喜んで受け取った。結構好きなんだけど、牧場のそばじゃないとなかなか手に入らないんだよね、うし乳。
「よければまた貰ってきますよ。美容にもいいと聞きますし、艶やかな女性になれますよ」
「えへへ、いいですねそれ。お兄ちゃんも驚きますよ」
「…ふふっ…それでは、また。」
軽く笑って去っていくアベルトさんを見送って、あたしも帰ることにした。
工作部隊の隊長をやってるだけあって、めちゃめちゃ対人スキルが高いな…話してはいけないことまで話してしまいそうだ。
まあ、知られて困ることもそんなにないかなあ。
宿舎に戻って来ると、ちょうどお兄ちゃんの部屋から十歳くらいの金髪の女の子が出てくるところだった。小走りで去っていく女の子と軽く会釈してすれ違う。
あれくらいの女の子がアジトにいたのか…知らなかった。
部屋のなかではお兄ちゃんがもう起きていて、ベッドに腰かけてクッキーをボリボリかじっていた。シィルさんはいないようだ。
「あ、もう起きてたんだ。どしたのそのクッキー」
「さっき来た孤児院のガキが持ってきたのだ…ぼりぼり…まったく、もそもそして貧乏臭いものよこしおって」
このアジト、孤児院なんてあったんだ。今度覗いてみようっと。
しかしこの人、言葉の割には食べる手は止めないんだよね。見た感じ手作りだし…ふふふ。
「あ、じゃああたしにもちょーだい。さっきうし乳をもらったんだ。一緒に食べようよ。」
「いいぞ。ほれ」
コップにうし乳を注いで渡し、クッキーの袋を受け取った。
「うーん…もそもそ…」
クッキーを一口かじってうし乳を飲めば、懐かしい味が口のなかに広がる。
孤児院のおやつってあんまり甘くできないからこういうのが多いんだよね。ちょっとパサつく食感にうし乳がよく合うのだ。
「うん、美味しい…いいもの貰ったね…」
「…ふん」
見ればお兄ちゃんはコップに直接クッキーをびちゃびちゃとひたしてから食べていた。
「あーあ…跳ねるよ?行儀悪いなあ…」
「がはははは、関係ないわ」
「まったくもう…」
本当に子供っぽいなあ…アベルトさんとは大違いだ…えへへ。
そんなことを考えつつ、戻ってきたシィルさんと三人でクッキーを食べたのだった。
==============経験値獲得==============
ランス 85EXP を得た。
シィル 51EXP を得た。
エール 143EXP を得た。
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その後、今回の事が問題になり、「隊長に金の管理を任せるのはまずい」という見解で一致。隊のお金はきちんと一元管理しよう、ということになった。
金庫番になったのははプリマさん。なんでも貴族の嫌がらせでクビになる前はOLをしていて簿記もできるらしい。
曰く、「ヒーリングを使えるのが二人も来たんじゃ衛生兵に仕事もないしね。こういう事で役に立つよ」だそう。頑張ってほしい。
この作品ではですが、ゼスでもAL教は普通に信仰されているようなので、二級市民にも神官に対する偏見はないと思われます。
その上でセルさんが博物館に普通に入れるので、貴族からも一級市民扱いされている、とします。
エールちゃんが攻撃魔法を使えることはまだアイスフレーム内では知られていません
知っているのはランスとシィル、襲撃に参加したブルー隊隊員とアベルト、それと書類を見たウルザとダニエルだけです
アベルトは近所の農場でなくて、わざわざ遠くにある牧場まで行ってうし乳を買ってきたそうです
なんででしょうね(棒)
ちなみにですが、その牧場をやってる牧場野さんちの娘さんのメグちゃんはおっぱいがすさまじいそうです
あと、特に関係ないですが、キャラ何人かの体形データを張っておきますね
ウルザ・プラナアイス
167cm/不明
スリーサイズ不明
リズナ・ランフビット
170cm/56kg
B105/W67/H96
パパイア・サーバー
175cm/56kg
B94/W60/H90
カミーラ
183cm/60kg
スリーサイズ不明
そういえば、チルディが身長を伸ばしたいと言ってうし乳をよく飲んでましたね
特に関係はないですが