【活動資金を銀行から奪え】
ゼス共同銀行は極悪銀行なので侵入しお金を奪おう
思ったより大分極悪だったし実際割合としては正義だよね
遠慮なくもらってしまおう
「ぐっ…第四陣!かかれー!」
治安隊長の号令と共にまたしてもウォールとメイトが通路から沸いて出てきた!
「まだ来るのー!?」
「えーい!くらえだす!」ぶおーん「「「ぴがーっ」」」
ロッキーさんが投げつけた斧が回転しながら飛んでいき、薙ぎ払われた魔法兵器の足が止まる。
「まとめて粗大ゴミになりやがれ!ランスアターック!」カッドガッシャーン!
「「「「ピガガガーーッ!」」」」
「くっ…くそっ!一旦退くぞ!応援を…」
お兄ちゃんの必殺技でウォールごと魔法メイトの集団を吹き飛ばされた治安隊はようやく撤退していった。
人間は隊長一人だけだったので隊と言っていいのかわからないけどね。人望がないのかもしれない。
「はぁー…しつこかった…」
「よっと…」ぱしっ「…はぁ、死ぬかと思っただす…」
戻ってきた斧を事も無げにキャッチしてため息をつくロッキーさん。意外と器用だな…スーちゃんみたい。
て言うかこの人、戦いの時も動きはどたばたして素人臭いんだけど、斧の扱いそのものは結構うまいんだよね。少しは才能があるのかもしれない。
「よーし。警備隊が戻ってくる前に金を奪ってずらかるぞ。…ん?カオルはどうした?」
「あの貴族を追うって出ていったよ」
「そうか。まあ護衛もいなかったし大丈夫だろう。金庫に向かうぞ!」
ズルキがいた辺りに落ちていた鍵を使って扉を開けると、その向こうはキャットウォークの下にあった大部屋だった。
「うわー…棚がいっぱい…なんだろこれ」
「たぶん貸金庫ですね…銀行がお客から預かったものをいれておく場所です」
「へー。じゃあ大金庫とは別なんだね」
立ち並ぶ棚には、杖だの本だの剣だの書類だの絵だの、貴重なんだかどうでもいいのかわからんものがいっぱいに詰まっている。
「ふん、普段なら根こそぎ持ってくところだが…持ち出すのも売っ払うのも面倒だ。ざーっとみて現金だけ狙うぞ」
「ランス様…それは誰かの預金なのでは…」ばきっ「あうう…」
「やかましい、これは正義の活動なのだ、がははは」
「…あ、この棚の中身はお金だす」
「えーと、『チャッピー様ご預金』…他にもあるね、『岬心中様』『ポピー様』『春川様』『ヌー様』…」
ちょっと気は引けるけど、もうここまできたらやるしかないよね。
誰だか知らないけどほんとゴメン。誰だか知らないけど。
心のなかで謝りつつ棚から金袋を出してどさどさとずだ袋に突っ込んでいく。
「おお、小銭だがまとまればそれなりだな。もらっておいてやろう、がはははは」
棚の間を通り抜け、ざっと現金だけかき集めたら2万Gほどになった。
「さて、大金庫はどこだ?」
「ランス様、あそこじゃないでしょうか?」
シィルさんが指差す先には通路が延びていて、そのさきに頑丈そうな扉が見える。
「おお、それっぽいな。行くぞ」
あたしたちが通路に足を踏み入れたとたん、床に魔方陣が浮かび、紫色のもやが吹き出した!
「うわっ、なに?」
もやはしゅるしゅると空中に集まっていき、やがてからっぽのずんぐりした全身鎧の形を取った。空中に浮かぶバーツの中に紫色もやが詰まっている。
『ここは許可がないものは進入禁止である。引き返すがいい、さもなくば排除する』
そいつはなんか響く声でしゃべりかけてきた。
「なんだこいつは…」
「ランス様、これは拠点精霊です。ゼスの重要箇所の護衛として設置されている、と教科書に載ってました」
お兄ちゃんの疑問にシィルさんが答えた。
「ふん!拠点精霊だかなんだか知らんが、邪魔するやつはぶっ殺す!どりゃー!」
お兄ちゃんは早速剣を抜いて斬りかかったが…
『侵入者と確認!排除する!』
拠点精霊は両手を広げ、つむじ風…たつまきを巻き起こした!
「うわーっ!」「きゃーっ!?」
金庫前の通路に突風が吹き荒れる!狭いから風が集中して…すごい風圧だ!
あたしはあわてて帽子を抑えて座り込んだ。とても立っていられない!
みんなも同じく動けないようで、お兄ちゃんの足も止まっている。
「ひー!ポマードポマード…いたっ!」
「わっ、服が切れた!」
ロッキーさんの腕から血が吹き出し、あたしのコートが少し切れた。かまいたちまで混じってる!
「あだっ…いたた……進めん…おい!飛び道具でなんとかしろ!」
「こんな風じゃ無理にきまってんだろ☆」
「ええ……難しいですね…」
メガデスさんとタマネギさんも攻撃どころではないみたい。
「…ぐぅ」「わぁ、セスナ!こんなときに寝るな!」
転がっていきそうなセスナさんをプリマさんがあわてて捕まえる。
「じゃあ魔法だ!シィル!エール!やれ!」
「え…?は…?」
「は、はい!」「わかった!ロッキーさん、ちょっとごめんね!」
あたしとシィルさんは戸惑いの声を漏らすロッキーさんのうしろに移動して、彼を風避けにして立ち上がった。
「よーし…いくよ!雷の矢!」「炎の矢!」
『ぐっ…がっ…』
あたしたちが放った攻撃魔法は拠点精霊に直撃。一瞬風がやんだ。
すかさずお兄ちゃんが踏み込む!
「もらったー!」「ぐはっ…」その辺をうろうろしていたバーナードさんを踏んづけて飛び上がる!
「どりゃー!きりもみランスキーック!」『ガッ…』「そのままくたばれー!」ざくーっ!『…』しゅーん
飛び蹴りを食らって吹き飛ばされ、倒れたところを串刺しにされた拠点精霊は動かなくなり、すぐにかき消えた。
「ふー…なんとかなったね…、ありがとうロッキーさん…ロッキーさん?」
「……エ、エール様…今、魔法を使っただか?」
ロッキーさんは驚きと…恐怖がない交ぜになった表情でこちらを見ている。少し震えてる…?
「あ…うん。言ってなかったっけ?あたし神官戦士だけど、攻撃魔法も使えるんだ…あ、傷大丈夫?ヒールするね…」
「触んないでくれだす!」どんっ「わっ…」
ロッキーさんに突き飛ばされ、あたしは少しよろめいた。
「え、何すんの?あたしなんかした?」
「い、いや、その…えーと…すまんだす、…なんでもないだす…」
あたしが少しムッとして尋ねると、ロッキーさんは目をそらしてプリマさんの方にいってしまった。
うーん。なにがあったんだろ?あたしが首をかしげていると、顔を伏せたシィルさんが寄ってきた。
「……エールちゃん、その…」
「何をしとるんだお前ら。ぐずぐずしてると治安隊が戻ってくる。邪魔者は片付いた、とっとと金を奪うぞ」
「あ、うん…」
まあ、今はそっちが優先だよね。
あたしたちは大金庫に踏み込んだ。そこには…
「うおーーーー!金だー!GOLDの山だ!現金掴み取りだ!金袋投げ大会だー!」
「やったーーー!あたし一回GOLDの山に埋もれてみたかったんだー!エールダーイブ!」じゃららーん!
「こらーっ俺様のだぞ!これでも食らえ!それー!」どざーっ
「うわーっ!お金で溺れるー!重いー!視界が全部お金だー!」
「「がーはははははははははは!グッドだ!」」
こうしてあたしたちは首尾よくお金を盗み出し、カオルさんと合流してアジトに引き上げたのだった。
なんかズルキは征伐のミトっていう例の世直しマンに捕まって収監されたらしい。めでたしめでたしだ。
アイスフレームの会議室に、輝くGOLDがうずたかく積まれている。
「と言うわけで、これが取ってきた金子(きんす)です」
「ありがとうございます…」
「ああ、これでしばらくは持つな」
「がははははは、どうだ、ウルザちゃん。ご褒美にエッチさせろ」
「え…いやあの…」
「そういうことはやめてもらおうか」
お兄ちゃんにセクハラ発言されたウルザさんをかばうようにダニエルさんが前に出た。
「ちっ…ぐふふふふ…」
お兄ちゃんは引き下がったがぐふぐふ笑っている…。あーあ。まあいいか…
「あ!」
会議室から離れたところでお兄ちゃんが唐突に叫んだ。
「おい、シィル。奪ってきた金は全部渡してしまったのか?」
「は、はい…」
「あー…もったいないことをした。少しこっちに取っておけば…お、そうだ。貸金庫の方から取った小銭があっただろう。あれはどうしたんだ」
「あー。あれならあたしが預かってるよ」
「おお、そうか。寄越せ。俺様が有効に…」
「いや、使い道はもう決まってるから。カオルさんとプリマさんにも話してあるよ」
「なに!?俺様に断りもなく決めるんじゃ…ん?」
「ほら、これ。嗅いでみて」
あたしはお兄ちゃんに着ているコートの裾を突きつけた。
「どれ…くんくん…臭っ!なんか臭っ!」
「お兄ちゃんの鎧も臭いよ…っていうか隊のメンバーみんな、イタリアの街と下水道をうろついたせいで防具に臭いが染み付いちゃったの!」
「なんだと!?どれどれ…ぐっ…確かに臭い…ってことはシィルも…くさっ!」
「…や、やめてくださいランス様…」
「こんな装備つけてらんないよ!みんなの装備も更新するからね!あとそれからいいシャンプーと石鹸も!」
「うーむ…俺様も臭い女はごめんだし、臭う部隊など率いたくない。仕方ない、許可してやろう」
「うん、ありがとうお兄ちゃん」
==============好感度上昇==============
エール FR==11+1/15
エール FR==12/15
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================装備更新================
ランス(とバーナード)を除く部隊全員の装備がDランク(ボロの中古品)からCランク(数打ちの品)に更新されました!
ランスの装備がBランク(店売りの高級品)に更新されました!
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===================一方そのころ==================
「ランス様…」「ん?なんだ?」
銀行からの帰り道。皆から離れた時を見計らって、ロッキーがランスに声をかけた。
「あ、あの…エール様の事なんだすが…エール様は魔法使いなんだすか?」
「おお、エールの奴はいつの間にか魔法を使えるようになっていたな…俺様の尻にぶっ放しおって…で、それがどうした」
「あ、あの…じゃあ、まさかランス様も魔法使いなんで…?」
「は?なんでそうなる 俺様はそんなチマチマしたものは使わん」
「ほっ…安心しただす……あれ?じゃあなんでエール様はランス様のいう事を聞いてるんだすか?やっぱりランス様の国ではそっちが普通…」ばきっ「あいたっ」
「ふん、前にも言っただろう。俺様が偉大なだけで魔法使いとかそうじゃないとか関係ないのだ。」
「へ、へぇ…」
「あいつは俺様の女…ではないが俺様の妹だ。なんだかんだ言って俺様の人徳に感服して従っているに違いない。がはははは」
「……」
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なお、バーナードは買ってもらえなかった(忘れられていた)ので、彼は頑張って自分のジャケットを川で洗濯しました
あと、おまけの独自設定です
拠点精霊
ゼス製の警備用魔法生物。
どちらかというと強さよりも長期間放置しても大丈夫なことを目的に製造されており、そんなに強くない。
たつまきを巻き起こして攻撃する。
閉所でもなければそんなに驚異でもないが、集団で押し掛ける暴徒を追っ払うには最適。魔法使い相手は想定していない。
春川詠流
Lv34/108
魔法2 神魔法1 盗賊1
黒髪ツインテールの美少女で、ゼス軍地方守備隊マーク支部所属。地位は小隊長。
貴族に嫌われて実力にそぐわない地位に押し込められている上に、
クソ上司にペンタゴン捕縛作戦失敗の責任を押し付けられ、
ゼス共同銀行に貯めていたへそくりはなんか盗まれたし、
気になっていた男の子は貴族の女の子とくっついてしまった。
その日の夜、何者かがたまったストレスを込めてぶっ放した白色破壊光線がマークの夜空を切り裂いたという。