【役に立つ魔法道具の偵察】
魔法使いのふりが出来る変な服のテストのついでに
首都の王立博物館を見学しよう
「はえ~これが王立博物館かー…おっきいねぇ」
あたし達の目の前には、巨大な建物がそびえたっていた。レッドのオレリィ大聖堂と同じくらいかな?
屋根が丸くなっていたり、ゼスでは高貴な色とされる紫色の建材がふんだんに使われていたりと豪華なつくりだ。
「ここが入り口か…む、看板があるぞ。【魔法使い以外立ち入り禁止】…不愉快な看板だ。叩き壊してやろうか」
「だ、ダメですよランス様…任務ができなくなっちゃいます…」
「そーだよお兄ちゃん。この博物館でその服のテストをするんだから」
「ちっ…夜中にこっそりションベンかけてやる…」
きちゃないことを言うお兄ちゃんはへんてこな服を身に着けている。アベルトさんたちが手に入れた『偽魔法使いの服』というアイテムだ。
これを着ていれば魔法センサーをごまかして、魔法使い以外進入禁止の場所に入れるのだという。
はたしてこの服が、本当にゼス各所に仕掛けられている魔法センサーをごまかせるのか?使う前に確認しよう…というわけで白羽の矢が立ったのがこの博物館。
なにしろ外国人にも一般開放しているので近づくのも容易だし、貴重品を守っているのでセンサーは最新式。まさにテストにはうってつけだ。
というわけで、服を身に着けたお兄ちゃんと魔法使い…シィルさん、そしてあたしでここまでやってきたのだった。
「入場券を買ってきましたよ。はい、二人とも。」
「うん、ありがと」
「うむ…しかしこんな服で本当にセンサーをごまかせるのか?」
「ダメだった時は…急いで逃げるしかないかなぁ…」
「ふん、そのときはあの看板も叩き壊してやる」
「やめましょうよランス様…」
「よし、いくぞ」
「「「…」」」
あたし達は、そーっと博物館の入り口…センサーの真下をくぐった。
「反応しないね」
「よかったです…」
「大丈夫みたいだな、ダニエルのクソジジイが何か細工してるかもと思ったが」
「うーん…流石にそんなことしないんじゃないかなぁ」
「ええ…ダニエルさんはランス様の事嫌ってますから…(ぽかり)きゃん!」
「余計なことは言うな、とっとと行くぞ」
いつものやり取りをしながら通路を進む。
「お、なんかポスターがある…【若き天才付与士ジョポンサイン会】…?」
「んー…なんだ、男か。どうでもいいな」
「あたしもこういう線の細いのはあんまりね」
「ふ、二人とも失礼ですよぅ…」
ポスターを通り過ぎると大広間があった。天井も高く、あちこちに大きな展示物が飾られている。
「わぁ…大きな骨格標本がありますね。」
「おお…確かにでかい。ドラゴンか?」
「これは恐竜だよ。あたし見たことあるもん。」
「あ、こっちに恐竜って書いてありますよ。どんな生き物なんですか?」
「えーと、頭は悪くて言葉を話したりしなくて…あと尻尾あたりのお肉がおいしいかな」
「なんでそんなこと知っとるんだ…」
「お兄ちゃんがあたしのこと蹴飛ばしたせいだよ…」
「うわっ!これは闘神じゃないか」
見ればイラーピュで戦った闘神がスペースに展示されていた。
「ランス様!危ないです!逃げましょう…」
「いや、これ展示品だし…」
「す、すみません…取り乱しました‥」
「イラーピュにあった奴と同じものか…まだあったとはな」
「流石に動かないとは思うけど…えーと、闘神ζ(ゼータ)…」
「発掘されたが、戦闘によって破壊されており動作不能…だそうです」
「死んどるということか」
「直ってるように見えるけど、展示するために外見だけ直したのかなぁ?」
「ふ、復活してきませんよね…」
「そうしたら俺様が倒してくれるわ。がははは」
「相変わらずのすごい自信だなぁ…根拠はないけど」
==============好感度上昇==============
エール FR==12+1/15
エール FR==13/15
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「おや…そこの3人はここに来るのは初めてかの?」
解説係のおじいさんが声をかけてきた。
「はい、私たち自由都市から見学に来たんです」
シィルさんがさらっと嘘をついた。まぁ嘘でもないけどね。
「ここはゼスが国を挙げて集めたマジックアイテムの展示をしておるのじゃ。例えばあれは、建国王パセリの7人の夫のうちの一人、モハンダスが使ったという杖でな」
「はえー…」
「えーい、そんなかび臭い話はどうでもいいわ」
「ラ、ランス様…」
「ふぉふぉふぉ…なんのなんの。この場にはこういった安全な物しか展示されておらんのからの。本当に危ないものは倉庫の奥の奥に封印されておるそうじゃ…」
「ふーん…どんなのかな」
「噂によれば、かの禁断の魔法ピカの書も収められているという…ああ…一度は見てみたいのう…禁断のアイテム庫…」
おじいさんはちょっとやばそうな表情でどっかに行ってしまった。
「おー…これが武器卵大か~…初めて見たけどでかいねぇ」
あたし達の目の前には武器卵大が飾られている。
「俺様もリアが寄こしたのを見た時以来だな、ランクはBか…ちょうど使えるな」
「えー…やめてよ?」「うーむ…」
二人で話しているとシィルさんがなんかあわあわしながらやって来た。
「ラ、ランス様…あっち、あっちに行きましょう。何かあるかもしれませんよ」
お兄ちゃんの背中をぐいぐい押すシィルさん。
「あん?なんだシィル…そっちに行かせたくない理由でもあるのか?」
「いえ、その…」
「えーい、どけ。さて、いったい何が…ん?あれは…」
「あっ、志津香さん」
そこにいたのはカスタムの魔法使い、毎度お馴染み魔想志津香さんだった。展示されている魔道書をしげしげと眺めている。
「ぐふふふふふ…」
お兄ちゃんはこっそり背後から近づいて…胸をわしづかみにした。あーあ。
志津香さんはお兄ちゃんとしばらくギャーギャー騒いだあと、ぷんすこしながらこっちに来た。
「ああ…貴方達も居たの…それじゃあね」
それだけ言って志津香さんはどこかに行ってしまった。
「なにしに来てたんだろ?」「旅行でしょうか?」
「ふふふ、あいつが来てるということはマリアも来てるかもしれん。探すか」
というわけであたし達は博物館内を歩き回った。
「…かにくいかゆかゆムシの化石…カイザーナックル…」
「わ、ムシが入ったボールが…珍しいムシの標本でしょうか?」
「なになに…超ムシムシボール…?武器なの?」
「どうやって使うのかわかりませんね…」
「こっちには星条旗があるぞ」
「どこの旗なの?」「さぁ…」
「おっ、学生の女の子がいっぱいいるぞ」
「社会科見学かな?」
「ぐふふ、かわいいのがいたらお持ち帰りするか…」
お兄ちゃんはその一団に近づいて物色していたが、一人の女子生徒が寄ってきてお兄ちゃんの服をつまみ、振り返ったお兄ちゃんと話し始めた。
なんか表情がひきつってるな…、あ、お兄ちゃん戻ってきた。
「どうしたの?」
「いや、離れよう。ちょっと苦手だ…それに、まあまあ可愛いがわざわざ持ち帰るほどではないしな…」
ふーむ。ピンク髪のすこし太めの女の子で、ぽちゃぽちゃして可愛かったけどお兄ちゃんの趣味ではないらしい。
その子はメガネのデコ出しの女子生徒と話しながら去っていった。
なんかどっかで見たような気がするな。まあいいか…
「なんだこれは…おもちぽいぽい?」
「おもちをすごい速度で連射できるそうです」
「ちょっと面白そうだが…おもちがもったいないだろう、いらんな…お、剣があるぞ。」
「…DALKソード。力を引き出せるのは女剣士だけ…へーっ」
「エールちゃんは扱えるんじゃ?」
「うーん、もうちょっと細身なのが好みかなー」
「男はお断りか、つまらん…がちょっと欲しいな」
「むっ、あの青髪に色気のない作業着でも隠しきれん尻のでかさは…」
喋りながらうろついているとお兄ちゃんが反応した。
「あ、マリアさんだ」
ケースに収まった石…あれはヒララ鉱石だな。それの前で真剣な顔をしている。
「うーん…この大きさと純度…うーん…」
「どうした、その石に穴でもあけたいのか」
「へ?わ、ラ、ランス…なんでこんなところ…に………ぷっ…何その恰好…」
お兄ちゃんに声をかけられたマリアさんは驚いて振り返り…ちょっと噴き出した。
「仕方ないだろ、これを着ないとここには入れんのだ」
「ああ、ランスは魔法使いじゃないもんね…え?でもその服だと入れるの?」
「偽魔法使いの服といってセンサーをごまかせるそうだ」
「へー…どういう仕組みなのかな…」
「お前も何とかの指輪で魔力を無くしたんじゃないのか?」
「あーうん、魔力はほとんどなくなったけど…まだ一応魔法使いではあるの」
「こんにちは、マリアさん」「こんにちはー」
会話がひと段落したところであたし達も挨拶した。
「あ、シィルちゃんにエールちゃん。こんにちは。」
「ゼスには何しに来たんです?」
「志津香と一緒に旅行なの。で、志津香がここに来たいっていうから付き合ったんだけど…」
「ヒララ鉱石を見つけて固まってたんですね…」
「あはは…うん、これがあったらあれもこれも、いろんな物が作れるのになぁ…」
「そんなに珍しいもんだったっけ?アイスの烈火鉱山で取れるんじゃ?」
「それが、掘りつくされちゃったのかあんまり取れなくなっちゃったのよ…」
がっくりするマリアさん。それを見たお兄ちゃんは一歩前に出て…
「ふーん。よし、じゃあ俺様がプレゼントしてやる」
「「えっ」」「あ…ダメですランス様ぁ!」
なんとヒララ鉱石をひょいと手に取ってしまった!
「きゃー!何してるの!早く置いて!」「展示品だよ!」
「誰も見てないし、取ったって…」びーっびーっびーっ!
お兄ちゃんの言葉はやかましい警報で遮られた。
警報を聞きつけて志津香さんが走ってきた。
「ちょっ…なんでまたアンタたちがそろってるところで警報が鳴ってるのよ!」
「す、すみません…」
「シィルちゃんのせいじゃなくてそこのバカのせいでしょう!」
「バカとはマリアのことか?」
「あんたのことよ! エール!あなたもちゃんとバカ兄のことを見ておきなさいよ!」
「面目ない…ってあーっ!」
頭を下げた拍子に、入り口から魔法メイトがたくさん押し寄せてくるのが見えた!
「どわっ…えーい!戦うぞ!マリア!志津香!手伝え!」
「えーっ!」「本当に疫病神ね!」
あたし達は武器を抜いて立ち向かった!
「で、どこなのここは…村?」
魔法メイトを全滅させた後、次が来る前にマリアさんと志津香さんと一緒にダッシュで逃げたあたしたちは、アイスフレームのアジトに戻ってきていた。
「ここはレジスタンスのアジトだ。俺様は正義のための解放運動をしているのだ」
「えっ…?レジスタンス!?ここってペンタゴンのアジト?」
マリアさんが反応して声を出した。
「いや、アイスフレームって名前だよ」
「そ、そうなんだ…(ほっ)でもアイスフレームかぁ…聞いたことないなぁ…」
「レジスタンス…こんどは何を企んでるのよ」
「ふーむ…」
お兄ちゃんが二人をじろじろと見る。
「よし、お前たちも俺様の仲間に加えてやろう!」
「えー?!」「嫌よ!」
「がはははははははは!」
そのあと、博物館での騒ぎでカメラに顔が映ってしまったこともあるし、ほとぼりが冷めるまでしばらくアジトに居よう…となってるうちに、
マリアさんがお兄ちゃんにほだされ、志津香さんはマリアさんが残るなら仕方ない、ということで、結局二人ともアイスフレームに参加することになってしまった。
マリアさんはともかく、ザ・魔法使いみたいな恰好の志津香さんはちょっと変な目で見られてるけど大丈夫かなぁ…
こういう会話回って結構好きなんですよね…
ピンク髪の太めの女の子、エロピチャはランスの偽魔法使いの服を初見で看破してランスをビビらせました
騒いだりしたかったので事なきを得ましたが
ペンタゴンに関してはろくでもないテロばかりしているので
国外の新聞で目にする機会もあるでしょう
誤字報告ありがとうございます。いつもありがたいです。
評価、感想、お気に入り、ここすき等リアクションも大変嬉しいです。
引き続き頑張りますのでよろしくお願いします。