【二章完】ちょっと早めのエールちゃんの冒険   作:砂嵐36

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ー任務表ー
【サーナキア任務横取り】

アイスフレームをクビになった連中が秋の森で野盗になっているそうだ
サーナキアさんたちシルバー隊が討伐に向かったが、うまくいっていないらしい
あたしたちでボコボコにしよう


9.エールちゃんは秋の森に行く

「よし!こんどこそ成功させる!皆、抜かるなよ!」

「「「おーっ」」」

広場を通りかかると、サーナキアさんと彼女が率いるシルバー隊の皆さんが気勢を上げていた。

なんか前にお兄ちゃんが放り出したらしいテフロンちゃんも元気そうに手を突き上げている。

「こんにちは、サーナキアさん」

「むっ…エールか。すまないがこれから出撃なんだ」

「あー…気をつけてくださいねー」

「ああ…よし!では、いくぞー!」「「「おーっ」」」

でーでーででででーっかーんででででーという感じにシルバー隊は出撃していった。

「さーて、今日は任務もないし。どうしようかなぁ…」

なんとなくだけど特訓するとスキルが覚えられる気がするんだけど…なんかやる気が出ないなぁ…

「むっ…サーナキアちゃんたちは行ったところか」

そんなことを考えていると、後ろから声がした。

「あれ、お兄ちゃん。どうしたのこんなところで?」

お兄ちゃんの後ろにはシィルさんやロッキーさん、そして青黒緑の三人娘が付いてきている。

「うむ、ちょうどいいところにいたな。秋の森に向かうぞ」

「え?なんで?指令でも来たの?」

「ぐふふふふ…それがな…」

 

お兄ちゃんのいう事によると、前にお兄ちゃんがまとめて首にしたアイスフレームの男どもが秋の森にアジトを作って周辺の村やらなんやらを襲って迷惑をかけているらしい。

んで、サーナキアさん率いるシルバー隊が交渉、ダメなら武力でとにかくやめさせるようにと出撃したのだが…なんでもハニーを引き連れた女魔法使いが用心棒についていたとかで、返り討ちに会ってしまったようだ。

なんとなくサーナキアさんは魔法抵抗が低い気がするので魔法使い相手には分が悪いかな…

それにしちゃケガもしてなかったしさっきも元気いっぱいに出撃していったけど…手加減されたのかな?

 

「へー。じゃあお兄ちゃんはサーナキアさんを助けに行こうとしてるんだ。」

「がはははは、違う。俺様が先にスパーっと解決してやつに恥をかかせてやるのだ」

「えー!?任務じゃないんだ…じゃあメンバーが足りないのは…」

「マリアと志津香にカオル、ほかの男連中は任務じゃないなら付き合わない、とか言うのだ…まったく俺様に逆らいおって」

「「…」」

後ろを見ればロッキーさんとシィルさんは仕方ないなぁ、という顔をしていて、3人娘はそれぞれ諦めた顔と眠そうな顔と笑顔だった。

「というわけでエール、お前も来い。」

「うーん、まぁいっか。はーい。」

どーせヒマだしね。あたしも仕方ないなぁ、という顔をしてついて行くことにしたのだった。

 

秋の森はなんでか知らないがずっと秋の不思議な森だ。

ずっと紅葉だし、栗もきのこも梨も取り放題なんだけど…モンスターはいるし、実際に秋なとき以外はおいしくないので誰も取りに来ない。景色はいいんだけどね。

「さて、サーナキアちゃんたちはどこかな」

「うーん、わかんないけどとりあえず歩き回ってみようか」

あたし達は落ち葉を踏みしめながらさくさくと探検し始めた。

 

入ってしばらく歩いたところに石造りの地下への入り口があって、すわアジトかと下りて行ったらなんとAL教の教会があり、お年寄りが数人とおじいさんの神官が居た。

こんな辺鄙なところにも教会があるんだなぁ…と驚いていると、お兄ちゃんがジジイに用はないと失礼なことを言ったので謝り、ついでにお祈りをしておいた。

 

そこから少し進むと厳重に柵で囲まれた大きな建物があった。

「なんだろうこの建物…」

周りにはまだ咲いてないけど桜の並木が並んでいる。

「軍事施設って感じじゃないな…」

「あっ、看板があるだすよ」

「『ハニー造幣局』…へぇー!ここがGOLDを作ってるっていうハニー造幣局なんだ!」

「おお、では中にはきっとGOLDがたっぷりあるに違いない。乗り込んで分けてもらおう」

「ラ、ランス様、危ないですよ…」

「ええいやかましい、どうにか…」

お兄ちゃんは柵を壊そうとしたり登ろうとしたりしたが、不思議とうまくいかなかった。

「ぜぇぜぇ…ダメだなこれは…」、

「GOLDを作る仕事は神様から任されてるものだから、造幣局で働くハニーには不思議な力があるらしいよ。そういう力で守られてるんじゃないかな」

「ううむ…仕方がない。なにかで入れるチャンスを待とう」

 

その後ロッキーさんが無気力キノコを踏んで何もかもめんどくさくなって倒れたのをみんなで励ましたり、襲ってきたチキチキンマシンやらヤンキーやらをしばき倒して歩いていると、とうとう森の中を進む一団を見つけた。

「おっ、サーナキアちゃんじゃないか」

「ランス…何をしに来た?」

サーナキアさんは最初からけんか腰だ。まぁイラーピュではいろいろあったもんね。

「ふっ、君を助けに来たんだ。用心棒に返り討ちにあったっていうじゃないか…」

「いらん、ついてくるな」

お兄ちゃんが精いっぱいのイケメンフェイスで繰り出した台詞をすぱんと切り捨て、サーナキアさんは隊を引き連れて森の奥に進んでいってしまった。

 

「うーん、取り付く島もありませんね」

「しかし、一度負けたっていうのに無策で突っ込むのは相変わらずのぼたん頭だな…」

「サーナキアさんもまぁ…弱くはないんだけどねぇ…」

 

あたしはサーナキアさんが剣の訓練をしているのを何度か見たことがある。

その上での感想なのだが…剣の才能自体はそこそこあるけど、筋力が足りない。

正確には、筋力自体は女性としてはある方だが、重い鎧を着こんで剣を振り回す古い騎士スタイルをやるには足りていない。

それなのに無理にやるもんだから、重装備の割に剣に体重が載らず、フットワークも鈍い。そもそも鎧が体に合っていない上に古すぎて性能が悪く、動きがさらに鈍くなる。

どんな体勢、どんな状況からでも全体重を乗せた一撃をブチ込めるお兄ちゃんとは大違いだ。いや、それはお兄ちゃんが凄いんだけど。

中途半端な剣の才能とそこそこの才能限界のせいで、そんな状態でもその辺のモンスターくらいには勝ててしまうが…

はっきり言って才能の無駄遣い。

おそらく軽い鎧と細い剣を使う…リーザス親衛隊みたいな感じの剣術を身に付ければ結構強いのではなかろうか?

そういうことを遠回しに伝えても、騎士の名誉だとかなんとか言って聞く耳持たないし…石頭なんだよね。あの人。

別に200年も石化してたからってわけじゃないんだろうけど。

で、今もその石頭っぷりを発揮して、前に負けた相手に無策で突っ込もうとしてるわけだ。

 

「まぁいい、あいつらがあっちに行ったということは目標のアジトもあっちに違いない。どんどん進むぞ」

「はい、ランス様」「おーっ」

道中もモンスターをしばきつつ進んでいると、道のわきに宝箱が転がっていた。

「おっ、宝箱か。シィル、開けろ」

「はい。これは…鳶玉ですね。」

「ああ、あの訳の分からん玉か」

「へー、これが冒険功績でもらえるっていう…」

青い半透明の球体の中にデフォルメされたトリが閉じ込められている。

「たしか、結構レアな奴だよね。鳶って」

「まぁいい、とりあえず荷物に入れとけ。いいことがあるって話だしな…」

「はーい…あっ」

「今度はなんだ」

「なんか古い砦あとみたいなのがあるね」

あたしは森の切れ目から見えるレンガ造りの廃墟を指さした。結構大きいな…

「む、確かにあるな…人の出入りもありそうだ。アレが美人用心棒のアジトに違いない!」

「悪くなったお仲間をやめさせるんじゃなかったんだすか?」

「がはははは、そんなものどうでもいいわ!行くぞ!」

 

「あっ!お前らは…!」

砦跡に足を踏み入れると、すぐに戦闘ジャケットを着こんだ男たちに遭遇した。

「この間解雇された人だすな」

「おお、じゃあターゲットだな。今すぐ死ぬか俺様の慈悲を受けるか選べ」

「何が慈悲だ!アイスフレームのために頑張ってきた俺たちをあっさり切り捨てやがって!だから俺たちは新しいレジスタンスをここに作るんだ!」

「だからって近くの村を襲ったりしちゃだめでしょ…」

「うるさい!大事の前の小事なんだよ!」

「ふん、何がレジスタンスだ。ただの盗賊だろうが」

「く、くっそおおおおおおおおおおおおお!黙れ!」

男たちは剣を抜いて斬りかかってきた!

 

「…えい」ずばーっ「俺の股間はあいつの物…」ばたり

「え、何言ってんのこの人…」

へろへろと突き出された剣を弾いて、適当に肩のあたりをさっくりやると元レジスタンスの男は変なことを言って倒れた。

ていうか…弱いな!びっくりするほど弱い!

「ふん、歯ごたえのない」当然お兄ちゃんは歯牙にもかけず、何人も切り捨てているし、

「…ぐぅ…」「くっ…間合いが読めん!」うろうろ

あっちでは居眠りしているセスナちゃんに対してへっぴり腰で剣を突き出したままうろうろしている奴までいる。

クビになったのは少しは同情してたけど…こりゃしょうがないなぁ…

「くそっ!かなわねぇ!逃げろ!」「先生を呼ぶんだ!あの人なら…」

残った男たちは逃げ出していって、あたし達は剣を収めた。

「先生って言うのが用心棒かなぁ?」

「いくらサーナキアちゃんでもあいつらに負けるとは思えん。そこそこやるかもしれんな」

あたし達は砦跡の探索を始めた。

 

「お、この部屋は気になるな、調べてみるか」

お兄ちゃんが目を付けた部屋はボロボロで、壁の大きい隙間から外が見える。

ちょっと湿っぽいし、なんか入りたくないな…

「あたしは廊下で見張ってるよ」

あたしは部屋に入らずに外で待つことにした。

「特に金目のものはないな…」

「何かスイッチがあるだすよ」

「ほう、押してみよう…ぽちっとな」

「あっ…」

がしゃん!と音を立てて部屋の入り口に鉄格子が下り、あたしはみんなと分断されてしまった!

「もー!怪しいスイッチを勝手に触らないでよ!」

「なんだこりゃ。おい、スイッチをもう一度押せ」

「ダメですランス様、動きません」

「鉄格子も…(がしゃがしゃ)うん、壊れそうにないなぁ」

「ちっ、面倒だが仕方ない。おい、エール。この隙間から外に出てぐるっと回ってくる。そこで待っとれ」

「分かったー。気を付けてね」

お兄ちゃん達は壁の隙間からぞろぞろと外に出て行った。

「さて、みんなが来るまでどうしようかなぁ…」

ヒマだし、干しプリンでも食べようかな、と思った矢先。

「あの…貴女が悪い宇宙人さんですか?」

あたしの後ろから、女の人の声が掛けられたのだった。




以下、妄想です。

ナターシャ
LV12/31
弓1 家事1

グリーン隊に当初配属されたケバい顔立ちの女レジスタンス。
療養中のウルザを除けばアイスフレーム内でも一二を争う弓の使い手。
男に尽くすタイプで家事もうまく、才能限界も高い優秀な人材だが
ランスの好みではなかったのであっさり放り出されてフェードアウトした。
その後、ダニエルとウルザの直属として働き、ゼス脱出集団にも参加。
そこで出会った青年と結ばれて寿引退したが、第二次魔人戦争では復帰し、ゼス自動開放時のアイスフレームの魔物大将軍討伐にも参加する。
実はメイクを落とせばランスの射程圏内。


テフロン
LV14/25
ガード1 簿記1

グリーン隊に追加配属されたおかっぱ出っ歯の女レジスタンス。
立ち回りがうまく、小さい盾で攻撃をいなすのが得意。
よくしゃべるタイプで明るく、仕事には忠実な良い人材だが、
ランスの好みではなかったのであっさり放り出されてフェードアウトした。
その後、シルバー隊に参加してサーナキアの七転八倒に付き合った挙句、
跳躍の塔でパパイヤに取っ捕まり、肉部屋の壁材にされてしまう。
その後正気に戻ったパパイヤが部屋を解体した時にも生きてはいたが、死んだほうがマシな状態であったので、本人同意のもと安楽死の処置をとられた。
ランスの射程圏外だが、1週間くらい禁欲すればイケる。


ランチ
LV12/44
短剣1 魔法1

グリーン隊に追加配属されたピンポン球アイの女レジスタンス。
小柄で素早く、器用なので工作員の真似事もできる。
男の趣味があまり良くなく、ランス隊長ってけっこういいなーなどと思っていたが、
ランスの好みではなかったのであっさり放り出されてフェードアウトした。
その後、ブルー隊に加入し数々の作戦に参加するが、
王者の塔でアニスの黒色破壊光線の直撃を食らい蒸発した。
二級市民ながら魔法試験に合格できそうだったが、嫌がらせで受験できずに不合格となった過去がある。
ランスの射程圏外だが、目隠しすればイケる。
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