【二章完】ちょっと早めのエールちゃんの冒険   作:砂嵐36

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ー任務表ー
【サーナキア任務横取り】

アイスフレームをクビになった連中が秋の森で野盗になっているそうだ
そいつらは弱いけど女用心棒がいて、結構強いらしい
美人かもしれないとお兄ちゃんは張り切っている


10.エールちゃんは用心棒と戦う

「あの…貴女が悪い宇宙人さんですか?」

後ろから声をかけられ、振り向くとそこには和服に身を包んだ金髪ロングの長身の女性が立っていた。

手には薙刀、後ろにはハニーとレジスタンスの男どもを引き連れている。これは…

「貴方が用心棒のハニー連れの魔法使い…!?」

「あ、はい…一応そういう事になっています…。それでですね、どうか人類皆殺しをやめていただけないでしょうか…?」

「…はぁ?」

何言ってんだこの人…?

「ええと、皆さんは悪い宇宙人さんで、この世界を征服して人類を皆殺しにするために、まずこの砦を攻めてきているのですよね…?」

「え…えーっと…とりあえずあたしは宇宙人じゃないんだけど…」

どこから突っ込んでいいのかわかんないけど、なんで世界征服をたくらむ軍勢がこんなおんぼろ砦を狙うんだ…

「え…?そうなのですか?」

女性は目を丸くする。

うーん…もしかしてこの人騙されてんのかな…なんか人のよさそうな顔してるし…

しかし、あたしが説得しようと口を開く前に後ろの男が口を開いた。

「騙されちゃダメですぜリズナ先生!その女はきっと宇宙人に操られているんですよ!」

「そうなのですか?ブッシュさん」

「ええ!遠くから何か巨大な存在に操られているみたいな顔してます!」

ブッシュとかいう男は勝手なことをまくしたてる。

どんな顔だそれは…あたしが口を挟む前に男達もやいのやいのと騒ぎだした!

「そうだそうだ!そして操り主はきっとこの世界を自分の玩具みたいに思っているに違いない!」

「遊び方の趣味が悪いんだよ!もっと大事に遊べ!」

「お前の部下KYとか性格悪いのばっかじゃねぇか!真面目なのも男ができたら即色ボケするし!」

「次がイカはないだろイカは!頭おかしいのか!」

「図体ばっかりでかいくせに言葉遣いがガキ臭くて気持ち悪いぞ!」

「年下のママにお尻ペンペンしてもらえ!」

「…ぐっ…身に覚えはないけどなんかやたらムカつく…!身に覚えはないけど…」

あたしがぐぬぬ…となっているとリズナというらしい女性は一歩前に出た。

「そういうことでしたら…すみませんが、追い払わせてもらいますね…」

「むっ…」

軽く足を開いて薙刀を構えた姿は…存外に隙が無い。けっこう強そうだ。

ちょっと手加減は出来そうにないかな。あたしも双剣を抜いて構える。

「やっちまってくださいリズナ先生!」

「はい…ではいきますね…」

じり、と間合いを詰めてくるリズナ。

あたしの剣はちょっと短い。薙刀相手だと間合いが不利だ。

…ここはひとつアレでいくか。むにゃむにゃと口の中で呪文を唱え…

「雷の矢!たあああああ!」

あたしは魔法を放ち、間髪入れずに峰を返して斬りかかる!

「わっ…」ばちん「へっ?」

雷の矢が直撃したのに顔色も一つ変えない!

「やぁっ!」キィン!

薙刀が振るわれ、あたしの打ち込みはあっさり弾き返された!

なんつー魔法抵抗!イラーピュのディオ並みか!?

「えい!はっ!たぁ!」「ぐっ!わっ、ひゃあ!」カン、キィン、ぶん!

そのまま踏み込んだリズナが薙刀を縦横無尽に振り回してくるのを、あたしは必死に受けてかわす!

やっぱリーチが違いすぎる!このままじゃジリ貧だ!やるしかない!

「っでぇえい!」ギャリン!「あっ…」「でやーっ!」

あたしは気合いを込めて薙刀を片手の剣で受け流した!即座にもう一方の剣で切りつける…が。

「はいっ!」どごっ!「かはっ…」

薙刀がくるりと回り、石突があたしのみぞおちを直撃した!肺から空気が押し出され、動きが止まる。

「はぁ!」ぶぉん!「くっ…(どんっ)あうっ…」

続く斬撃を辛うじてかわすが、背中が壁に当たる。

「…」(ぴたり)「うっ…」

顔を上げたあたしの目前に刃が突きつけられた。

「すみません…これであきらめてくれませんか…」

「うー…」からんからん

仕方ない。あたしは観念して両手の剣を落とした。

「やった!さすがは先生だ!」

「魔法が効かないなんて!どうなってるんだ!」

「王にも勝てるんじゃないか!?」

「はにほーはにほー」

「リズナすごーい」

後ろで男共とハニーが好き勝手にきゃっきゃっと騒いでいる。ぐぬぬ…

「あんなちんちくりん女とは比べ物にならないぜ!胸は大きいし美人だし!」

「胸の大きい美人だとーーーーーーーーー!!!!」

その時、大声をあげながら誰かが突然飛び込んできた!

「お兄ちゃん!?」

「くっ!グリーン隊の!リズナ先生!こいつもやっちまってください!」

「がはははは!君が女用心棒か!確かに美人だ!まるでリズナみたいな…って、リズナではないか」

「へ…ランスさん…?」

お兄ちゃんとリズナ…さんは目をぱちくりとさせた。

「大丈夫ですかエールちゃん…いたいのいたいのとんでけー…」

シィルさんがヒーリングをかけてくれる。

「ありがとう…あの人知り合い?」

「ええ、前に玄武城という場所で…」

「あー。去年のお正月に聞いたような…」

たしか閉じ込められてた女の子を助けたと聞いたな。

「ランスさん、あなたも宇宙人に操られてるんですか?」

「宇宙人…?んなわけないだろう。また騙されとるのか」

「え…私また騙されてしまったのですか?」

「ち、違う!そいつらは本当に宇宙人で…!」

「で、リズナ。そいつらと俺様と、どちらを信じるんだ」

「え…えーと…うーん…すみません」

リズナさんはととと、とお兄ちゃんのそばに駆け寄った。

「うわーっ!先生が裏切った-!」

「もうだめだー!逃げろー!」

男達はとっとと逃げてしまった。

「…私、悪いことをしてしまいました…」

「悪いのは騙した奴らだ、気にするな」

しゅんとするリズナさんをお兄ちゃんがなぐさめる。

リズナさんは顔を上げ、はっとこちらを見た。

「あ…その、先ほどはごめんなさい。お腹は大丈夫ですか?」

「うん。もう平気だよ。ヒーリングしてもらったし…」

「がははは、そいつは頑丈だからな。気にせんでもいい」

「そうなんですか?」

「いや、まあ気にしないでいいけどさあ…あ、あたしエール。ランスの妹なんだ。よろしくね」

「まぁ、ランスさんに妹さんが…リズナと言います。よろしくお願いします。」

リズナさんは頭をペコリと下げたのだった。

 

リズナさんは事故で飛ばされた玄武城に30年くらい閉じ込められていて、そこでは歳をとらない魔法がかかっていたために見た目は若いが50歳くらいらしい。

で、お兄ちゃんに助けられたあとゼスの実家に戻ったが、ご両親は既に他界して実家もなかった。

頼れる人もおらず、途方にくれていたら元レジスタンス連中に襲われて、返り討ちにしたところ彼らに用心棒になってくれと頼まれ、今に至るのだそうだ。

 

いく当てがないリズナさんは、お兄ちゃんに誘われてアイスフレームに加わることになった。

正直ほっといてもまた悪いやつに騙されそうだしね。お兄ちゃんのそばにいる方がいいだろう。

ハニーたちもリズナさんがどこかに行くと知って手(?)を振って去っていき、あたし達は秋の森を後にしたのだった。

帰り際に、森の反対側あたりに突然雷が集中的に落ちまくったのは驚いたけど、何だったんだろうか?

 

アジトに帰ったあと、サーナキアさんが文句をいってきたり、魔法使いを勝手に仲間にいれたことでひと悶着あったようだが、ウルザさんの判断で問題なし、ということになったそうだ。

このまま手続きをするというリズナさんと別れ、あたし達はアジト内を歩いていた。

「がはははは、サーナキアちゃんの吠え面も見たし、リズナも助けた。お礼にあのエロい体を今晩にでも…ぐふふふふふふ…」

お兄ちゃんは上機嫌で笑っている。タグが面倒になりそうだし、部屋には近寄らんでおこう。

「そういえば途中でなんか拾ったよね」

「おお、あの変な玉があったな。ちょっと見せてみろ」

「は、はいだす、ランス様…えっ?」

ロッキーさんが荷物から鳶玉を取り出した瞬間、鳶玉はぴかーっと光を放った!

「うおっ、まぶしっ…ん?鳶玉はどこだ?」

「急に光って消えてしまいました…」

なんだろ?なにかが変わったというわけでもなさそう…あれ?

「…………………………」

「なんだそりゃ、どこに行った…?ん、どうしたエール、急に黙って…」

「と…」

「と?」

「特訓してェ~~~~~~~~~!!!」

「エ、エール様が毒が裏返った地下格闘場のチャンピオンみたいな顔になってるだす!」

光を浴びた瞬間、なんか突然特訓をやりたい気持ちがめちゃめちゃ湧いてきたのだ!

「特訓したい!特訓したい!特訓したい!したいったらしたい!」

「やかましいわ!勝手にやって来い!」

「うおおーーーーーっ!」

あたしはアジトの外れに向けて駆け出した!

 

「なんだったんだ?」

「これが鳶玉の力なんでしょうか…?」

 

============☆☆スキルGET!☆☆==============

 【 エール 】が技を覚えた。 

  AL魔法剣を取得 

======================================

 

==============好感度上昇==============

エール FR==13+1/15

エール FR==14/15

=====================================

 

いつの間にか日は傾いて暗くなりかけていた。

「うひー…つかれたー…」

久々に一心不乱に剣を振って汗びっしょり。くたくだだが、特訓はうまくいっていい気分だ。

丘の上で寝っ転がって休んでいると、誰かが近づいてきた。

「あれ?アベルトさん。」

「やぁ、エールちゃん…訓練ですか?精が出ますね。」

やってきたのはニコニコ笑顔のアベルトさんだった。

「はい、急にやる気が出て…アベルトさんは任務帰りですか?」

「ええ、まぁそんなところです…もう日が暮れますし、もう部屋に戻ったらどうです?」

「はい、そのつもりで…あっ…」ふらっ「おっと」

立ち上がろうとしてよろけたところをアベルトさんに受け止められる。

…そんなに筋肉があるイメージではなかったけど、案外力強いな…

「大丈夫ですか?」「あ、はい…すみません…」

「良ければ、部屋まで送りますよ」

「いいんですか?ありがとうございます」

あたしは、アベルトさんとその日あったことを話しながら部屋まで戻ったのだった。

リズナさんの事をしゃべったらちょっと不思議な顔をしていたけど、なんだったんだろう?




AL魔法剣
ため1 2倍攻撃+自分ヒーリング
命中基礎値90

以下、妄想です。

ブッシュ
Lv2/3
話術0

二級市民のチンピラだったが、善良な一級市民相手に詐欺を働いて普通に治安隊に捕まり、投獄されたところを別の人を救出に来たペンタゴンによりついでに解放されてそのまま入団。
適当に働きつつうまい汁を吸うがテロが本格的になってきたのが怖くなりアイスフレームに移る。
ペンタゴンと違って女団員が少ないし溜まるので、この際子供でもいいやとカーマやアルフラに目を付けていたらキムチさんが相手してくれるようになり、よく通っていた。
首になった後も働く気になれず、同じような連中と野盗をやっていたらリズナに出会って仲間に引き込む。
リズナをだましてどうにか抱けないかと思っていた。

逃げ出した後、仲間と一緒に突然の雷に打たれて死亡。
なぜかは不明だが、彼と仲間たちの魂の転生先は、この先1万回連続でさけび男やくさった死体、ゲイツMe、いやなやつなどのろくでもない男の子モンスターばかりになっているらしい。
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