【エミの挑戦状】
前にお兄ちゃんがお仕置きし損ねた刑務所長のエミ
彼女にカーマがさらわれて、キムチさんはひどく取り乱している
早く安心させてあげないと
治安本部から帰ってから数日がたった。
うし乳を持ってきてくれたアベルトさんが言うにはペンタゴンの連中が何やら企んでいるらしく、情報収集や工作担当のブルー隊はウルザさんの命令でずっとドタバタしているそうだ。
とはいえ、あたし達グリーン隊には特に仕事もなかったのでのんびりしている。休息も大事なのだ。
そんな日々の昼過ぎごろ、暇だったあたしはランスお兄ちゃんの部屋を訪ねた。
「お兄ちゃーん。シィルさーん。いるー?」
扉の前で呼びかけたのだが、返事がない。気配はあるんだけどなぁ?
ドアノブを捻ってみるとがちゃりと普通に開いた。
「お兄ちゃん、ヒマ~?ヒマならちょっと…」
「許さんぞーーーーーーーーーーーーーーーー!」
兄は部屋の中で、なにやらめちゃめちゃキレていた。
「シィルが他の男に抱かれるなど俺様は許さーん!」
「えっ…なんの話…?」
「どりゃーーーーーーーーーーーーーーー!」どばーん!
「きゃーーー!」ぐるぐる
すごい勢いでびゅーっと部屋を飛び出していくお兄ちゃんの勢いで、あたしはその場でぐるぐる回ってしまった。
「うおおおおおおおおおおーーーー!」
「ううう…なんなの…?」
あたしは訳も分からず目を回してそれを見送った。
あとで聞いた話だと、どうもタマネギさんにシィルさんをいつもほこほこあへあへの穴奴隷に調教してもらおうとしたのだが、その過程でタマネギさんや他の男にシィルさんが犯されてしまうことに気がついた…ということらしい。
わが兄ながら、そしていつものことながら理不尽な話だが、シィルさんに手を出したことになったタマネギさんは殺されちゃったかもな…と思ったけど、普通に無事だった。
体のチェックくらいでまだ手を出していなかったのと、やっぱり猥談友達だから多少の融通は効くのかもしんないな。
ほかには、森の方でいきなり爆発があって行ってみたらぼろぼろの志津香さんが倒れていたり(理由は教えてくれなかった)、
ロッキーさんの斧ブーメランの特訓に付き合ったり、
シィルさんと魔法の練習をしたりして過ごしていたある日。
「カーマー!どこー?」
「カーマちゃーん!そろそろお昼だよー!」
「こんにちはー。郵便ですよー」
朝から見当たらないカーマをキムチさんと一緒に探していると、郵便屋さんの等々力さんがやってきた。
「お手紙ですか?」「はいこれでーす。」
渡された無地の封筒にはアイスフレーム孤児院宛てとだけ書かれている。
「誰からだろ?」「さぁ…えーっと、ハサミハサミ…」
キムチさんはハサミを取りに孤児院に向かっていった。
「では、確かに届けましたので、それでは~」
等々力さんはいつもながら人間とは思えないスピードでピューっと去って行く。
流石は郵便屋さんだ。すごい頑張ってるなぁ。
「なんか女の匂いがするな」
入れ替わりにやってきたのはお兄ちゃんとシィルさんだ。
「郵便屋さんがさっきまで来てたよ。ところで、カーマちゃん見なかった?」
「カーマ?ああ、あの女の子か。どうかしたのか」
「今朝から姿が見えないの。いつもみんなの面倒を見てくれるいい子なのに…」
「ほーん。まぁあの年頃だ、一人になりたい時もあるんだろ」
「そんなもんかなぁ…」
適当なことを抜かす兄に調子を合わせていると、顔を真っ青にしたキムチさんが走ってきた。
「あっ、ランス…!見てこれ!カーマが…カーマが…」
『カーマは預かった、返してほしければムシ使いの村跡にランスが一人で来るように エミ・アルフォーヌ』
届いた手紙…いや、脅迫状の内容はこうだ。
「女の子刑務所のエミちゃんか…前は犯すまではいかなかったが…」
「恨まれてるとは思ってたけどこんな手段に出てくるなんて…」
「ねぇ…ランス…!あんた、強いんでしょ!?カーマを…カーマを助けてよ!ねぇ!」
真っ青なキムチさんががくがくとお兄ちゃんを揺さぶる。
「うむ、もちろんカーマは助けてエミちゃんはお仕置きだ。俺様に任せておけ!」
「…わ、わかった…お願いね…」
お兄ちゃんがいつもの根拠のない自信に満ち溢れた態度で返すと、キムチさんは少し落ち着いたようだ。
こういう時頼りになるんだよね、うちの兄。
というわけですぐに出発したあたし達はムシ使いの村まで来た。
入り口近くに看板があり、『ここから先はランスひとりで来るように。ほかの連中はここで待ちなさい』と書かれている。
「どうせばれないだろうから、ってここまで皆で来たけど…」
「何かの手段で見張られているみたいですね…どうしますか、ランス様?」
「ちっ、癪だが言うとおりにするしかあるまい。…おい、プリマ」
「え、何…?」
「世色癌を寄こせ。持ってるだろ」
プリマさんの救急箱に勝手に手を突っ込んであさるお兄ちゃん。
「ちょっと…勝手に…」
「お、あったあった。んじゃ、スパーっと取り戻してくる」
世色癌をいくつかカツアゲしたお兄ちゃんは、剣を担いで村内に入っていった。
「はらはら…心配です…」
「待つしかないよ…」
あたし達はキャンプを張って待つことにした。
そして小一時間ほどして、お兄ちゃんは戻ってきた。背中にはカーマを背負っている。
「あ、戻ってきた…カーマちゃんは…気を失ってるだけか。」
「ランス様、大丈夫ですか?顔色が…」
「あー…うむ、それがな…」
かったるそうなお兄ちゃんが説明してくれたことによると、カーマを見つけたお兄ちゃんはドルハンと戦闘になり、不意を突かれて毒を受けてしまったそうだ。
倒れて動けなくなり、死ぬところだったんだけど、女の子が現れて解毒剤を飲ませてくれた。
それで回復したお兄ちゃんは、本調子ではないしとりあえずカーマを背負って来た…ということらしい。
「いたいのいたいのとんでけー…なるほどね、そういう事だったんだ」
「いたいのいたいのとんでけー…ランス様がご無事で何よりです」
お兄ちゃんが説明している間にシィルさんと両側から二人がかりでヒーリングをかけまくり、だいぶ顔色も良くなってきた。
「よっ…うむ、大丈夫そうだな。よし、それじゃあもう一度村に入るぞ」
立ち上がったお兄ちゃんはこともなげに言った。
「え?どうして?」
「俺様があそこで死んでなかったなら原因を探すだろ。俺様を助けたあの子が危ない。」
「あーそっか…」
「それにエミをほっといたらまた何かしてくるかもしれんしな。今回で決着をつける」
成程それはもっともだ。あたし達は頷いて立ち上がり…
「あー…おい、ロッキー。」「へ?なんだすか?」
お兄ちゃんがロッキーさんを呼び止めた。
「カーマを連れてアジトに戻ってろ。キムチさんが心配するし」
「へ、お、おら…ランス様の役に…」
「足手纏いだ」「あ、あうあう…」
きっぱり言われ、うなだれるロッキーさん。
「お兄ちゃん、流石にそれは…」
「ふん、この間からレベル上がっとらんし、才能限界だろ。治安本部でもパットンに運ばれてたしな。邪魔だ。帰って飯の支度でもしてろ」
ちらりとなんでもない…冷静な顔で言って歩いていく。
た、確かにそれはそうなんだけど…
「ランス様…それは…」
「いえ…いいだす…分かりましただす…おら、カーマを連れて先に帰るだ…」
シィルさんを制して、ロッキーさんはカーマを背負って去って行ったのだった。
お兄ちゃんの後に続いて、ザクザクと村の奥へと進んでいく。
「ロッキーさん大丈夫かなぁ…」
「あいつの言ってることはひどいけど、ある意味正しいわよ。」
「やっぱそうですか…」
「身の丈に合わない冒険をしてもケガするだけだもの。才能限界ばかりはどうしようもないし…あいつの下でこき使われるより、マシな人生じゃない?」
志津香さんはにべもない。
前にレベル神見習いのミカンちゃんに聞いたんだけど、なんでかお兄ちゃんと寝ると才能限界が上がるらしい。けど男の人じゃそれも無理だし……あれ?
もしかしたらあたしもそういうこと出来るんじゃ…?うーん…?
可能性はあるけど…取り合えず考えるのはやめとこ…。色々面倒くさそうだ。
まずはエミ捜索をちゃんとやろう、と思ったところで。
「来たな!ランス!」
前の方で聞き覚えのある声がした。
「あん?ガキが呼び捨てとは生意気な…またボコボコにされに来たのか?」
「特訓してレベルもだいぶ上げた!今度は絶対、おいらが勝つんだ!」
「ふん、面白い…」
見れば、前にこの村であった可愛い子が剣を構えて立ちふさがっている。一触即発だ!
このままいたいけな少年がボコボコにされるのを見るのも忍びない。
あたしとマリアさんは一歩前に出た。
「あのね、ぼく。ランスに逆らわないほうがいいわよ。悪い事は言わないから怪我しないうちに帰りなさい」
「そうだよ、お兄ちゃん男には容赦ないし、何があったか知らないけど諦めたほうがいいよ」
「うるせぇ、眼鏡ブス!貧乳ギザ歯!邪魔なんだよ!」
「「………………」」
どうやら、お仕置きが要るみたい。
「がはははは、まだまだだな」「くっそぉ…」
チューリップと双剣を構えたあたし達を押しのけて前に出たお兄ちゃんは、クソガ…少年を手加減しつつあっさり叩きのめしていた。
レベル上がったというだけはあり、確かに前より格段に動きはよくなっていたが…あたしでもたぶん無傷で取り押さえられる程度だ。当然お兄ちゃんにかなうわけもない。
「おい、シィル。ヒーリングしてやれ。情けだ」「は、はい…」
「えーい!さわるなぽわぽわ女!」「こら、ダメよ。じっとして」「うう…」
涙目で顔を赤くしつつむくれる顔は、年相応でやっぱりかわいらしい。
「で、どうして俺様を狙うんだ。もしかしてお前のねーちゃんを襲ったとかか?」
「…」
「いや、それともかーちゃんか…?子持ちは狙わん主義だが、それを忘れるくらい魅力的だったのかもしれん…」
「こ、この鬼畜野郎!思い出せないくらいに女に手を出してるのかよ! か、かーちゃんはこんな奴のせいで…」
「母親か…誰だ?」
「フェリスだよ!」
フェリス…あたしは悪魔回廊で出会った悪魔の女の子の事を思い出した。
「ああ、あの悪魔のフェリスか…えっ!?あいつ子持ちだったのか!?」
リーザス城で別れたっきりだけど…この子の外見からして、あの頃もうすでに子持ちだったんだろうか?
「この…バカやろー!」がんっ「いてっ!」
あたし達が驚いたすきに、少年はお兄ちゃんに石を投げつけて逃げて行った。
「いてて…しかし、フェリスのガキかよ。俺様がなにしたってんだ」
悪魔の味方するわけじゃないけど、…正直、めちゃめちゃやってると思う。
あたし達女一同は、同じ思いでお兄ちゃんを見ていたのだった。
連休前で忙しくてなかなか書き進められませんでした。
あとついついランス4をやってしまったり…
やっぱ面白いんですが、正直古くてテンポが…リメイクしないかなぁ…
ランス君とのセックスによる才能限界上昇ですが、
これは精液を投与すればいいので男でも効果がある、と明言されています。
ランチル達の男連中が同じ体質かはわかりませんが
どうも神異変あとは限界レベルの設定がガッタガタになっているらしく、それほど影響はないでしょう。
スシヌやレリコフなんかの女連中がどうなのかはわかりません。
ちなみに本作ではですが。エールちゃんを抱くと才能限界が上がる効果はある、とします。