【祖国の開放計画 フェイズ1】
ペンタゴンの【祖国の解放】計画というネーミングセンスのない作戦に参加することになった
沼地を突破して首尾よく琥珀の城に侵入できたし
ぷるぷる唇のラドン長官を捕まえてマナバッテリーのありかを聞き出すのだ
「よし、裏口から侵入できたぞ」
「やっと沼地から上がれるね…うわ、靴が泥だらけ」
「あっランス様、いけません。おうちに上がる前には足を良く拭かないと…」
「がはははは!関係ないわ!ほーれほれ!」
「あっ、立派なカーペットが…」
「何してんの…さっさと行くわよ」
という感じで足を踏み入れた琥珀の城は、床には分厚いじゅうたん、壁にはコッテリした高そうな絵やら地味で古そうなツボやらキラキラした細工物、天井には当然シャンデリア。
全身全霊で「俺は金を持っているぜ!」と主張しているような内装だった。
「気に入らん。何かパクって行ってやりたいが…」
腰に手を当ててぐるりとその辺を見回すお兄ちゃん。
「これだけいろいろあると、どれを持って行けばいいのかわからんな…」
「ランス様、今はそれよりも…」
「分かっとるわ。上に向かうから階段を探すぞ」
「ラドンの居場所を知ってるの?」
「知らん。だが偉そうなやつは上の方に居るに決まっとる」
「また適当な…」
しかし他に当てがあるわけでもない。あたし達はとりあえず階段を探してうろつき始めた。
豪華な廊下を進むことしばし。かなみさんがある扉の前で足を止めた。
「止まって。この部屋に誰かいるみたい。たぶん警備兵だわ。」
そりゃあいるよね。とりあえず迂回しようか、と振り向くと…
「ふむ…じゃあ突っ込むか」
お兄ちゃんは剣を抜いていた。
「はぁ?何をバカな…」
「兵士が詰めているということは何か大事なものを守っているに違いない!突撃だー!」
どがん、とお兄ちゃんはドアを蹴り開けて突っ込んでいった!
「な、なんだ?」「何者だ!侵入者か!」
仕方なくあたし達も続いて突入すると、そこには数人の肉壁兵と魔法兵、魔法メイトがいくつか。ここは警備兵の詰所なんだろうか?
「ちっ、女はおらんか。まぁいい、全員俺様の剣の錆に…」
「…ああっ!よく見れば…お前はあの時のランスとか言う戦士!」
お兄ちゃんの名を叫んだのは肉壁兵の一人だ。盾には『G』と文字が書きなぐってあり、口が『3』の形をしている。
「あん?俺様を知ってるのか。誰だお前は」
「あ、この人…ジャイアンさんだすよ。奴隷観察場に居た…」
「その通り、って誰だお前!?まあいい!おーれはジャイアン!観察場のトップだった男だ!」
どうもお兄ちゃんとロッキーさんが閉じ込められてた奴隷観察場に居た人らしい。
「知らん。男の顔なんぞ覚えとらんわ」
「ぐぬぬぬぬぬ!貴様に敗れて死にかけたおーれは、たまたまラドン様に拾われここの警備兵として再就職したのだ!その恩を返し、あの時の恨みを晴らすためにも!今度こそ貴様を…」
「やかましいわ!ランスアターック!」どがーん「「「ほげーっ!」」」
ジャイアンは吹き飛び、壁際のなんかの機械に頭から突っ込んで動かなくなった。
「今三人いなかった?」
「気のせいだよ」
「うわーっ!ジャイアーン!」「おのれーっ!」
残りの兵士たちも襲い掛かってくるが…
「おっと。AL魔法剣!」「火爆破!」「いっけーチューリップ!」「ロッキートマホークブーメラン!」「どくどくぴゅーっ」「おうりゃあ!振動パンチ!」
「「「うぎゃーーーー!」」」」
当然あたし達の敵ではなかった。
「そういえばこの人たち何を守ってたんだろ?」
「それらしいのはあの機械しかないわね」
壁際の機械に近づいてみると、ジャイアンがめり込んで完全に壊れてしまったらしく、バチバチと電気が漏れてはちゃんと一人だけなジャイアンの尻がビクビク痙攣している。あんまり近寄りたくないなぁ。
「これ…通信設備ね。たぶん。壊れちゃってるけど」
「通信設備?どこかに連絡を取るための?」
「そうそう、それ。」
「ほーん、まぁ壊しといて損はあるまい。とっとと次に行くぞ」
部屋の隣にあった階段で二階に登ると、侵入者を知らせる館内放送が流れてきた。
すぐに連絡を受けた雷軍が出動する手筈になっていたようだが、通信設備が壊されていて時間がかかるみたい。
「うむ、壊しておいてよかったな。流石は俺様」
「偶然でしょうに…」
「でも、雷軍の将軍と言えば雷帝カバッハーンでしょ。さっさと済ませたほうがいいわ」
「雷帝ー?なんだそりゃ」
「ゼスでも最強の魔法使いの一人よ。もう大分おじいさんらしいけど…モンスター300体を一撃で倒したとか」
「私が学生だった時も有名な方でした…あれから何十年も修行されたのならそれは…」
「あたし、魔法使いスナックのカードで見たことあるよ。変な靴のおじいちゃんだけどすごい強いんだって。変な靴だけど」
カードのイラストに描かれていた、ティッシュ箱みたいな四角い変な靴を履いた貫禄のあるおじいさんの姿を思い出した。
「ふーむ、まぁ女でもないしジジイに用はない。急いでラドンを探すぞ」
うろついていた薙刀巫女服女の子モンスター、とっこーちゃんをしばき倒し、隅の部屋に隠れていたメイドさんにお兄ちゃんが襲い掛かったがブスだったので解放し…と調子よく進んでいく。
「次はこの隅の部屋だな。どりゃー!奥さん米屋です!」
お兄ちゃんが変な掛け声と一緒に突入した部屋には、数体のモンスターが居た。
「ちっ、警備兵代わりのモンスターか!とっとと片付け…」
「少し暑いわ、冷やしましょう」
奥に居た和服の女の子モンスターが呟きながら立ち上がった瞬間、室内を氷雪吹雪が吹き荒れた!
「どわーっ!」「さ、寒い…」「…」(ぱきーん
悲鳴を上げて耐えるみんな。というかカロリアちゃんが凍っちゃってる!
「ぐっ…あれは…フローズン!かなり強力な女の子モンスターです!」
手先がかじかんでしまったらしいタマネギさんが叫ぶ!
「なんだと!?くそっ集中攻撃を…」
「ドリームのおわりはいつも!」ぱ~~~~ぷ~~~!!
「ひゃああ!」「うっ…耳が…」
どうにか態勢を整えようとしたあたし達に向けて、角の生えた女の子モンスターがうるさいくらいに笛を吹いた!あまりの音量に一瞬ぐらつく!
「受けてみよ、必殺剣!」「はああああ!七生報国!」「えーい!火爆破!」「まだまだ暑いわ、冷やしましょう」
そこにモンスターたちの集中攻撃が叩き込まれた!
「ううう…寒いよ…」「魔法は理不尽だから…好かん…」
吹き荒れる吹雪に視界が閉ざされ、周りのみんなが一人、また一人と倒れていく。
「…まさか…こんなところで…」
あたしも限界を迎え、凍り付いた床に倒れ込んだ。
「ばかな…俺様が…ありえん…!」
とっこーちゃん二人とサメラーイに切り刻まれて倒れるお兄ちゃんの姿が、あたしが見た最期の風景だった…
====================================================
=====================GAMEOVER========================
====================================================
女神ALICE『………………………………………』
「あれ?」
気が付くと、あたしは琥珀の城の廊下に立っていた。
「おい、何をぼーっとしとるんだエール。次はこの部屋を調べるぞ」
振り向けば普通にぴんぴんしてるお兄ちゃん…そしてみんな。あれー?なんかすごくひどい目に遭ったような…
「どりゃー!奥さん米屋です!」「あ、待って…」
とっさに止めようとしたが、その前にお兄ちゃんは扉を蹴破ってしまった。その先には…
「「「「「「あなたに会えてHAPPY!」」」」」」
幸福きゃんきゃんが6体居た。
「…あれー?」
「がはははは!幸福きゃんきゃんがこんなにいるとはな!全員経験値になりやがれー!」
「「「「「「きゃーん!あなたに倒されてよかった!」」」」」」
あっという間にしばき倒されて目を回す幸福きゃんきゃん達。
「ぐふふふ、帰ったらウィリスを呼び出すか!どれくらいレベルが上がったか楽しみだ」
うーん、お兄ちゃんも喜んでるし、まぁいいか。がははー、グッドだ!
ということにしておこう。
その後もあちこち探したのだが、結局ラドンは見つからないまま時間が過ぎてしまった。
『カバッハーン殿が到着されました。警備兵たちは無理せず、侵入者たちを逃がさないことだけ考えるように…』
3階の隅にあるやけに狭い部屋を調べているときに、時間切れのアナウンスが聞こえてきた。
「げっ!もう来やがったか」
「お兄ちゃん!逃げないとまずいよ!」
「えーい分かっとるわ!くそっ、ここまで来て…」げしっ
「あれっ?」「壁が…」
お兄ちゃんが腹立ちまぎれに壁を蹴ると、なんと一部が回って開いた。隠し扉だ。その向こうには…
「ひっ…貴方達、なんで…」
ラドンの娘、エミが居た。前の偉そうな態度はどこにもなく、ただただあたし達におびえている。
「おお、エミちゃんじゃないか。親父のラドンはどこだ」
「べ、別の隠し部屋に…」
「なんだと?一人で逃げやがったのか…まぁ、娘でもいいか。頂いていく」「えっ…あうっ!」
お兄ちゃんはエミのみぞおちに柄をねじりこんで気絶させると肩に担いだ。
「お、お嬢様!」「おのれ!お嬢様を離せ!」
今更ながらに護衛の警備兵が迫ってくるが、
「やい、止まれ!止まらんとお嬢様がどうなっても知らんぞ!」
エミを盾にして牽制する。
「よーし、そのまま動くんじゃねぇぞ、げっへっへ…おい、ずらかるぞ。ロッキー、お帰り盆栽を…」
「わ、わかりましただす…」
急に悪党みたいな口調でしゃべりだしたお兄ちゃんに命じられ、ロッキーさんが荷物を漁りだす。
「いやぁ、見事な卑怯っぷりだ…」「素人とは思えないね」「うう…なんでこんな…」
そのとき。ガッチーン、ガッチーンと硬い足音が響いてきた。
「成程、侵入した賊というのは貴様らか…思った以上に卑怯者じゃな」
歩いてきたのはお爺さんだ。全身を覆う緑のローブ、立派な髭と鋭い眼光。そして何より…変な靴!
「雷帝、カバッハーン・ザ・ライトニング…」
「いかにも。さて、覚悟はいいか?」
「ふん、もう用は済んだわ。ロッキー!」
「は、はいだす…(ぴしゃーん)あんぎゃーーーー!」
お兄ちゃんの合図でお帰り盆栽を使おうとしていたロッキーさんに雷が直撃!まる焦げになって倒れた!
「手加減はしたが、この通りだ。おとなしく降伏するがいい」
「嫌なこった!」「…くっ!」問答の隙に、あたしはロッキーさんが取り落としたお帰り盆栽を拾った。
えっ、でも…これ…
「よし、いいぞエール!お帰り盆栽の術だ!」
「あっ…ダメだよお兄ちゃん!」
「ランス様…お帰り盆栽の枝が…全部焼け焦げて折れてます!また生えてくるまでには10分くらいかかるかと…」
「ぐぬぬぬぬ…」
「ほう、10分、10分か。ならば…」
カバッハーンがにやりと、いたずらをする子供のような顔で笑った。
「10分ちょうどで逮捕される程度に…いたぶってやるとするかの」
「ぐっ…このジジイめ…こうなったら…」剣を抜いて構えるお兄ちゃん。
「ほう、逆らうか。どのみち、逃げられはせんだろうがな。さっさと倒れたほうがお前たちの為だ」
「うるさい!やってみんとわからんわ!行くぞ!」
あたし達はカバッハーンに襲い掛かった…のだが。
雷撃が降り注ぐ!
ぴしゃーん!
「「あぎゃーっ!」」
電磁結界が吹き荒れる!
バリバリーッ!
「「ほげーっ!」」
雷神雷光が視界を埋め尽くす!
ゴロゴロどっかーん!
「「「「うぎゃーーーーーっ!」」」」
雷帝は思った以上にとんでもなかった。威力はともかく魔法の速度と範囲が広すぎる!もはや戦う以前の問題だ。
「うう…し、しびれる…」
「はっ…やく…降伏しなさいよっ…」
「してたまるかっ…」
「…久しぶりですね…魔法でダメージ受けるの…」
「…ハンティの雷…ありゃ手加減されてたんだなぁ…」がくっ
回りでみんなしびれてへたり込んでいる。特に背が高くて余計に雷を食らう上に魔法抵抗が低いパットンさんは丸焦げだ。
どうにかまだ立っているのはお兄ちゃんに魔法抵抗の高い志津香さんとリズナさん。あとはヒーリングで自分を治せるあたしとシィルさんくらい。
マジック王女の雷魔法はあたしと段違いに強かったが、さらに一段も二段も格上だ。
チートだチート!設定逆輸入したにしても強くしすぎ!責任者出てこい!そりゃ強いイケメンジジイはあたしも大好きだけれども!
「ふむ、頃合いかの。では、捕縛せい」
「はっ!」
兵士たちが迫って来る。ここまでか…あたしが視線を落とすと、お帰り盆栽の枝が再生していた!
「お兄ちゃん!盆栽が!」
「おっ!間に合ったか!がはははははは!さらばだ!」
「むぅ、しまったー」
どこか棒読みな雷帝を尻目にお兄ちゃんが手を伸ばして盆栽の枝を折る。あたしたちは光に包まれ、その場を離脱したのだった。
プレイ中に実際全滅したので全滅してもらいました。
フローズンに痺れが入らなかったのが敗因ですね。
痺れ担当のカロリアが氷弱点なのもつらい…
評価2000の記念小話をじみじみ書いているのですがなかなか筆が進まないので、モチベチャージに大戦国ランスをまたやり始めました。
ガンジーはすぐ呼べるのに強くてキャラクリも簡単なので、いつもランスと並んで突撃することになりとても楽しそうです。
正史ではおそらく二人並んで突撃するような機会はおそらくなかったので、よかったなぁと思います。
まぁ成長させる余地はもうあんまりないんですが。
成長のリソースはすべてエールちゃんにつぎ込むのだ…
以下、妄想です。
ジャイアン
Lv19/31
ガードLv1 歌なし
奴隷観察場のボスだった男。元脱走兵。ごつい見た目だがまだ20そこそこ。
この事件の後琥珀の城の警備兵を首になるが、頭を打った影響で劇場版になったのかカミーラダークの際は自発的に義勇軍に参加する。
献身的に働いた結果ルックスもきれいなジャイアンになった。
戦後はそのまま軍に復帰した。のちに作戦中に助けた女学生と再会して付き合うことになる。
原作では固定シンボル敵としてなんでか三人出てくる。
カバッハーン・ザ・ライトニング
Lv46/46
雷魔法Lv2 魔法化学Lv1
御存じカバ爺。ゼス屈指の大魔導士、みんな大好き強力なおじいちゃん。
雷魔法に異様な適性を持っており、ほかの属性は苦手になる代わりに雷魔法の威力と範囲が倍になる体質。
しかも発動時は双葉と萌が手伝ってくれるので常時3人で合体魔法を放っているようなもの。
中級呪文の詠唱破棄、必殺技の雷神雷光とその実力はレベルと技能だけでは計り知れない。
変な靴は強力な雷魔法を用いる際、足から地面に電気が漏れて周りの者が感電してしまうのであつらえた特製の絶縁体。
実は範囲攻撃に特化しているので、魔人クラスを相手にすると火力不足が露呈してしまう。
ミステリアとは古い付き合いで、若いころ一度酒を飲みながらの魔法議論が白熱した挙句に意識を失い、目を覚ましたら服が脱げていてミステリアはいなかったということはあった。
再会したのは10数年後で、ちょうど年齢の合う子供を連れていたがお互いに何も言わなかったという。
双子の精霊、双葉と萌は意志を持った雷の魔力とでも呼ぶべき存在で基本不滅だが、現状の自我と記憶を保てているのはカバッハーンの魔力があってのもの。
カバッハーンの死後、それらが消えてしまうことを残念に思っている二人のためにホムンクルスの研究をしている。
魔人戦争終結後にミラクルの仲介でフロストバインと接触し問題はあっさり解決した。
なお、今回はある事情でランス達を捕える気はあんまりなかった。