ペンタゴンの【祖国の解放】作戦という計画性のない作戦に参加することになった
四天王の塔の地下にあるマナバッテリーを破壊しよう
その前にどうして脱出できたか説明しないとね
「やっほーみんなー」
「えっ?エールちゃん?」
「無事だったの?」
お兄ちゃんに連れられて孤児院の前に戻るとみんなが驚いた顔で迎えてくれた。
「ふん…で、お前どうやって戻ってきたんだ」
「えーっと、それがねぇ…」
ほわんほわんほわん(回想の音)
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高いところから落ちて目を回していたところを取っ捕まったあたしは、二人の兵士に担がれて牢屋に放り込まれた。牢屋の前にはあちこちに包帯を巻いた眼鏡に学生服の少女もいる。
「ほらっ入れ!」
「もがー!」がちゃん
「はぁ…う…いたた… で、こいつが採掘中の穴に落ちて気絶していた例のテロリストの一味なのね?」
「はい、マジック王女。とりあえず拘束してありますが。いかがいたしましょう」
「…なんで猿轡まで咬ませてるの?」
「その、この女テロリスト…魔力反応がありまして」
「どうやら魔法使いのようです」
「はぁ?王者の塔からの連絡は聞いたけど…こいつらペンタゴンだかアイス…なんとかとかいう反魔法使いのテロリストでしょ?なんで魔法使いが加わってるのよ」
「そ、それは…」
「分かりません…」
「はぁ…この忙しい時に…あれ?この子の顔どこかで見たような…」
「もががっ…」
「ぷっ」
「なんでこいつ急に変顔してるんだ」
「…気のせいよね。とりあえず適当に閉じ込めときなさい。魔封じの首輪も使っていいから」
「えっ…尋問とかそういったことはしないのですか?」
「あるいはテロリストが仲間を奪還に来るかも…あの戦士はかなりの強さでしたし…」
「じゃあどこかに移送するなりなんなりしときなさい!言ったでしょ!わたしは忙しいの!」
「…行ってしまわれた」
「おい、マジック様はああ言ってたけど…どうしようか」
「二級市民なら殺しちゃうか、適当にボコって手足でも折っておけばいいんだけどな…魔法使いだとなぁ…」
「そうだなぁ、心が痛むし…まったく、なんでテロリストなんかに協力するんだか」
「仕方ない、どっかの刑務所に移送できないか探してみよう」
「えーと、こいつの世話は…おい!そこの!」
「……僕ですか?」
「ほかにいないだろ!こっちに来い!お前…なんつったっけ。まあいい、こいつの見張りと世話を適当にやっとけ」
「…僕は、この塔の警護を命じられているのですが」
「うるさいな、忍者だかなんだか知らないが…2級市民のくせに生意気だぞ!」
「しかもお前再就職したばかりなんだろ?またクビになりたいのか?」
「…分かりました…」
「ちょっとでかいし黒いし…くまの入れ墨なんか入れてるし…変な奴だよな」
「いた組織が潰れて困ってたからって二級市民を採用するなんてマジック王女も変わってるよなぁ」
「…はぁ…というわけで僕が君の世話をすることになったので…よろしく…」
「もががっ…」
「じゃあ何か食事でも…いや、それじゃ食べれないか…先に魔封じの首輪を持ってきますね…ふふふ…その細くて白い首に似合うのを…」
というようなことがあったその日の晩、鉄格子の向こうに現れた女の人にあたしは寝たまま手を振った。
そのへんを見るが、コードとか言う見張りの忍者もほかの兵士もいない。
「あ、来てくれたんだー。」
「魔法を使う女テロリストが捕らえられた、と聞いて一応な…」
女の人…ウィチタさんはこちらを一別して口を開いた。
「ってことは…」
「カオルの救出は成功した。君の言うとおりかなり警備は薄かったし、少し汚れていたくらいで無事だそうだ」
「そっか、よかった」
「ああ、まったくだ…」
どういうことかというと、あたしは前にウィチタさんに接触したときに、近々大作戦があり、かなみさんを含めてアイスフレームの実働部隊が出撃してアジトがもぬけの殻になることをこっそり漏らしていたのだ。
無論危険ではあるけど、カオルさんやウィチタさんの上の人はアイスフレームを潰そうと思えばいつでも出来たはずだしね。
カオルさんを閉じ込めといてもあんまり意味はないし…そのうちなんかに巻き込まれて死んでしまうかもしれない。とっとと解放してしまって問題ないだろう…という思惑だったのだが。
向こうに恩を売っておいて良かった。捕まったのがあたしでよかったまである。
…向こうとしてはカオルさんを派遣して便宜を図っていたところを捕えられてしまったわけで…恩と言えるかは微妙だけどね。
「しかしまさか、その作戦が四天王の塔襲撃とはな…何をするつもりだ?」
「そこまではしゃべれませーん」
「はぁ。ガン…あの方も今は無理に聞き出す必要はないというし…元勇者のお供とはいえ…一体どういうおつもりなのか…」
ため息をついたウィチタさんはこちらに向き直った。
「ともかく、ここを出られるようにはしておく。その後は…どうなるかわからんが」
「ありがとうございます。で、どうするんです?」
「それでだな…」
ウィチタさんは手はずについて喋り始めた。
マジック様の失点になるので、ここですぐに釈放というわけにはいかない。
ちょうど同じ四天王のパパイアが女性のテロリストならこちらに送ってくれ、と要請してきているので、それに答えて移送する…途中で解放する。
マッド研究者の四天王パパイアなのだが…少し前から事務作業に関してはとんでもなくいい加減になっているらしい。
というわけでちゃんとこっちで引き渡したという証明をでっちあげておけばあとはどうとでもなるそうだ。
「と、いうわけだ」
「でも、四天王なのに事務作業してないって…どうしたんだろ」
「この塔の事務方が文句言いたいが怖くて…とぼやいていたよ。少し前まではキャロットという女性がちゃんとこなしていたらしいんだがな…」
「ふーん。マッド研究者らしいし怖くてやめちゃったのかもね。で、いつ移送するの?」
「明日だ。担当する兵士に手を回して…装備と、その首輪の鍵もこっそりうし車に積んでおく。…正直、テロ活動なんてやめてさっさと自由都市に帰って欲しいというのが本音なんだが」
「まぁそういうわけにはいかないんでー」
「だろうな。では、手配しておく」
「はーい」
というわけで翌日あたしは牢屋から解放され、移送うし車に揺られていた。
相変わらず縛られてはいて魔法も使えないが、番の兵士はウィチタさん達の息がかかってるらしく紳士的だったし、あとは適当なところで解放してもらうだけだ。
しばらく進み、2つの塔の間あたりに来たところで、兵士が口を開いた。
「よーし、この辺でいいだろう」
「はい、止めますね」
うし車が止まって扉が開き、兵士が顔を出す。
「では、縄をほどいて荷物をお渡ししますの…(とすっ)でっ…?」
「えっ!?」
その首筋に、手裏剣が突き刺さっていた。そのまま崩れ落ちる兵士。
「貴様!コードか!いったい何のつも…」「…遅い…」ずばーっ「ぐはあっ!」
外に目をやれば、もう一人の兵士もコードとか言う忍者に刀でばっさりやられて倒れていた。
「ふぅ…」
兵士を排除したコードがこちらを見る。その視線に射抜かれ、あたしの背に怖気が走った。
「こんにちは、美しい人。エールさんだったかな…四天王パパイアの塔に送られて、実験材料にされるくらいならいっそこの手で楽に…と思って尾行してきたんだけど。解放される手筈だったんだね。なら…」
口元に笑みを浮かべながら近づいてくる。
「なら、ここでしばらく行方不明になってしまっても特に問題はないよね?先日切り結んだあの可憐な忍者もいいけど…君みたいな活発な女の子と愛し合うのもたまらなく好きなんだよ…」
口ではそんなことを言いつつ、手には収める様子もない血の垂れる忍者刀。どう見てもやばい。
「うわぁ…」
こいつ…昨日からちょっとやばいと思ってたけど…想像以上にヤバい…たぶん愛だのなんだの言って人を殺しておいて勝手にアンニュイな気分に浸るタイプ…!
こんなつまらん殺人鬼に殺されてひどいよかなみちゃんENDなんてまっぴらごめんなのだが、この通り縛られていて剣も使えないし魔法もダメ…お兄ちゃんも流石にまだ寝てるだろう…こうなったら!
「近づかないでよ!近づいたら噛むからね!見なさいこのギザ歯!めっちゃ痛いよ!」
「…ふふっ、可愛いね…」
くそっ鼻で笑われた!これまでか…と思った瞬間。
「…っ!?」ぶおん!
コードが飛びのき、飛んできた錨を間一髪で避けた。
飛んでいった錨は地面に突き刺さる寸前に縄で引っ張られ、投げ放った男の手に戻る。
「えっ…フットさん?」
「おお、久しぶりだなぁ嬢ちゃん。」
ペンタゴン幹部、フット・ロットが数人の部下を率いてそこに立っていた。
「いろいろと積もる話もあるが…まずはこっちだな」
フットは錨を構え、コードと相対した。
「邪魔を…するな!」
「おおっと!元気だなぁ兄ちゃん!」
姿勢を低くして突っ込んできたコードの忍者刀をフットの錨が弾き返す。飛びのいたコードに錨が投げ放たれるが、横に飛びのいて躱された。
「…」コードが忍者刀を順手に持ち替え、何か印のような形に手を組んだ。次の瞬間、身体が地面に…いや影に沈み込んでいく。
「あん?忍術ってやつか?」縄を引いて錨を上に跳ね上げるフット。
数歩ふらふらと歩いてコードを探す。その背後の影が盛り上がり…コードの姿になった!
「忍法、影渡り…もらった!」忍者刀が閃く…その寸前。
どすん「ぐえっ」 上空から落ちてきた錨に潰され、コードはまた地面にめり込んだ。
「ふぅー。面白い芸だったが…そんなふうに刀を持ち換えたら後ろから首を掻き切るつもりです、って宣言してるようなもんじゃねぇか。もうちょっと頭を使わねぇとな…おい、フランチェスカ。縄だ」
「はいっ」
フットは部下に合図して、コードを縛りあげさせたのだった。
なんでも、フットは病み上がりだから、という理由で待機を命じられていたのだが、あたしが捕まったという情報を聞いて弾倉の塔に向かっていた最中にたまたまあの現場に出くわしたのだという。
「いや、まさしく危機一髪だったなァ。助けられてよかったぜ。恩も返せないようじゃ男がすたるからな」
フット達は笑って去っていった。いやーいいことはするもんだね。
コードは縛り上げたままその辺に放っておこう。
あたしは装備を取り戻し首輪を外し、まだ息があったゼス兵二人には適当にヒーリングしてからその場を去ったのだった。
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ほわんほわんほわん(回想終わりの音)
というようなことがあったのだが。何度か途中で気が遠くなったような気もするな…まぁいいか。
うん、前半は喋らんでいいね。
あたしは、跳躍の塔に連行される途中で変な忍者に襲われたがそこをフットに助けられた、という事だけかいつまんで説明した。
「へぇー…フットさんが。良かったですね、エールちゃん」
「全く、いつもながら人騒がせな…」
シィルさんは喜んで胸をなでおろし、お兄ちゃんは相変わらず怒っている。
「くまの入れ墨をした忍者…。たぶん弾倉の塔で私が戦った男ね。確かに私の事変な目で見てて気味が悪かったわ」
かなみさんが軽く身震いする。
「まぁ、そんなことをしでかしたなら牢屋にでもぶち込まれるだろ。どうでもいい…」
「…なぁ、用が済んだならそれより早く跳躍の塔に戻らないか?」
「うわっ!ヤンキーだ!なんでこんなところに! あたしの経験値になれー!」
「がはははは、やってしまえ」
「それはもういいんだよ!」
ありがとうございます。
お盆進行やら地震やらでなかなか執筆時間が取れない…
以下、妄想です。
コード・パッセンテーデ
Lv19/23
忍者1
元エンジェル組ゼス支部くまさんチーム所属の忍者。
アンニュイな雰囲気の色男だが実はこれまでに何人もの女性と付き合ってはその手にかけてきた殺人鬼。
アベルトよりある意味達が悪い男である。
鬼畜王ではひどいよかなみちゃんEND関係のイベントでのみ登場。
正史では某スタッフに嫌われていたせいか一切出てこない。まぁ出しても面白くはなりそうにないが。
エンジェル組が潰れたあとゼス軍に再就職するが、下っ端扱いでストレスをためていたところ、好みにドンピシャのかなみちゃんを見て興奮し、そこにエールちゃんが来て衝動的にやってしまった。
その後は普通に取っ捕まってこれまでの罪科も明るみになり、封印刑に処される…が、カミーラダークの時に服従魔法を受けた上であっさり釈放され魔軍との戦いに投入された。
なんだかんだ生き残るも、のちの第二次魔人戦争でアニスの魔法の巻き添えで死亡。