【二章完】ちょっと早めのエールちゃんの冒険   作:砂嵐36

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【祖国の開放計画 フェイズ2】

ペンタゴンの【祖国の解放】計画というネーミングセンスのない作戦に参加することになった
四天王の塔の地下にあるマナバッテリーを破壊しよう
ようやっと2個目をぶっ壊した 残り1個も一気に行こう


49.エールちゃんは目撃する

「うう…」「おっ…いいぞ…もうちょっとだ…」

がちゃっ「いい加減にしなさい!わたしの勉強の邪魔をどれだけしたら…」

「ぷはっ…!?」「うおっ!」

ぴゅーっ…………ぴちゃっ。

 

怒鳴りながら部屋に入ってきたマジック王女の顔に…イカマン臭い粘液が降りかかった。

「………………………………………………」たったったっ…

マジック王女は真っ青な顔で踵を返し、何も言わずに走り去っていく。

「ったく、急に口を離すんじゃない…ん?なんだ、逃げたのかマジックちゃんは」

「ああ…悪い事をしてしまいました…」

なんでもないようにズボンを履きなおすお兄ちゃんとうなだれるシィルさんをあたし達はあっけに取られて見ていたのだった。

 

何があったかと言うと、まぁ話せば長く…いや、大して長くもないか…

詳しく言うとタグが面倒になりそうなので箇条書きにすると

・弾倉の塔に突っ込んだあたし達の前にマジック王女たちが立ち塞がった

・正面からは面倒だ、と迂回路を探してその辺の扉を開けたがただの倉庫だった

・ムラムラしたお兄ちゃんがシィルさんに口でしろ、と言い出した

・おっぱじめたのをあたし達が呆れながら見ていると、マジック王女が怒鳴り込んできた

・怒鳴られて驚いた拍子にハイパー兵器が暴発した

・ぶっぱなされた皇帝液がマジック王女の顔に全弾命中!

 

ということになる。

「気の毒に…」

「流石に同情しちゃうわ…」

「ええ…トラウマにならなきゃいいけど」

「…しかし…よく飛んだねぇ…」

「そうですねぇ…びっくりしました」

「流石はランス様だす」

「しかし手段はどうあれ障害を無傷で排除できたわけだ…いや、本当に手段はアレなんだが…」

「がはははは、俺様の作戦にかかればこんなものだ。この隙に一気に行くぞ!」

釈然としないものを抱えつつ、あたし達はお兄ちゃんに続いたのだった。

 

マジック王女がどっか行ってしまい混乱する兵士たちを蹴散らし、秘密の部屋とやらに続く扉の向こうに足を踏み入れる。

階段を下りて渡り廊下を駆け抜け、エレベーターで降りた先に、一人の子供が仁王立ちしていた。

「お兄ちゃん、あの子…」

「ランス!お前の命を貰いに来た!」

「なんだ、俺様の子かもしれんガキか」

「そうだ、不本意だがな」

少年は歯噛みしながらお兄ちゃんを下から睨みつける。

「はぁ…で、俺様を狙う理由はなんだ」「………」

「だんまりかよ、この…あー…」

実にめんどくさそうにお兄ちゃんは舌打ちした。

「ちっ、名前くらい教えんか。話しにくいだろ」

「俺は悪魔だ。名前を教えるわけにはいかない」

「ああ、そっか。悪魔は最初に名前を知られた人間に従わないといけないんだったな。フェリスはそれで俺様のしもべになったんだ」

「ぐっ…」

「だが名前がわからんのはややこしいな…よし、俺様がつけてやろう。うーん…」

腕を組んでうんうんうなるお兄ちゃん。

「よし、お前の名は『ゼニガメ』だ」

気の毒にもほどがあった。

「ランス様…それはちょっと…」

「なんだ、いい名前だろ…いやか?」

「…」

ゼニガメ君(仮称)はめちゃめちゃいやそうな顔をしている。

「ならば…うむむ…よし!おっぱい君だ!おっぱい君に決定!で、何の用だおっぱい君」

「馬鹿にしてんのか!たとえ仮名でもリトルランスとかランスJrとか…なんかあるだろ!」

おっぱい君君(仮称)がキレた。そりゃそうだ。

「なんだ、俺様の名が欲しいのか。なら…ローカルランス」

 

===================================================

ローカル【local】

[名・形動]

その地方に限定される特有なこと。田舎であること。また、そのさま。

===================================================

 

「うっ…ううーっ…」

ローカルランス君(仮称)は泣きそうな顔で頭を抱えた。本当にそりゃそうだ。

我が兄ながらはっきり言ってネーミングセンスは最悪だ。

万が一、将来自分の城でも持ったら無敵ランス城とかアメージング城とか名前を付けるんじゃなかろうか。はっきりいって住みたくない。

「…ランス様、せめてダークランスとかにしてあげましょう…」

「ああ、それでいいか。で、ダークランス。なんで俺様を狙う」

シィルさんの助け舟にどうでもよさそうに応じるお兄ちゃん。

ダークランス君(決定)は一瞬めちゃめちゃほっとして…顔を引き締めた。

「それは言えない!死ねー!」

ダークランスが襲い掛かってきた! が。

「ふん!」バキィン!「がっ…!」

振り下ろされる変な剣を紙一重で見切ったお兄ちゃんに剣の平で思い切りぶん殴られ、ダークランスは吹っ飛び、壁に叩きつけられた。

「ふん…ったく、急に襲ってくるんじゃない」

お兄ちゃんは不機嫌そうに鼻を鳴らした。

「くっ…くそおっ…」

「ちっ、もう逃げやがったか…」

ダークランスは震えながら身じろぎし…その姿が薄れて消える。それを見てお兄ちゃんは剣を収めた。

「あの子供…会うたびにどんどん強くなってるな。隊長が手加減できなかったぜ」

「うん、平とはいえ本気でしばかれたのに大して堪えてないみたいだし…流石はお兄ちゃんの子供…ってことなのかなぁ」

「話からするとせいぜい1~2歳だろ?悪魔ってのもあるだろうが、末恐ろしいぜ…」

避妊魔法がどーだこうだおまえのせいだとシィルさんを責めるお兄ちゃんを眺めながら、あたしとパットンさんはぼやいたのだった。

 

その後もマナバッテリーへの道のりは険しいものだった。

「地下に行かせるなーっ!」

「何があるのかは知らないがここは通さん!」

「うわ、兵士が追いかけて来たよ」

「マジック王女は…いないわね」

「がははは、雑魚兵士なんぞ俺様の相手になるか!」

 

「あっ、そこは…」

「ランス様!危ない…」

「なんっ…うおっ!」どすどすどす

「うわー槍がいっぱい…」

「こういうトラップもあるんだねぇ」

「かなみ、お前しっかり見ておかんか」

「注意する前にランスが進むから…」

 

ぐおおおーん

「どわーっ!巨大ガーディアンだ!」「またアレか!」

ずびーーーーーむ!

「「「うぎゃーーーー!」」」

「ん?」「あれ?」

「…なんか思ったより平気だね」

「1機しかいないからかな?」

「それもあるけど、さんざん将軍の相手して魔法食らったせいかもね」

「なんか慣れちゃったわよねー」

「カバッハーンの雷撃に比べれば…まぁ…2機はきついが」

「まぁパットンさんは焦げてるけど」

「ビームも理不尽だから好かん…」

「くっちゃべっとる場合か!2発目が来る前にさっさとやるぞ!」

「そだね!やっちゃおう!」「「おーっ」」

どかばきぼこーっ!ちゅどーん!

 

「「「貴方にあえてHAPPY!」」」

「うおっ幸福きゃんきゃんじゃないか!早速やっつけるぞ」

「眼鏡かけてる幸福きゃんきゃんなんて初めて見たわ」

「にんじんおいしーい」

「なんか知らないけどよかったね」

「まぁいいや、経験値になれー!」

ぺちぺちぺちーん

「「「貴方に負けてよかった!」」」

 

というような感じでなんだかんだマナバッテリーの前までたどり着いた。

「おっ、弾倉の塔のマナバッテリーだな。よーし、ぶっ壊すぞ…」

お兄ちゃんが剣を振りかぶった瞬間。

「待て待て待て待てぇい!」「ん?」

 

「晴天が知る、大地が知る、人民が知る!征伐のミト、ただいま推参!」

「目的は知らぬが、それを破壊させるわけにはいかん!」

 

馬鹿でかい声と共に馬鹿でかい派手なおっさんが姿を現した。

「…は?なんだこのいかれたおっさんは…」

お兄ちゃんはあっけに取られているが…おっさんからはすさまじい魔力が感じられる。

っていうかこの人…

「噂には聞いていたけど…本当だったのね。征伐のミトを名乗って世直しして回る…ゼスの放浪王ガンジー…」

「国王!?このおっさんが!?」

かなみさんの説明に驚くお兄ちゃん。

そっか、国王かー…っていうか隣にはウィチタさんいるし…カオルさんは…いないか。

ウィチタさんはこちらをぎろりとにらむと、朗々と声を張り上げる。

「いかにも!こちらにおわすはゼス国王、ラグナロックアーク・スーパー・ガンジー様にあらせられる! 皆のもの、頭が高い!控えおろう!」

気の弱い人はついははーっと頭を下げそうな台詞だが、当然お兄ちゃんには屁でもない。

「そんなこと知るか!俺はこれを壊すのが目的なのだ、そしてゼスを救う英雄になるのだ!」

「英雄だと!?」

胸を張って宣言するお兄ちゃんをガンジー王が睨む。

「ああ、そうだ、てめぇらが無能だからクーデターなんぞ起こされるんだ」

「何を…そのためにガンジー様は心を痛め、奔走して…」

「よい」

お兄ちゃんに反論しようとするウィチタさんをガンジー王が制した。そのまま一歩前に進み出て…

「申し訳ない」

頭を深く下げた。

「おろ…?」「は?」「ええー…」

「そなたの言う通り、この国の混乱や数々の問題…すべては王たる私の不徳の致すところ。しかし!」

ガンジー王は顔を上げ、くわっと目を見開く!

「マナバッテリーを破壊してどうなる!何も変わらんぞ。魔軍に利するばかりだ」

「ふん、やってみなければわからんだろ!それに…」

「それに?」

「あー…何でもないわ!俺様はこれを壊すのだ!だーっ!」

お兄ちゃんは話を中断してマナバッテリーに斬りかかる!

「ストップ!」

しかし、ガンジー王が叫ぶとお兄ちゃんの身体は途中でぴたりと止まった!

「な、なんじゃこりゃー!」

「金縛りの魔法だ、もう動けまい…」

そこまで行って、ガンジー王はあたしの方を見た。

「へ?」

「勇者の仲間として、世直しに協力してくれた者も居る一行だ…何か正しい目的があるのでは、と見逃していたが…」

「うわっ…バレてた…」

ってーことはアリオスさんと一緒の時に見たでかい影がこのおっさんか。まさか王とは思わなかった。

「流石にこれ以上放置は出来ん!まずはおとなしくしてもらうぞ!」

ガンジー王は魔法を維持しながらこちらに向き直る。

うーん、お兄ちゃんは動けないし、正直このおっさんめちゃめちゃ強そうだし、というか言ってることはまともだし…これは諦めるべきかなぁ…

と、思ったのだが。

「くっ!魔法には魔法だ!おい!シィル!志津香!エール!リズナ!どうにかしろ!」

「リズナ…リズナだと!?」

お兄ちゃんの苦し紛れの大声に、ガンジー王は振り向き…リズナさんを見て、驚愕した。

「ま…間違いない…何故だ…」

「…?どこかでお会いしましたか?」

「…そうか…何十年ぶりか…リズねぇ…私だ。ガンジーだ」

「えっ…ええっ?ガンジー王子…?」

どうも二人は知り合いみたいだ。驚きつつも言葉を交わす。

「ああ…そうだ。生きていたのか…」

「王子…おっきくなってしまいましたねぇ…」

「リズねぇが変わらんのだ!いったいあれからどこで何を…」

ガンジー王がリズナさんの方に一歩踏み出した瞬間。

「おっ?おおっ!魔法が解けた!」

集中力が途切れたのか、お兄ちゃんが自由になった!

「なっ…しまった!」

「うおおおおおお!ランスアターック!」

 

ゼス史上最大の大災害であり、ゼス新生の切っ掛けでもある…のちの世に『ゼス崩壊』と記録される大事件…その発端となる一撃が、気合と共に放たれ…

 

どがしゃーーーーーん! と音を立てて、三つ目のマナバッテリーは派手にぶっ壊れたのだった。




お読みいただきありがとうございます。

ようやっとマナバッテリー破壊までこぎつけました…
ここからぐわっと話が加速するのでお楽しみに。

以下、妄想です。

ラグナロックアーク・スーパー・ガンジー
LV60 / LV99
魔法Lv2 剣Lv1 格闘Lv0 統率Lv1 政治なし

ゼス国王にして国内最強の魔法使い。性格は豪放磊落の一言。
ストップ、ゼットンなどの高等魔法を使いこなし、戦闘時の判断力と物理的な戦闘力にも優れる。
アニスには劣るものの国内有数の魔力から放たれる白色破壊光線は「破邪覇王光」と呼ばれ、これまでにも他国や魔軍との戦争において猛威を振るってきた。
ゼス崩壊時、ゼス脱出集団を追撃してきたサイゼル軍が真綿で首を絞めるような包囲戦を選んだのは、ガンジーを警戒してのもの。自分が無傷でも部下に甚大な被害が出してカミーラに睨まれたくないから。
また、ゼスの貴族には珍しく二級市民への偏見を全く持っておらず、非魔法使いへの差別が蔓延るゼスの現状を憂いており、改善すべく奔走している。

ここまでならば何の文句もないのだが、政治家としての適性が全くないという王としては致命的な欠点がある。
改革を志してはいるものの、
例えば良識的な外務長官宇垣との関係強化や、内務長官に就任予定だったが拒否したサイアス・クラウンの慰撫、兄に比べればまともな情報長官ソエマセへの接近といった守旧派の切り崩し、自派閥の多数派工作は全くやっておらず、
怒りに我を忘れて強硬な手段を取っては守旧派の態度をさらに硬化させる、の繰り返しで、守旧派を完全に一枚岩の強硬な反ガンジー勢力に仕立て上げてしまった。
守旧派がガンジー支持が多い二級市民の処分と再教育などと言った狂った政策を持ち出してきたのも、ある意味ではガンジーの責任。
挙句に改革がうまく行かないことから内政に興味を失い、自ら登用した四天王山田千鶴子に仕事を押し付け、自分は現実逃避気味の世直し活動で憂さを晴らしていた。

一言でいうなら、個人として、男として、戦士として、軍人としては世界有数だが、政治家としては最低で、王としては中の下程度の人物。

王になんぞならなければ良かったとは思うが、ガンジーの前王は政策(異文化撲滅政策、ヘルマンと共謀してのリーザス侵攻等)を見るに、ろくでもない人物であったようなので仕方ないのかもしれない。

大戦国ランスではランスと一緒に突撃しまくっていて楽しそうで何よりである。

R10妄想追加カード
LV80 ガンジー
ATK4500
HP5000

スキル1
全力突撃

スキル2
破邪覇王光
AP9 12倍攻撃 1回制限

民を思う激情故の無謀な特攻を
ランスに諌められ命を拾った
ならばこの身は友と人類のために
迷いなく放たれる破邪覇王光が魔を討ち滅ぼす
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